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<短編> 'One-Minute Time Machine' (2014)

上映時間は6分のオチのあるショートショートです。Practice Makes Perfectを撮影したDevon Avery監督の作品で、雰囲気など期待がもてます。タイムマシンをうまく使ったコメディでした。
Amazon 邦題:一分間タイムマシン

あらすじ
公園のベンチに座っているレジーナ(エリン・ヘイズ)のところに、一分間ライムマシンを持ったジェームズ(ブライアン・ディーツェン)がナンパにやってきます。誘い文句に失敗すると、何度も過去に戻ってやり直すジェームズは、ついにナンパに成功し、家まで行くことが決まった彼女が立ち上がったところ、彼女は持っていたタイムマシンの本を落としてしまいました。

専門家である彼女は、時間旅行は実際には行われておらず、パラレルワールドを生成し移り変わるだけであり、元の世界のジェームズはその瞬間に死んでいると教えます。ジェームズは何度も自殺したことにすっかり萎えてしまい、レジーナはジェームズを再びその気にさせようと説得するために、何度もタイムマシンのボタンを押すのでした。



One-Minute Time Machine (2014)

ほどよいSF小噺で、うまくオチていると思いました。タイムパラドックスをパラレルワールドへの移動ということで解決する仕掛けになっています。短い時間の中で上手くまとめられていると思います。本人だけは生き続けているが、それぞれの世界では死んでしまっているという設定が秀逸です。SFのショートショートといえば、フレデリック・ブラウンを思い出すのですが、そんな味わいがありました。

レジーナの演技がなかなか面白かったです。特に、何度もパラレルワールドでジェームズが死ぬシーンが再現されるところは、いろんなスタイルの慌てぶりを連発し、ついには絶叫まで。この人絶叫女優だったのですかね?そして、最後はすっかり積極的になってしまいます。逆に落とした獲物は逃がさないぞと…。

そのレジーナを演じるのはエリン・ヘイズ。映画出演もありますが、むしろテレビシリーズの出演で知られているのではないでしょうか。最近は固定メンバーとしての出演もあるようです。ジェームズ役のブライアン・ディーツェンもテレビシリーズが活躍の場のようです。そして、この映画、日本ではDevon Avery監督のトーク&上映会という形で、2017年ひめじ国際短編映画祭で上映されました。

Data
監督:Devon Avery
脚本:Sean Crouch
製作国:アメリカ
公開年:2014
時間:6 minute
スペック:カラー、16:9
Imdbリンク:One-Minute Time Machine (2014)
2017年ひめじ国際短編映画祭で上映されました。

2020.4.26 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「ダブル/フェイス」 代理母をテーマにドナーの執念を描く

ニコラス・ケイジの名前に惹かれて見始めました。まぁ、彼が出ているくらいですから、安定の映画だろうと…。結果として良かったのですが、ニコラス・ケイジは主人公ではありませんでした。2017年の映画で、アメリカ・イギリス合作の作品。監督はジョナサン・ベイカーです。日本のジャケットはニコラス・ケイジが真ん中に映っていますが、アメリカのジャケットは、ニッキー・ウィーランが真ん中になっています。

あらすじ
赤ん坊を連れ去ろうとして、帰ってきた父親ともみあいになったケイティ(ニッキー・ウィーラン)は、父親を刺殺してしまいます。

ブライアン(ニコラス・ケイジ)とアンジェラ(ジーナ・ガーション)は、裕福な医師夫婦。アンジェラは4度の流産を経て、提供された卵子で娘のコーラを出産しました。ある日、アンジェラは友人のリンダ(ナタリー・エヴァ・マリー)の紹介で、シングルマザーのケイティと出会い、意気投合します。彼女は、壁に絵を描く内装の仕事をしていました。時々やってくる義母のドナ(フェイ・ダナウェイ)の心配をよそに、アンジェラとケイティの付き合いは深まり、ゲストハウスに住むようになります。アンジェラは再び妊娠しますが、流産し、気持ちが落ち着いたところで復職したので、ケイティがコーラの面倒も見るようになりました。アンジェラとリンダはレスビアンの関係でした。ブライアンは次の出産は代理母に頼もうと提案。その候補となったのもリンダで、リンダがそれをケイティに打ち明けると、突然ケイティの様子が変わり、「私の卵子なの」と叫んで、リンダを溺死させてしまいます。そして、代理母はケイティに頼むことになりました。

妊娠してお腹も大きくなると、アンジェラは染色体異常の検査を受けさせますが、その時ケイティはパニックに陥ります。ケイティは以前、卵子提供をした時に、卵巣の炎症で摘出せざるを得ず、手元に残った3個の健康な卵子を卵子提供会社に預けていたのでした。アンジェラは、ケイティの出産後も産休をとらず、ナニーを雇うつもりでした。それを聞いたケイティは、以前子供が泣いているのに放置していた母親を溺死させたことを思い出します。その時の子供がマディで、そのあと冒頭の父親と出くわしていたのです。ケイティの態度に不審を感じたアンジェラは、ケイティの部屋に忍び込み、写真を手掛かりに調査をはじめます。一方ケイティもアンジェラの行動に気づきます。ブライアンとドナは、生まれてくる子の名前をアンジェラに相談無しに決めてしまい、アンジェラは取り乱し始め、ブライアンはアンジェラの精神状態を疑い始めました。アンジェラは、コーラの卵子を提供してもらった会社のサイトを見ると、背後にケイティが今、子供部屋に描いている絵と同じものを発見。電話で問い合わせ、ケイティがドナーということを確信しました。

