FC2ブログ

「ア・ユナイテッド・キングダム(原題)」 今、改めて語る史実

JAL国際線の機内エンタメ。今回は予めチェックして、見ると決めていた「ア・ユナイテッド・キングダム(原題)」を搭乗後、間も無く視聴開始です。夜行便なので寝る時間が無くなるのも困るので…。アフリカ南部のボツワナ建国に至る物語。「ゴーンガール」で素晴らしかった、ロザムンド・パイクがヒロインというのも、大いに期待です。

あらすじ
1947年のロンドン。ボツワナ王子のセレツェ(デイヴィッド・オイェロウォ)と、ルース(ロザムンド・パイク)は、パーティーで出逢い、一目で惹かれあった2人は周囲の反対を押し切って結婚します。2人はセレシュの故郷ボツワナに向いますが、ボツワナは当時イギリスが統治しており、この結婚は、部族のルールとアパルトヘイト路線を歩む南アフリカの強硬な抵抗にあい、当時の世間の風潮からも歓迎されず、セレシュは国外追放となってしまいました。ボツワナで彼を待つルースは、出産後、帰ってこれないリスクを承知でセレシュの滞在するロンドンに戻りますが…



舞台は1947年のロンドン。ボツワナ王子のセレツェと、オフィスで働くルースは、ある夜友人に誘われたダンスパーティーで出逢いました。一目で惹かれあった2人はその後も逢瀬を重ねますが、セレツェが自分の事情、やがて王としてボツワナに帰らないといけない事を告げます。しかしルースの愛は変わらず、ルースの家族の反対を押し切って結婚することに決めました。

しかし、ボツワナ王子としての彼の立場には、単純には結婚できない事情がありました。一つは王位を継承して妻を選ぶためには、部族の決められたルールがあり、従わなければ部族から受け入れられないこと。そして、その頃イギリス政府としては、戦後の窮乏の中で、さらに東側陣営に対処する為には資金が乏しく、南アフリカの富に頼らざるを得ない事情がありました。2人の結婚はアパルトヘイト政策を推進する隣国の南アフリカにとって、極めて不都合であり、イギリス政府は南アフリカを懐柔せざるを得ず、2人の結婚は到底受け入れることができなかったのです。

結婚を決めてからは、家族の反対はもとより、マスコミには書き立てられ、街では売春婦と呼ばれたりと、苦難の日々でしたが、それを乗り越えて教会で結婚式を挙げ、ボツワナに向かいます。ところが予期した通り、ここでも歓待を受けるという訳にはいきませんでした。セレツェは、育ての親であり、イギリス政府と融和しながら国を守ってきた叔父と対立することになってしまいます。セレツェは、それを押しのけて人心を得、王として国民から承認され、ルースも国の一員としての認められるようになってきますが、今度は、事態を憂慮するイギリス政府はロンドンにセレツェを召喚し、そのまま国外追放の処置を取ってしまいました。ボツワナに残されたルースは、一人で女児を出産。その後別離に耐えきれない2人はロンドンで合流しますが、ボツワナには二度と帰れなくなってしまいます。

セレツェはこの時、ボツワナでダイヤモンドが産出したという情報を先行して得ており、これを隠したまま鉱物資源が出た場合の所有権はボツワナの王と国民のものという言質をとることに成功します。残務整理の名目で1週間の許可をもらい、ルースとともに帰国。叔父との関係を整理、王権を放棄し、市民としてダイヤモンドの採掘権も掌握、イギリス政府もこれには逆らうわけには行かず、最終的に独立を果たし、選挙で選ばれた初代大統領として、夫婦共同で善政を敷き国の発展に勤めました。今は第4代大統領として、2人の息子が統治しているということです。

A United Kingdom

ということで、現代史の一部分をかなり程度忠実に描いた映画として、いい映画だったと思います。ボツワナは当時世界最貧国の一つでありながら、現在ではいわゆる中進国の扱い。これは、ダイヤモンドとその収益を利用したセレツェの徹底したインフラや教育の整備、そして、隣国のアパルトヘイトとは一線を画した治安のいい社会を建設していった功績が極めて大きかったということです。日本ではあまり知られていない、南アフリカの国の建国の物語。大変新鮮でした。

こういった途上国の発展に寄与した女性の物語というと、私が一番印象に残っているのは「エビータ」ですが、この映画はそれほどの派手さはありません。また、長い発展の歴史の中で、描くべきいい部分を抽出した形になっているとも思います。ボツワナは独立から発展まで、全て武力を介さず話し合いで事が成し遂げられた、いわば理想的なパターンです。背景にはイギリスの民主主義の素地など、いい方に出たということもあるかと思います。国民から愛されたイギリス女性であるルースの存在も大きかった事でしょう。あまり話題になっていない映画ですが、是非日本でも公開して欲しい映画だと思いました。

出演した俳優陣も素晴らしかったと思います。ロザムンド・パイクはもちろん、ルースの苦難と人柄を見事に演じていると思います。そして、セレツェ役の、デイヴィッド・オイェロウォをはじめとして、ヴジー・クネーネ、テリー・ペトなど、ボツワナのセレツェの一族を演じた俳優たちが素晴らしい。イギリス側もジャック・ダベンポートをはじめとして、堅実な演技を見せてくれています。このあたりの水準は極めて高いと思います。そして、ロザムンド・パイクが1940~50年代の衣装を着て登場しますが、さすがにどれもキマっています。

改めて、現在のボツワナは、ダイヤモンドに頼った経済も限界を迎え、エイズ患者対策にも多額の出費を要する状況で、決して楽な状態ではないようです。外資の導入と、新たな産業の勃興に力を入れているとのことですが、今のセレツェの息子の大統領は、独裁の気もあるようで、ちょっと心配されています。北朝鮮と断交するなどパフォーマンスを見せていますが、セレツェの作り上げた膨大な信用と遺産を使って、再興してもらいたいと思います。その為にも、この映画改めて当時を再認識し、応援する意味で、今、そこにふり返るべき歴史があるということを世界に発信出来たのではないでしょうか。

スポンサーサイト



テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR