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「木石」 過去の出来事に束縛されてしまった女性の悲哀

「木石」という珍しい名の日本映画。今ではあまり聞かない言葉ですが、木や石のように感情の無い様子を現わした言葉です。主人公の及川初の様子を現わします。題名からは、かなりとっつきにくい感じのする映画ですが、時間がある状況だったので、じっくりと取り組みました。1940年の五所平之助監督の作品。松竹大船の製作でした。

あらすじ
伝染病研究所の医師の二桐(夏川大二郎)は、北アルプス登山の為に、山小屋を出発したところで、急用で呼び戻されました。併設の病院に入院している少年が、研究所の看護婦である及川初(赤木蘭子)の検査によって重篤な病気であることが判明したとのこと。ところが、病院側の医師は無断の検査でメンツをつぶされた格好で、初と仲たがいしていました。二桐は双方をとりあえず宥めますが、病院の医師と、40代のベテラン看護婦の初との溝は深くなっていきます。

初は未婚でしたが、父のいない娘の襟子(木暮実千代)を育てていました。年頃になった娘に仕事の経験をさせようと、初は二桐に頼み、助手として使ってもらうことにします。しかし、未婚の初に子供がいたことが解った病院の職員の間には、襟子の父親が、かつて初が仕えていた有馬博士ではないかという噂が広がります。一方、二桐は明るい襟子に一目ぼれしてしまい、二人の仲が深いものになっていくと、母の及川初は徹底して二人を遠ざけようとしはじめます。そんなある日、有馬博士の訃報が入りました。

初は、有馬博士の弔問から帰ると、ますます関係が深まる二桐と襟子を頑なに別れさせようと、出勤まで止めようとしますが、襟子を愛した二桐は、付き合いを認めさせようと正式に初と向き合います。そして初から、襟子は初の子ではなく、有馬博士がある高貴な令嬢との間に作ってしまった子を、その令嬢の世間体から初の子という形で引き取ったというとを告白します。初は自分の経験から、医師の愛など信じられなくなっていたのですが、真剣な二桐の気持ちを理解し、二人の間を認めます。しかし、初は研究所の事故で感染症に罹り、すぐに息を引き取ってしまいました。臨終の初は、二桐に「及川初は処女でございました」と一言言い残したのでした。



木石

木石(ぼくせき)とは、木や石のように、情も感覚もないものこと。この映画の主人公、赤木蘭子が演じるオールドミス、及川初を表現した言葉です。そして、なぜ彼女がそうなったかということが、彼女の助手として研究所に連れてきた、襟子(木暮実千代)の出生の秘密を通して語られるという内容です。今の時代に見ると、ちょっと古風な話で、現実感に乏しいですが、この時代の女性の立場の一面をうかがい知ることができる作品でもあります。

やはり、主人公である赤木蘭子が素晴らしいと思います。木石の題名通り無表情で徹底する冷たい女性の、その情念の強さと寂しさがよく表演されていると思いました。夏川大二郎も好演でした。監督の五所平之助は、元々は松竹の小市民映画系の監督さんですが、この映画を見ていると、主題は小市民というようりは、普通の映画と融合して、人情をゆったりとした流れの中で描き出していくような感じがしました。この一つ前に見た「わかれ雲」のおせんにも、及川初と似たようなものを感じます。

冒頭の北アルプスの風景が素晴らしいです。黒菱ということから、白馬ですね。高原の草花の美しさが目に浮かびます。山岳のシーンは、冒頭とラスト。冒頭のこれから山に向かっていく、期待感高まるようなシーンは、見ていてもわくわくします。

2019.10.12 HCMCからDONG HOIへの旅行中に、機内及びホテルにてスマホ鑑賞
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「ドクター・エクソシスト」 医療を組合せた現代の悪魔祓い

邦題にエクソシストという名前がついている通り、悪魔祓い系の映画です。この手の映画は、有象無象が出没する分野ですが、比較的しっかりした映画みたいな雰囲気なので、見てみました。2016年、ブラッド・ペイトン監督によるアメリカ映画です。
原題 : Incarnate

あらすじ
ニューヨークに住む少年、キャメロン(ダヴィード・マズーズ)は、悪魔に取りつかれてしまいます。セス・エンバー博士(アーロン・エッカート)は、科学的手法を使い、取りつかれた人が見ている幻想の中から連れ戻す形で、悪魔を追い払っていました。彼は、以前にマギーという悪魔によって妻子を失い、それ以来マギーを追っているのでした。 ある日セスの元にバチカンから派遣された、カミラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)という女性が訪ねてきます。カミラは少年にマギーという悪魔が付いたことを話し、セスはこの仕事を受けることにします。セスは、師匠のフェリックス(トーマス・アラナ)を訪ね、悪魔に憑かれても、10秒間正気を保てるという血清を開発したと教えられます。その10秒で自殺しろという事のようです。

セスはカミラに連絡し、キャメロンに会いに行きます。彼は、部屋に監禁され、カメラで隣室から監視されていました。セスはキャメロンの幻想に入り、父のダン(マット・ネイブル)と遊んでいるのを見ます。しかし、近寄るとキャメロンとダンはその場を去ってしまいます。そして、マギーに先手を打たれ、幻想の中で刺されてしまい、異変に気づいた助手に現実に戻されました。 セスはキャメロンの中に、母と別居している父親への想いを見て、ダンを連れてきて、息子に話しかけさせますが、マギーに撃退され死んでしまいました。セスは、自分の命に代えてもマギーを撃退することを覚悟し、フェリックスの血清を取りに行きました。

