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「シャイニング」 音も映像も美しい、トラウマホラー映画

公開時に見て、トラウマの一つになっているシャイニングですが、NHKで放映されたので録画して久しぶりに見てみました。やはり、映像や音楽の美しさというか、雄弁さを改めて感じ、改めて堪能した次第です。今見てみると、コンパクトにまとまったいい映画だなという印象も持ちました。1980年のスタンリー・キューブリック監督作品です。

あらすじ
ジャック(ジャック・ニコルソン)は、小説を書きながら職を探していると、山上のホテルの冬季管理人の仕事に出会い化した。誰にも邪魔されず小説の執筆に取り組めるという一石二鳥で仕事で、妻のウェンディ(シェリー・デュヴァル)と息子のダニー(ダニー・ロイド)と共に冬季営業休止直前のホテルに向かいます。そして従業員たちが山から下りる最終日、ダニーはコックのハロラン(スキャットマン・クローザース)から、彼には「シャイニング」という不思議な力があることと告げられ、このホテルの過去の忌まわしい事件により、不思議なことが起こるかもしれないこと、また237号室には近づいてはいけない事など告げられました。

やがて山は雪に埋もれ、家族三人は山奥のホテルに孤立状態になります。ダニーはホテルの廊下を三輪車で走り回って遊んでいると、そこに双子の女の子が突然現れたりします。そして警告にもかかわらず、237号室に立ち寄ります。一方ジャックは、ウェンディとダニーを殺してしまう悪夢に見舞われ、それをウェンディに話していると、そこに現れたダニーの首にアザがあったことから、ウェンディはジャックの仕業だと責めてしまいます。その頃、シャイニングにより危険を察知したハロランがホテルに向けて出発していました。家族の溝は徐々に広がっていきます。誰もいない広いロビーでタイプライターを打つジャックの作品を、ウェンディがのぞき込むと、同じ言葉が繰り返されている大量の用紙がありました。ジャックはウェンディを襲いますが、ウェンディはバットで殴って気絶させ、食料倉庫に閉じ込めてしまいます。

ジャックは霊の力を借りて、食料倉庫から脱出しました。そして、幽霊の集うパーティーで悪霊たちと会話の後、斧を持ってウェンディとダニーに襲いかかります。狂気に満ちたジャックの顔で襲ってくるジャックに、ウェンディの悲鳴をあげ、やっと到着したハロランも、ジャックに斧で一撃に殺されてしまいます。ダニーはホテルの庭の巨大迷路に逃げ込み、ジャックが追いかけます。ダニーは機転を利かせて迷路を脱出し、ホテルから出てきたウェンディとともにハロランが乗ってきた雪上車でホテルから逃げだします。ジャックは結局迷路から出られず、凍死してしまいました。そして、ホテルに飾ってある過去の写真の中に、何十年も昔に撮られたパーティーの写真の中にはジャックの姿が映っているのでした。



シャイニング 2019視聴

公開当時劇場で見て、その後も時々ビデオなどで見た記憶がありますが、しばらくご無沙汰していました。NHKで放映されていたので、録画しての久しぶりの鑑賞です。何となくゆったりと進行していくホラーのイメージがあったのですが、見てみると開始早々から掴みかかってくるホラーだったのですね。久しぶりに見て印象が変わりました。印象に残る場面が連続していくので、それらがいちいち過去の記憶に刷り込まれていて、一つ一つ思い出していきます。

エレベーターホールに、赤い液体が噴出してくる場面。この赤い色の洪水は、サスペリアのイメージを彷彿させます。かなり前半から、この場面は出てきます。後半に入ると、むしろアクション的動きと、懐古的感興が中心になり、ホラーの部分は前半に効果的に集中していると思いました。冬のホテルに魅入られた人々。ホテルはいろいろな演出を見せてジャックを取り込んでいきます。その中では、フィリップ・ストーンがやはり強烈でした。

この映画の印象的な場面は、一度見ると忘れられないようなインパクトがあります。視覚的にもかなり効果的だと思います。そして、その映像につけられた音楽が素晴らしいのです。バルトークの弦チェレはもともと好きでしたが、この映画を見てから座右の曲になってしまいました。非常に効果的に使われています。ペンデレツキも、この映画を見てから、当時はあまり販売されていなかったレコードを輸入盤であちこち探し回った記憶があります。いろんなところが良く練られた素晴らしい作品だと思います。

