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「エデンより彼方に」 懐かしい映像で語る新しいテーマ

再び、GYAO!の動画鑑賞。「エデンより彼方に」です。2002年アメリカ作品ですが、50年代のハリウッド映画の雰囲気を持ち、映像や、肌触りが懐古調です。オスカー候補、ゴールデングローブ賞候補となっていますが、受賞には至っておりませんでした。さて、どんな映画でしょうか…。

あらすじ
ブルジョワ家庭の主婦キャシー・ウィテカー(ジュリアン・ムーア)は、一流企業の重役である夫のフランク(デニス・クエイド)と、二人の子供と、理想的な家庭を築いていた。ある日キャシーは、フランクが男性と抱き合っている姿を目撃、そしてキャシーは、新しい庭師の黒人レイモンド(デニス・ヘイスバード)と親しくなり、周囲の白人から白眼視されることに。やがて閉鎖的な町に、キャシーの悪い噂が広がり、レイモンドを解雇。一方フランクは深酒に溺れるようになり、会社から長期休暇を言い渡される。気分転換のため、ウィテカー家はマイアミ旅行に行ったが、フランクは、旅先で出会った若い男性と恋におち、結局離婚することとなってしまった。キャシーは、心を抑えきれずレイモンドのもとへ向かうが、レイモンドも居場所のない町を去ることを告げる。そして数日後キャシーはレイモンドの乗った列車を見送るのだった。



ストーリーは上のあらすじの通りで、それほど込み入った話ではありません。50年代のアメリカの白人社会。上品に振る舞い、子供はお利巧さんにしつけられ、バレエ学校に通い、重役の夫を支える主婦として、雑誌の取材も受け、年に一度ホームパーティーを行い、その内容が近所付き合いの中での格付けとなり…。いかにもアメリカの地方都市の閑静な高級住宅街に住む典型的な人々です。その中で何不自由なく暮らしているウイテカー家に起こった波紋。それは静かに家族を崩壊に導くものでした。

原因は夫の同性愛の再発と、妻の黒人男性へ芽生えた恋心。当時の白人上流社会においては致命的なことだったと思います。街角で、黒人男性と白人女性が声を掛け合うことさえタブーな世界。夫を失ったキャシーはレイモンドのもとに向かいますが、彼女同様バッシングを受けていたレイモンドは、わが子を守るためにはこの町を出ざるを得ませんでした。それでも、知らない町で一緒に過ごしたいと願うキャシーを、レイモンドは優しく拒絶します。当時の社会で生きていくために「身の程をわきまえた」というような対応でした。

エデンより彼方に

50年代のハリウッド映画の雰囲気に満ちており、その内容の厳しさや背徳を美しい色彩と静かな演出で包み込んでいる。そんな感じでした。ゲイや差別がある程度公然と描かれ始めたのは70年代以降かと思います。従って、この二つの要素を正面から捉えた映画は、当時はまだ無かったのではないでしょうか?そういう意味では、新しい話題を懐かしい手法で包み込んだような映画だと思います。

当時のアメリカの中流社会は、皆が憧れ目標にした世界でした。アメリカから輸出されたハリウッド映画を見て、敵国だったアメリカが日本の中に浸透していった頃は、こういったことは話題にはならなかったと思います。我々はその輝かしい世界を見て、こういった裏事情は見てこなかったのかもしれません。それを励みに日本人が努力して裕福になったというであればそれはそれで良いのですが…。

紅葉の色彩と、衣服やインテリアが素晴らしく綺麗ですね。原色と淡いパステルカラーの世界です。最近の映画では「ラ・ラ・ランド」もそうですが、こういった色彩感覚で、伝統的なアメリカの雰囲気を出してくる映画。古き良きハリウッド映画を彷彿させるような映像は、見ていて郷愁に包まれる感じがして、しかもよくヒットしています。

そういう雰囲気なので、よく仕上がった美しさの中で見てしまうので、内容のわりに厳しく迫ってくる感じがなく、おとぎ話のように語られた感じでした。昨年度の話題は、なんとなく色彩の雰囲気が近い感じの「ラ・ラ・ランド」と、黒人がテーマの「ムーンライト」、「ドリーム」。「ムーンライト」はゲイもテーマです。アカデミー賞をにぎわすテーマの流れに、何かしら共通的なものも感じたりするのですが、そういう意味で、ハリウッドのドラマの王道的な流れの中にあるのでしょうか。
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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