セスは、キャメロンが宝物にしていた指輪を母から受取り、助手に、意識が戻らなければ血清を打つように指示し、再びキャメロンの幻想に入ります。そして、キャメロンに幻想の中の父は偽物であることを証明し、マギーとの長い戦いの末、現実に戻ったつもりでした。しかし、セスは病院に妻子に付き添われて入院していました。しばらくして、それが妄想であると気づき、マギーと対峙します。異常に気づいた助手も、セスに血清を注入。正気に戻ったセスは窓まで移動し、窓ガラスから飛び降り自殺をしました。セスは救急車で運ばれ、カミラが同乗しました。車内で奇跡的に蘇生が成功し、セスはカミラに手を差し出し、カミラは手を握ります。しかし、すぐにセスの心臓は止まってしまい、今度はカミラの目が怪しく光るのでした。



ドクター・エクソシスト

ストーリー展開としては、よくあるものと思いましたが、丁寧に作られている感じがしました。ラストの展開は、二転三転して面白いと思いましたが、フェリックスの薬の意味をどれだけ認識できていたかによっては、このラストは理解が難しくなります。前半で、言葉で説明されただけなので、あまり用途など印象に残っていませんでした。解っていれば、どこまでが夢の中なのかとか、ちゃんと把握できますが、そうでなければ混乱するでしょう。私は、一瞬解らなくなったので、後で見直しました。VODは便利です(笑)。

ラストは、カミーラの目が変化したということですよね?その展開や効果音から、そうに違いないと思いますが、目の変化がちょっと解りづらかった。この終わり方は、まさに、B級ホラーにありがちですね。その後の展開も、ドクターが生きかえり、カミラと戦うとかもできそうです…。いずれにしても悪魔は滅びることはないでしょうから。ホラー的には、音で驚かす部分はそこそこありましたが、怖さは低めでしょう。映像のスプラッター感はなし。クリーチャーというほどのものもありませんでした。

伝統的な悪魔祓いもののストーリー展開をベースにして、医学的な設備や解説が入っているのが、ちょっと目新しいところと思います。あとは、憑依された人の精神に入り込んで、精神に巣くう悪魔から解放するというギミックは、目新しいと思いました。全体に丁寧で好感の持てる展開だったと思いました。

原題の、Incarnateは、「化身・肉体を持つ」といった意味です。

2000.4.23 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ウォーム・ボディーズ」 ゾンビと人間のラブストーリー

久しぶりに見るゾンビ映画。解説によれば、ゾンビと人間のラブロマンスらしいのですが、さてどういった映画なのでしょう。2013年のアメリカ・カナダ合作映画で、監督はジョナサン・レヴィンです。

あらすじ
男性のゾンビ(ニコラス・ホルト)が町をさまよっていました。自分の名前は、Rで始まることしか分かりません。彼は空港に住んでおり、友人のM(ロブ・コードリー)と食料である人間を探しに行きます。多くの人がゾンビ化した世界で、生き残った人間達は周囲に壁を作って、ゾンビやガイコツゾンビから身を守っていました。隊長のグリジオ大佐(ジョン・マルコヴィッチ)の娘ジュリー(テリーサ・パーマー)と、友人達は壁の外に物資を取りに行きますが、そこをR達のゾンビグループに襲われます。そして、ジュリーの恋人のペリー(デイヴ・フランコ)は、Rに脳を食べられました。ゾンビは人間の脳を食べると、その人の記憶を得ることができるのでした。そして、脳が残されていればゾンビ化します。ペリーの記憶を体験したRは、ジュリーとの思い出を見て、目の前にいたジュリーに恋をします。そして、ジュリーを他のゾンビから守りながら、自分の家に連れ帰ったのでした。

Rは自分の家にしている飛行機にジュリーを連れて行き、ジュリーにいろいろと世話をやき始めます。ジュリーは一度逃げ出しますが、ゾンビに見つかってしまい、慌ててRが救出しました。帰りたいというジュリーを引き留めつつ、交流を続け、友人のMに襲われそうになると、ジュリーを食わないと宣言し、街に出て空き家に泊まりました。その夜Rはゾンビが見ないはずの夢を見ました。起きてみると、ジュリーが逃げ出していたので、仕方なく戻っていると、Mたちと出会います。彼らも夢を見たと話しています。彼らは、徐々に思考力や会話など機能が戻り始めたのです。それも、Rとジュリーがきっかけでした。そして、ガイコツゾンビがそんなRとジュリーを血眼になって探し始めました。

Rはペリーの記憶を頼って壁の中へ侵入し、ジュリーの家を訪ねます。そして、Rとジュリーは、ジュリーの父のグリジオ大佐に、ゾンビが変化していることを話に行きます。しかし、ゾンビと戦い続けてきた大佐は信用せず、Rを殺そうとしたので、二人は逃げだしました。大佐は大量のゾンビとガイコツが来ることが判り、多くの兵士を動かし始めます。一方、二人はガイコツに追われ、M達の加勢もあって、なんとか逃げ切ります。一方で、ガイコツと戦うゾンビを見た兵士は、ゾンビと協力してガイコツを倒し始めます。Rとジュリーは、グリジオ大佐と兵士に見つかり、Rは銃で撃たれてしまいますが、そこから血が流れ始めました。Rは人間に戻ったのです。大佐は銃を下ろしました。やがて、ガイコツ達は全滅し、ゾンビ達は徐々に元の人間に戻っていきます。Rとジュリーは愛し合い、ついに世界を隔てていた壁が崩壊するのでした。