2019.12.15 自宅にてNHKBS Premiunよりの録画鑑賞
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「西部の男」 西部の人々の多様性と、映画を彩る女優たち

ウィリアム・ワイラー監督の西部劇。未見でしたが、名前は聞いたことがありますので、きっと名作だと思い、楽しみに見ました。1940年の映画で、ゲイリー・クーパーの西部劇でもあります。

あらすじ
牧場ばかりだったこの地に農民が移住して来るようになってから、両者の間に争いが絶えませんでした。そして、地元を取り仕切り、酒場も経営しているロイ・ビーン判事(ウォルター・ブレナン)は、牧場主と連携して農民を虐げていました。ある日、馬泥棒の嫌疑で捕えられたコール・ハードン(ゲイリー・クーパー)は、判事が女優リリー・ラングトリーにぞっこんだと知ると、自分はリリーの髪の毛を持っていると偽り、その髪を欲しがる判事に判決を保留させることに成功します。そして、判事にも取り入りつつ、自らは農民側のマシューズ老人(フレッド・ストーン)の家に宿泊。両者の諍いを静めようとし始めました。

ある日、牧童の横暴に業を煮やした農民たちが、判事に私刑を加えようと酒場を襲うと、コールは仲立ちに入り、判事にリリーの髪の毛を与えることを条件に、牛を農民の土地に入れないよう判事に約束させます。そしてコールは、マシューズ老人の娘ジェーン=エレン(ドリス・ダヴェンポート)から髪の毛を貰い、リリーのものと称して判事に渡しました。牛による被害もなく、豊作で迎えた感謝祭の日、判事と牧童たちは突如として農場や作物を焼き打ちにし、マシューズ老人も混乱の中で死んでしまい、ジェーン=エレンは、この土地に残り再起することを誓います。

コールは判事の元を訪れ、焼き打ちの責任を追及。更に保安官を訪ねて、判事の逮捕状を発行させました。判事はその日街で行われるリリーの公演の切符を買占め、1人で劇場に入っていきます。そこに現れたのはコールで銃撃戦となり判事はコールの弾によって瀕死の重傷を負います。そして、憧れのリリー(リリアン・ボンド)の元に連れていかれた判事は、その足許に倒れて息絶えたのでした。



西部の男

アメリカの正統派西部劇の鑑賞でした。ロイ・ビーンのウォルター・ブレナンがアカデミー助演男優賞に輝いた作品です。ロイ・ビーンについては、史実を読んでみると波乱万丈な生涯だったようですが、この映画はその一部のエピソードを拝借したという形だと思います。ウォルター・ブレナンは、この解りにくい性格の男をよく演じていると思いました。ストーリー全体としては、勧善懲悪的に一筋縄ではいかないようで、どうにもとらえどころのないお話。西部の多様性を現わしていると考えれば、そういうことかと思います。中には回収されていないようなエピソードもありますし。

西部の男たちの物語はさておいて、気になったのは女優さんたちの演技。最後にいいところを持っていった感じのリリアン・ボンドは、どちらかというとバイプレイヤーなのでしょうか?彼女が主役級であった、ホラー映画の「魔の家(1932)」の4Kレストア版のトレーラーをネットで見たところ、4Kで蘇った彼女の美しさが解りました。せっかくですので、是非この4K版を見てみたいと思いました。彼女がこの映画で演じた、リリー・ラングトリーという人物は実在の舞台女優で、映画も1910年代に1本だけ出演作品があるようです。

もう一人、ドリス・ダヴェンポートはスーザン・ヘイワードたちと同じで、風と共に去りぬのオーディションのファイナリストであったようです。でも、この映画に抜擢されたものの、結局はサミュエル・ゴールドウィンのいい印象が得られず、事故などもあったようで引退してしまったとのこと。ほぼこの作品のみに名を残すことになりました。この映画の中で、ゲーリー・クーパーに冗談にでも、あまり美人ではないと言われてしまいますが、何となく彼女の境遇と妙に重なってしまいました。実際には、さすがに美人だと思いますが…。

そういう訳で、主役は男性俳優ながら、妙に女優さんが気になってしまった映画なのでした。

2019.8.19 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「テンプルちゃんの小公女」 子役アイドルのテンプルちゃん

Amazon Primeにあったので、何気なく見始めました。シャーリー・テンプルの映画は初めてでも無いのですが、主演の映画をじっくり見るのは初めてかもしれません。どんな演技を見せてくれるか期待です。1939年のウォルター・ラング監督による作品です。