アンジェラは同僚の男性に、コーラとマディのDNA鑑定を依頼します。ケイティはアンジェラが核心に迫っていると考え、ジュースに薬物を混ぜ、アンジェラは車を運転中に車内で3時間も眠ってしまい、薬物に気づきます。家に帰ったアンジェラは、ケイティを問い詰めると、「自分の卵子から生まれた子供を、きちんと育ててほしいが、誰もやってくれないので、自分が育てる。最後の卵子を自分で妊娠できて嬉しい」と正直に答えます。不安になったアンジェラは、包丁を持つと、ケイティはそれを浅く自分の腹に刺させ、助けを求めながらアンジェラを深く刺し返しました。二人とも病院に担ぎ込まれますが、その病院でブライアンはアンジェラが頼んだDNA検査結果を知らされ、愕然とします。すべてを理解したブライアンは、ケイティにアンジェラは死んだと話し、赤ん坊が見たいというケイティに、ガラス越しに赤ん坊を見せ、「見納めだから」と告げます。そして、ガラスの向こうに生きていたアンジェラが現れ、ブライアンもアンジェラの横に立ちました。ケイティの横には警察官が近づいてくるのでした。



ダブル/フェイス

ケイティはちょっとやり過ぎですね。どうしようもない衝動があったということでしょうか。サイコパスかもしれないと思いました。というところはありますが、この葛藤は、結果は別にしても、いかにもありそうな話という風に思いました。3つしか無い卵子を供給し、その結果卵巣がダメになり、しかもお腹を痛めた赤ちゃんと別れる時の姿は、逆に同情してしまいます。ストーリー自体は、非常に複雑な後味を残して終わりました。ケイティにうまく乗せられることを見越していた義母も、いざ子供が生まれるとなると、ケイティの味方になっているところが、面白いところ。子供を作る事の、人間に対するインパクトの強さを象徴し、この時のアンジェラは、自分が産めないという負い目も含めてパニックになっていたのではないでしょうか。

結局、アンジェラの元にはケイティの卵子から成長した子供が3人という結果になりましたが、これから先を心配してしまいます。義母が心配するように、脇の甘い夫婦のようですが、大丈夫でしょうか。そして、いろんな角度から見た時に、母親とは何なのかと考えてしまいました。混乱回避のために、いろいろなルールや法律をつくっているのでしょうが、代理母のこのケースの場合は、ドナーと出産する人と受け取る人の3人の女性が絡むことになり、なにか間違えると、その場は良くても、いろいろと禍根を残す可能性があると思った次第です。

ケイティ役のニッキー・ウィーランさんの演技が素晴らしいと思いました。顔かたち含めて、いろんな場面や感情を演じ分けています。まさに彼女の映画という感じです。ニコラス・ケイジとフェイ・ダナウエイは、ベテランで安定の演技。ジーナ・ガーションの取り乱しぶりも良かったのですが、ずっと見ている間、小林千登勢の顔が浮かんできて、頭から離れなくなりました(笑)…。 さて、「ダブル/フェイス」という邦題は、どういう意味かよくわからないのですが、原題は Inconceivable です。

2020.4.18 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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<短編> 'Negotiation' (2020) 一発芸のショートショート

3分ほどのショートショート。さて、これも短編映画か?という疑義はごさいますが、せっかくなのでメモしておきます。しかし、テレビプレミアで3分の長さといえば、ほとんど、コント番組に挿入される寸劇のノリではと思います。

あらすじ
4人の老境に差し掛かった男の顔の大写しが次々と現れます。さぁ、始めようの声がかかり、順番に4人が一言ずつ話します。それは、題名のネゴシエーションにあるように、金やホテルそして刑務所の事。4人は微妙に激高しているようですが、会話の内容はうまくつながっていないようです。そして、一人が「やめた!」と宣言。ああ、君たちとはやってられないと…。会場の全体が映り、彼らがやっていたのは…??



Negotiation (2020)

一見、ホラーのような、4人のいかつい顔の紳士の会話が、顔の大写しで続くという展開です。それも、言っている内容は、なかなか理解しがたいもの。どう考えても、何のネゴシエーションだか、皆目見当がつきません。ホテルとか刑務所とか言っています。必死で字幕を追う羽目になりますが…。で、一人が席を立ち、たわいのない一発芸でしたというオチです。初見でみると、ああ、なるほどね…。というコントでした。まさに、ショートショートですね。

監督は、シーン・ディリンガムという人で、本来役者さんの様です。映画、テレビ、コマーシャルと幅広く活躍されている方のようで、ショーとかも含めてマルチタレント的に活動されているのかもしれません。しかし、3分かつテレビプレミアと言われると、ちょっと映画と言うイメージから離れるような感じですが、一応Short Filmに分類されているようです。

Data
監督:Sean Dillingham
脚本:Sean Dillingham
製作国:アメリカ
公開年:2020
時間:3 minute
スペック:カラー
Imdbリンク:Negotiation (2020)

