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「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」 大上段な邦題の人間ドラマ

日本に出張で帰国した休日、特にお目当ての映画がある訳でもなく、時々訪ねる千葉劇場の前に立つと、ちょうど映画が開演されるところでした。ちょっと重い歴史劇かなということえ、それほど見たい映画という訳では無かったのですが、アカデミー賞でもチャーチルのメイクが話題となり、賞を受賞した映画。ちょうどタイミングが良かったということで、見てみることにしました。

あらすじ
第二次世界大戦初期の1940年。ナチス・ドイツはヨーロッパ各地に侵攻し、フランスなどヨーロッパ大陸国家はすでに陥落間近にまで追い込まれていた。海を隔てたイギリスにもその脅威が迫りくる中で、連合軍はフランス北部にあるダンケルクとカレーに追い詰められ、窮地に陥っている時、ウィンストン・チャーチル(ゲイリー・オールドマン)はイギリス国内の政争の中で、英国首相に就任することとなる。チャーチルは、国内の政敵に追い詰められながらも、ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、ヨーロッパの運命を左右する選択を迫られるのであった…。



冒頭はイギリスの国会のシーンから。チェンバレン首相(ロナルド・ピックアップ)が、ドイツ宥和政策などの失敗から、辞任に追い込まれ、挙国一致内閣として、野党の賛同も得られる人選ということで、ウィンストン・チャーチルが選ばれました。実際は、強いリーダーということで、外相のハリファックス(スティーヴン・ディレイン)が最適任者だという声があがりましたが、本人は私の出る時期ではないと、これを固辞。どうもここは、火中の栗を拾わないという、ハリファックスのしたたかな雰囲気がでていますが、Wikipediaには、「貴族院議員の自分には庶民院を統制できず、政権運営は難しい」という理由と書かれていました。

さて、チャーチルは、政界では嫌われ者の部類の様でした。朝食にスコッチ、昼食にシャンパン1本、夕食にも1本、夜はブランデーにボートワインと酒好きで、変わり者。そして、チャーチルを叱咤激励する愛妻のクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)、気難しいチャーチルの言葉をタイピングする秘書エリザベス(リリー・ジェームズ)。そんな取り合わせで、この難局に立ち向かうチャーチルの姿が描かれていきます。ハリファックスの主張する宥和に対立し、あくまでも抗戦を主張するチャーチルは、ヨーロッパに派遣したイギリス軍が、ダンケルクで包囲されてしまい、チャーチルは国民を鼓舞して、ボートや小型船など民間の船まで総動員。ダイナモ作戦が始まります。

ドイツ軍がさらに勢いを増していく中で、英国にも上陸の危機が迫ってきます。ヒトラーとの融和か、交戦か。宥和の算段をするハリファックスに、徹底して対抗するチャーチルですが、実際の所は、日々決断に悩みぬいていました。就任当初はチャーチルに対して懐疑的だった国王ジョージ6世(ベン・メンデルソーン)は、ハリファックスとチャーチルの様子を見て、チャーチルに心を開き、深い絆が生まれます。そして、国王は街に出て国民の声を聞くことを勧め、地下鉄の車内で人々の声を聴いたチャーチルは、遂に最後の決断を下したのでした。

ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男


邦題などの印象から、チャーチルとヒトラーの第二次大戦中の対決の歴史を描いた映画だ思っていたのですが、見てみるとそうではありませんでした。この映画で描かれている期間は、チェンバレン內閣の不信任からスタートし、次期首相としてチャーチルが、ある意味消去法のようにも思える選出をされてから、膨張するヒトラーの勢力に対抗すべく、人心を得て挙國一致を実現するまでの、ほぼ一月の間の物語でした。

その歴史劇としては比較的短期間の出来事を、チャーチル本人の描写は勿論ですが、この間のチャーチルの苦悩とそれを支えた人々、特に妻と秘書との関わりを通して、チャーチルの人物像と歴史の動きを浮き彫りにしていきます。チャーチルの苦悩する姿は、彼の人間味を表現すべく、色々な方向から描かれていますが、その苦悩は勿論市井の平凡な苦悩とは一線を画したもので、単に人間チャーチルを描くといった安易な表現ではなく、歴史を動かした苦悩が描かれ、拡張高いものとなっているところは、さすがだと思いました。

昨年は、「ダンケルク」も公開されましたが、あの映画は現場の状況を克明に描いた映画。こちらは、その作戦の背後にある政治の舞台の話。この2つは、ストーリーとして、表裏一体といってもよい密接な関係にあります。「ダンケルク」の方は、現場の話ですので、迫力もあり、派手でもありますが、こちらはその政治の舞台を丁寧に描き出した歴史劇とは言いつつも、ヒューマンドラマになっていますので、それなりに迫力も感じられました。ベタな邦題から、ちょっと引いていたのですが、たまたまという機会があって、観ることが出来て良かったと思っています。

2018.3.31 千葉劇場にて
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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