ウォーム・ボディーズ

心温まるゾンビ物語。愛が地球を救うゾンビ物語。なんかヘンですね。ゾンビはホラーであり、恐怖の対象で、かつ心を持たないので、容赦なく扱われるというものではないですか。ラブストーリーと絡めたにしても、恋人がゾンビ化してしまい、だんだん元の姿や心をなくしていくのを悲しく見守るのが定番。ふつうは、マイナスへの一方向の変化であって、人間に復帰することはあまりないような気がします。この場合、ゾンビであり、かつ感染症にかかった患者たちといったところでしょうか。

とは、いいつつ新しいゾンビ概念は楽しかったです。重症度や進行度によって、様々な段階があるようで、究極はガイコツゾンビになります。それは、自分の皮膚を食うようになった結果ということです。そして、このゾンビたちは走ります。これは、ガイコツになっても走ります。Rの住居はなかなか豪華。駐機中の飛行機に一人で住み、ファーストクラスの部分で生活しているようです。そして、レコードを聴くのが趣味。レコードの方が音がいいらしいです。なかなかユーモラスな設定です。

二人の再開は、ロミオとジュリエットのバルコニーの場面。この映画の原作小説は、ロミオとジュリエットをベースに書かれたゾンビものという事のようです。最後は、愛に地球が救われ、壁が取り除かれますが、ちょうどコロナが流行って、不自由している現状は、国や地域が壁を作って、疑心暗鬼の状態になっていますね。それを考えると、ラストの後日談の助け合いの雰囲気は妙に清々しく感じます。ジュリーはどこかで見たなと思ったら、ハクソー・リッジでした。そして、ジュリーがゾンビの真似をして歩くところ。それは、やりすぎと注意されるところは笑えます。

2020.5.12 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「午後8時の訪問者」 良心の呵責とか、罪滅ぼしとか…

題名とキャッチフレーズから、事件に巻き込まれていく医者の話かなと思って、サスペンスを期待して見始めました。2016年のベルギー・フランス合作映画。監督は、ジャン=ピエール・ダルデンヌです。カンヌ映画祭では、パルムドールのノミネート作品となっていました。

あらすじ
小さな診療所で働くジェニー(アデル・エネル)は、研修医のジュリアン(オリヴィエ・ボノー)を咎めている時、インターホンが鳴ります。しかし、診療時間を一時間も過ぎていたため、応対しようとするジュリアンをとめ、翌朝訪ねてきた刑事に、昨夜訪ねてきた少女が身元不明の遺体として発見されたことを知らされました。ジェニーは応対しなかったことに罪悪感を感じながら、診療所へ出勤しなかったジュリアンを訪ねると、ジュリアンは医者になることを諦めると言い出します。

後悔に苛まれながら、往診先で少女の写真を見せて身元を調べるジェニーは、患者の一人ブライアン(ルカ・ミネラ)が少女の写真を見た時、心拍数が上がったことに気づきます。ジェニーはブライアン問いただすと、少女が高架橋下にあるキャンピングカーで売春していたことを見たと告白。キャンピングカーの持ち主の父からも情報を得て、彼女と関係のあると思われるネットカフェで少女の写真を見せると、店員も客も「知らない」と証言。しかし後日ジェニーはそこにいた客たちに襲われ「あまり嗅ぎ回るな」と釘を刺されました。ブライアンの両親からも、これ以上少女の事でブライアンに近づくなとクレームを受けます。

その後、ブライアンの父親(ジェレミー・レニエ)が診療所を訪ねてきて、少女が死んだ夜に彼女を買おうとし、交渉のもつれから追いかけている途中で彼女が転落したことや、その後助けずに立ち去ったこと。彼女に会っていることをブライアンに見られていたことを告白します。ジェニーは自首を薦めますが、彼はトイレで自殺を図り失敗。警察へ電話することにします。そして、診療所にネットカフェの店員が現れ、「警察へ行く前にお礼を言いに来た」と言い、少女は自分の妹で、男と三人で住んでいたが、男の気持ちが妹に移り嫉妬していたことや、男が少女に売春させていたことなどを告白。彼女が診療所を後にすると、再びジェニーはいつもの日常へ戻っていきました。



午後8時の訪問者

どきどきするサスペンスかなと思っていましたが、静かな人間ドラマでした。一時の感情もあり応対しなかったことから、良心の呵責に苛まれ、身元不明の少女の身元を割り出し、両親に報せ墓石に名前を刻もうとするジェニーは、ただ名前を知りたいと、会う人に聞き込みをしていくという展開。その中で知られたくない事実が露見していく関係者から恨まれていくジェニー。そして、実際の少女の死に関わった人物は、大きな後悔を抱えて苦しんでいました。

診療所のブザーが鳴って応対しなかったことから発展していきますが、その後に彼女の行動は見殺しにしたという良心の呵責に、係わったことに納得感を得たいという気持ちも交じっていくように思えます。だんだん関係する人の恥部を暴いていくという結果になっていき、それに対する怒りに変わっていく部分もあったのでしょう。そして、こういうことに深入りすれば危ないという事も普通に起こってきます。その結果は非情な事実を暴くことによって、解決を見たのでした。