2020.4.25 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「母親たち (2018)」 (Duelles) ベルギーのアカデミー賞を席捲したサイコ・スリラー

AmazonPrimeの特典動画から、比較的近作の映画を鑑賞しました。邦題は「母親たち」で、原題は「Duelles」。デュエルなので、決闘みたいな感じです。そして、英題が、「Mothers' Instinct」で、母の本能。だいたいこの三つから、内容が想像つくというものです。2018年の映画で、フランス=ベルギー合作作品。監督は、オリヴィエ・マッセ=ドゥパスで、この年のベルギーのアカデミー賞に相当するマグリット賞で作品賞を含む9部門を受賞しました。

あらすじ
学校にマキシムとテオを迎えに行ったセリーヌ(アンヌ・コエサン)は家に帰ると、盛大な誕生パーティーのサプライズに迎えられました。セリーヌは夫のダミアン(アリエ・ワルトアルテ)と息子のマキシムの3人家族。一方サプライズを主催したアリス(ベルル・バーテンス)は、夫のシモン(メーディ・ネブー)と息子のテオの3人家族。生け垣を挟んで隣同士の2つの家族は、お互いの家の鍵を持ち、親しく交流していたのでした。ある日、庭仕事をしていたアリスは、病気で学校を休んだマキシムが窓を乗り越えて猫を追おうとしているのを発見し、慌ててセリーヌを呼びに隣家に駆け込みますが、時すでに遅く、マキシムは転落死してしまいます。セリーヌは悲嘆にくれ、アリスがすぐに直接助けなかったことを責めます。

アリスは、親しかったセリーヌの行動に恐怖を感じ始めます。セリーヌはテオの大事にしているウサギの縫いぐるみをマキシムの棺に入れたり、またそれを謝って和解したりと、疑惑と和解を繰り返しながら、両家の交流は続きます。ある日テオの誕生パーティーに出席した心臓の弱かったシモンの母が、急に具合が悪くなり息を引き取りますが、セリーヌの行動に疑いをもったアリスは、夫には黙って母を解剖。これが露見すると、夫は妄想のせいだとアリスを責めます。セリーヌは表向きは平静を装いながら、隣家の子供のテオを我が子のような目で見るようになり、それがアリスの疑惑を増幅します。ざわつきながらも気遣いつつ交流を続けてきた両家ですが、シモンも限界を感じ、2週間後に引っ越すことにしました。

引っ越しの話をセリーヌに語った夜。セリーヌはダミアンから、今後はもう隣家との交流を絶つべきだとセリーヌに提案。テオとの時間が無くなるのが耐えられないセリーヌは、その夜ついに自殺に見せかけてダミアンを殺害してしまいます。独りになったセリーヌはアリスの家に身を寄せますが、引きこもってしまい、ある夜ついに、事故を装ってアリス夫婦をガス中毒死させ、テオだけを守りました。そして審判の結果、セリーヌはテオを養子として迎え入れ、浜辺で二人で実の親子のように戯れあう姿があったのでした。



母親たち

表向きの平静を装い、美しい音楽と映像で彩られるこの映画は、後味の悪い映画の典型とも言えるような結末を迎えます。それも落ち着いた静かな雰囲気で迎えます。バッドエンドとしてある程度は思いつくようなラストながら、誰も描こうとしない、あるいは見たいと思わないラストを、映像化してみせましたという感じでした。その他は、それほど特筆するところのないような平凡な作品に見せていますが、こういうラストを敢えて見せられると、印象に残らざるを得ませんという感じでした。セリーヌの常に平静を装うさりげなさと、アリスの正常と狂乱の繰り返しぶり。二人の女優の演技は見事で、マグリット賞では主演女優賞を争いました。

二人の関係を対立させていく一つのポイントが、テオの子供特有のイノセンスさです。しかし、これは少しやり過ぎというか、もう少し分別があれば、こうはならなかっただろうという点も多々あります。このあたりがこの映画が不自然に見えてしまうところかもしれません。しかし、隣家との付き合いということについてては、2017年も、「隣の影」というアイスランドの映画(これもアイスランドのアカデミー賞である、エッダ賞を席捲)がありましたが、あちらも最後は殺人事件に発展してしまっており、静かな確執が離れられないという位置関係にあるだけに蓄積して行き、最後に爆発してしまうという、世の中では普遍的な事のようで、集めてみると一つのジャンルになるのかもしれません。

さて、マグリット賞とはベルギーで2011年に創設された、ベルギーのアカデミー賞にあたる賞で、この作品は2020年2月に発表された10回目のマグリット賞を席捲しました。作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞、作曲賞、録音賞、編集賞の9つの賞を受賞。主演女優賞はこの映画から2人ノミネートされたので、落選はその一つだけ。パーフェクトです。ベルギー製作映画と言う、それほど広くない範囲ではありますが、この作品はよほど本国ではセンセーショナルだったのでしょうね。

2020.2.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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<短編> 'Practice Makes Perfect' (2012)

