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「命をつなぐバイオリン」 <WUNDERKINDER>とセンス無い邦題

ネットで検索しつつ、見ることのできた戦争ドラマ。題名を見る限りはそれほど興味をそそられるものではなかったのですが、こういう映画もしばらく見てないなと思い、見始めました。現在でも毎年のように作られ続けている、ナチスのホロコーストに関連するドラマです。これは、映画鑑賞一時中断直前の昨年11月の鑑賞です。

あらすじ
1941年、ソ連の支配下のウクライナに、神童と呼ばれた二人のユダヤ人の子供がいた。アブラ―シャ(エリン・コレフ)はバイオリン、ラリッサ(イーモゲン・ブレル)はピアノで人々を魅了。ソ連の幹部たちは二人の演奏を、党の体制の賜物と宣伝する。同じ町に住むドイツ人少女ハンナ(マティルダ・アダミック)もバイオリンの才能に恵まれ、アブラ―シャやラリッサと一緒にレッスンを受けたいと、二人の音楽教師でユダヤ人のイリーナ(グドルン・ランドグレーベ)の元で一緒にレッスンを始め、3人は固い友情で結ばれていく。やがて、ドイツ軍のソ連侵攻が開始、ナチスのシュヴァルトウ大佐(コンスタンティン・ヴェッカー)は、完璧な演奏を行えば、アブラ―シャとラリッサを特別待遇として強制収容所送りを免除してやると2人に伝えるが…。



冒頭は、現在の情景から。コンサート会場で演奏を終えたヴァイオリニストに突然に来客が現れます。それは、かつて彼女と固い友情で結ばれていた男性でした。そして、時代は1941年のウクライナに戻りました。

1941年、ソ連支配下のウクライナのポルタヴァのコンサート会場。アブラ―シャとラリッサは、素晴らしい演奏を披露し、観客の中には素晴らしい演奏に目を輝かせている幼いハンナがいました。演奏会では2人の素晴らしい演奏のあと、ソ連の幹部たちが登場し、二人が完璧な演奏をすることができるのは、自分たちの党の体制のおかげだと、宣伝を披露します。ハンナは国や民族など意に介さず、しきりに2人に近づきたがるようになりました。裕福なハンナ一家と、貧しい2人の間には大きな壁がありましたが、ハンナの積極的なアタックにお互いに友情が芽生え、やがて、3人は同じ教師の元でレッスンを受けるようになります。

ハンナ一家は、ドイツから入植し、工場を経営していました。当時ソ連とドイツは不可侵条約を結んで友好関係にあり、ウクライナはソ連支配下で、地元のウクライナ人はソ連の命令に従いつつ、ハンナ一家も優遇していました。しかし、ドイツが条約を破棄して宣戦布告したことから情勢は一変。いろいろと世話をやいてくれた、ウクライナの政府からもハンナ一家は手のひらを返したように攻撃を受けるようになり、家をも追われた一家は、アブラ―シャたちユダヤ人のコミュニティーに助けられ、身を隠すことになります。そこへドイツの占領軍が到着。ハンナ一家の待遇は再び一変しますが、今度は彼らを助けてくれたユダヤ人のコミュニティー、そして固い友情で結ばれた2人に次々と危機が訪れ、目につく者は皆収容所に送られるという事態となってしまいました。

固い絆で結ばれた、アブラ―シャ、ラリッサ、ハンナの3人は、友情の曲を作曲、大人たちとは無関係だと誓い合いますが、ナチスのユダヤ人狩りの手は、2人にも向かってきます。ハンナ一家は、二人が神童であり、対象から外すよう、この地を取り仕切るシュヴァルトウ大佐(コンスタンティン・ヴェッカー)に要請しますが、彼は、ヒムラーの誕生祝賀会で完璧な演奏を行えば、アブラ―シャとラリッサを特別待遇として強制収容所送りを免除してやると答え、ついに運命のコンサートの幕が上がりました…。

命をつなぐバイオリン

かなり重厚な、ホロコースト関連の映画でした。情勢や戦況が変わる中で、二転三転するハンナ一家の運命を追うと、この時代におけるウクライナと、そこに住む人々の立場のむつかしさや、処世術が前面に出てきて、厚みのある歴史ドラマになっていると思います。いろいろな人々に助けられながら生き抜いていた、入植したドイツ人の話は、これで一つの大きな主題であり、良く語られていると思いました。

そして、この物語の最大のテーマは、アブラ―シャとラリッサ、そしてユダヤ人コミュニティの運命でした。混乱する大人の世界の中で、音楽の神童として苦悩し生き抜いていく。そして、それを身を挺して助ける教師のイリーナ。戦禍の中でも固い絆で結ばれる、ハンナとの友情。そういったことが骨太でかつ丁寧に語られていきます。原題の通り、これは神童たちの物語であり、また、ナチス侵攻前後のウクライナの情勢を描いた歴史ドラマでした。

残念ながら、邦題の「命をつなぐバイオリン」という題名からは、この映画にとっては、ちょっとずれた期待を持って映画を見せてしまうような気がします。主題をそこだと絞ってみる形になってしまうと、ラストがどうなるかという興味が先に立ってしまい、丁寧に語られる歴史劇もまどろっこしく感じてしまいました。前半を大きな背景として歴史を見せて、重厚な物語にしているのに、興味は命をつなぐかどうかの、演奏会のみに向かってしまう。それに題名にバイオリンしか出てこないというのは、、ある意味ネタバレをしているようなもの。そういう意味でこの題名は内容を表してはいますが、映画の意図を消し去ってしまうという残念なものだと思いました。まぁ、題名に影響されずに見ろと言われるとそれまでですが、それはちょっと難しいですよね。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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