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11月に「ハリウッド黄金期とその周辺」を見た感想総括です

11月は、ハリウッド黄金期の映画をみるということで、それも、30年代から40年代の映画に限って見てみました。そして、ジャンルは問わず、手当たり次第に見た結果、23本の作品を見た事になりますが、逆に名作に拘って見たわけでもないので、いろんな作品が見られて楽しかったと思います。その中で意外と多くを占めたのが、名作文学や偉人の伝記を扱った作品。これらは、ストーリーの定まった作品なので、ストーリーを楽しむというより、その表現の仕方や、俳優さんを楽しむという形になり、また主役にキャスティングされるのは、当然ビッグスターとなるので、スターの登場を楽しむという娯楽になります。

また、そういった作品は、今見るとけっこう勉強になることも多く、なかなか本を読む時間も少なくなっているので、古典的な名作や歴史をを一通り知るという意味でも、意義深いものでした。ハリウッドの映画は楽しく解りやすく、娯楽を意識して作られていると思うので、どの作品を見ても楽しい映画を見る時間となるのがいいところ。ここにはまってしまうと、かなり病みつきになってしまうのでした。

今回見た23本のラインナップです。
いつものように、赤字は今後も個人的に記憶に残りそうな映画です。気になってふと見返してみたくなるような作品ということで、高評価という意味とは、ちょっと違います。
表現されている内容が素晴らしい(凄い)映画 → 
完成度が高いなあと思った映画 →  を選んで見ましょう。

山羊座のもとに (アルフレッド・ヒッチコック 1949)
船乗りシンバッドの冒険 (リチャード・ウォーレス 1947)
ジェーン・エア (ロバート・スティーヴンソン 1943)
楽聖ショパン (チャールズ・ヴィダー 1945)
桑港 (W・S・ヴァン・ダイク 1936) 録音賞
アンナ・カレニナ (クラレンス・ブラウン 1935)
愛のアルバム (ジョージ・スティーヴンス 1941)
類猿人ターザン (W・S・ヴァン・ダイク 1932)
検察官閣下 (ヘンリー・コスター 1949)
高慢と偏見 (ロバート・Z・レナード 1940) 美術賞
ロビンフッドの冒険 (マイケル・カーティス 1938) 美術賞・編集賞・作曲賞
赤い子馬 (ルイス・マイルストン 1949)
若草物語 (マーヴィン・ルロイ 1949) 美術賞
若草の頃 (ヴィンセント・ミネリ 1944)
緑園の天使 (クラレンス・ブラウン 1944) 助演女優賞・編集賞
ヒズ・ガール・フライデー (ハワード・ホークス 1940)
ノートルダムのせむし男 (ウィリアム・ディターレ 1939)
白い恐怖 (アルフレッド・ヒッチコック 1945) 音楽賞
スミス都へ行く (フランク・キャプラ 1939) 原案賞
犯罪王リコ (マーヴィン・ルロイ 1931)
拳銃の町 (エドウィン・L・マリン 1944)
スポイラース (レイ・エンライト 1942)
ゾラの生涯 (ウィリアム・ディターレ 1937) 作品賞・助演男優賞・脚色賞

今回は、超名作というのがあまりなかった感じがしますが、楽しめる佳作が多かったと思います。
来月は今月の延長かつ、さらに名作志向ということで、アメリカ国立フィルム登録簿作品を見ていきたいと考えています。
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「ゾラの生涯」 国を愛するために為すべき行動を説く

ハリウッドの黄金期とその周辺その23。今月のテーマ鑑賞はこれで最後かな…。アカデミー作品賞受賞作品の鑑賞となります。作品賞以外にも、助演男優賞、脚色賞と3部門受賞。監督賞など、7部門ノミネートとなりました。監督は、ウィリアム・ディターレ1937年の映画になります。
原題:The Life of Emile Zola (1937)

あらすじ
若き日のエミール・ゾラ(ポール・ムニ)は、パリの屋根裏で画家セザンヌ(ウラジーミル・ソコロフ)と住んでいましたが、借金に追われる毎日でした。そして、アレクサンドリーヌ(グロリア・ホールデン)の紹介で職を得て結婚しますが、すぐに職を追われてしまいます。ある日、警官に追われていたナナ(エリン・オブライエン=ムーア)を救い、彼女の身の上話にヒントを得て書いた小説が大ヒット。ゾラは一流作家となり、やがて富と地位を得ますが、セザンヌは初心を忘れたゾラから去っていきます。そんな時、ドレフュス(ジョセフ・シルドクラウト)事件が発生し、冤罪を着せられた夫の助けを求めて妻のリュシー(ゲイル・ソンダガード)が助けを求めて、ゾラの元を訪れました。

ゾラは、最初は今の幸せな生活を失いたくないという気持ちから支援を断りますが、実情を知るとかつての熱意を思い出して立ち上がり、「私は弾劾する」という公開状を新聞に掲載。軍首脳部も。事件の真犯人がエステルハジ(ロバート・バラット)であることを突き止めますが、軍の上層部の体面上、ドレフュスの冤罪を覆すことを避け、もみ消しに終始。ゾラを中傷罪として逆に訴え、裁判所にも干渉し、大衆にもゾラは国賊であると扇動しました。ゾラの弁護士ラボリ(ドナルド・クリスプ)の熱弁も空しく有罪となり、ゾラは英国に亡命。その後の友人たち含めた活動と、フランスの政権交代で、事件が再検討され、軍上層部は辞職に追い込まれ、首謀者は自殺してしまいます。そして、国民に迎えられたゾラはパリでの執筆活動に戻りましたが、執筆中に、一酸化炭素中毒で亡くなり、その翌日のドレフュス復帰の式典中に悲報がもたらされ、大勢の関係者の前で厳かにゾラの葬儀が行われたのでした。