事件の真相はスッキリするようなものではなく、残された者にとっては誰も報われないようなもの。しかし、ジェニーがブライアンの父親に言ったように、良心の呵責として少女は二人の中に生き続けている。それを何とかしないと未来はない。ということのようです。死んだ人が浮かばれないとよく言いますが、それは死んだ人に関係する人々の心の重荷が下りないという事と同義なのですね。最後に亡くなった少女の悲哀を語って物語は幕を閉じました。主演のアデル・エネルさんを見るのは初めてですが、雰囲気もいい感じで良かったです。

2020.2.2.HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「シャドー・チェイサー」 シガニー・ウィーバーの悪役ぶり

気軽にアクション映画を鑑賞してみました。出演者リストに、ブルース・ウィリスとシガニー・ウィーバーの名前を見たからです。主役ではありませんが、主役以上の活躍ぶりでした。2012年のアメリカ映画で監督はマブルク・エル・メクリです。
原題:The Cold Light of Day

あらすじ
ウィル(ヘンリー・カヴィル)は、家族との休暇で、マドリードにやってきました。父母と、弟とその恋人が久しぶりに一堂に会し、団らんを楽しむ途中、ウィルの携帯に、彼の経営する会社の倒産の知らせが入ります。気が気でないウィルは翌日の家族でのヨットクルーズにも身が入らず、父のマーティン(ブルース・ウィリス)の怒りも買い、一旦街に出て戻ってくることにしました。戻ってきてみると、クルーザーが荒らされ、家族が消えています。警察に駆け込み、捜査を依頼すると、逆に拉致されそうになり、物陰に隠れていたマーティンに助けられました。

マーティンは、自分がCIAの工作員だとウィルに告白し、同僚の女性工作員キャラック(シガニー・ウィーバー)と、マドリードで面会し、誘拐犯の要求するブリーフケースを返すように頼みますが、その場でマーティンは何者かに射殺されてしまいます。マーティンの携帯と拳銃を持ってウィルは逃亡し、アメリカ大使館に駆け込みますが、キャラックが現れて話をするうちに、ウィルは危険を感じ逃亡しました。ウィルは父が頻繁に電話をしていたディエゴを訪ねて、彼の事務所に行きますが、そこでもキャラックが待ち受けており、ディエゴは既に殺されていました。

事務所にいた、ルシア(ベロニカ・エチェーギ)と共に再び逃走。携帯への誘拐犯からの連絡で、太陽の門に向かいます。そこでウィルはモサドに拉致され、連れていかれた先に、ウィルの家族も監禁されていました。ウィルはマーティンが殺されたことを話すと、モサドの目的は、すでにキャラックの手に渡ってしまったブリーフケースを奪い返すことだと言われます。キャラックはその情報を部外者に売ろうとしているのでした。そして、秘密を知ったウィルとその家族も消そうとしていると。ウィルはルシアの仲間たちと、キャラックの部下を拘束し、泳がせて尾行。取引場所に踏み込みます。激しい銃撃戦とカーチェイスの後、キャラックは監視していたモサドに倒され、無事ウィルの家族は解放されたのでした。



シャドー・チェイサー

ちょっと気軽にアクション映画の鑑賞です。こういう映画なので、素直に楽しめばいいのですが、思わず突っ込んでしまうと、つまり素人大活躍のアクション映画。さすが、2人ともブルース・ウィリスの子供たちという映画でした。血は争えないと…。彼らに頑張らせておいて、モサドが後始末に来ましたという感じですね。激しいカーチェイスは見ごたえがあります。また、マドリードとその郊外の情緒も面白いと思いました。

ブルース・ウィリスは予想外に早く退場してしまったので、あとはヘンリー・カヴィルとベロニカ・エチェーギに託されるわけですが、それよりも何よりも、敵側のシガニー・ウィーバーに尽きるでしょう。非情ぶりが徹底して伝わってきます。さすが、敵無しです。ヘンリー・カヴィルは、素人とは思えないほど勘が良く、事態を切り抜けていきますので、現実味がなく傲慢な感じもして、感情移入できません。ベロニカ・エチェーギは、ペネロペ・クルスに似たスーパーウーマンでした。

最後まで争奪戦の的となっていたスーツケースも、ここまで見せられると、ただのカバンじゃないか?という感じが残ります。最初の導入部は、ブルース・ウィリスの家族含めて、丁寧な人物描写をしていくので、それらが一瞬で誘拐されて登場しなくなるのもどうかなぁ…。という感じ。と、いろいろありますが、短めのアクション映画で、見ている分には楽しめるので良しとします。やはり、注目はシガニー・ウィーバーであることは、間違いないと思います。

2020.5.19 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「HELLIONS (2015)」 赤い月の光が起こすファンタジー

ファンタスポルトにノミネートされていた作品なので、気になっていましたが、Amazonの会員特典に出ていたので、さっそく見て見ました。2015年のカナダ映画で、監督はブルース・マクドナルド。少し、期待して見ています。
ネット邦題:地獄

