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「ル・コルビュジエの家」 普通でない2人。軍配は?

ル・コルビュジエの家・・・言いづらい。有名な建築家ということですが、この方面まったく知らないので、なじみがなく、題名が覚えられないのです。多分明日忘れている。原題は、「El hombre de al lado」で、訳すと「隣の男」。これでいいではないか!覚えやすいから。
邦題は芸術的な気取った題だが、原題は平凡な題名。邦題は家が主人公で、原題は人が主人公。ちょっと着目する点が違いますね。ともかく、GAYO!の無料動画にあったので、シュールそうな内容に惹かれて観ることにしました。たくさんの賞をとった映画のようですが、予備知識はありませんです。2009年製作のアルゼンチンの映画です。

あらすじ
世界的に有名になった工業デザイナーのレオナルドは、ラプラタにあるクルチェット邸に、妻のアナ、娘のローラと暮らしている。ある朝、レオナルドは大きな打撃音で目を覚ます。隣家の住人ヴィクトルが自宅に向かって、部屋に窓を開けようとハンマーで壁に穴をあけていたのだ。ヴィクトルは、レオナルドが違法だと指摘しても動じない。それでも、心配する妻や娘の前で強気に出たレオナルドは、ビニールで覆い穴を塞ぐよう、なんとか約束させる。しかし、ハンマーの音は時間に関係なく響いてきて、仕事にも手が着かなくなる。・・・



あらすじを読むと、はた迷惑な隣人に翻弄される善良な市民を描いたように見えますが、実はそうではないところがポイントです。さっそくネタバレですが、ストーリーを要約すると、隣の家の壁に穴が空き、プライバシーが保てなくなる。これを閉ざさせようとするが、話は平行線を辿り、収拾がつかなくなっていくという話で、隣人はその穴から見ていたおかげで、デザーナーの家に強盗が入ったことを知り撃退に向うが、返り討ちにあって死亡してしまう。と単純に書けばそういうストーリーです。あとはやりとりとエピソードの積み重ねです。興味深いのは登場人物の描写です。これが素晴らしくて面白い。

工業デザイナー:レオナルド
・世界的に有名な建築物に住み、デザインした椅子で世界的なデザイナーになった成功した人物。
・妻にはほぼ逆らえない。
・子供からは無視されている。
・弱い者には高圧的な態度をとる。(ヴィクトルの伯父、好きではない生徒 など)
・ヴィクトルを上から目線で見る。
・自分の言葉で話さず、人の言ったことにして言い訳する。(誰々がこう言っている など)
・短気で神経質である。
・生徒を口説いてあっさり撃退される、自意識過剰の勘違い男である。

ル・コルビュジエの家

隣の男:ヴィクトル
・窓のない暗い部屋に少しでも太陽の光が欲しい。
・話し方が恫喝しているように聞こえる。あるいは、その気になれば本気で恫喝する。
・マッチョで、ちょいワルオヤジタイプである。
・女性の意をとらえるのがうまく、遊び人タイプである。それだけに話術もうまい。
・情報通であり、観察が鋭い。
・レオナルドとは隣人として友好的に付き合いたいと願っている。レオナルドに贈り物を何回かしている。
・レオナルドの妻アナにも花を贈るが、レオナルドに捨てられる。
・指人形劇がうまく、これでローラを楽しませている。
・エロチックでアヴァンギャルドな美術品を製作する。
・弱いものを助けたくなる。あるいは弱いものをいじめているのを見ると懲らしめたくなる。
・最後は、隣家の押し込み強盗を単独で撃退するが、返り討ちにあってしまう。

そのほか、アナは、ヴィクトルを恐れてか、見下してか、全く相手にせず、汚物のように嫌っている。夫にはなにかあればキスしてといい、愛されていることを確かめないと気が済まない。しかし、ヴィクトルから、夫が人の名前を使って、引き合いに出して交渉していたことを聞いて、夫が信じられなくなる。
ローラは基本的に父親は無視で、話しかけられても、イヤホンを聞きながらダンスをしている。しかし、ヴィクトルの人形劇を見て2人は打ち解けあっている。

まぁ、この2人を比べると、恫喝調の強面なところとか、与えようとするものが妙に面白くずれているところを除けば、人間的魅力はあきらかにヴィクトルの勝ちで、市井のヒーローと、性格的に欠陥のある上司あるいは役人タイプの対比になってしまいます。

ラストの場面、虫の息のヴィクトルが倒れているところで、レオポルドは、救急車を呼ぶからと妻と子を現場から遠ざけ、そのまま電話をしません。ヴィクトルが、死んでしまえばすべてが丸く収まるという考えがよぎったのでしょうか。娘を命がけで助けてくれた恩人に対してなので、これが決定的な場面です。誰も見ていないので、いくらでも言い訳ができるシチュエーションです。(その場を離れてしまう家族も家族ですが)

この映画は冒頭で、壁に穴をハンマーで穴を空けていく場面が裏と表からの画像を並べて描かれて始まります。最後は、穴が煉瓦で閉ざされ暗闇になっておわります。殻を破って暗闇から出てきたちょっと変わった才能が、狡猾な良識のある人々に葬り去られ暗闇に閉ざされたという風にも見えます。やはり、家が主人公ではなく、人が主人公です。

そして、エンドロールでイノシシのマリネのつくり方を見て、良心に救われたようで、なんだかほっとするのでした。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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