ゾラの生涯

ポール・ムニが、なかなか面白い演技をしています。演説のシーンも立派ですが、基本はひょうきんなオジサンの雰囲気で、最近見た「楽聖ショパン」の教授役と同じような感じでした。あまり、いろいろ見たことが無いのですが、これが彼の一つの持ち味なんでしょうか?この映画では、最初から最後までポール・ムニの人のいい楽し気な雰囲気に支配されていました。異質な雰囲気を醸し出しているのが、フランス陸軍の面々たち。この映画では悪役ではありますが、式典も含め興味深い場面が多く、その中で、ヘンリー・オニールのピカール役が、キリっとした良心を演出しています。

ウィリアム・ディターレのこの映画は、しっかりとした構築感があり、立派な作品と思うのですが、いくつか、どうかな…と思うところもあり、例えばゾラの演説は立派なのですが、そこまでのグダグダした、仕組まれた裁判の場面から浮き上がった感じがして、これだけ目立たせると、ちょっと教条的だな…と感じたところや、ナナは言わばゾラの大恩人になると思うのですが、こっそりお金とサイン本を置いて帰るだけという表現は、軽するかな?という感じもしました。ウィリアム・ディターレに妙な妥協を感じてしまい、名匠で素晴らしい映像を見せてくれる監督さんであることは間違いないのですが、こういう伝統的な立派な作品だと、ちょっと詰めが甘いのかな、という感じがしています。

ゾラの小説は、あまり読んだ記憶がありません。全くゼロではないと思うのですが、忘却の彼方。ちょっと前に、邦画で「アレノ」というのがありましたが、ゾラの「テレーズ・ラカン」が原作でした。この映画では、ナナのモデルについてはあまり言及されていませんが、小説のモデルになったのは、この時代に一世を風靡した社交界の高級娼婦であり舞台女優のコーラ・パールだと言われています。ナナに関しては、何度も映画化されているので、小説を読まずとも、是非映画を体験してみたいと思います。この映画の中でも、随分人気の小説であったように表現されていますので。

2020.11.28 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「スポイラース」 マレーネ・ディートリヒのアラスカ西部劇

ハリウッドの黄金期とその周辺その22。引き続き、西部劇の鑑賞。といっても舞台はアラスカです。アラスカらしさは、道がドロドロであることから表現されています。監督は、レイ・エンライト1942年の映画でした。オスカーでは、美術監督賞(白黒)にノミネートされました。
原題:The Spoilers (1942)

あらすじ
ゴールドラッシュのアラスカのノームでは、採掘権の横領事件が続発していました。その採掘権を判定する実権を握っていたのが、監督官のマクナマラ(ランドルフ・スコット)でした。ノームのキャバレーの女チェリー(マレーネ・ディートリヒ)は、その日船が着くと、最愛のロイ・グレニスター(ジョン・ウェイン)を迎えに港までやってきましたが、ロイが、判事の娘へレン・チェスター(マーガレット・リンゼイ)を伴っていたのでへそを曲げてしまい、酒場にやってきたロイを張り倒してしまいます。これを見た、酒場の賭博係ブロンコ(リチャード・バーセルメス)は、これを好機とチェリーに言い寄りますが、それでもチェリーの心はロイから離れませんでした。

ロイは、長年の腹心アル(ハリー・ケリー)と共に大規模な鉱山を経営していましたが、マクナマラと判事たちの工作で、マクナマラが採掘権を奪い取ろうとしていました。チェリーは、マクナマラの計略に気づくと、ロイに知らせますが、ロイは先日の仕打ちが尾を引いていてチェリーを相手にしません。そんな中で、マクナマラ一味にロイの採掘権は保留され、裁判となりロイとアルや労働者たちも鉱山から立ち退かされてしまいます。それを裁くのは、ヘレンの父の判事ですが、判事はマクナマラの一味。一方で、ロイを愛するようになっていたヘレンは心を痛め、ロイをあきらめこの町から逃げ出そうと考えます。

ロイとアルはすべてを知ると、まず金庫を差し押さえている銀行を襲撃。金庫は奪い返しますが、敵の罠にかかり、保安官殺害の嫌疑がかけられ、ロイは拘束されてしまいます。ヘレンを訪ねたチェリーは、マクナマラが罠を仕掛けてロイを暗殺しようとしていることを知ると、さっそく牢屋に向かってロイを救出。ロイはアルたちと、警察に差し押さえられている鉱山を襲撃して奪い返し、チェリーはその間に、自分に気のあるマクナマラを部屋に引き付けて行動させませんでした。チェリーの部屋に帰って来たロイは、マクナマラと長い激闘のうえで戦いを制し、ロイも力尽きて倒れますが、彼はチェリーの優しい手に抱き起されるのでした。



スポイラース

アラスカのノームを舞台にした西部劇。砂塵は舞わず、道が泥んこの町が舞台でした。マレーネ・ディートリヒは、好きなタイプの顔ではないので、今まであまり好んで見ていなかったのと、船から降りてきたマーガレット・リンゼイがあまりに美しかったので、やはり、マレーネ・ディートリヒはどうもね…と思っていましたが、いざ本格的に演技が始まってみると、マレーネ・ディートリヒの演技は素晴らしかったです。一方、マーガレット・リンゼイの方は、微妙な役柄という事もありますが、霞んでいきます。この演技で人を惹きつけていく魅力は、まさに大女優の魅力だという事を改めて感じた次第です。

一方で、男の対決は、ジョン・ウェインVSランドルフ・スコットランドルフ・スコットは、ここでは悪役で、いかにも憎たらしい役を演じています。拳銃と男の世界である鉱山に、判事を巻き込んで奸計を仕掛けて次々と採掘権を掠め取っていくという、誰からも支持されない役です。それに対するジョン・ウェインは、西部のヒーロータイプで、両者の最後の激闘は、大男同士が互角に殴り合い、なかなか迫力がありました。そして、ジョン・ウェインの相棒のハリー・ケリーの活躍が、西部劇らしさにさらに一役買っていると思います。