あらすじ
ドラ(クロエ・ローズ)は入院中の病院の廊下をゆっくり歩いています。そして、過去の映像にフラッシュバックしました。

17歳のドラは、ボーイフレンドのジェイス(Luke Bilyk)とデートしていました。今日はハロウィンで、二人は夜のパーティーに一緒に行くことにして、ドラは予約してあった病院に出かけます。そこで医師のヘンリー(ロシフ・サザーランド)は彼女に妊娠4週間であることを告げます。ショックを受けたドラは家で塞ぎこみますが、意を決してジェイスに連絡。パーティーへの迎えを頼みました。そして、今日は赤い月の夜であることが放送され、日が落ちると不思議な雰囲気の中で、奇妙な仮装をした子供が周囲を歩き回るようになります。

しかし、ジェイスは現れず、何度も現れる奇妙な子供の籠にジェイスの首が入っているのを発見。ドラは警察やヘンリーに連絡します。ヘンリーは怪我を負って家にたどり着きましたが、家に閉じ込められてしまい、ドラの子供が4ヶ月に成長しているのを発見しました。子供たちの襲撃に会い、ドラは何とか一人で逃走して、小さな小屋に逃げ込むと、子供の声で「お腹の赤ん坊の誕生を待ち、ドラの血を捧げ、ドラは死ぬ」という言葉を聞きます。そして、小屋に警察のマイク(ロバート・パトリック)が現れ、妻のシェリーが同じような目にあい、死んだことを告げます。

ドラは、子供たちが塩に弱いことを察知すると、塩を利用して戦い、いろいろな幻影を見ながら戦ううちに、胎児が成長しドラは腹に刃物を何度も突き立てました。ドラは病院で目覚め、起き上がると廊下をゆっくり歩きます。ここで冒頭のシーンに戻り、ドラは廊下の先の新生児室をガラス越しに覗き、赤ん坊を眺めるのでした。



Hellions (2015)

Hellions とは、乱暴者ということで、特に子供の事らしいです。つまり、腕白小僧とか、悪ガキとか、そういったニュアンスかと思います。ここでは、ドラを襲撃する、子供の悪霊どものことでしょう。ストーリーはごく単純で、ほぼ合理的脈絡とかもなく、謎も全く解明されず、赤い月の夜のファンタジーといったところ、また、物語がほとんど展開していかないので、いろいろな幻想が続きますが、正直飽きてくるという感じでした。

この映画は、特筆すべきは映像なのかと思います。白黒に薄い赤を付けたような映像が、野外風景として映し出されます。これは赤い夜の表現ですが、その映像がシュールで幻想的なので、見どころです。月の光の下の森や、カボチャがたくさん転がる畑、そこに現れる餓鬼どもの集団。その中で追われる天使の仮装をしたドラ。そういったところでしょうか。ストーリーを追う訳でもなく、ミッドナイトシアターで、まったりと映像を楽しむといった雰囲気の映画でした。

そういう映画ですから、評価は高い訳ではありません。雰囲気を楽しむのに徹する映画だと思います。受賞はしていませんが、サンダンスやトロントなど、そこそこ有名な映画祭にも登場しています。ファンタスポルトでも、作品賞にノミネートされていますので、映像面で一定の評価を得ていたのではないかと思います。決してストーリーとか演技とかに期待してはいけません。特に途中で登場する男優二人はパッとしません。脚本のせいかもしれませんが。でも、ある部分で見れば捨てがたい作品だと思いました。

2020.5.23 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「サーミの血」 故郷との決別を決意したサーミ人少女の生涯

これは、予告編で見て気になっていた映画の一つですが、Amazonの会員特典で見つけたので、早速見てみました。2016年のヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズに選出され、独立部門で2つほど受賞があり、東京国際映画祭ではグランプリノミネートとなり、審査員特別賞と女優賞を受賞しました。2016年のノルウェー・スウェーデン・デンマーク合作作品で、監督はアマンダ・ケンネルです。

あらすじ
老婦人・クリスティーナ(マイ=ドリス・リンピ)は、息子のオッレ(オッレ・サッリ)たちと妹ニェンナの葬儀のため久しぶりに故郷を訪れました。村人たちはクリスティーナを気遣いますが、彼女は彼らを突き放し、過去とは決別しており今は全く関係ないという態度をとり続けます。そして、彼女は少女時代の思い出に浸ります。

1930年代のスウェーデン北部。サーミ人のクリスティーナことエレ・マリャ(レーネ・セシリア・スパルロク)と、妹のニェンナ(ミーア・エリカ・スパルロク)は、幼少のころからトナカイの放牧を手伝っていましたが、二人は寄宿学校で勉強する年齢となり家を出ます。学校で優等生となったエレ・マリャは、女教師のクリスティーナ(ハンナ・アルストロム)に気に入られ、研究員を出迎える生徒の代表にも選ばれましたが、研究員は生徒を集めて全裸にして身体検査をし、動物のようにサーミ人を扱いました。ある日、エレ・マリャは通りすがりの男の子たちにパーティーに誘われ、そこでニクラス(ユリウス・フレイシャンデル)という男の子と惹かれあい、ダンスを踊ります。この時彼女はサーミ人であることを隠すためにクリスティーナと名乗りました。しかし探しに来た妹と学校関係者たちに連れ戻されてしまい罰を受けます。ある日、エレ・マリャは進学の推薦状をクリスティーナに頼みますが、クリスティーナはサーミ人の脳では文明に適応できないと断ります。パーティーの件以来サーミ人からも疎外されるようになった彼女は、一人で都会に出て行くことを決意しました。