あらすじ
クルー大尉(アイアン・ハンター)と娘のセーラ(シャーリー・テンプル)は、インドから祖国イギリスに戻ってきました。大尉はセーラを寄宿学校に預け、南アフリカの戦地に向かい、寄宿学校のミンチン先生(メアリー・ナッシュ)は、父子の財産に目を付け、セーラに最大限の気の使いようです。ところが突然、父親の戦死の知らせがはいると、セーラに遺産のないことを知ったミンチン先生は、急に態度が変え、セーラを召使いとして、ベッキー(シビル・ジェーソン)と一緒に屋根裏部屋に住まわせました。しかしセーラは、父親の生還を信じ、一所懸命慟いたのでした。

セーラは陸軍病院を訪ねては、父親を探す毎日でしたが、ある日女王様になった夢を見ます。そして、夢から醒めると部屋が見違える程美しくなり、テーブルには御馳走が並んでいました。それは隣家の主人が、セーラの身の上を知ってプレゼントしたものでした。セーラが盗みをしたと思ったミンチン先生は警察を呼んでしまいます。病院に逃げ込んだセーラは戦傷者として収容されていた父親を発見。しかし父は記憶を失っており、自分もセーラも解らない状態でした。そして、父にしがみつき、必死に名を呼ぶセーラに、ついに父親の記憶が甦ったのでした。



テンプルちゃんの小公女

昔、学級文庫とか学校の図書館にあった小公女。日本ではかつてアニメでも製作されていました。しかし、私は今一つ興味が湧かなかったので、読んでおらずいまごろこの映画を見ています。小公子と小公女の違いも良く理解しておりません(笑)。バーネットの原作は、時代が少し前で父親はダイヤモンドの鉱山の発掘を行っていた設定の様子。この物語でいえばクルー大尉の父が小説での父親にあたりそうです。

シャーリー・テンプルは天才子役として有名ですが、成人の頃引退し、外交官や大企業の名だたる重役を歴任する等、才媛を超えてアメリカを代表するような女性であったとのこと。子役でちやほやされて破滅の道をたどるケースも多いようですが、彼女の場合本人も超真面目人間であるうえに、育った家庭も上流かつ厳格であり、また当時としては、並みの人気を超越した存在であったようで、順調に成長を遂げています。

フォックスを倒産から救うほどの人気ですから、ここに出ている俳優陣も裏方も、すべてシャーリー・テンプルに食べさせてもらっているような構図なんでしょうか。ということは名実ともにプリンセスであったのではないかと思います。他の俳優陣では、ミンチン先生のメアリー・ナッシュがなかなかの悪役ぶりでした。悪役のベスト100に入ってもいいくらいの意地悪ぶりです。夢の中で魔女になるのも面白かったです。

2019.8.15 HCMC自宅にて、Amazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「総攻撃」 コンパクトにまとまった戦場の兵士たちのドラマ

Amazon Prime にあるクラシカルな映画の中から、あまり意図せずお手軽な感じで選んで見てみました。ノルマンディー上陸作戦をモチーフにした戦争映画。1950年の作品で、ルイス・サイラー監督による映画です。

あらすじ
ノルマンディー上陸作戦を控えたヘール(デイヴィッド・ブライアン)の中隊に、小隊長マロリー(ジョン・エイガー)が編入してきました。マロリーは実戦派のヘールと異なり理論派で、ヘールとは合わないなか、作戦は実行されます。そして連合軍は生垣戦術という、生垣から他の生垣へと一歩一歩前進するという作戦で独軍を撃退していきました。マロリー小隊は、戦いの中で部下を失い、ヘールは連戦の功績に対し、初めてマロリーを賞めたものの、ヘールの部下の死に対する冷たい態度に、マロリーは憤怒を爆発させますが、一方でヘールも部下の死に関する思いは強いものがあったのでした。

マロリー小隊はある日、付近の町の町長から、独軍の撤退に伴い無血入城を頼まれます。しかし町民の歓迎を受ける中で、独軍の協力者だったフランス女性の銃撃を受け、数人の兵士が倒れ、これを契機に独軍の戦車による反撃が始まりました。戦闘が続く中、司令部からの上官が来訪。ヘールに司令部入りを申し渡し、第一線の中隊長での活躍を誇りとするヘールは渋々承知しますが、後任にマロリーを推薦し、上官の反対を押し切ります。マロリーもヘールの意図を悟り、中隊長として指揮しながら、新たに派遣された経験の少ない小隊長を鼓舞するのでした