ストーリーとしても、良くまとまっていて、メリハリの効いた楽しめる西部劇に仕上がっていると思いました。B級西部劇から育ってきた、ジョン・ウェインランドルフ・スコット、監督のレイ・エンライトに、大女優マレーネ・ディートリヒを配したキャスト。これからの西部劇の隆盛へと繋がっていきます。この映画のキャスト表記の順は、マレーネ、ランドルフ・スコットジョン・ウェインの順になっているのが気になるところ。マレーネは解りますが、男二人は悪役が前に来ています。不思議ではありますが、このあたり、当時の様子が計り知れるところかもしれません。

2020.11.26 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「孤児ダビド物語」1935年のデイヴィッド・コパフィールド

現在、「孤児ダビド物語」という邦題から、あれか…とピンとくる方は、文学通と思いますが、かつて、こういう邦題が習慣的に使われていたのでしょうか?あるいは、そもそもこの小説の題名を出しても、一般的ではないので、こういう題をつけたのでしょうか?1935年の映画で、監督はジョージ・キューカー。原題の方も、小説の題ではなく、なにやら説明的です。アカデミー作品賞のノミネート作品です。
原題:The Personal History, Adventures, Experience, & Observation of David Copperfield the Younger (1935)

あらすじ
デイヴィッド(フレディ・バーソロミュー)が産まれた時すでに父は亡く、訪ねてきていた伯母のベティ(エドナ・メイ・オリヴァー)も、男の子であることにがっかりして、帰ってしまい、母(エリザベス・アラン)と、乳母ペゴティ(ジェシー・ラルフ)の手で育てられました。デイヴィッドが8歳になると、若き未亡人の母はマードストン(ベイジル・ラスボーン)という男と恋に落ち、デイヴィッドがペゴティの実家に滞在して、叔父(ライオネル・バリモア)、ハム(ジョン・バックラー)、少女のエミリィたちと打ち解けている間に、無慈悲なマードストンを養父に迎えることになっていました。

マードストンの陰険で厳しい虐待の中で、デイヴィッドの母は亡くなり、乳母ペゴティも暇を出され、デイヴィッドは、修行と言う形で、ロンドンに奉公に出されます。デイヴィッドはミコーバー(W・C・フィールズ)のワイン工場で働きますが、そのミコーバーも借金取りに追われ、唯一の親類であるベティ伯母を頼ってドーバーに向かいます。しかし、途中で有り金を盗まれてしまい、歩いてなんとかドーバーにたどり着きました。ベティはデイヴィッドに同情して、育て上げることに決め、引き取りに訪ねてきたマードストンを追い返し、ついにデイヴィッドの上に、明るい日々が訪れました。デイヴィッドはカンタベリーの弁護士のウィクフィールド(ルイス・ストーン)に預けられ、娘のアグネスと共に育ち、大学まで卒業します。

青年となったデイヴィッド(フランク・ロートン)は、文筆で身を立てる決心をしてカンタベリーを離れ、ロンドンに向かいます。そこで、デイヴィッドは、ドーラ(モーリン・オサリヴァン)という娘と恋に落ち結婚生活を始めます。ところが、ドーラは恋人としては最高でしたが、妻としては全くダメ。それでも、愛するドーラを大切にしていたデイヴィッドでした。その頃、デイヴィッドが信頼していた親友のスティアフォース(ヒュー・ウィリアムズ)が、ハムと結婚したばかりのエミリィを連れて駆け落ちし、人間の醜悪さに打ちひしがれます。そして、ある日ドーラが病に倒れたところに、ペゴティがやってきて、捨てられていたエミリィが見つかったので、荒れているハムに知らせてなだめて欲しいという依頼を受けました。

デイヴィッドは、ペゴティの住む町に向かうと、心が荒み、敢えて危険に身を投じるようになったハムに、エミリィのことを伝えようとしますが、ちょうどその日は海が嵐で荒れており、沖合で救助を求める船がいたため、ハムは率先して荒海に身を投じ、救助に向かいます。船に泳ぎ着いたハムは甲板上にいた男を助けようとしますが、そこにいたのはなんとスティアフォース。スティアフォースはハムを見ると殴りかかり、ハムは海に転落。スティアフォースも荒海に飲まれ二人とも亡くなってしまいました。家に戻ったデイヴィッドですが、すでにドーラは死の床にあり、彼女は成長したアグネス(マッジ・エヴァンス)を呼ぶと、デイヴィッドを託します。

デイヴィッドは傷心のまま、外国で放浪生活をしていましたが、ある日故郷に引かれてウィクフイールドの事務所に戻ると、ウィクフイールドは狡猾な秘書のユライア・ヒープ(ローランド・ヤング)にすべてを奪われようとしていました。デイヴィッドはこれを知ると、ウィクフィールドに雇われていたミコーバーの告発もあって、ヒープを追放し、かつてデイヴィッドを育ててくれた恩義に報います。そしてデイヴィッドは、幼なじみのアグネスの深い愛情に気づき、二人の結婚式が、ベティ伯母たちの祝福を得て、幸せに執り行われたのでした。



孤児ダビド物語

立派な小説なので、あらすじも長くなってしまいました。映画化にはいろいろなバージョンがあると思うので、できるだけ映画の筋に沿って書いたつもりです。邦題を見て、孤児が辛酸をなめる暗い話かと思っていましたが、全然違いました。原作は、ディケンズの「デイヴィッド・コパフィールド」だったのですね。と言っても、この小説は読んではいません。とても長いので。しかし、ディケンズの小説であれば安心です。いろいろな作品が何度も映画化され、いくつか見ています。そして、この映画は冒頭からとても面白くて、すっと入っていけました。いきなり、ベッティ役のエドナ・メイ・オリヴァーが印象的でした。そして、クララやペゴティが出てきますが、一人一人の人物描写が非常に良くできていて、楽しい話となっていきます。

元々が超長編小説を2時間に収めているので、ストーリーはどんどん進んでいきます。そして、長い話だけに、たくさんの登場人物が絡んできます。そして、その誰もが、良くも悪くも性格が面白くて、それがキャストやその演技と大変マッチして楽しいのでした。ベイジル・ラスボーンとか、いかにも憎たらしい役を演じていて、ホームズよりも絶対こっちの役の方が合っていると思いました。ドーラ役の、モーリン・オサリヴァンも素晴らしい演技ですし、この映画一番の美人タイプでした。こういった、演技の良さや面白さは、ジョージ・キューカー監督の面目躍如なるところ、と考えてよいのでしょうか?