上映時間は3分。その3分の鑑賞で、あたたかな気分になることができます。セリフもありません。
Amazon 邦題:とっくんでカンペキ

あらすじ
男の子クリント(Kody Fields)は、キスの練習をずっとしてきました。鏡を使ったり、風船を使ったり、ハロウィンのカボチャをつかったり。それも、普通のキスから濃厚なものまで…。そして待ちに待ったサリー(Alexis G. Zall)とのデート。映画館で待ち合わせ、映画が始まりますが、クリントはそわそわして、頭をよぎるのはキスの事。

映画が終わり、二人はバス停に向かって歩き始めます。二人はおずおずと手を伸ばし、手をつないで歩き始めました。バス停について、二人は並んでベンチに座りますが、クリントの頭の中はキスのことばかり。そして、彼女のバスが先にやってきました。彼女はお別れをして、バスに乗り込もうとした時…。



Practice Makes Perfect (2012)

3分間の短いストーリーは、ただただ微笑ましい!という他ないでしょう。クリントは、いろんなキスを練習しました。濃厚なフレンチ・キスまで。そしてそれがいつも頭をよぎります。一方、サリーはただただ可愛い感じです。映画館で、なんとなく落ち着かないクリントを横目でチラ見したり。黄色いワンピースが良かったです。短い時間で、いい気分になることができました。

細かいところなんですが、男の子も、女の子もチケットを2枚買ってきたみたいですね。一瞬の場面なので、一度目は見逃していました。あと、アメリカ映画ですので、小さなハリウッド映画みたいな雰囲気があると思いました。特に、バス停の場面とか。どうも黄色いワンピースが効いているのかもしれません。ラ・ラ・ランドが黄色ですので…。

その可愛らしい少女を演じるのは、Alexis G. Zallで、当時14歳。その後もキャリアを伸ばしているようです。主演のKody Fieldsは、その後、俳優、作家、製作として、少しづつキャリアを重ねているというところでしょうか。ちょっと見て、楽しかったというショートショートです。いいですね。

Data
監督:Devon Avery
脚本:Mark Palis
製作国:アメリカ
公開年:2012
時間:3 minute
スペック:カラー
Imdbリンク:Practice Makes Perfect (2012)
2014年ひめじ国際短編映画祭で上映されました。

2020.4.25 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ジュリエッタ」 美しい映像と音楽に彩られた魅惑的な映画

スペインの名匠、ペドロ・アルモドバル監督の映画です。いままで、それほど印象が無かったのですが、この映画を見てかなり好印象に変わりました。何よりの映像が素晴らしい映画でした。2016年の映画で、ゴヤ賞でエマ・スアレスが主演女優賞を受賞のほか、英国アカデミー賞の外国語映画賞や、カンヌのパルムドールへのノミネート作品でもあります。

あらすじ
ジュリエッタ(エマ・スアレス)は、パートナーのロレンソ(ダリオ・グランディネッティ)とともに、ポルトガルへ移住を控えていた時、偶然、娘のアンティアの幼い時の親友ベア(ミチェレ・ジェネール)と遭遇します。ベアは12年前から消息が判らないアンティアと、イタリアのコモ湖で出会ったとの事。アンティアは3人の母親になっていると伝えました。また、アンティアが母の消息を気にしていたことを知り、ジュリエッタはマドリードに残ることにします。そして、かつてアンティアと暮らしたアパートに引っ越し、消息を待つことにしました。そして、ジュリエッタは、アンティアに話せなかった過去の出来事を、手紙に書き始めます。

ジュリエッタ(アドリアーナ・ウガルテ)が若い頃、列車でショアン(ダニエル・グラオ)と出会いました。その後、ショアンからの手紙で、彼の家を訪ねると、家政婦マリアン((ロッシ・デ・パルマ)が出迎え、ショアンはアバ(インマ・クエスタ)という女性と一緒にいると告げます。ジュリエッタはショアンの帰りを待ち、2人は久しぶりに夜を共にします。その後、アバとも出会い、親しくなりました。ジュリエッタは、やがて娘のアンティア(プリシージャ・デルガド)が産まれ、アンティアは9歳になると、ショアンとよく海に出るようになります。アンティアの夏休みのキャンプが始まる日、仕事を辞めるマリアンの言葉から、ジュリエッタはショアンとアバとの関係を疑い、ショアンと喧嘩。気まずくなったショアンは漁に出ていきます。そして、天候が大きく荒れ、ショアンは帰らぬ人となりました。

キャンプ中にアンティアとベア(サラ・ヒメネス)は仲良くなり、ジュリエッタとアンティアはベアの家の近くに引っ越します。しかし、ジュリエッタは鬱状態になってしまい、アンティアとベアが介護していました。病気を克服したジュリエッタは、自宅で出来る仕事を始め、残りの時間をアンティアと過ごしていましたが、アンティア(ブランカ・パレス)が大学の卒業を控えた頃、瞑想のためピレネー山脈に出かけ、3ケ月後に迎えに行ったジュリエッタは、団体の職員から、アンティアが転居したうえに、居場所を母に伝えるなと言いつけたと聞かされ、ジュリエッタは、娘のことを知らなすぎたと後悔するのでした。

ジュリエッタは孤独な日々を送り、ついに娘を思い出すものは全て処分し、転居しました。そして、入院中のアバを見舞った時、アバは、ショアンが亡くなる前に二人が口論したことを、アンティアに話したと打ち明けます。アバはふさぎ込むジュリエッタに彫刻家のロレンソを引き合わせ、人生をやり直させます。