総攻撃

ノルマンディー上陸作戦に向けての訓練の場面から、上陸し地域を制圧するまでの出来事を背景に、実戦経験の豊富な中隊長と理論派の小隊長の関係を描く戦争映画。実戦経験が無く、士官学校から配属されてきたばかりの小隊長に対し、その能力を感じた中隊長は危険な任務を間断なく与え、小隊長はこれに反発しながらも実戦を積み、成長していくというお話です。

一般社会に置き換えてみると、上司と部下の人間関係や部下の育成指導のお話ということになりますが、ここは戦場。一つのミスが大勢の命を奪いかねないという状況の中で、そこで長として立つことのできる強靭な精神力を育てていくということになります。そして、その映画の意図は十分伝わってきました。また、職場の長はいつも苦労するよという風情の古参の軍曹なども印象的でした。一方で、ノルマンディー上陸作戦で最大の犠牲者が出たというオマハビーチの戦闘を語るという部分については、少々迫力不足。戦場の緊迫感や、隊長の苦汁の決断など、虚々実々の駆け引きなど、戦争映画の妙味となるところが深く描かれている訳ではありません。従って、ドラマとしては楽しめますが、そつの無い映画という印象です。

原題は、Breakthroughということで、作品の主眼はそこ。超有名俳優は見当たらないのですが、マロリー役のジョン・エイガーは、B級西部劇やSF映画にたくさんの作品があるようなので、またどこかでお目にかかると思います。部下の兵士も個性をうまく描き分けられていて、多士済々でそこは雰囲気が良く出ていたと思います。中でも、最初のうちは、足を引っ張っていた新入りが印象に残りました。

2019.8.15 HCMC自宅にてAmazon Prime よりパソコン鑑賞

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「麗しのサブリナ」 オードリーのシンデレラストーリー

麗しのサブリナは、オードリー・ヘプバーンがローマの休日の次に出演した映画。1954年の映画で、ビリー・ワイルダー監督の作品です。定番ですね。オスカーでは衣装デザイン賞受賞で、監督賞・主演女優賞など5部門ノミネート。まぁ、前年とってますからね。ゴールデングローブ賞は脚本賞を受賞しました。

あらすじ
ララビー家のお抱え運転手の娘サブリナ(オードリー・ヘプバーン)は、ララビー家の次男デイヴィッド(ウィリアム・ホールデン)に思いを寄せていました。しかし父は叶わぬ恋を諦めさせようと、彼女をパリの料理学校に行かせてしまいます。それから二年がたち、サブリナは垢抜けたパリのスタイルを身につけて帰って来ると、デイヴィッドは彼女に熱を上げ、自分と財閥令嬢エリザベス(マーサ・ハイヤー)の婚約披露パーティーにサブリナを招待し、サブリナとばかり踊る始末でした。この事態はまずいと、兄で謹厳実直な経営者のライナス(ハンフリー・ボガート)は、デイヴィッドに怪我をさせ、その間にサブリナを再びパリに送ろうと画策し、サブリナと接し始めます。そして、サブリナの心はだんだんとライナスに傾きました。

ライナスとパリへ行くことになって喜ぶサブリナでしたが、ライナスは乗船しないつもりでした。サブリナはそのことを知ると、すべてを諦めて一人でパリへ行く決心をします。ライナスも自分が本当にサブリナに恋していることに気づきましたが、サブリナ出帆の日、ララビーの会社では重役会議でデイヴィッドとサブリナの結婚を発表するつもりでした。しかし、ライナスの気持ちをしったデイヴィッドは、ライナスとサブリナが結婚するという新聞記事を見せ、サブリナの乗る船に急げ、と兄をけしかけ、ライナスはサブリナを追って、甲板でふたりは抱き合うのでした。



麗しのサブリナ

コメディの名作を二作品続けて見ていました。「紳士は金髪がお好き」を見て、こちらと、まぁ、贅沢な時間です。オードリーのローマの休日に続く作品で、幼いころから好きだったデイヴィッドと念願かなってやっと相思相愛になったと思ったら、デイヴィッドが怪我をしている間にその代役の兄に惹かれていく話。ちょっと強引な展開で、ついていくのに少々無理がありました。兄のライナスは堅物だが人格者。それがサブリナと出会ってすっかり心を奪われてしまう。でも、兄弟譲り合って、さてどうなる??というお話です。

