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「帰ってきたヒトラー」 人間の社会の普遍的な問題を考えさせられる

異国の地にいると、最近の話題作をかなりの数、見逃しているのに気づきます。この映画もその一つで、特に無料動画ばかり追いかけていると、どうしても現れてこない映画なのです。かといって、日本のVODはほぼ接続にストレスを感じる、VNP経由でないと鑑賞できないわけで、なかなか有料動画を見る機会が無かったので、今回はITuneから選んで見ることにしました。たまたま200円のキャンペーン中で、この映画が出ていたので、見てみることにした次第。なんとなく内容は解っているのですが、ここは押さえておこうと見始めました。2015年、ドイツ制作の映画です。

あらすじ
ヒトラーの姿をした男(オリヴァー・マスッチ)が突如現在のドイツに現れる。リストラされたテレビ製作者ザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)に発見され、彼の復帰の足掛かりにと、撮影旅行を開始。全国を回って、現在のドイツの人々の声を聴いたヒトラーは、初めての生出演に成功、人々の心をつかむ演説を開始する。これは、ヒトラーを模した完成度の高い芸と見做され、彼は一躍人気者になり、天才的な活動家であった彼は現代のネット社会を利用し頭角を現していく…。



2014年、ヒトラーはベルリンにタイムスリップ、疲労で倒れ込んだところをキオスクの主人に助けられます。同じ頃、テレビ局をクビになったザヴァツキは、かつて撮影した映像にヒトラーに似た男が映り込んでいるのを発見し、彼を捕まえ、テレビ局復帰のためヒトラーとともに全国行脚し、自主動画を撮り溜めました。ザヴァツキは動画を手土産に、テレビ局の新局長ベリーニ(カッチャ・リーマン)に売り込みテレビ会社に復職、さっそくヒトラーは生出演することになります。そこでヒトラーは持ち前の弁舌で視聴者の人気を集め、一躍人気者となりました。

しかし「ヒトラーネタ」で視聴率を集めるベリーニに反発するスタッフが現れ始め、局長の地位を狙う副局長のゼンゼンブリンク(クリストフ・マリア・ヘルプスト)はベリーニを失脚させるため、ヒトラーのスキャンダルを見つけ出し、トーク番組中にその映像を放映、視聴者からの批判により、ヒトラーは降板、ベリーニもテレビ局をクビになってしまいました。ザヴァツキの家に居候することになったヒトラーは、自身の復活を「帰ってきたヒトラー」として出版、これがベストセラーとなって、ザヴァツキとベリーニで組んで映画化を企画し、一方でヒトラーを失ったテレビ局は視聴率が急降下、新局長となったゼンゼンブリンクは立て直しのため。映画製作への出資を申し出るはめに。

ザヴァツキは恋人のクレマイヤー(フランツィスカ・ウルフ)の家にヒトラーと共に招待されますが、ユダヤ人であるクレマイヤーの認知症の祖母(グドルーン・リッター)がヒトラーをみて拒絶反応。クレマイヤーがユダヤ人だと知った時のヒトラーの反応を見たザヴァツキは疑念を抱き、ヒトラーの復活の秘密を探り、芸人などではなく、本物だと確信します。ザヴァツキはベリーニに真実を伝えようとしますが相手にされず、精神を病んだと判断されて病院に幽閉され、映画がクランクアップした頃、ヒトラーは自身を支持する若者を集めて新しい親衛隊を組織し、再び野望の実現のために動き出すのでした…。

帰ってきたヒトラー

あらかじめ大筋は理解していましたので、予想通りの内容でした。主義主張のはっきりした映画であったと思います。内容の性格から、ちょっと説明的過ぎと思うところも無きにしも非ずですが、こういった内容ですから誤解を招くようなものであってはならないという事でしょう。ヒトラーが台頭していく姿の現在における再現という事で、現在のヒトラーが誕生する可能性、あるいはすでに誕生しつつあることに警鐘を鳴らしつつ、世の中、歴史上の普遍的な内容をしっかりと表現していると思いました。

衆愚政治という言葉を最初に習ったのが、高校の世界史の授業。都市国家アテネの項目です。史上初の民主国家が陥る罠がありました。ワイマール共和国から独裁体制への移行など、選挙で国民の信頼を得るというお墨付きに頼り、安住し、あるいは利用される世界、これは現在の日本をはじめとする世界中の民主国家に起こりえる罠でもあります。現在の成熟した国家は、いろいろな機構を組み込み、そういった危機に陥ることを避けるように体制が構築されていますが、さりとて絶対ではなく、どこにでも起こりえること捉えるべきなのでしょう。

最後の方に出てくる、国民が心の底で共感していることに気づく、であるとか、悪いことばかりでなく、いいこともあったとどこかで思っているというのも、言われてみればその通りで、犯罪者にもいいところがあったというのは捕らえようによっては言える話、植民地支配には良いところもあったというのも、よく言われる話、良いところもあるが悪いものは悪いと言い切るかどうかが、結局は議論の分かれ目のような感じがします。日本の場合は、ヒトラーやムッソリーニといった強力な指導者に帰すものでもなく、全体が持ちつ持たれつという、実行者の責任をはっきりさせない体制なので、話はややこしく、これは現在の大企業でも同様なことが言えるのかもしれません。

といったところで、この映画はヒトラーという存在から、それに限らず人間の社会の在り方のいろいろな問題について考えさせてくれるいい作品だと思いました。

2018.7.1 HCMC 自宅にて、ITuneでの パソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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