そして、現在。アンティアへの想いを綴り終えたジュリエッタは、街で再びベアに遭遇しました。ベアは、アンティアが失踪する直前から様子がおかしく、その後も狂ったような連絡が来たこともあったと打ち明けます。何も知らなかったジュリエッタは茫然とし、赤信号で道に出て事故あってしまい、通りかかったロレンソに助けられました。入院のためにジュリエッタの荷物を取りに行ったロレンソは、アンティアからの手紙が届いているのを見つけます。アンティアはショアンと名付けた長男を亡くし、娘を失ったジュリエッタの気持ちを初めて知ったのです。

ジュリエッタはロレンソと共に、スイスのアンティアの手紙の住所を訪ねることにしました。不安そうなジュリエッタに、ロレンソは、封筒に住所を書いてきたんだから大丈夫、と励まします。2人の眼下には、美しい湖と山脈が広がっていました。



ジュリエッタ

映像や音楽の大変美しい映画でした。丁寧に計算され尽くしたような映像美と音楽は、圧倒的な美しさで見るものを取り込みながら、ストーリー展開のキーにもなっていきます。それぞれの瞬間が雄弁に語りかけてくる、素晴らしい映像だと思いました。代表的な場面としては、鬱状態で動けない母を浴槽から出して、髪の毛をタオルで覆うと主演女優が交替する場面。夫が口論の後で漁に出かけるときに、窓の外が嵐に変わり、海が微妙に盛り上がっていく場面、そして最後の瞬間に明るい音楽が流れる場面など。言葉で表す以上に雄弁です。

エマ・スアレスが素晴らしい演技です。いろんな表情を見せてくれますが、ペドロ・アルモドバル監督の表現にこたえて、一つ一つの場面で心情が滲み出るような演技をしていると思いました。年齢は私とほぼ同世代ですが、年齢不詳の美しさです。場面によっては若くも見え、老け込んでも見え、素晴らしい表現と思います。部屋の中で日記を書いている情景が、廊下の方からシルエットのように映し出される場面が非常に印象に残りました。細くて長い四肢をシルエットで見せる映像は魅惑的でした。

いままで、アルモドバル監督の映画は数本見ただけですが、この表現は音楽と映像をフルに使って、物語をより分かりやすく印象深く語らせるとこんなことができるという、素晴らしい出来栄えになっていると思います。久しぶりに美しいものを見た感じで、この感覚は映画館の空間の中でじっくり味わってみたいと思いました。また一つ好きな映画が増えました。エマ・スアレスも多くの出演作がある中で、日本公開が数少ないという恵まれない状況ですが、これから注視していきたいと思いました。

2020.3.1 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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<短編> 'Gerry'(2018)ジョーン・コリンズによる老境の春

短編映画(short Film, Featurette)は、映画の中でも大きなウェイトを占めるジャンルですが、長編ほど話題性がなく、あまり見る機会に恵まれていないようです。実際、素晴らしい短編映画は、素晴らしい短編小説と同じように、凝縮された時間の中で、人生のドラマの一瞬が切り取られ、深い感動を残したり、あるいはワンシチュエーションの中での印象深いサスペンスであったりと、短い時間ながら、感動の質も高いものが多くあります。このブログの中でも、ごくたまに登場していましたが、今回一つのジャンルとしてピックアップしていこうと思いました。あまり見る機会が多くないので、不定期ではありますが…。

あらすじ
9日前に、夫を亡くした老婦人のヒルダ(ジョーン・コリンズ)は、夫の遺品の中に、ポルノ雑誌を見つけ、知らなかった夫の一面を垣間見ます。そして、すり切れた手帳の一面に、ジェリーという名前と電話番号が書かれてあるのを見つけました。ラジオでは「女性は何でも知りたがる、といった論評が流れています」ヒルダは一人の生活の寂しさから、70代の男性の友達募集の新聞広告を見て、2人の男性とレストランで会いますが、どうもしっくりきませんでした。

ジェリーのことが気になるヒルダは、逡巡したあげくメモに書かれていた電話番号をダイアルしますが、相手が出るとすぐに切ってしまいます。三度目の正直と思いレストランで相手を待ちますが現れず、寂しくレストランを後にしたヒルダ。ある時、ヒルダの電話がなります。そして、再びレストランで相手を待つヒルダ。現れたのは、ヒルダと同じ年恰好の老婦人のジェリー(Lynne Verrall)でした。ジェリーはヒルダの名を呼ぶと手を取り、二人は懐かしむように、微笑み合うのでした。



Gerry (2018)

長く連れ添った夫を亡くしたばかりのヒルダが、夫の隠していたポルノ雑誌や恋人の電話番号を見つけ、それに触発されてか、自分も恋人探しをするも満たされず、ついに気になっていた夫の恋人に連絡を取ろうとします。夫の恋人のジェリーも同じような気持ちがあったと思われ、ほぼ年恰好が同じ二人が再会し、長年の友のように穏やかに再会する瞬間で物語は終わります。