さて、デイヴィッド・コパフィールドは何度も映画化されいるので、見比べてみるのも面白そうと思ったのですが、手近な有名作があまり見当たりません。サイレント期の作品も面白そうですが、最近では、2019年にアーマンド・イアヌッチ監督により、映画化されています。さて、これはいつか日本語字幕で見ることはできるのでしょうか??期待しておきます。

2020.9.7 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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ジャンル : 映画

「拳銃の町」 ジョン・ウェイン主演のミステリー調西部劇

ハリウッドの黄金期とその周辺その21。この映画は、戦後日本で初めて公開されたアメリカの西部劇という事です。監督は、エドウィン・L・マリンで、1944年の映画でした。ジョン・ウェインの主演作品ですね。
原題:Tall in the Saddle (1944)

あらすじ
列車を降りたロックリン(ジョン・ウェイン)は、老婦人と令嬢と駅馬車に同乗し、自分は御者のデイヴ(ジョージ・ギャビー・ヘイズ)と共に、運転席に乗って西部の小さな町に辿り着きました。その夜ポーカーでクリント(ラッセル・ウェイド)という若者と諍いになり、翌日クリントの姉のアーリー(エラ・レインズ)がクレームに来ますが、ロックリンの悠然とした態度に恥をかかされます。ロックリンはKC牧場のオーナーに請われてこの街に来たのですが、数日前に殺されていて、その牧場を相続に来たのが、駅から同乗してきた二人の女性でした。相続を取りまとめている、ガーヴィー判事(ワード・ボンド)の前で、老婦人のエリザベス(エリザベス・リスドン)に雇用を断られましたが、令嬢のクララ(オードレイ・ロング)は、不安そうにロックリンに助けを求めたい雰囲気でした。

職を失ったロックリンは、アーリーと継父のハロルディ(ドナルド・ダグラス)に雇われますが、アーリーは仕返しとして、雇っておいてからクビにして恥をかかせようという魂胆でした。しかし、アーリーはロックリンに惹かれていたのですが、自分では気が付いていなかったのです。ロックリンはハロルディの持つ山奥の小屋に住み込み、そこでクララから相続の手続きに関する手紙を受け取ると、その夜銃撃され、またロックリンが気になるアーリーも小屋に現れます。翌日ロックリンは、クララの依頼に基づき、ガーヴィー判事を訪れて、クララが相続人であるという証明の書類を取り戻しに行きますが、すでにエリザベスとガーヴィーによって燃やされたあとで、ロックリンがガーヴィーの机から牧場主殺しの手がかりを見つけた時、二人は激しい殴り合いとなりました。

犯人探しを続けるロックリンは、クリントを呼んで事情を訊ねていると、何者かに窓から銃撃され、クリントが殺されてしまいます。現れた人々によって、ロックリンは殺人の罪に問われそうになり、その場を逃亡。KC牧場へ駆けつけると、そこでエリザベスがクララに向かって、ロックリンが殺された牧場主の甥で、かつ正当な相続者であることを話しているのを盗み聞きします。そこへアーリーも駆けつけ、証拠品やアーリーのボディーガードの証言から、牧場主とクリントを殺したのは、いずれもハロルディであることが判明。ハロルディは、ロックリンを狙ってその場に現れますが、アーリーの忠実なボディガードのタラ(フランク・パグリア)がハロルディを倒しました。居合わせたガーヴィーは、すべてがハロルディが一帯の地権を得ようとした企みであったことを証言。ロックリンは牧場を相続し、アーリーとの幸せな日々を始めるのでした。



拳銃の町

ジョン・ウェインは久しぶりに見ました。昔は良く見ました。この映画ではかなり若く見えます。西部劇の全盛時代というのは、もう少し後の年代だと思うので。この時代はいわば西部劇黄金期前夜。西部劇単体で見せるというより、西部劇かつ、ミステリー仕立てのドラマという感じでした。ミステリーとしてみれば、最後に誰かの語りによって、すべてが語られるというスタイルをとっています。私は、ちょっと不自然に思えて。あまりこのスタイルは好きではありません。そして、この物語は、いろんなことが次々と起こって、目まぐるしく、ちょっとメリハリがない感じもしました。それから、拳銃は登場しますが、ガンファイトがアクションの中心ではなく、素手の殴り合いの方に迫力がありました。

とは言いつつ、面白い場面もたくさん詰まっていました。まず、エラ・レインズが素晴らしいです。いかにも西部劇のヒロインで、きりっとして強気で、かつ情愛に厚い女性でした。そのサポートをしている、インディアンのタラも、渋い存在です。ジョン・ウェインはいつもジョン・ウェインですが、この頃はスリムですね。そのジョン・ウェインと殴り合いを演じるワード・ボンドは数々の作品に出演した名脇役。しっかり、物語を支えています。そして、この物語の狂言回し役のジョージ・ギャビー・ヘイズは、さすがですね。面白いと思いました。最後は。エリザベスとどうなったのでしょうか?

