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「ありがとう、トニ・エルドマン」 サンドラ・ヒューラーがお目当てで

サンドラ・ヒューラーの映画を立て続けに最近見ていましたが、最新作の「ありがとう、トニ・エルドマン」、実は彼女の初の日本公開作品。気になっていた女優さんだけに一度見てみたいと思っていました。上映中の映画を見ていると、まだやっていることを発見。これは一度は見ておきたいということで、さっそく見に行ってみました。

あらすじ
悪ふざけが好きな父ヴィンフリート(ペーター・シモニシェック)と、コンサルタント会社で働く娘イネス(ザンドラ・ヒューラー)。性格も異なる二人は、たまに会っても、親密に話すことができなかった。ある日、娘を心配した父は愛犬の死をきっかけに、彼女が働くブカレストへ向かう。父の突然の訪問に戸惑うイネスだが、何とか数日間を一緒に過ごし、父はドイツに帰って行った。ところが、父は戻ったのではなく、トニ・エルドマンという別人になって終始彼女の周りを付きまとう。神出鬼没のトニ・エルドマンにイネスのイライラも募っていくが、二人が衝突すればするほどお互いの仲は縮まっていくのだった…。



一人二役で宅配の配達員をからかうヴィンフリート。しかし、ピアノの生徒も去り、母や愛犬ヴィリーも元気がない様子でした。母に娘のイネスを連れてくるといったものの、たまに帰ってきているイネスは携帯で仕事の電話ばかりで会話もままなりません。キャリアウーマンのイネスはブカレストの勤務先に帰ってしまい、愛犬ヴィリーもついに最期の時を迎えると、ヴィンフリートはサプライズで娘の働くブカレストのロビーに現れました。

イネスはちょうど重要な顧客との商談の真っ最中で、近々プレゼンを控えている様子。その顧客の重役も参加するパーティの日でしたが、父をほおっておく訳にもいかず、いっしょにパーティーへ行くことになりました。ビジネスの世界には程遠い生活を送っている父に気が気ではないイネスですが、自分も肝心の顧客との会話で失敗してしまいました。翌日いつになくカリカリしている娘に、「ここにいて幸せか?」と思わず問いかける父ですが、顧客の家族からの呼び出しで話は中断、父は一人でショッピングモールを徘徊する羽目に。満足に話もできずドイツに帰る日、出がけによく眠っている娘を起こしますが、実は寝坊して顧客との約束に大幅に遅刻している状況。思わず「なぜ起こしてくれなかったの切れるイネス。そのまま父は帰っていますが、イネスはなぜか溢れる涙を抑えきれませんでした。

とりあえず、顧客へのプレゼンを終え、結論を持ち越したその夜、女子会で父が突然現れたことを愚痴るイネスの背後に父が出現。戸惑うイネスに父は名乗らず、トニ・エルドマンという別人を装います。それからトニ・エルドマンは、娘の勤務先やパーティー、そして取引先の訪問まで神出鬼没。娘の夜の乱れた生活にも居合わせ、困惑するイネスでした。そしてイネスの誕生日、チームの結束のため、イネスは自宅で誕生パーティーを主催し準備をしていましたがうまくいかず、完全に切れてしまい大爆発、大変なことに…。

ありがとう、トニ・エルドマン

ストーリーとしては、そういったキャリアウーマンの娘と、心配する父の絆の物語。ひやひやするようなコメディタッチの中に、徐々に深まっていく絆が見事に描かれていると思います。重責を負って、上を目指すイネスに、邪魔ばかりしている父のように見えますが、娘に対する愛情にあふれたトニ・エルドマンの行動が、絶妙に抑制されて流れている素晴らしい映画でした。これ以上やるとやり過ぎだし、ツボは押さえている。さすが自称「人生コンサルタント」でした。この役を絶妙に演じているペーター・シモニシェックさんもさすがです。

めったに日本で映画を見られない中で、あえてこの映画を選んだのは、お目当ての「サンドラ・ヒューラー」を見たかったからです。これが日本での劇場初公開なのですが、DVDでは「裸の診察室」を見ることができます。「レクイエム ミカエラの肖像」は、探せばなんとか見られるかもしれません。ベルリン国際映画祭で主演女優賞を取っている女優さんではありますが、寂しい限りです。今まで見た2作で、無表情の表情が雄弁な女優さんだなぁと思っておりました。もちろん表情は豊かなのではありますが…。

この映画のラストもそうですが、あまり表情を変えないで、長回しで映し続けるシーンがとても印象的なのです。「裸の診察室」など、いろんな表情ではありますが、それぞれ表情を大きく変えずじっと何かを見つめる、あるいは何かを考えているようなシーンが多く見られました。それですべてを語ってしまう。何か、表情含めて全身からにじみ出てくるような演技力を持っている女優さんだと思います。こちらは、それに吸い込まれるように見てしまいます。(そして、時々切れますが、その落差が強烈です)

ということで、ストーリーはコメディタッチで幾分大げさではありますが、実際のテーマに対しては抑制されて描くべきところを描いた素晴らしい作品であり、それを演じた俳優さんたちも素晴らしい映画でした。もう少し、サンドラ・ヒューラーさんの映画を追ってみたくなりました。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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