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「墨東綺譚」 それは無いよと言いたいが、抗いがたい魅力

出張のお供にダウンロードしていった映画。今回は、「墨東奇譚」です。小説はかつて岩波文庫で読んだことがありましたので、艶やかな悲恋の話というイメージがありました。しかし、iPadの小さな画面とはいえ、際どいシーンが多いので、飛行機の中で見ると、いささか周囲が気になるのでした。1992年の映画で、新藤兼人監督の作品です。

あらすじ
良家の長男として生まれ育った荷風(津川雅彦)は父の意向に反し、文学の道を志した。荷風文学の真髄は色街の女性を描くことで、そのため夜の町に親しむことも多く、周囲から遊蕩児とみなされていた。また、荷風は、女性から手痛い被害を被る事も多かった。ある日、玉ノ井のお雪(墨田ユキ)と出会った荷風は、清らかな心をもった彼女に運命的なものを感じ、玉ノ井通いが始まる。。しかし、高齢な荷風にとって、お雪と結婚するには、互いの境遇が違い過ぎた。それでもお雪に惹かれていた荷風は、彼女と結婚の約束をするが…。



永井荷風は、麻布の家に住み、そこに実家の母(杉村春子)が訪ねてきて、永井の境遇がいろいろと語られます。その後は、永井が日々の暮らしの出来事をつけている「断腸亭日乗」という日記文学の記述と、物語が並行して進んでいく形をとっています。永井は銀座のカフェではその行状を糾弾され、それを手助けして逃がしてくれたお久(宮崎淑子)と関係しますが、お久にはしつこく金をねだられるようになり、家ではお歌(瀬尾智美)という若い娘を愛人として置いていましたが、あるひ田舎にかえってしまい、遊郭でみつけたきみ(八神康子)の元に通うと、いつの間にか店から消えており…。といった具合で、愛の遍歴を重ねますが、なかなかうまくはいかないという生活を送っていました。

あるひ、バスの中にきみの影を見た気がした永井は、そのバスに乗り込むと玉ノ井の私娼街にたどり着きます。一時の驟雨が襲い永井の傘の中に「送ってちょうだい」と入ってきたのがお雪(墨田ユキ)でした。永井はお雪のを店に送ると、誘われるまま店に入り、その後お雪の元に通うようになります。そのうちに店の女将のまさ(乙羽信子)とも懇意になり、他の客があれば待つ、用事を頼まれると言った、親密な関係となっていきました。そんな中で、まさの一人息子の悟(大森嘉之)の出征がきまり、まさの頼みでお雪はその筆おろしの相手をします。永井はそれが終るのを待ちつつ、お雪を幸せにできるのは、自分ではなく、悟のような若い男だという思いに取りつかれます。しかし、悟は特攻隊で戦死。失意のまさを慰める中で、お雪は永井に結婚をせまります。永井はまんざらでもないのですが、先の思いもあるため逡巡します。しかし、最後には承諾し、それを聞いたまさは、お雪の証文を燃やし、お雪を自由の身にします。

お雪は、永井が迎えに来ると言った当日、まさとともに待ちますが、結局永井は何度もためらい、行くことはありませんでした。そして、時間がたったある日、お雪への思いに耐え切れず、ついに腰を上げて会いに行こうと準備をし始めた瞬間に、空襲警報が鳴り、翌日永井はすっかり焼け落ちた玉ノ井を訪ねますがお雪の姿はありませんでした。

戦後、老いた永井とお雪たちはすれ違いますが、おたがい人違いと思って再開にはいたらず、市川の家に住む永井はある日一人きりでその生涯を閉じているのが発見されました。

墨東綺譚

画面が究極的に素晴らしかったです。墨田ユキ宮崎淑子瀬尾智美、八神康子それぞれの女性の描写が最高でした。とくに、墨田ユキは最高!見事に嵌りました。ストライクです。過去のAV作品もネットで見直してしまいましたよ(笑)。当時の玉ノ井の風情なんかも、とても美しく撮られていて、ロマンを感じます。玉ノ井駅も今や東向島になってしまいましたが、学生時代はまだ玉ノ井駅で、その名前に湧き上がる風情を感じていたことでしたよ。宮下順子の「赤線玉の井 ぬけられます」も良かった。

しかし、です。この後半の蛇足はナンデスカ?元々は小説を読んでいるので、実らない恋の物語というのは解っているのですが、取ってつけたような別れや、すべてが貧相に堕してしまう後半は、全く前半の風情をぶち壊していますね。語らなくていいものをいれています。きれいな絵と物語でつづられた、色街のストーリーは、それなりに美しく終わって欲しい。だらだら続くさまは、年よりの切れない小便を画像にして見せられているようで、大変残念でした。ついでに言えば学徒出陣のフィルムも不要です。

とは、言っても、おかみさんにすると約束した夜までのストーリーと映像は大変美しいし、杉村春子さんや、乙羽信子さんも含めて女優さんたちもいい演技を見せてくれているので、そこには駄作として切り捨てられない、抗いがたい魅力を持った映画です。せっかくここまでやったのなら、綺麗に完結させて欲しかったというのがとても残念。ああ残念と嘆いているところでございます。いやま、確かに夢を見させていただきました!

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品
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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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