全体としては楽しめる西部劇ですが、戦後初の日本で公開された西部劇というのも売りとなっています。日本がすっかりアメリカ文化に染まってしまう先鞭をきった映画という事のなるのでしょう。と難しいことは抜きにして、やはり、エラ・レインズが良かったです。ラストシーンは、素晴らしいシーンで、しっかり決まっています。やはり、西部劇は楽いなというのが感想です。

2020.11.26 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「失われた週末」 圧巻のアルコール依存症の表現を見る

失われた週末は、1945年の映画で、アカデミー作品賞受賞作品です。監督はビリー・ワイルダー。作品賞以外に、主演男優賞(レイ・ミランド)、監督賞、脚色賞を受賞しました。いかにも往年の名画を思わせる肩書なので、心して、また楽しみに鑑賞しました。
原題: The Lost Weekend (1945)

あらすじ
ドン・バーナム(レイ・ミランド)は小説家になるつもりで、ニューヨークに出てきたのですが、行き詰ってしまって酒に溺れ、すっかりアルコール依存症になっていました。ドンは、兄のウィック(フィリップ・テリー)のアパートに同居していましたが、ウイックはドンを田舎へ週末の小旅行に連れ出し、アルコールの無い健康な週末をさせようと計画します。出発の準備をしているところへ、ドンの恋人ヘレン(ジェーン・ワイマン)がコンサートのチケットが二枚を持って訪ねてきたので、ドンは列車を1本ずらすことにして、無理に兄をヘレンに同伴させ、その間に酒を飲もうとしますが、酒はどこにもなく、買いに行く金もありませんでした。しかし、兄がメイドに払うために準備していた給料を見つけると、早速安酒を2本買ったうえで、酒場に寄ったのでした。

結局、酒場で深酒になったドンは時間に遅れ、兄は怒って、一人で田舎へ行ってしまいます。翌朝も朝から酒場へ行き、ヘレンとの馴れ初めをフラッシュバックし始めます。3年前のオペラ会場で、クロークの間違いがきっかけで知り合い、恋のために一度は酒を断ったものの、彼女の両親がニューヨークへ訪ねてきた時、緊張して一杯飲んでぶり返し、ついに依存症であることが彼女に判ったのでした。ヘレンはドンを救おうと決心し、以降虚しい努力を続けていたのです。ドンは、酒場から家に戻ると小説を書き始めますが、やはり一行も書けません。どうにもならないドンは、無一文で酒場に向かって、たたき出されると、タイプライターを売ろうとしますが、祭日で質屋は全部休み。顔見知りのウェイトレスのグロリア(ドリス・ドーリング)から5ドル借りますが、気絶してしまいました。

気が付くと、ドンはアルコール依存症患者の収容所に運ばれていました。他の患者たちの奇行を目の当たりにし、幻覚の恐ろしさを気化されたドンは、強迫観念に襲われて、医師のコートを盗んで病院を抜け出すと、アパートへ逃げ帰ります。しかし、部屋の中にいると幻覚が始まってしまい、これにおびえているところに、ヘレンが訪ねてきました。彼女の介抱でその夜を何とか過ごすと、翌朝ドンはヘレンのコートを質に入れ、ピストルを引き出してきました。そして、それで自殺しようとしますが、ヘレンの愛に自殺は止められます。そして、ドンは、今度こそは更生しようと誓うのでした。



失われた週末

ビリー・ワイルダー監督といえば、洒落たコメディのイメージですが、これはかなりイメージが違う、ガチなドラマでした。アルコール依存症を題材として、悩み放浪する男の話。映画の中では、ほとんど酩酊状態です。そんな状態の週末の時間を演じ続けるレイ・ミランドも大したものだと思い、また、酔っぱらいの2日間の行動を延々と描いて見せてしまうビリー・ワイルダーも大したものだという感想です。この映画が公開されたのは、戦後まもなくの1945年11月。そして、アカデミー賞受賞は1946年2月ですので、世相からも戦争に関連する作品が出てきそうなものですが、戦後初のオスカーを制してしまったという作品の力量を感じます。

レイ・ミランドも、最初は酒が好きな酔っぱらいという感じでスタートしますが、世間の目や、どうしても酒を追い求めてしまう行動の中で、アルコール依存症が、家族や友人関係を破壊してしまうという恐ろしさを表現し、どんどんエスカレートしていく様子が丁寧に描かれています。圧巻は依存症患者を集める病院の光景で、アルコール依存症になると決して治癒することはないという現実を見せています。事実、一滴でも飲めば再発という現実は、正常な社会生活を行う上では大きな障害となってしまいます。

終始、同じ旋律の音楽が流れています。あたかもホラー映画のような感じで、深刻さを増幅しています。周りの人々の支援や応援の前に、逆に落ち込んでいくレイ・ミランドの演技も素晴らしいです。そして、見る幻覚はほんの短いシーンですが、ついに来たかという感じで現れました。話は飛びますが、ヒロインのジェーン・ワイマンは、オスカー女優でレーガン大統領の最初の奥さんだった女優さんですね。オスカーを撮ったことで、レーガンとの俳優としての力量の差が決定的になってしまい、それが引き金となって離婚に至ったとか。彼女の映画はあまり見たことがなかったので、また注目してみたいと思いました。

2020.6.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「犯罪王リコ」 ギャングの古典、エドワード・E・ロビンソン

ハリウッドの黄金期とその周辺その20。黄金期とはいえ、比較的初期の映画の鑑賞です。マーヴィン・ルロイ監督の出世作となった、「犯罪王リコ」。1931年の映画で、オスカーでは脚色賞にノミネートされました。国立フィルム登録簿登録作品です。
原題:Little Caesar (1931)

あらすじ
田舎街の小悪党だった、シーザー・エンリコ・バンデロ(エドワード・G・ロビンソン)は、裏社会でのし上がることを目標に、相棒のジョー・マッサーラ(ダグラス・フェアバンクス・ジュニア)と大都会へ出て来ました。その頃裏社会では、ビッグボーイ(シドニー・ブラックマー)が影で仕切り、その下で、ピート・モンタナ(ラルフ・インス)が、采配を振るっていました。さらにその下で、アーニー・ローチ(モーリス・ブラック)と、サム・ヴェットーリ(スタンリー・フィールズ)が、それぞれ縄張りを管理しています。リコはヴェットーリの子分となり、また本来ダンサーで、裏社会と縁を切りたかったジョーは、アーニーが保護しているパレルモクラブでダンサーとなって、オルガ(グレンダ・ファレル)とペアを組んで出演するうちに、二人は恋に落ちていきます。

