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「鍵」 ティント・ブラス版谷崎潤一郎をどう見るか?

以前、市川崑監督、京マチ子主演の「鍵」を見たのですが、その時気になっていた、ティント・ブラス監督の鍵を見る機会を得ました。エロスの巨匠と言われるティント・ブラス監督ですが、この物語をどう表現しているかが、なかなか見ものであります。

あらすじ
第二次大戦前夜のヴェニス。美大の老教授ニノ(フランク・フィンレイ)は、美しい肢体の持ち貞淑でつつましい妻テレサ(ステファニア・サンドレッリ)を、エロティシズムの世界へ誘い出そうとする。秘密の日記に書いたみだらな告白を、目に入るように仕向け、それを見たテレサは、娘リサ(バーバラ・クピスティ)の婚約者ラズロ(フランコ・ブランチャローリ)に惹かれるようになる。気づいたリサは、母とラズロを二人きりになるように仕向けると、二人は肉体関係を持つようになったが、嫉妬心から欲情するニノの心臓は耐え切れず、心臓発作により帰らぬ人となった。すっかり目覚めたテレサは残され、イタリアは大戦の波に飲みこまれてゆくのだった。



1940年のニューイヤーパーティーに、ニノとテレサ夫妻、そして娘のリサと婚約者ラズロは参加していました。美しいテレサを中心に踊る二ノやラズロは注目の的でしたが、ニノの趣向はテレサとのみだらな妄想であり、ダンスの時の手の動きで、テレサの不興を買ってしまいます。帰路、トイレに行きたくなったテレサが物陰で用を足すのを監視するうちに、ラズロは欲情してしまいました。

ニノは、テレサをもっとエロチックな女性に変えようと、みだらな日記を書き、その鍵をテレサの目につくところに放置します。それを読んだテレサは拒否反応を起こすものの、心に変化が表れているようでした。ある日4人で食事をしている時に、酒に酔ってテレサは倒れてしまい、介抱するために、ラズロは意識を失っているテレサのお尻に注射をうち、皆が帰った後、残されたニノはテレサの気を失って倒れている姿に欲情して性交しますが、テレサの方はラズロと交わっている夢を見ているのでした。

テレサも同様に日記を書き始め、ニノの目につくところに隠すという形で、双方向のエロティックなやり取りが始まります。ニノはラズロに借りたポラロイドで、テレサの就寝中の写真をとったり、テレサのヌード写真の現像をラズロに頼んだりと、自らにラズロに対する嫉妬心を湧き立たせるような行動をとり、それで欲情します。この写真はリサの知るところとなり、母を見限りますが、結局は母とラズロが二人で会う機会を次々とセット。必然的にラズロとテレサは深い関係になってしまいました。

そういった、他者との性交と嫉妬を絡め、欲情しあうニノとテレサですが、ニノの体は老いており、医者からも激しい運動は止められています。ある日テレサは、ラズロがテレサの下着を着て行ったプレイから帰った後、ニノにテレサのパンティ、ガーターそしてブラまで付けさせ燃え上がりますが、その時ニノの心臓が耐え切れず発作を起こすこととなりました。その後、ニノは回復することなく亡くなり、ニノの棺には二人の日記が収められていました。そしてすっかりエロティックになったテレサは、イタリアの大戦参戦の演説が聞こえる物々しい雰囲気の中で、ニノの葬列に参加し、その中でもエロチックな妄想を繰り返すのでした。

鍵(1984)

エロスの巨匠ティント・ブラス監督の作品は、カリギュラしか見たことがありません。あとはちょっとパブリカをつまみ食いしたぐらい。想像の中では、豪勢な裸を見せる洋物ポルノというイメージがあったのですが、これは意外とまったりとしたドラマに近い物でした。内容も以前見た市川崑監督のものと、露出度は別として、そんなに大きな違いは無く、筋を思い出しながら追っていけます。ただし、映像は他の作品と同様B級ポルノ感が漂い、モリコーネの音楽もウエスタンで見る彼の音楽とは別物。古典的なクラシックのような音楽がついていました。

そんな感じで、原作に忠実ですので、谷崎潤一郎の世界が国を超えて、情熱のイタリアでも表現されています。彼の地では、日本のようなじめじめした表現にはならないだろうと思っていましたが、そこはある意味、心のヒダヒダがストレートな表現になっていて、イタリアらしくはありますが、テーマはやはり谷崎潤一郎のものだという事が確認できました。あとは、まぁ生き生きとしたメリハリの利いた表現とか、そういう物からは遠いので、ダラダラと話が続いていく感はありますが、最後までちゃんと見られたので、良しとします。

谷崎潤一郎の鍵は、他にも神代、木俣、池田と三人の監督さんが挑戦されています。それぞれ特徴があって面白いのではないかと思いますので、一度は見てみたいと思います。ティント・ブラス監督のこの映画では、主演のステファニア・サンドレッリは勿論美しいのですが、ニノ役のフランク・フィンレイがなかなかの怪演だと思いました。興味深げに昏睡状態のテレサの肢体を眺めたりと、なかなか気持ちのこもった演技だったと思います。そして、エロスという分は差し引いても、ちょっとこういうマニアックな映画を見るのは、好事家として楽しい物なのでした。 

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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