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「雪崩」 1937年大佛次郎原作の家族ドラマ

YouTubeでいろいろ探している時に見つけた映画です。古い日本映画がいろいろと見られるので、時々YouTubeをうろうろしていますが、どこまでが著作権法上違法なのかが不可解なのが、YouTubeを見るときの悩みの種。しかし、これほどたくさんの映画が並んでいるので、特に古い作品はいいのではないか?と思って見ています。

あらすじ
富豪の息子日下五郎(佐伯秀男)は、許嫁の弥生(江戸川蘭子)がありながら、美しい蕗子(霧立のぼる)に一目惚れして結婚する。一年が経ち、従順な妻に物足りなさを感じた五郎は、再び弥生に求愛をするが、弥生は迷いながらも蕗子のことを哀れみ拒否。無責任さを父(汐見洋)に責められた五郎は、心中をしてしまおうと蕗子を連れて名古屋に旅立つが…。



約60分ほどの作品であり、あらすじも、だいたい書いた通りで網羅できているので、単純なストーリーではあります。もう少し詳しく見ていきますと、まず、名古屋に駆け落ちした五郎と蕗子は五郎の父に連絡し、父が迎えに来て結婚の許可を得ます。蕗子は美しく従順で、良妻賢母の鏡のような女性でした。蕗子は日下家に入り、父母ともうまくやっていきますが、五郎はそんな蕗子が物足りなくなってきます。五郎には弥生という許嫁が元々あったのですが、彼女と再会すると女性としての魅力に心を奪われ、たびたび弥生の元を訪れるようになりました。

このことを知った五郎の父は、富豪であると同時に人格者でした。若い五郎は、自分を正当化するために激しく父と口論しますが、いつも分が悪いようです。父は、結婚をした男としての社会的責任について諭しますが、五郎は受け入れません。父に説得されて、蕗子にプレゼントを買い、子供のように喜ぶ蕗子ですが、一方で五郎は再び弥生の家を訪れます。これを知った父も弥生の家に向かい、再び五郎と父は口論になりますが、こういう状況は弥生も好まないもの。弥生は、五郎に引かれながらも、五郎を拒絶する決断をしました。

五郎は、自分の不幸を呪い、父への面当てにと、蕗子をつれて名古屋のかつて共に駆け落ちしたホテルに向かい、心中を企てます。しかし、いざとなると、蕗子だけ死んでもらって、自分は生き延びようという邪念が湧き上がってきます。そして、蕗子に一緒に死のうと切り出すと、蕗子はあなたとならと承諾します。どこまでも従順な妻なのでした。蕗子はその時不安顔で弥生のことを尋ねます。その言葉にハッとした五郎は自分の過ちを顧み、蕗子をしっかりと抱きしめるのでした。

雪崩(1937)

大佛次郎の小説が原作です。大佛次郎と言えば、大衆小説の大家というイメージがあり、子供の頃は書店に文庫本が棚に一杯並んでいた記憶がありますが、今ではすっかり見かけなくなりました。鞍馬天狗や、戦前から戦後にかけての長い活躍期間で、多数の小説や翻訳で有名な作家でした。その大佛次郎ですが、正直一つも読んだことがありません。やはり、大衆小説は同時代でよく読まれますが、後世にまで繰り返し読まれるということには、なりづらいという宿命なのでしょうか。こうして映画が残されていると、大佛次郎の一端に触れられることができて、それは楽しみでもあります。

この映画の特徴は、登場人物の独白シーンで画面に紗がかかるという効果を多用しています。この手法は公開当時に話題になったらしいのですが、すだれのように紗がおりてくるため、雪崩でなく、スダレ映画だと揶揄されたとのこと。まぁ、このスダレは、セリフと相反する心中を吐露するための効果ではありますが、さほど必要でもないでしょうね。

登場人物は、霧立のぼるは、楚々として可愛らしく、江戸川蘭子は肉感的。汐見洋は、一貫して人格者で、主人公の佐伯秀男は、
若気の至りではありますが、許嫁がありながら駆け落ちして結婚、1年で飽きてしまい許嫁に心を戻すが認められず、当てつけに心中を企む。いざとなったら自分だけ生き残ろうと考えるという、ひどい奴です。蕗子や、蕗子の父や、五郎の父が皆好人物なだけに、完全に五郎の行動は浮いてしまっている格好ですね。そして、蕗子の健気さに自分の過ちに気づいて、めでたしめでたしなのでした。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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