FC2ブログ

「かげろう」 閉ざされた世界の一風変わったラブストーリー

今日は、少し時間があったので、買い置きDVDの鑑賞です。2003年のフランス映画、「かげろう」ですが、いつこのDVDを買ったのか不明。10年以上前でしょうきっと。エマニュエル・ベアール主演、アンドレ・テシネ監督。2003年カンヌ映画祭パルムドールのノミネート作品でもあります。

あらすじ
ナチスのパリ侵攻によって、オディール(エマニュエル・ベアール)は、13歳の息子フィリップ(グレゴワール・ルプランス・ランゲ)と7歳の娘カティ(クレランス・メイヤー)を連れて南仏に避難する人々の行列の中にあった。ドイツ軍の飛行機が飛来し、周囲の人々が倒れていく中、少年(ギャスパー・ウリエル)に命を救われる。少年の手引きで、持ち主が立ち去った田舎の邸宅に、少年と母子4人で共同生活を営むようになり、少年に心を許さず批判的であったオディールも、徐々にこの生活を受け入れていくようになる・・・。



戦禍の白黒画像を交えたタイトルロールで始まります。そして画面はパリに攻め入ったナチスから逃れるために、車や馬車や、あるいは歩いて南仏に向かう人々の長い行列の場面となり、その中にオディールとフィリップ、カティの家族はいました。遅々として進まない中で、オディールは昼夜運転を続けていきますが、ある時その行列をドイツの戦闘機が襲い、爆弾も落とされ、車も失います。途方に暮れる中で、一行は銃撃から息子を救った少年イヴァンと出会い、行動を共にすることになりました。

イヴァンは粗野で野性的な青年でした。彼は、自分で見つけた、避難して人が住んでいない立派な屋敷を見つけ、窓から侵入し、ここで滞在することを提案します。教師でもあり、真面目なオディールは拒みますが、他に取るべき手段の無い状況で、4人の生活は続けられ、その中でのオディールの家族と青年の、全く違う境遇からくる食い違いや確執の中で、関係が微妙に変化していきます。読み書きもできず、社会的な会話も不得手で、全く教育を受けずに育ったイヴァンにオディールはいろいろと教育をしたり、唐突に妻になって欲しいと言われたり。山野を駆け回って獲物を撮ってくるのに非常に長けているイヴァンですが、人との交流はまず不得手なのでした。

そんな生活も、ある日フランスの敗残兵2人が故郷に帰る途中でこの屋敷に立ち寄ることで、さざ波が立ちます。2人の敗残兵は、その場に荷物だけ残して現れないイヴァンを怪しみつつ、ひと時の休息を屋敷で取ることになりました。イヴァンは隠れて様子を伺っていましたが、彼らがオディールと普通に会話しているのを見て、関係が急展開。イヴァンはなにがしかの嫉妬心を覚えつつ、オディールも彼らと話しながら、夫を失って以来の男性との触れ合いを思い出し、2人はその夜急接近しました。そして、明日の為に、イヴァンは獲物を捕りに行くと言って、いつものように出かけましたが…。

かげろう

この映画は、やはり屋敷での4人の生活と、一風変わったラブストーリーがメインになっています。戦争関連の場面は冒頭とラストのみで、これは背景設定であって、メインストーリーではありません。屋敷での生活に時々情報がもたらせますが、あくまでも平穏無事で、戦時下とは思えないようなほのぼのとしたものになっています。この生活の中で生まれてくる男女関係や人間関係が見どころ、背景を全く語らないイヴァンと、その突飛で野性的な行動がもたらす、家族特に夫を失って家族を守るオディールの心の変化を丁寧に描いています。

一方で、オディールに触れ合うことによる、イヴァンの心の変化。むしろ、こちらのほうがよりダイナミックかもしれません。子供は一番に守るべきものと主張するオディールは、母であり教育者です。一方、イヴァンは誰からも守られず、教育されず一人でしかも男性との交流だけで生きてきた青年です。それが、この家族との接触によって変わっていく。その二人がお互いに影響されていく。その微妙な変化を丁寧に描いていった、一風変わったラブストーリーなのでした。

映像的には、前半がとても美しい。ドイツ軍機の襲撃の場面は衝撃的ですし、その後の麦畑を逃走するシーンは、ジャケットにも使われるシーンですが、ハッとさせられる美しさです。屋敷に行きつくまで、野山を歩く場面も瑞々しく時代背景を思わせない感じです。その後、屋敷での生活もなかなかいいのですが、後半になって敗残兵が現れてくるあたりから、ちょっとテレビドラマの映像を見ているような感じがして、そこはかとなく違和感を感じました。ギャスパー・ウリエルは、なかなか難しい役柄と思いますが、よく表現されていると思います。この映画はほとんど4人の物語ですので、その中の2人の子役である、フィリップもカティも大変良かったと思いました。
スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR