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「痴人の愛」(1967) 最後の一言で感じる愛のカタチ

GYAO!無料配信の「おとなの大映祭」ですが、8月後半は、増村監督の「痴人の愛」が配信されています。劇場では、木村恵吾監督のものも上映されたようですが、無料配信ではこの1本。安田道代さんの主演によるもの。悪女ぶりが楽しみでもあります。1967年の映画です。

あらすじ
精油所では、真面目で通っている河合譲治(小沢昭一)は酒も煙草もやらず、同僚から無類の竪物と思われていた。だが、実は秘かにナオミ(安田道代)という女を家に住まわせており、日々2人で済むために手に入れた家に帰ると、ナオミと磨き上げ、理想の女に仕上げようとしていた。
ある日ナオミの要望を断り切れず正式に結婚。譲治はナオミに教養をつけさせようと、ピアノや英語を習わせようとするが飽きっぽい性格で全く成果がない。そればかりか、高価な服や宝飾品を要求し、譲治は借金地獄に陥っていた。ある日、ナオミの要望でイタリア語教室に通わせたが、その教室のパーティーに譲治も同行することとなり、譲治はナオミが熊谷(倉石功)や浜田(田村正和)という学生のボーイフレンドと親しげに付き合っているのを見せつけられる。ナオミに関係を問い詰めても、何もやましいことはないと言われるが、会社の同僚から、ナオミはイタリア語教室の男を次々と荒らしまわっていると告げられる。
彼女の行動への疑惑を拭いきれない譲治は、隣家の花村医師(内田朝雄)にナオミの監視を依頼して追跡した結果、ナオミは浜田や熊谷との関係を目撃、帰ってきたナオミと口論の末、ナオミを追い出してしまった。そして、母の臨終に田舎に帰った譲治は、あろうことか、自分がこうなったのは母のせいだと言ってしまい、そのとたんに母は臨終を迎えてしまうと、激しい良心の呵責に苛まれてしまう。
その後家に帰った譲治は、ナオミの荒れた生活の噂を聞いても、縁を切るとキッパリと決め、行動を起こすことはなかったものの、一人になると寂しくなり、ナオミの写真を見て過ごす日々が続き、やがて感情を抑えきれず、錯乱するような日々が続くこととなった。そんなある日、ナオミが突然衣類を取りに帰ってくる。二度と元の生活に戻らないと心に決めていた譲治は、ナオミにはもう関心が無いと装って冷たくあしらい、ナオミもナオミでただの友達でしょうと言って、体に一切触れさせない。そのようなことが、二度三度続いたときに、我慢比べに耐え切れず、譲治の感情はついに決壊。譲治はナオミの前に屈服し、もう二度と行かないでくれ、お前の言うことはなんでもきく、と狂おしくナオミを求めるのであった。



あらすじは、谷崎潤一郎の小説を踏襲したものですが、設定を現代に置き換えたバリエーションとなっています。映画で見た感想は、小説よりも、ナオミが悪女っぽく感じましたが、譲治の異常性は幾分大人しめかなと思いました。これは、時代背景などの関係もあるのではないか?と思います。

舞台は、京急バスや横須賀線の70系電車が映っているので、京浜地区から三浦半島のどこかでしょうか。譲治は、そこから臨海部の製油所に通っているようです。製油所のプラントの風景が、まるで狂言回しのように話の転換部に出てくる演出も面白いですし、ポンプなどの甲高い音が、自分もけっこう馴染みのある光景であるだけに、懐かしく思いました。

痴人の愛1967

小説で読むと、自分の想像の世界が広がるので、如何様にもイメージが作れるのですが、映画は一つのイメージを受け入れることになります。ナオミの強い個性は、ある意味下衆な感じではありますが、こういう女に引っかかると身代を持ち崩すという典型的な演出。それから抜け出せない譲治を見ながら、さもありなんと、収支うなずきつつ、ニヤニヤしながら見る羽目になってしまいます。気持ちが解らんではないですが…、というのが正直なところ。しかし、金を使い続けるといずれ破たんしてしまうので、そのあたりは限度があるのですがね。

ラストは、ナオミが馬乗りになって、「あたしにも、あんたしかいないんだ!」と抱き着いているシーンで、何かこう救われたような感じがします。ナオミの正直な心情の吐露と受取り、ある愛のカタチが真っ当に表現された場面だと思いました。まぁ、あれだけの約束をした訳ですから、これからの生活に苦悩を背負うことは必定。譲治は会社を辞めた後ですから、資産を食いつぶすまでは容易に想像できます。そういう中で、この言葉が、将来の生活においてどれだけ救いになるかは、神のみぞ知るということでしょう。

安田道代は終始悪魔的なナオミを演じていて、なかなかの熱演。一本筋の通った、魅惑的な女性を演じてくれています。一方、小沢昭一は、ちょっとコミカルな感じので、このストーリーのイメージには、もっと病的な部分があっていいのではないかと思うのですが、そのあたりは隠れてしまったようで、ちょっと娯楽作品的な、コメディに寄ったような感じとなりました。それがまた、この映画の特徴であり、楽しさであると思います。

次回配信は、同じ増村保造監督の「でんきくらげ」渥美マリ主演です。これも楽しみです。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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