ヒルダの中から見て取れるものはいろいろあると思います。いつまでも変わらない女ごころと性。亡き夫への深い愛情と惜別。夫の愛人と連絡を取ることの不安。夫を共有したジェリーの表情の中に見る夫。やはり、永遠の青春のような雰囲気が漂うのは、エンドロールの表情と歌詞によるところも大きいと思います。感情の豊かな映画でした。

そのヒルダのいろいろな心の動きを演じるのが、ジョーン・コリンズで、1951年映画デビューの名優です。 テレビでも、ナポレオンソロ、スタートレック、スパイ大作戦など、往年の名作にいろいろと出演がありました。そのような、ジョーン・コリンズは、この当時85歳。ほぼ一人舞台で、一挙手一投足を楽しむことができ、最大の見どころと思います。

Data
監督:Paul Agar, Victoria Hollup
脚本:Paul Agar, Victoria Hollup
製作国:イギリス
公開年:2018
時間:17 minute
スペック:白黒(カラー撮影)、シネスコ
Imdbリンク:Gerry (2018)

2020.4.25 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「いつまでも一緒に」倦怠期の夫婦のすれ違いを徹底的に描く

AmazonPrimeで、もうすぐ配信終了のリトアニア映画を、見逃すわけにはいかず鑑賞してみました。邦題は、「息を止めて」とついていますが、確かに息詰まるような家族の話であり、ラストの水が溢れた場面は息を止めるのでしょうが、今一つ意図が判らず、「いつまでも一緒に」でいいと思いました。これは、日本の映画祭で限定上映された時の邦題です。原題は、Amzinai kartuで、英題は、Together For Ever。この二つは同じ意味です。2015年の映画で、Lina Luzyte監督によるリトアニア・ルーマニア合作作品です。

あらすじ
スタントマンの夫(Dainius Gavenonis)は、車で妻(Gabija Jaraminaite)と娘(Eila Grybinaite)を拾い、教会のオルガンコンサートに行きますが、倦怠期の夫婦らしく、会話がほとんどなく、ぎこちない様子です。その夜、スタントの同僚の葬儀に出席。妻は娘に甘いものを食べさせず、早々に帰ります。次の日、夫は一泊の撮影に出かけ、妻は仕事。娘は母に止められているジャンクフードなどをこっそり食べ、時々残りをトイレに流しているようでした。そして、次の日は娘の動物園の社会見学。娘をバスまで送った妻は、仕事に向かおうとして思いなおし、動物園で社会見学中の娘を連れ戻し、家庭を少しでも修復しようと、夫のスタントの撮影現場を見学に行きます。その夜、娘が寝静まったあと、妻は危ない仕事はやめるように要求。しかし夫は聞く耳を持たず、2日後から、アゼルバイジャンへ3ヶ月の撮影旅行に行くと告げ、それ以上の会話が続きません。

翌日、妻は娘を連れて元カレ(Giedrius Savickas)の経営する、ゴーカードのサーキットに行き、遊んでいるうちに娘が失踪してしまいます。迷惑がる元カレに頼んで一緒に捜索する妻。元カレは彼女が自分を選ばなかったのに自分勝手だと、彼女の行動を責めています。警察に着くと娘が保護されていましたが、娘は母を知らない人だと言いはり、てこずらせます。カウンセラーと共に家に連れ帰ると、その夜、夫婦二人きりの時、妻は教会で正式に結婚式を挙げたいと提案。次の日、夫と白いドレスを買いました。その夜、妻は夫との関係が昔に戻ったようで、幸せを感じていますが、夫は、あっさりとアゼルバイジャンに向かってしまい、怒った妻は元カレを呼んで、山中のカーセックススポットへとデート。夫も、バスまで来たものの、アゼルバイジャン行きを悩んでいるようでした。

妻は朝帰りすると、娘が便器に捨てた食べ物で配管が詰まり、部屋中が水浸しになっていて、いないはずの夫が水を汲みだしていました。妻が手伝おうとすると、夫は無言で妻の手を払いのけ、取り付く島もありません。妻は沈んでいる娘を連れて行こうとしますが、夫に止められ、逆に夫と娘を家から追い出してしまいます。そして、ようやく水だけは取り除いたところで、妻がテレビをつけると、モールで天井が落下し、多数の死傷者が出ているというニュースが飛び込んできました。妻は気が動転し、夫と娘が行ったはずのモールへと向け駆けだします。さんざん探したところで、夫と娘が二人でいるのを遠めに見つけ、妻は物陰に駆け込んで嗚咽するのでした。



いつまでも一緒に

冒頭は、二人が車の中で、妻が話しかけ夫がほとんど返事をしないという、良くありがちな光景です。そして、葬儀のパーティでは、夫の仕事や仲間に大いに不満な様子で、こんな人たちと付き合いたくないという感じがにじみ出ています。そして、妻は夫との関係を修復するために、結婚式を提案したり、撮影現場を訪ねたりと努力はして見ます。一方で、夫の職業に不満で、変えさせようとしたり、笑顔をあまり見せなかったり、娘には間食させず、社会見学の動物園から連れ戻したりと、かなり自分本位なところもあるようです。