一方、リコは射撃のうまさと度胸で、仲間の中で頭角を現していきました。その頃、警察のギャング対策強化で、収賄に応じないマクルーア担当官が配置されますが、リコはパレルモクラブを襲撃した時、その場にいたマクルーアを射殺します。ギャング担当の敏腕刑事フラハティ(トーマス・E・ジャクソン)は、ヴェットーリ一味の仕業と睨んで捜査を開始。しかし、証拠が何一つつかめません。その間にリコは、裏社会でのし上がり、ヴェットーリにとってかわるとともに、リコを狙ったアーニーも駆逐。ついにビッグボーイは、ピートに代わって裏社会の指揮を任せることになりました。

その頃、ジョーは裏社会の付き合いから遠ざかっていましたが、リコは腹心の弟分を求めて、ジョーに戻るよう説得します。しかし、オルガから足を洗うように頼まれていたジョーは承知せず、オルガの為と悟ったリコは、オルガとの別れを迫ります。ジョーから状況を聞いたオルガは、このままではリコに殺されると悟り、マクルーア事件の犯人をフラハティに密告して、保護を求めました。そして、始末をつけようと、リコがジョーとオルガに部屋を襲いますが、結局リコは昔の友情から、二人を殺せず部屋を出ていきました。その頃、オルガから通報を受けた警察が一斉に操作を開始。リコは身を隠しますが、フラハティの計略に誘い出されると、機関銃で銃撃され、ついに倒れるのでした。



犯罪王リコ

マーヴィン・ルロイの出世作であり、またエドワード・G・ロビンソンの出世作でもある、1931年の映画です。サイレント映画がトーキーに移行した時代。しかし、映像はまだサイレント映画の名残が、そこここに残っていました。それは、俳優たちの化粧の雰囲気であったり、途中で入る説明の字幕であったり…。エドワード・G・ロビンソンの怪演ぶりが見ものです。のし上がっていく過程の冷血ぶり、そして地下に潜伏して、安宿でフラハティの記事内容を聞く時の表情など、見どころが多く、その行動から、ジョーを殺せないというのは意外な感じもしますが、実際リコは人情味を帯びた感じにもなっいます。

Wikiには、彼は101本の映画に出演したとあります。多分何度も見ている顔と思いますが、やはり「深夜の告白」の緊張感のある演技が忘れられません。ハリウッドを支えた名優だと思います。この映画は、ヒロインの絡みよりは、男たちの世界がメイン。乗っ取られてしまう、ヴェットーリとか、妙にふてぶてしいフラハティとか、リコの忠実な部下であるオテロ(ジョージ・E・ストーン)とか、ほとんどの登場人物が、うまく性格を描き分けられていて、全体としていいまとまりを持った映画になっていると思いました。そのあたりは、マーヴィン・ルロイのうまさと言うのもあるのでしょうか?

さて、アメリカの30年代初頭の三大ギャング映画と言えば、この映画と、「民衆の敵」、「暗黒街の顔役」。まだ見ていないのですが、気合の入ったドラマティックな迫力の作品と思うので、早く見てみたいと思っています。今月、ここまで20本の30-40年代ハリウッド映画を見てきましたが、見たい映画がますます増えていきます。楽しみです。

2020/11/24 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「風と共に去りぬ」 一度は見ておくべき壮大な映画の代表格

映画史上でも、著名な大作であり、映画以外の場面でも良く名前のでるものですが、やはり長いということから敬遠していました。しかし、見ていないと居心地が悪いのも事実ですので、ついに鑑賞してみます。1939年の映画で、監督はヴィクター・フレミングアカデミー作品賞他9部門受賞作品です。
原題:Gone with the Wind

あらすじ
前篇
南北戦争勃発の前夜、ジョージア州タラの大地主の長女スカーレット(ヴィヴィアン・リー)は、樫の木屋敷と呼ばれるウィルクス家のパーティーで、ウィルクス家の長男で、幼馴染みのアシュレー(レスリー・ハワード)と、彼の従妹メラニー(オリヴィア・デ・ハヴィランド)の婚約が発表されると聞いて、穏やかではありませんでした。気性が激しく、美しいスカーレットは、多くの男性の憧れの的でしたが、彼女はアシュレーとの結婚を夢見て、当日も彼女はアシュレーを直撃します。しかし、彼の心は既に気立ての優しいメラニーのものだったのでした。そして、スカーレットはその場で、船長で評判の良くないレット・バトラー(クラーク・ゲーブル)と出会い、彼の態度に憎しみを覚えながら、惹きつけられていきます。

戦争が勃発。スカーレットは失恋の中で、メラニーの兄チャールズ(ランド・ブルックス)のプロポーズを受けて結婚。アシュレーもチャールズも戦争に参加しました。しかし、チャールズは戦病死。スカーレットは喪服の生活に飽き足らず、アトランタに住むメラニーの元へ向かい、陸軍病院のバザーでレットと再会します。南軍が苦戦を強いられる状況の中、看護婦として働くスカーレットとメラニーは、やがて北軍の接近に脅え、メラニーの生まれたばかりの子供と共に、レットの馬車でアトランタを脱出。タラへと向かいました。レットは途中で一人戦場へと旅立ち、残された二人は、すでに北軍の攻撃で廃墟となった、故郷のタラに辿り着きます。

後篇
戦争は南軍の敗北で終わり、捕虜となっていたアシュレーの帰還にメラニーは喜びます。そして、スカーレットは再度彼に愛を告白して拒まれました。タラは重税を課され、土地の没収を回避するため決意を固めたスカーレットは、北軍に捕らえられていたレットに金策を頼みますが断られると、妹の許婚者のフランクが事業に成功しているのを見て、奪い取って結婚。事業を自分の手に収めて、アシュレーも仲間にして、金儲けだけに生きるようになっていきます。フランクが死ぬと、スカーレットはレットと結婚し、娘ボニーを設けますが、アシュレーへの想いは消えず、レットはボニーへ愛情を注ぎました。