都会に住むニクラスを訪ねたエレ・マリャは、ひとまず泊めてもらえることになりますが、翌朝には両親から放り出されてしまいます。ある学校の図書館に入った彼女は、新入生と間違われそのまま授業に参加。運よく入学できることになりましたが、授業料の200クローネを要求されました。エレ・マリャは学費の工面のため故郷に戻りますが、ワンピース姿で帰ってきたエレ・マリャを、家族は冷たい眼で迎えます。母親に授業料の支払いを頼みますが拒否され、彼女は、父親の形見である高価なベルトを売ればいいと言いますが、母親は怒り出してしまいました。エレ・マリャは自分のトナカイを殺して売ることを思いつき、トナカイを捕まえて殺したあと、そのまま眠りこんでしまいます。翌朝、ニェンナと母親は、無言で父のベルトを渡して去っていきました。

現代のスウェーデン。クリスティーナは誰もいなくなった葬儀場に一人やってきて、棺の中で眠っているニェンナの遺骸に寄り添い、許してほしいと涙を流します。そして、トナカイの放牧地に向かい、クリスティーナは母と妹の存在を感じながら、遠くを見つめるのでした。



サーミの血

サーミ人と言えば、その血をひくレネー・ゼルウィガーによって、身近な存在であるわけですが、そういった興味もあって鑑賞してみました。この映画では、その迫害された北方の遊牧民族の立ち位置が赤裸々に描かれていました。主要部分は主人公の少女時代のお話で、成績優秀だったエレ・マリャが、原住民の異民族ということで、数々の迫害を受けながら、都会の生活に憧れ、家族やサーミの生活と決別し、一人都会へと旅立っていく物語です。

少女時代のサーミ人に対する差別は、あからさまな劣等民族扱い。希少種のような扱いで研究対象とされ、人権は無視されています。残念ながら、差別するスウェーデン人側にとってもそれは至極当たり前のことで、何の呵責も感じていない様子がリアルに描かれています。外部の我々から見ると酷いことですが、その時の当事者にとっては、普通の行動だったのでしょう。面と向かって民族の劣等性を告げる美人教師も悪気があるようには描かれておりません。

都会にでても珍しがられ、ヨイクを歌うように求められます。エレ・マリャはそのような状況にあって、サーミの伝統そのもの総てが、自分が差別される元凶であり、それらと自分とは一線を画したものという考えに身を置きます。そして、劇中では語れらませんが、少女時代からサーミの外で過ごしてきた長い年月を経て、老年になって初めて、妹の葬儀に参加するために自分の村に帰ってきました。

それでも、若き日に決別したサーミとの距離を置きたがるエレ・マリャですが、サーミ人の地の丘の上で過去を回想し、母が最期に学資として与えた銀のベルトと、妹との最後の別れ。エレマリャは、自分のルーツをあたらめて思い出し、別れて長い年月を経て、妹の亡骸に頬を寄せるのでした。差別と迫害、そしてそれによって自分の出自に対して心を閉ざしたエレ・マリャの長年の苦悩が解放されます。抑制された表現の中で、離れた故郷や家族に対する強い想いや、民族のアイデンティティなどが表現された素晴らしい作品だと思います。

2020.2.1 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「Baba Yaga: Terror of the Dark Forest (2020)」 バーバ・ヤガーの伝承によるロシアホラー

この映画は、たぶん少し前に上映予定のものが、コロナ影響で延びたものと思います。当地では、今週上映の中でも目玉でした。主だった作品が延期になる中で、躍り出た形でしょう。監督は、ズヴィヤトスラフ・ポドゲイフスキー。「ミラーズ 呪怨鏡」を作った監督ですね。2020年公開のロシア映画です。ロシア語音声で英語字幕の鑑賞です。

あらすじ
大都市の郊外に引っ越してきた、イゴール(Oleg Chugunov)は、母を亡くし、父アレクセイ(アレクセイ・ロズィン)と、継母のユリヤ(マリアナ・スピヴァク)、そして生まれたばかりの妹の家族で暮らしていました。イゴールは学校で気になったダーシャ(Glafira Golubeva)に声をかけますが、ダーシャには、アントン(Artyom Zhigulin)たち不良グループが絡んでおり、さっそく諍いが起こります。一方、イゴールの家ではナニーのタチアナ(スヴェトラーナ・ウスティノヴァ)を雇いますが、彼女と娘の周りで奇怪な現象が起き始め、イゴールはそれに気づいて両親に伝えますが、タチアナを信頼している両親は相手にしませんでした。

ある日、イゴールが家に帰ると、タチアナと妹が消えており、両親は奇妙な状態に見え、かつ自分たちに娘がいたことを覚えていない様子です。イゴールは、ダーシャとアントンと共に、以前喧嘩の末に迷い込んだ森の中に向かい、浮浪者風の男が住むあばら家を訪ね、男を問い詰めると、かつて男の娘が失踪し、今でもその娘を探していること。そして、娘が自分の記憶から消滅しないようにしていることを聞きます。そして、イゴールたちは、以然見つけた森の中にある高床式の小屋に行き、不思議なダクトの中に入っていきました。そして、その奥で男の娘と出会います。