夫の留守に元カレを呼び出すに至ってはやり過ぎで、元カレもそれほど積極的に付き合っている訳では無いようです。妻が関係を修復しようと思っても、すでに冷めてしまっている感じがします。夫も、好きな仕事だからとはいえ、3ヶ月家を空けるのには負い目を感じていたようで、ギクシャクしながらも、心の底では危機感を持っているようでした。そんな空気を読んで、娘はなんとか親に合わせる努力をしながらも、ついに切れて逃走するという行動にでてしまったのでしょう。ラストは、夫と娘の無事を確認して、泣き崩れるところで終わりますが、まだ人生は長いです。どうなることやら…。

倦怠期の夫婦の雰囲気が良く出ていると思いました。たぶん、すでにお互いに愛するよりも、相手に気を使い、我慢しながら、なんとかやって行っているのでしょう。かなり冷え切った雰囲気がどんどん刺さってきます。しかし、出張をやめて帰ってきたら、妻が子供を置いたままで、朝帰りしてきた。それも部屋中水浸し。というのはヤバいですね。それも言うに事を欠いて、「いつ戻ってきたの?」って…。動物園に親が出かけて連れ帰るのは最悪です。子供が可愛そうです。切れて逃げ出すのは頷けます。警察官は意地悪してましたが、この母親を見透かしていたのかな?全体的に話はテンポよく進んで、要所要所で長回しを入れて、感情を印象付けていくスタイルで、あまり盛り上がらない話ではありますが、飽きずに見ることができました。これだけ倦怠期を見せつけられると、最後反省したように見えても、やはり先が思いやられます。

2020.4.18 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ケレル」 ファスビンダーの最後の作品は舞台作品のよう

ニュー・ジャーマン・シネマの旗手の一人、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の映画を見るのは、実はこれが初めてです。そもそもこの時代のドイツの映画と言うものを、それほど見たことが無いと思います。何事も経験という事で、Amazonにあった映画を見てみました。1982年の映画で、西ドイツ・フランス合作作品となります。実は音楽関係がラジー賞にいろいろとノミネートされています。ふむ…。

あらすじ
軍艦がブレスト港に入港した時、波止場の城壁の上にある売春宿の女主人リジアヌ(ジャンヌ・モロー)は、情夫ロベール(ハンノ・ペッシュル)に、そっくりの弟が来ると予言しました。一方、水夫達の上官セブロン(フランコ・ネロ)は、特に美しい肉体を持つケレル(ブラッド・デイヴィス)への思いをカセットに録音していました。上陸したケレルはロベールに会うと、町の警官マリオ(ブルクハルト・ドリースト)と組み、リジアヌの夫で宿の主人のノノ(ギュンター・カウフマン)の協力で、仲間の水夫ヴィック(ディーター・シドール)と共に、麻薬の密輸を成功させますが、ケレルは口封じでヴィックを殺してしまいます。

宿の常連で労働者のジル(ハンノ・ペッシュル(二役))は、ポーレットと彼女の弟ローガー(ローラン・マレ)との愛の間を行き来していましたが、仲間から侮辱され相手を殺してしまいました。ケレルは勝負にわざと負け、ノノやマリオに犯されることを選び、次第に悦楽と暴力に目覚めていきます。そして彼は、ジルの逃亡を助けるふりをして、警察に密告。セブロンは全ての根源がケレルにあると知りつつ、ケレルが逮捕されるのを防いでいました。ケレルは、ジルにつけひげをさせ、ヴィック殺しの犯人に仕立てあげようとするのでした。こうして黄色い夕陽の元で、ケレルとセブロンを乗せた艦は出港するのでした。



Querelle

ファスビンダー監督の映画を見るのも初めてであり、この時期のドイツの映画もほとんど見ていないので、ニュー・ジャーマン・シネマが何であったのか語るすべもないのですが、この映画を見る限り芸術嗜好でその少し前のヌーベルバーグからの流れにあるということは想像できました。そもそもかなり難解なのは、原作の難解さに加え、演出自体がアート志向ということで二重に見る者に考えさせるようになっているからでしょう。ただし出演している俳優陣は大物が多く、決して小規模なアート映画でないことは解ります。

この映画の特徴と思えるのは、まずは大胆にタブーに挑戦しているということで、男色の表現が執拗に出現します。自らの罪滅ぼしに落ちていった男という解釈でもいいのでしょうか。それを表現するのに水兵の世界を使っていると思います。そして演技がすべて港町の、見てそれとわかるようなセットで演じられていること。映画的な映像の演劇というスタイルだと思います。そこには独特の表現があり、普段見る映画とはより異質のものに思えました。

ファスビンダー監督は短い生涯を駆け抜けた多作の監督で、天才肌というタイプなのでしょうか。かつでのドイツの大音楽家たちうのような生涯であり生きざまであったのではないかと思いました。この映画は彼の最後の作品であり、それまでのいろいろな経歴が集積されているとも思いますので、初期の作品から順を追ってみていくと、理解が深まると思いますし、またじっくり見ていくに足る作品を多数残しているのではないかと思いました。いろいろ課題はつきませんが、いずれ取り組んでみたいと思います。

2019.11.30 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「とらわれて夏」 脱獄囚を匿う母子の心の動きが見どころ

