FC2ブログ

「恐るべき子供たち」 コクトー色の色濃い文芸作品の映像

コクトーの小説、「恐るべき子供たち」は手ごろな長さの文学作品なので、一度手に取って読んだことがあると思います。内容はすっかり忘れているのですが、ジャン・ピエール・メルヴィルが1949年に映画化した作品があり、たまにはフランスの文学作品ということで見てみました。

あらすじ
一つの部屋で暮らす親密な兄弟、エリザベートとポールは、口喧嘩が絶えないながらも一心同体のような兄弟だった。そして、大人になり、仕事や結婚というイベントが二人に起こってくる頃、外界との付き合いの中で、自分たちとの欲求との葛藤に悩みながら、悲劇へと向かっていく…。



文芸作品でもあり、少し丁寧に話の筋を追っていこうかと思います。

ある雪の日、生徒たちは校内で雪合戦の最中でした。その最中ポール(エドゥアール・デルミ)は、ダルジュロス(ルネ・コジマ)を探していましたが、探し当てた瞬間、ダルジュロスが投げた雪球が胸に当たり、気絶して倒れてしまいます。ポールは、友人のジェラール(ジャック・ベルナール)に連れられて家に帰りますが、迎えた姉のエリザベート(ニコール・ステファーヌ)は、病に伏した母(マリア・シリアキュス)の看病に、さらに弟まで病人になってしまうという事態に、遊び惚けている二人を軽蔑します。そして、かかりつけの医者を呼ぶと、命に別状は無いが弱っている為、学校に通学することは論外であり、看護師をよこすので静養すべきという診断が下されました。

ポールとエリザベートは、散らかった一つの部屋で二人で過ごしていました。二人の間には恥じらいなども無く、一心同体の様でした。ある日ポールは、ダルジュロスが事件をきっかけに、学校から追放された事をジェラールから聞かされ、間もなく病床の母も死を迎えました。ジェラールは二人をジェラールの伯父の計らいで海辺のバカンスに誘いました。寝台列車の旅は二人にとって目新しいことばかりでしたが、二人は世間知らずなことを隠し、自然に振舞おうと努力します。そして車内でも、自宅にいるのと同様に、二人はやり合いながらも離れられない親密さを保っていました。バカンスから帰った三人は、ポールたちの部屋で一緒に過ごしています。口喧嘩の絶えない二人ですが、ジェラールはその中で彼女がポールの世話を焼き、ポールに愛おしく呼びかけているのを気づいていました。

ある日エリザベートは、ポールの反対にもかかわらず、ジェラールの紹介でモデルの仕事を始めました。彼女はモデル仲間で意気投合したアガーテ(ルネ・コジマ)を連れて帰りますが、彼女はダルジュロスにそっくりでした。ポールも一瞬ハッとしますが、自分の気持ちを偽り、逆に似ていることを激しく否定します。一方、エリザベートはポールが壁に沢山貼っているスターのピンナップが、アガーテやダルジュロスに似ていることに気づきました。やがて、アガーテも同じ家に住むようになり、その後エリザベートはアメリカ人のミカエル(メルヴィル・マルタン)と結婚式を挙げます。ところがミカエルはすぐに自動車事故で死亡してしまいます。

エリザベートは、ミカエルの遺産を相続し、豪邸に、ポール、アガーテ、ジェラードの4人で住むようになりますが、大きな家なので、いつしか昔のように一緒の部屋で生活することは無くなりました。エリザベートはポールと一緒の部屋に住んでいたことを懐かしむ一方、ポールはアガーテへの気持ちを抑えきれず、彼女に向けて告白の手紙を書きます。アガーテの方も、ポールを好きになってしまっていますが、ポールがいつもアガーテを避けるので、部屋で一人悲嘆にくれていました。そして、様子を見に来たエリザベートにポールを愛していると打ち明けます。

エリザベートは仲を取り持つと言いポールの部屋に行くと、彼はアガーテに手紙を書いたが、彼女の様子はどうかと尋ねます。エリザベートはアガーテの部屋に戻るふりをして、手紙を見つけて捨ててしまい、ポールの部屋に戻ると、アガーテはジェラールを愛しているとポールに告げました。一方で、アガーテにはポールはアガーテを愛していない、ジェラールと結婚すべきだと説得。アガーテとジェラールは結婚。ポールは抜け殻のように夜中に屋敷を歩き回るようになります。ジェラールは偶然に新婚旅行の旅先でダルジュロスに会い、そのとき託された毒薬を、お土産としてポールに手渡しました。

ある日曜日の雪の日、エリザベートは森の中でポールが横たわっている夢を見舞す。眠りは騒々しいドアのベルに破られ、驚いた様子のアガーテが駆け込んできました。アガサは、女中からポールの最後の手紙を受け取り、慌ててかけつけたとのこと。驚いたエリザベートとともにポールの部屋に向かうと、毒薬を飲んだポールはすでに瀕死の状態でした。アガーテはポールの話を聞くと、エリザベートが嘘をついていたことを知り、お互いの愛を初めて確認します。エリザベートは銃を手にとり、ポールがこと切れると同時に、自分に向けた銃声が屋敷に響き渡ったのでした。

恐るべき子供たち

長々と書いてしまいましたが、これでこのストーリーはほぼ網羅されたと思います。この映画の造りは、エピソードの一つ一つが、コクトー自身のナレーションで繋げられながら続いていくという形をとっています。そして、劇中の心情の詩的な解説を、ことごとくコクトーが話してしまう事から、いかにもコクトー自身が前面に出て映画が作られたような感じがします。そして多分事実そうなのでしょう。

音楽は、バッハの4台のピアノのための協奏曲や、ヴィヴァルディの協奏曲が使われており、とても劇的な雰囲気がでていて効果的です。そして、エリザベートのニコール・ステファーヌの鬼気迫るような演技が、この物語全体を覆っています。ラストに向けて盛り上がっていく中での、心情の表現など迫力があり見事だと思いました。

ということで、この映画、あまりにコクトー色が強くて、メルヴィルはどうなの?と思うところでありますが、それはそれで、冒頭からの緩みの無い構成感や、二人の生活の異質さなどの、表現の強さは、メルヴィルによるものなのでしょう。ダルジュロスとアガーテは一人二役だったのですね。後で気が付きました。さて、過去の名画で見るべき作品は、まだまだ沢山有りますので、また、一つ一つ見ていきたいと思います。長くなりましたが、今回はこれで…。
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR