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「遊び」 貧困から立ち上がる、輝く青春ストーリー

GYAO!無料配信で見る「おとなの大映祭」残すところ、あと2作品となりました。今回は、大映末期の作品で、関根恵子の「遊び」です。増村保造監督が大映で撮った最後の作品で、もはや倒産直前の大映作品ということです。資金調達などが大変苦しい中での撮影だったようですが、どんな作品なのでしょう。1971年の映画です。

あらすじ
パーツ工場で働く少女(関根恵子)の父親(内田朝雄)は、人身事故を起こして以来飲んだくれ、借金を残して死んでしまった。そして、内職をする母(杉山とく子)と、カリエスで寝たっきりの姉(小峯美栄子)が残され、少女は借金の返済のため、周囲の工員とは溶け込まず、給料を家に送り続けていた。ある日同僚の勧めもあって、夜はキャバレーでバイトをしようと決心して町に出た時、少年(大門正明)が声をかけてくる。彼も寂しい過去を背負った少年だったが、今は、町のチンピラになってスケコマシを始めようとしていたのだ…。



この映画は、過去のフラッシュバックが数多く挟まれ、2人と過去が語られる形式をとっています。これが頻繁にあり、少々解りづらく、ぼやっと見ていると、現在と過去が若干混乱してしまいました。

少女の過去
少女は、元ダンプ運転手で、事故を起こして飲んだくれになり職を失った父と、家計を支えるため内職をしている母、そしてカリエスで寝たきりの姉の4人で暮らしていました。小さな部屋で4人の貧しい生活でしたが、生活の苦しさから口論も絶えませんでした。ある日、父が工事現場で川に落ちて死亡。収入減が減ってしまった家族を支える為、少女は寮に住み込む形で、パーツ工場に働きに出ました。

少年の過去
少年の母は、おでんの屋台を引いていました。ある日母親の屋台が、やくざ(蟹江敬三)に絡まれたことがきっかけで、子分になります。彼らはスケコマシを日常行っており、彼も手伝いをしていましたが、女性に相対すると何もできなくなり、仲間から馬鹿にされます。一方で母親は、寂しさから日々男を部屋に連れ込む毎日を送っているという状況でした。

で、主なストーリーは、
パーツ工場で働く、少女の元に母親が金を無心に来ますが、彼女には払う金もなく断ります。女子寮にはキャバレーのホステスをやっている工員もいて、彼女がマネージャーをスカウトに連れてきたことから、家族の為にと彼女はホステスになることを決意し、電話で連絡を取ろうとしたところを、初めてスケコマシにトライしようとしていた少年に声をかけられました。少年も少女もまだウブで世間ずれしていない心を持っていました。二人は、喫茶店、ゴーゴー、バーと遊び歩いて親交を深め、少年は、兄貴指定の連れ込み宿に彼女を連れていきます。

しかし、純真な少女がすっかり好きになってしまった少年は、連れ込み宿の主人を殴りつけて、彼女を連れて逃走。郊外の立派な旅館に宿をとり、恋人となった二人はそこで一夜を過ごしました。翌朝の朝霧の中、すべての世の中の煩わしい事を心の中から払い去った二人は、葦原を走り廻り、川辺に浮かぶ穴の開いた舟を見つけると、下着だけになって船につかまり、沖へ沖へと泳ぎ出します。水の中で二人はしっかりと抱き合い、向こう岸を目指しつつも、流れに流されながら、あてもなく泳ぎだすのでした。

遊び

はい。1971年の作品になります。「高校生ブルース」や「おさな妻」などでブレイクした関根恵子の作品。今回は生活苦にあえぐ中でも、純真さを保っている主人公を演じています。今時(この時代でも)こんな子がいるのかいな?というくらいの純真さでした。一方で少年も、行きがかり上なったやくざの子分ではありますが、元々は母思いの優しい少年。少女の純真さに本来の自分を取り戻しました。絵にかいたような青春ストーリーに、貧困から道を外しかけて戻ってくるという二面性を併せた、ラブロマンスでした。

関根恵子大門正明も、セリフは良くも悪くも、強い一本調子で話されています。従って、陰影を落とすとか、情緒を醸し出すとかということには、凡そならないのですが、逆に青い青春感が漂うという効果はありました。最近は、こういう単純に貧困からくる悲劇を主題とした映画は数少ないような気がしますが、一億総中流以降、現実味が無くなくなり、いろいろと絡まったような複雑な世の中になってしまったからでしょうか。小舟を使って沖に泳いでいく光景については、単純に、人生の門出であり、川の流れに翻弄されながら(数々の苦難に直面しながらも)、行きつく先は解らずとも、大海に漕ぎ出して二人で生きていく。ということを表しているということで、間違いなかろうと思います。このラストは素晴らしいです。

松阪慶子がクレジットされているので、どこかな?と思って探すと、ゴーゴーバーであうフーテン娘。一瞬のチョイ役でした。デビュー後、大映末期の数年間は不良風俗系で話題をさらったようですが、大映倒産後、松竹で清純派としてブレイクされたようです。よく見ると、面影があるなぁ、なるほど、という感じでした。蟹江敬三も健在で、異彩を放っておりました。さていよいよ次回は最後の10作目となります。増村保造監督、若尾文子主演の「赤い天使」です。なかなかの期待作だと思います。
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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