ケイト・ウィンスレット主演のドラマ。脱獄囚との5日間の生活をテーマとした物語でした。ケイト・ウィンスレットの演技が存分に味わえる映画です。2013年の映画で、ジェイソン・ライトマン監督作品。ケイト・ウィンスレットは、ゴールデン・グローヴの女優賞ノミネートとなりました。

あらすじ
1987年の夏。離婚して鬱病を患っているシングルマザーのアデル(ケイト・ウィンスレット)は、13歳の息子ヘンリー(ガトリン・グリフィス)と郊外の一軒家に住んでいました。外出もままならない母をヘンリーはしっかり支えているつもりでした。ある日二人でスーパーに買い物に行ったとき、男に脅され自宅でかくまって欲しいとと頼まれます。男はフランク(ジョシュ・ブローリン)という脱獄犯で、二人は仕方なく、日没まで人質のフリをしてかくまうことにしました。翌朝は祝日の為汽車が来ず、フランクは家に残り、車や家の修理をこなしていきます。ヘンリーはフランクから野球を教わり、午後に隣人が届けてきた大量の熟した桃を使って、3人でピーチ・パイを作りました。そんなフランクに安らぎを見出したアデルは、フランクを引き留めるのでした。

翌日も、家の修理を続けるフランクに、アデルはダンスを教え、二人の仲は進展していきます。近所の人々の訪問などをうまく切り抜けながら過ごすうちに、恋人同士になった二人は、逃亡してカナダへ移住する計画を立て、ヘンリーに図書館でカナダについて調べるように頼みます。ヘンリーは図書館で出会ったレイチェルに、フランクに対しての複雑な思いを打ち明け、両親の離婚経験のあるレイチェルは、男を追い出さないと、ヘンリーが追い出されることになると忠告するのでした。家に帰ると、アデルはフランクへの想いをヘンリーに打ち明け、カナダで人生をやり直したいと話します。不安がるヘンリーには、もちろん3人で行くと言って、ヘンリーを抱きしめました。

カナダへの逃亡の前日、作業中に手を怪我をしたフランクの薬を買いに車に乗った時、アデルはフランクに、自分が何度も妊娠をしては流産を繰り返し、最後には死産をしてしまい精神を病んでしまったこと。そして、夫の不倫もあって離婚したと語ります。一方フランクは結婚しても男遊びの絶えない妻を突き飛ばした時に、運悪く殺してしまっていたのです。そして、出発の朝、警官のパトロールなどなんとか交わしはしたのですが、近所の人に見つかってしまい、外からパトカーのサイレンが聞こえると、フランクは二人を縛って人質に仕立て上げ、アデルにキスをし、ヘンリーにはたくましい男になるようにとメッセージを残し、警察に投降したのでした。

フランクには刑期が追加され、アデルは精神が不安定になり、ヘンリーの親権を父親に渡します。成長したヘンリーは、度々母親の元を訪ね、大人になると、フランクとの思い出のピーチ・パイの店を開業しました。もうすぐ刑期が終わるフランクは、ヘンリーのベーカリーを雑誌で知ると、アデルがまだ独りなら手紙を出したいと記した手紙を送ります。そしてフランクが出所すると、そこにはアデルが迎えに来ており、2人は抱擁を交わし新しい生活を始めたのでした



とらわれて夏

ストーリーは単純ではありますが、普通に考えればいろいろと無理筋じゃないかなぁと思いました。それでも妙に納得してしまうのは、とてもうまく見せられたということだと思います。ストックホルム症候群とか頭をよぎりましたが、それよりも個々のキャラクターの造形と素晴らしい演技にやられてしまったということだと思いました。映像もアメリカの小さな田舎町の風情がよくでていて、なかなかきれいなのでした。そして、こういったストーリー展開ですから、緊張感も持続し目が離せないというところもありました。

ラストについては、ここで終わってもいいなという場面を何度か感じましたが、まだまだストーリーが先へと延びていきました。ここまで見せてくれればサービス満点で、すべて納得して、感動したまま帰れるというものです。ということで、大変親切な作りになっていますし、ちゃんとお望みどおりに落ち着けましたという感じです。脱獄犯のフランクは、実は理想的な男性であり夫であって、なかなかバランスの良い、出来過ぎくらいの男に描かれています。ただし、アデルにいろいろと教える場面が、ことごとく後ろから手を回したり、故意に手を重ねたりなど、エロ親父的なわざとらしい感じなので、そこは笑ってしまいます。

それで、やはりということなのですが、この物語の一番はケイト・ウィンスレットと少年の役柄と演技だと思いました。男はいわばストーリーの進行役であり、展開を進めるタイムキーパーのようなもので、ケイト・ウィンスレットの素晴らしい演技を堪能し、少年の行動を見るということだと思います。実際に中学1年生という年代で、どういう反応をするのか?母子で育ってきて、母親をサポートするという役割を自らに言い聞かせてきた少年の前に現れた男性に、母親が急速にひかれていくところに遭遇し、少年はどう行動し、どんな影響がでるのか。そういった効果も重なって緊張感が増していきます。やはり、基本は無理筋なストーリーでありながらも、巧みな展開と演技に脱帽しましたといったところだと思いました。

2020.3.22 HCMC自宅にてAmazon Primeよよりのパソコン鑑賞

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プロフィール

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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