子供たちを攫っていたのは、バーバ・ヤガー(=タチアナ)でした。子供たちを攫い、親から記憶を消していたのです。そして、イゴールは妹をみつけると、そこが自分たちのいる世界では無いと気づき、妹を連れて元の世界へ戻ります。継母に会ってみると、存在が忘れらている妹は消えてしまっており、イゴールの存在すらあやふやになっていました。イゴールは向こうの世界で見つけた、母の編んだ毛糸の靴下をみせて、母の記憶を呼び戻そうとします。そして、再び向こう側の世界に戻ると、妹を見つけ、バーバ・ヤガーと対決し、勝利を収めて元の世界に戻ってきました。イゴールは妹を父母の元に連れ帰り、ダーシャの母も、娘の存在に気づいて抱擁を交わすのでした



Yaga. Koshmar tyomnogo lesa (2020)

スラブ民族の伝承として伝わるバーバ・ヤガーを題材としたお話です。ムソルグスキーの音楽でも有名ですね。鶏の足の上に立つ小屋に住んでいるとされていますが、この映画では、高床式の小屋が、バーバ・ヤガーの住む世界への入り口になっています。バーバ・ヤガーは森の中に住み、人間の子供を食べる魔女ですが、この映画ではやはり人間の子供を攫い、自分の世界へ連れていき、親の記憶から消すと、子供の姿も消滅してしまうという形になっています。ナニーとなってイゴールの家庭に侵入し、怪奇現象を起こします。片足が義足の姿でも登場しますが、最後は毛糸玉の怪物になっていました。

ストーリー展開もしっかりしていると思いましたが、ロシア語で英語字幕という環境で、けっこう見落とし、勘違いが多いと思います。英語字幕は、やはり自分は読み取りが遅くて、文末までにたどり着かないうちに消えてしまうのです。でもまぁ、何とか理解し楽しんだ範囲で書いています。ホラー度は、音で驚かせるところは度々ありますが、それほど高くありません。むしろ、家族のドラマであり、亡き母の幻影を見せてイゴールを引きk揉もうとしたりします。また、親から子供の記憶が消える瞬間が表現されたりと、そういった家族とのつながりや、記憶をテーマにした、寂しげな趣も持っている作品だと思いました。

この映画は、少年少女の冒険映画的な要素も持っていると思います。アントンはラブレスに出演していた少年のようですが、流石に覚えていません。大人で目立つのは、出番の多い、父や継母よりも、ダーシャの母とか、バーバ・ヤガー(ナニー)とか、不思議な美しさがあって、目立ちました。ちょっと変わった雰囲気の役者さんが多かったように思いました。演出かもしれませんが。ロシアの伝承を元にした、ホラーであり、ドラマということで、一風変わった雰囲気が楽しめた映画でした。

2020.5.23 HCMC CGV Vincom Dong Khoi にて鑑賞

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ジャンル : 映画

「ファング一家の奇想天外な秘密」 名優の演じる人間模様

久しぶりに、ニコール・キッドマンの作品の鑑賞です。昔は大ファンで欠かさず見ていたのですが、最近ちょっとインパクトが落ちたなぁと思いつつ、また別の味わいが出てきたのかもしれません。2015年のアメリカ映画で、監督は出演もしている、ジェイソン・ベイトマンです。

あらすじ
ケイレブ・ファング(クリストファー・ウォーケン)は芸術家として活動していましたが、それは、一家で銀行強盗の芝居をするなど、奇妙なものでした。ケイレブは、子供のアニー(ニコール・キッドマン)とバクスター(ジェイソン・ベイトマン)を「A」、「B」と呼び、2人は尋常でない成長過程をたどります。そして、2人は今や中年期にさしかかり、行き詰まってしまいました。アニーは女優になったものの、年齢的にオファーが減少し、バクスターは小説家になりましたが、スランプから抜け出せませんでした。ある日、2人は久しぶりに帰省すると、早速ケイレブの芸術に付き合わされます。しかし、今やそのセンスも衰え、失望して妻(メアリーアン・プランケット)と共に失踪してしまいました。ケイレブの車は近所の駐車場で発見され、それには血痕がついていました。警察も捜査を始めますが、アニーは両親の芸術ではないかと疑います。

アニーは、高校時代の出来事を思い出します。学校祭の「ロミオとジュリエット」の上演で、アニーはジュリエット役に選ばれましたが、ロミオ役の男子が緊張で演技ができなくなり、代役にバクスターが選ばれました。その結果、姉弟でキスをすることになり、観客はいやがる二人を見て爆笑。観念してキスしたところ、校長は激怒し演出した教師(リンダ・エモンド)が解雇されます。ところが、それが両親の芸術であったことがわかり、それ以来両親の芸術には一切協力しないことに決めたのでした。

二人は捜索を諦め、思い出の品々を整理していると、あるCDに家族しか知らない曲が入っているのに気づきます。二人は、その曲を歌っているバンドの自宅に押しかけると、彼らはあくまで自分達の曲だ言い張ります。そこへ戻ってきた少年たちの両親は、なんとアニーたちの高校時代の、解雇された教師とケイレブで、その二人が両親なのでした。結局この失踪も芸術だったのです。アニーは激怒し、ケイレブは、アニーとバクスターに言われるまま、湖畔の一軒家にいる母親の元に向かいます。ケイレブはこれも芸術の為だと話し、ケミーユはその事実に耐えていたのでした。アニーは母親の想いを悲しみますが、ケミーユは涙ながらに秘密にするよう訴えます。二人は両親に別れを告げ、絆の深まったアニーとバクスターですが、バクスターはその想いを小説にし、アニーは朗読会での彼の朗読に聞き入るのでした。



