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「8 1/2」 レビューを書くのも恐れ多い伝説の名画を観る


いまさらながらですが、81/2を見たことがありませんでした。今までこのブログでは、最新作やB級映画やヨーロッパや南米の作品を見て、いろいろ書いていましたが、決して往年の名画というものを見たことがないという訳でもありません。しかし、81/2は見たことが無い訳です。いや、これには大した理由がある訳ではないのですが、今回はGYAO!無料動画に出ていたので、観ることにしました。81/2と、無料動画というアンマッチ感もなかなかのものです。

あらすじ
グイド(M・マストロヤンニ)は四十三歳、一流の映画監督である。医者のすすめに従って湯治場にやってきたが、グイドは、愛人カルラ(S・ミーロ)、妻ルイザ(A・エーメ)そして職業の上での知人たちとの関係の網に囚われて逃れることはできない。カルラやルイザとの関係も、心から打ち解けられるものではなく、行き詰っているが離し難いような関係である。そんなグイドの心をよぎるのは美しいクラウディア(C・カルディナーレ)だ。そして、彼の思索は今はなき両親に移り、少年時代からの思い出をたどり始める。やがて保養を終えたグイドは、混乱したまま映画の撮影現場に戻るが、何も言葉やアイデアが出てこない。彼が映画を放棄し、逃避しようとしたとき、彼の中で何かが変わった。そして、映画製作が始まり、自分が過去に触れ合った人たちと一つになって、心が離れていた妻とともに、輪の中に入るのだった。



細かいあらすじを表現しようと思っても、なかなか難しい映画です。ほとんどが、映画製作に行き詰まり、生きてきた人生や、これからの人生にも疑心暗鬼を抱きつつ、アイデアも枯渇し、言葉も出ない、決断もできないという負のスパイラルに陥っている状況が延々とエピソードで積み重ねられていきます。理想の女性となって現れるクラウディアも、親密に話してみると、興味は映画の台本と自分の配役のこと。すべてが耐え難い中で、マスコミのインタビューに耐え兼ね自滅しようとしたとき、グイドはこの世に呼び戻されました。そして、心が切り替わったグイドは自分の過去や周囲の人々と再びつながり、大団円を迎えました。見ている方としても、抑鬱から解放され、そこにはニノ・ロータの華やかな音楽が流れる。なかなか素晴らしい場面で終わりました。

この映画のレビューを書くと、さすがに自分の程度が知れてしまいそうで怖いのですが、思ったままということであれば、大変良くできた私小説の世界。それも設定は映画監督という特殊な状況でありながらも、かなり普遍性を持つ世界だと思いました。極上の文学を読むような感覚です。頭と感覚の両方に訴えかけてくるような。名画なる故です。

81/2

高校時代のころ、友人がこの映画は凄いと吹聴して回っていました。ある意味、いろいろと外れない見方をする人なので、それは凄い映画なのだろうなぁと思っていました。これは記憶に残っています。そのあとで、フェリーニの映画はいくつか見てきましたが、名画であり芸術的であるという敷居の高さを感じつつ、高校時代のトラウマか、あの81/2のフェリーニの映画だから素晴らしいのだろう、という思い込みが強くて、どの映画を見ても、こんなものかね?という感じが付きまとっていました。「道」だけは、高尚というよりも、普通に素晴らしい映画なので、大変好きなのですが、それ以外で見た映画の印象は、ほとんど「映画の撮影現場を撮るのが専門の監督なのかね?」という感じで…。

で結局、当の「81/2」だけは見ずじまい、それを今回GYAO!の無料動画で見てしまったという訳です。ストーリーはドロドロと鬱屈していますが、素晴らしいアングルあり、美しい音楽あり、話の展開の割に、ずっと見るものを惹きつけてやまないという感じの映画でしたよ。

一生観ないで終わるという気も無かったので、観られて良かったということなのですが、正直もっと若い時に見ていたら、もっと素直に観れたのではないか?という気がしています。高校時代に見た友人がどのくらい理解していたかはわかりませんが、こういった映画を若い時に見ると、心の中で醸成されて、結果自分にとっての離し難い映画になるのでは?という気がします。そういう意味ではちょっと勿体なかったなという気がしました。しかし、これで、81/2の呪縛から解放された訳ですから、今後はフェリーニのまだ見ぬ映画を素直に楽しんでいきましょう。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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