結婚生活の不和から、レットはボニーを連れロンドンに行ってしまいますが、ボニーが母を恋しがるため帰国します。ところが、ポニーが落馬で亡くなってしまい、メラニーも病死。レットとスカーレットの結婚生活は破綻し、レットは去っていきました。スカーレットは、初めてレットを愛していたとに思い当たりますが、自分が最も愛しているのは、故郷のタラの土地だったと気づき、スカーレットはタラに戻って、すべてをやり直そうと思い直すのでした。



風と共に去りぬ

長いということで、今まで敬遠してきました。昔は古いドラマをあまり見ていなかったので、この長さを踏み越えても見ようという気にはならなかったという事もあります。それに、あまりにも有名な映画ですので、今さら見ようという気にならなかったというところも。とは言ってしまうと、そういう映画は大変多いのですが…。そういう訳で、3時間45分に覚悟して挑戦しました。ストーリーは、南北戦争を挟んだスカーレット・オハラの半生記。それを、当時の最新の技術を使って、美しくも壮大な映画に仕上げていました。

とにかくこの映画は、スカーレット・オハラ=ヴィヴィアン・リーですね。ある種、強引かつ強烈な性格で、時代を生き抜いていく様子が描かれます。友達の彼とかも、自分の為に利用しきっています。そのおかげで命を落とす男多数。それでも力強く生きていきますが、けっこう損な役回りも引き受けてしまう性格の様です。そんなスカーレットのいいところを見抜いて信頼していたのが、メラニー=オリヴィア・デ・ハヴィランド。すべてお見通しだったと思います。そもそもアシュレーとスカーレット釣り合わないですね。結婚してたらきっとアシュレーは戦死してます。しかし、スカーレットの明日考えようという態度は好きです。ある意味、時間をおいて冷静に考えるという事にも繋がります。

この映画を見ていると、日本人的には「おしん」がダブってきます。戦前の世界、すべて価値観が変わる戦後の世界。その前後を生き抜く波瀾に富んだ女の人生なのでした。おしんもそうでしたが、やはり戦前の部分の方が面白いかなと思いました。クラーク・ゲーブルは、主演男優賞を取れなかったのですが、やはりちょっと主演じゃない感じかな。ハティ・マクダニエルは、スカーレットの教育係という感じですが、スカーレットと表裏一体という感じもします。そして、常に物語のキーとなる、レスリー・ハワードの演技が見事だと思います。これは、絶妙のキャスティングが力を発揮したというものでは無いでしょうか。やはり、見ごたえのある映画でした。

2020.7.4 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「スミス都へ行く」 フランク・キャプラ監督の理想と良心

ハリウッドの黄金期とその周辺その19。いよいよ名作に挑戦です。フランク・キャプラ監督の「スミス都へ行く」は、名作の多い1939年の映画で、オスカーでは原案賞を受賞。ノミネートは作品賞含め多数あり、合計11ノミネートのうち1受賞でした。いかに、風と共に去りぬ(13ノミネートで8受賞)の壁が厚かったかということでしょう。
原題:Mr. Smith Goes to Washington (1939)

あらすじ
ある州の上院議員が急逝しました。ダム建設の決議を控えて焦ったのは、建設で利益を得る、州財界の黒幕テイラー(エドワード・アーノルド)と、その子飼いの州知事ホッパー(ガイ・キビー)及び、上院議員のペイン(クロード・レインズ)たち。彼らは、いずれもテイラーの知遇を得て現職を長く続けており、議員の急逝は法案通過に痛手だったのでした。後任の選定を任されたホッパー知事は、子供たちに人気で、政界に疎い少年団長のジェフ・スミス(ジェームズ・スチュアート)を選出。スミスはワシントンに向かう列車で、同行するペインと、スミスの父とぺインは親友で、志を同じくして大企業の不正と渡り合い、父が凶弾に倒れた話をしながら、正義について語り合いました。

ワシントンで、スミスはリンカーン像の前で決意を新たにし、秘書のサンダース(ジーン・アーサー)をペインから割り当てられ、ペインから、議員の仕事に慣れるため、法案の提出を勧められ、スミスは自分の理想である、国営キャンプ場建設の法案提出を試みます。青二才の田舎者とからかわれていたスミスは、議会で思い切って法案提出を発言。しかし、彼の提案した場所がテイラーのダム建設用地と被っていたことから、テイラーたちはスミスに圧力をかけ始め、一方スミスの法案は全米の子供たちの夢となって、子供たちからの募金も集まってきていました。

テイラーたちは引かないスミスに、キャンプ場用地がスミスの私有地として直前に購入されていると捏造し、ペインは議会で暴き立てると、不正行為による除名動議を提出。スミスは諮問委員会に欠けられますが、すべてを固められてなぬすべなく、逃げ出そうとしたところへ、サンダースから慰められ、フィリバスター戦術を取ることに。そこで、事実を暴くとともに、発言権を譲らず長時間の演説を開始。一方、テーラーは地元のマスコミを抑え、スミスの地元でも悪者に仕立て上げていきました。24時間も演説を続け、朦朧としながら意思を貫くスミスは、ペインの前に立つと、かつての志を問い、その場に気を失って倒れてしまいます。ペインは、正義の声に自責し、自殺しようとしますが、止められると、自ら真相を暴露して除名を求め、スミスによる正義の勝利が実現したのでした。



スミス都へ行く

無垢な正義の男が、政界に祭り上げられ、正義を貫き通すお話。フランク・キャプラ監督の作品では、「群衆」なども同じ範疇になるとおもいますが、こちらはもっとストレート。リンカーン像を前にして直接的に正義を訴えかけています。冒頭から緊張感のある見事な展開で、一気に物語の中に引き込まれていきました。無駄のない迫力ある語り口で、フランク・キャプラ監督は、この時期にあっては、ジョン・フォード監督などと並んで、確かな実力を持った巨匠であったと、改めて感じ入りました。ストーリーは単純で、ラストも予想がつくもの。それにしても、冒頭からラストに至るまで流石だと唸ってしまいます。