ファング一家の奇想天外な秘密

コメディではあるのですが、コメディとは思えないような、重さがありました。ベストセラー小説の映画化ということで、小説も映画もThe Family Fangで、邦題は、小説も映画も、大体似たような感じになっていました。現代文芸小説風の、一風変わったテイストのコメディです。映画はそのコメディを題材にした、あまり笑えない映画になっています。むしろあちこちで起こる、怒りや当惑の方が上回っていきます。ブラック・コメディという事かもしれません。

AとBという名前で呼ばない表現も独特でした。この両親には家族という考えが欠如しているようです。というか、それも芸術の一つの題材にすぎません。その中で育ったニコール・キッドマンが、いつも通りの素晴らしい演技を展開していると思います。こういった捻りのある役は、いつも通り似合いますね。アニーとからむ家族の3人も、まさに奇妙なテイストを地でいくような、怪演をしているような感じでした。クリストファー・ウォーケンはハマってます。

そういった立派な演技なのに、なんか物足りなく感じるのは、ストーリー展開が弱いのかな?ちょっと惜しい感じです。特にラストは、新作小説の内容がちょっと安っぽい…。あとは、不倫相手の人物は、もともと思い切りフラグが立っていただけに、意外性が無かったり、すんなり父親が登場したりと、拍子抜け感もありました。音楽が良かったです。ベートーヴェンの音楽に聞き入っていましたが、皇帝の2楽章から3楽章への移行部分の使い方に思わず笑みがこぼれました。

2019.11.8 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「ダスト・ウォーカー」 アートな雰囲気も持つゾンビ映画

手ごろな時間帯にやっていたので見に行ったB級ホラー映画。日本でも、今年になって公開されていたようですが、評価のほどは今一つみたいでした。2019年のオーストラリア映画で、監督はサンドラ・スキベラスという人。観客3人で、英語での鑑賞です。

あらすじ
オーストラリアの砂漠地帯にある、人里離れた小さな町に、謎の物体が飛来します。そして、停電が発生し、チェックに向かっていたビリー(Ben Mortley)は、奇妙な胞子に触れてしまい、ウィルスに感染してしまいます。ゾンビ状態になって町に戻ってきた彼は、思考をも支配されているようです。胞子は人間や動物に伝染し、町の人々は一人また一人とゾンビ化していき、凶暴になっていきました。

保安官のジョー(ジョリーン・アンダーソン)とルーク(リチャード・デイヴィス)は、事態の原因を調べ始めます。地元の地質学者のアンジェラ(カサンドラ・マグラス)や教師などの協力で、ウィルスの活動や、隕石が落ちたような穴も発見。そして、町の周囲が巨大なサンドストームに囲まれ、隔絶されていることが解ります。ウィルスは死んだ動物から子実体のような物を出し、胞子を作って付着し伝染していくようでした。その時、巨大な触手を持つエイリアンが現れ、感染した人々を連れ去っていくようになります。

ジョーとルークは、町の未感染者をできるだけ保安官事務所に集めようとします。ゾンビ化した人々に襲われますが、感染者も、ある程度元の姿を保っており、なかなか非情に倒すことができません。その時エイリアンが現れ次々と連れ去っていきます。まだ感染していない、ミシェル(Talina Naviede)が一緒に連れ去られそうになり、ジョーはエイリアンに連れ去らないように話すと、彼女は解放されました。エイリアンは集めた感染者をまとめて火を吹いて焼き払うと、砂嵐も消滅し、町に再び平和が戻ったのでした。



ダスト・ウォーカー

オーストラリア砂漠の中の小さな町の、ゾンビとエイリアンを組み合わせたホラー。ゾンビではありますが、中途半端なゾンビ化で、伝染してしまった友人や家族を無慈悲にどんどん撃てないという状況になっています。砂漠の街や、静かに立ちつくすようなゾンビの情景が妙に美しく、これはアートフィルムを意識したホラーではなかろうかとも思った次第。どうしてそうなったかはよく解りませんが、ゾンビ化させるウイルスが来てしまい、エイリアンが伝染者を捕獲して焼却するというお話でした。エイリアンは保健所に勤務しているのでしょうか(笑)?それとも何かやらかして拡散してしまって、火消しに走っている?

焼却処分される豚や鶏と一緒で、やられる方は全貌は判りませんという事の様です。活躍するのはジョーとルークの二人組。ラストの、母親に足をつかまれて切断するところは、そういう中途半端なゾンビであるだけに、無常感が漂います。焼却シーンは、ちょっと脱力感ありでした。仕掛けは面白いですが、ストーリーは極めて単純なので、ゆっくりしたペースで話が進みます。その分映像とか、いろいろ作りこんでいると思います。死んだ虫から子実体が出てきて胞子が飛散する場面あたりから、アートだねぇ…と思っていました。

丁寧かつコンパクトに作られている感じが伝わって来て、ちょっと気に入りました。音やグロで押すだけの作品よりは、こちらの方が好きです。町の中に何体かゾンビが並んで立っている様子や、一人づつ引き上げられていく様子とかは、独特の面白さがありました。そしてそう感じるのも、何にも増して映画館で見ることができたことが大きいのかなと思っている次第です。テレビ画面でみたれ、また感想が違っていたかもしれません。

2020.5.17 HCMC LOTTE CINEMA NEWZONE にて鑑賞

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