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「スリー・ビルボード」 漂う閉塞感と個々の出演者の演技が見もの

映画鑑賞から2ヶ月ほど全く遠ざかっていました。何となく疲れたな…から、あえて休もうと思うようになると、そのまま2ヶ月が過ぎてしまったということ。多少は気になることも無かった訳ではないのですが、まぁ、そういうことでした。何か見てみたいなと思い始めた頃、機内でスイッチを入れてみると、立て続けに3本鑑賞(笑)。そのうちの一本です。いつの間にか、アカデミー賞の噂が飛び交う季節になっていました。2017年の映画で、監督はマーティン・マクドナーです。

あらすじ
車のあまり通らない道路脇に設置された3枚の寂れた広告看板。それを見つけたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、レイプの上殺された娘の無念を晴らすべく、いまだ犯人を捕まえられない警察へのメッセージを掲載する。その標的にされた、警察署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)は、街では人望の厚い署長だった。その署長を敬愛する部下のディクソン(サム・ロックウェル)や、町の人々に取り下げるよう脅されても、ミルドレッドは一歩も引かない。そして、署長自身も問題を抱え、悩んでいた。そして、彼らの間で、次々と不穏な事件が起こり始めていく…。



ミズーリ州の田舎町でティーンエイジャーがレイプされた後に殺害されるという事件から7ヶ月。母親のミルドレッドは娘を奪われた無念と、犯人の手掛かりを何一つ発見できない警察に不信感を抱くようになっていました。ミルドレッドは郊外に3枚の連続した広告板を発見、それを借り受け、「娘はレイプされて焼き殺された」「未だに犯人が捕まらない」「どうして、ウィロビー署長?」という広告メッセージを貼りだすことにする。

ウィロビー署長は、市民や部下から敬愛されている人物でした。そして、差別主義者として悪名高い、部下のディクソンはミルドレッドを脅し、住民たちもやがて嫌がらせを始めますが、ミルドレッドはそれらを意に介しませんでした。ウィロビーは広告板の撤去を求め、自身は膵臓癌で余命僅かなことも告げますが、彼女はそれも承知の上と返します。ディクソンは、ミルドレッドの友人をでっち上げで逮捕し、保釈にも応じないなど、徹底抗戦の構えです。

そんな中、ミルドレッドは歯の治療中、ウィロビーと親しい歯科医から報復されそうになるが、逆にドリルで撃退。この件で、ウィロビーが彼女を尋問中突然吐血し、そのまま病院へと搬送されてしまいました。そして、死期の近いと悟ったウィロビーは、退院後に妻と2人の娘と郊外の湖で楽しい1日を設けたあと、その夜自殺してしまいます。この件によって、市民のミルドレッドへの嫌がらせは、さらに激しくなっていくのでした…。

スリー・ビルボード

全編を通じ、重苦しい雰囲気の流れる映画でした。前半は、ミルドレッドの行動は、ある程度納得感のあるもので、田舎の閉鎖的な社会という環境の中で、一人で戦う姿は共感が持てますし、これに対する悪役ともいえるディクソンは、極端ではありますが、この地域の根底に流れる考え方を代弁しているようにも見えます。しかし、この映画は冒頭のそうした善悪の対峙の構図から、だんだんと、登場人物の深い悩みが前面に出てきて、それは表向きには出さずとも、すべて平等に心に重荷を背負っており、どれも深くやりきれないものだという感じになってきました。そして、その葛藤が主題となっていきます。

そして中盤、緊張の堰が切れたように、明らかにやりすぎという感じで爆発しました。ディクソンが広告代理店の男を窓から投げ飛ばし、ミルドレッドは火炎瓶を投げる。ディクソンの行動は流れから納得感はありますが、火炎瓶はちょっと必然性という意味で浮いているような気がします。そこに現れる、新任の黒人署長。これでもかと、渦中にいろいろな要素がつぎ込まれてきて、それが物語に、いろいろな影響を与えていきました。そして、ラストは何となく救われた感じがするものと言ってよいと思いました。とりあえずの閉塞感からの脱出が、登場人物により良い影響を与えることを期待させます。

さて、出演した俳優さんたち、皆さんいい演技をしているなと感服しました。勿論、ミルドレッド役のフランシス・マクドーマンドは、素晴らしいし、ディクソン役のサム・ロックウェルも、所作にいろいろな工夫が見られて、なるほどと思うところも多かったです。その上、あまり出演時間の少ない中で、チャーリーの憎たらしさや、チャーリーの情婦の徹底した脳天気さなど、かなり細かなところまで、よく演技されていると思います。ストーリー的にも水準以上とは思いますが、細かい演技にまでこだわっているという点で、なかなかの力作であると思います。まもなく発表されるアカデミー賞候補ということで、作品賞は内容的にちょっと難しいのかな?という気がしますが、主演女優賞と言われれば納得できる演技だと思いました。
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テーマ : 映画レビュー
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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