ジェームズ・スチュアートが素晴らしいヒーロー役です。アメリカの良心のような彼にピッタリの役柄ですが、間抜け面から始まって、ラストはペインに訴えかける迫力の演技。素晴らしいです。主演男優賞ノミネートでした。そして、助演男優賞には2人がノミネートされています。クロード・レインズ は、大統領に上り詰める野望も持ちながら、正義と現実の狭間で揺れ動く上院議員を巧みに演じています。最近、シンドバッドの王様役でお目にかかりました。そして、もう一人はハリー・ケリーで、議長役。面白い表情を造りながら、存在感のある演技をしていました。

そして、忘れてはいけないのが、記者役のトーマス・ミッチェル。正義について理解しながら職業柄シニカルに状況を見つめる男でした。いい味を出しています。彼のこの年の出演作は、駅馬車、コンドル、スミス都へ行く、風と共に去りぬ、ノートルダムのせむし男。すごいラインアップですね。駅馬車で助演男優賞を射止めていますので、この年の助演男優賞ノミネート俳優が、この映画に3人でていたことになります。そして、この映画は国立フィルム登録簿の初年度登録作品。初年度は、風と共に去りぬ、オズの魔法使と並んで、この年の映画が3本も登録されています。フランク・キャプラ監督の作品の中に、アメリカの理想と良心を見たと感じました。素晴らしい映画でした。

2020.11.22 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「白い恐怖」 やはりイングリッド・バーグマンを見たい

ハリウッドの黄金期とその周辺その18。今回はアルフレッド・ヒッチコック作品の鑑賞です。「白い恐怖」は、イングリッド・バーグマンがヒロイン。これも楽しみです。1945年の映画で、オスカーでは音楽賞(ドラマ・コメディ部門)受賞。その他作品賞含む5部門にノミネートされました。
原題:Spellbound (1945)

あらすじ
精神科の療養施設の所長、マーチソン(レオ・G・キャロル)が更迭され、新しい所長としてエドワーズ(グレゴリー・ペック)がやってきます。女医のコンスタンス(イングリッド・バーグマン)は、研究一筋で、同僚のプロポーズはすべて躱していました。しかし、今回のエドワーズには、一目で惹かれてしまい、翌日には二人で外出までしてしまいます。しかし、エドワーズは自殺を図った患者の手術中に、卒倒してしまい、コンスタンスはエドワーズが着任してからの、時々おかしくなる様子を思い出し、エドワーズのサイン本のサインと今のサインが違うことに気づくと、彼を問い詰めました。すると、彼はすっかり過去の記憶をなくしていたのでした。そして、本物のエドワーズは行方不明であることが解り、彼に殺人容疑がかかります。

男は、コンスタンスに迷惑はかけられないと、ホテルへと逃れますが、無実と信じるコンスタンスは、記憶を取り戻させ嫌疑を晴らすためにと彼を追い、記憶喪失の治療を始めます。コンスタンスは警察の追跡を交わしながら、恩師のブルロフ博士(マイケル・チェーホフ)を訪ね、協力を願い出ます。徐々に記憶を取り戻してきた彼は、戦争中の事故から記憶を失っており、彼の発作の引き金となるのが、スキーのトレイルではないかと見当をつけ、彼の記憶をたどってスキー場に向かい、当時を再現しようと滑走する二人。そして、彼がジョン・バランタインであることや、幼少期のトラウマからエドワーズの事件の記憶を失っていることを思い出します。そして、エドワーズは、彼の治療としての滑走中に事故死をしたのでした。

ところが、この報告に従ってエドワーズを発見し、死体を見つけた警察は、エドワーズに背後からの銃弾が撃ち込まれていることを発見。彼は逮捕されてしまいました。そして、再び所長に復帰したマーチソンと再会したコンスタンスは、マーチソンがエドワーズは旧知の中だったと聞かされます。コンスタンスは、ジョンが初めて療養所の来た時、彼をエドワーズとして扱ったことに気づき、マーチソンが、更迭を恨んでエドワーズを殺害したことに気づきました。コンスタンスに追及されたマーチソンは、一旦はコンスタンスに向けた銃口を自分に向け、無実となったジョンとコンスタンスは旅行に旅立つのでした。



白い恐怖

冒頭の、ロンダ・フレミングがなかなか強烈な印象を残します。そして、その後はイングリッド・バーグマンの独壇場。実にいろいろな表情を見せてくれました。メガネをかけた、美人だが男に見向きもしたい医師。言い寄って来る医師はちょっとセクハラ気味。そして、恋を知ってしまった女性の表情へと変わっていきます。この両者の間を行ったり来たりするイングリッド・バーグマンの表情を見ているだけでも、価値のある映画でした。グレゴリー・ペックも、好男子を演じていて、なかなかお似合いのカップルになっていました。お見事です。

もちろん、ヒッチコックの映画ですので、これだけではありません。興味を惹きつけながらスリリングに進んで行くストーリー展開は、まさに王道をいっています。そして、見せ方が上手いですね。駅での駅員の表情とかも面白いし、ラストの銃口の見せ方なんかもなるほど…面白いです。ただ、中にはどうかな?と思うところもいくつかあって、例えばスキーの場面がなんか不自然。合成なので仕方ないですが、面白いくらい迫力無くて、ちょっと間が抜けているというか…。あとは、コンスタンスがいきなりフォークでテーブルクロスを引っかきますが、あんなこと普通しますかね…とか、夢の分析で答えがどんどん出ていくのも都合よすぎとか…。

主役の二人と、ヒッチコック一流のスリラー展開で、十分楽しめる面白い作品なのですが、脇役陣もそつなく演じています。冒頭のロンダ・フレミングは強烈ですが、マイケル・チェーホフは、オスカー助演男優賞候補の立派な演技でした。文豪チェーホフの甥なんですね。ホテルのロビーで出会うしつこい男も、いかにもヒッチコックらしい、不安感とユーモアを高めています。あと、夢のシーンはサルバドール・ダリによるものとの事。そういわれてみれば、それらしい感じです。ヒッチコックの作品、まだ見ていない作品も残っていますし、どれを見てもハズレが無いので、まだまだ楽しみです。

2020.11.21 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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