ハンフリー・ボガードが、もっと若かったらなぁと思いました。どうもつり合いが取れない感じがして仕方ありません。そこがストーリーの強引さと相まって、正直わたくし的には今一つなところです。それ以外は素晴らしいと思います。やはりオードリーだし、その魅力の前では余計なことは言えませんからね。

そしてそういった、妙に引っかかる部分を乗り越えて、さすがはビリー・ワイルダーだと思います。ハリウッドのコメディらしく、本当にうまく仕上がっていると思います。名言あり洒落た演出がふんだんにありという感じで、なかなか魅せてくれます。ハリウッドにもいろいろありますが、私にとってのハリウッドの代表イメージは、ビリー・ワイルダーの映画みたいな図式が、頭の中で出来ていたりするのでした。

2019.8.11 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「砂漠の鬼将軍」 ロンメル将軍の葛藤とヒトラー暗殺計画

砂漠の将軍と言えば、まず第一にロンメルを連想するほど、敵味方を問わず大変有名になっていますが、この映画は、そのロンメルが本国に戻り、自殺するまでをメインとした伝記的映画。決して戦闘場面が主ではなく、ロンメルを讃えたアメリカ映画という形になっています。ヘンリー・ハサウエイ監督による、1951年の作品です。

あらすじ
第二次大戦初期、ロンメル元帥(ジェームズ・メイソン)は北アフリカ戦線において連合軍を翻弄し続けていましたが、次第に形勢不利となり、エル・アラメインでの後退以降は、ベルリンのヒトラー(ルーサー・アドラー)とその側近たちは、「勝利か死か」を突きつけ、退却を許さなくなりました。病気療養でベルリンに戻ったロンメルは、ヒトラー暗殺を計画する、旧友のシュトゥットガルト市長カール・ストローリン(セドリック・ハードウィック)の訪問を受け、ドイツを守るためには暗殺しかないと、計画に誘われます。1943年末には、ロンメルは大西洋方面の防衛ラインを視察し、その弱点を総司令官のルントシュテット元帥(レオ・G・キャロル)に進言しますが、ヒトラーは現場の意見を取り入れず、自説を強行するのみ。ストローリンの意見の正しいことを改めて悟ります。

1944年に、連合軍はノルマンディーに上陸し、ドイツ軍は次第に追い詰められていくと、ヒトラーは益々聞く耳を持たなくなり、総統暗殺に加わる決意を固めますが、連合軍機の銃撃にあい重傷を負ってしまいます。この時には暗殺計画が発動しており、ヒトラーが会議中のところで爆弾がさく裂しますが、総統は奇跡的に難を逃れてしまいました。これ以降、ブラック・リストに載ったロンメルは、自宅で療養中のところに総統の使者の訪問を受け、もし公開の軍法会議を望めば家族の生命も保証しないという条件を突きつけられ、服毒自殺を選択。ロンメルの死は栄誉ある戦士と公表されたのでした。



砂漠の鬼将軍

題名から、砂漠での戦車戦を想像してしまいますが、この映画はいわばロンメル元帥の伝記映画というスタイルでした。北アフリカ戦線の、エル・アラメインの戦いあたりから、ロンメル元帥の自殺までの間の、ロンメルの政府との対立と葛藤が描かれています。史実との差はあまりないのではと思います。そして、描かれているのは軍の司令官の立場と行動、ヒトラー及び中央政府との関係性、占星術とも揶揄されるヒトラーの判断の誤り、そして普遍的な、現場と本部の考え方の違いなどなど。

ストーリーは主に、ヒトラー暗殺計画と絡みながら展開していきます。そもそもヒトラー暗殺計画自体は何度も計画され、ことごとく失敗したようですが、厳重な警備や諜報網の中で容易に手出しできないことに加え、かなり運の部分もあったのではないかと思いました。ロンメル元帥自体は、生粋の軍人として描かれており、暗殺計画との係わりは微妙な描かれ方をしていますが、最後は首謀者の一人とみなされ自殺を強要されます。政府も国内外で人気のある彼を裁きたくなかったということです。

映画としては、無駄を省いた引き締まったストーリー展開で、どんどん引き込まれていきます。伝記映画はかくあるべしと思いました。ロンメル役はジェームズ・メイソン。背筋がビシッと通って、実際のロンメル元帥が着用していた軍服を着ての演技とのことで、大変に嵌っていると思いました。夫人のジェシカ・タンディが美しく、ロンメル元帥を支える軍人の妻として、毅然とした姿を好演してます。派手ではありませんが、80歳でオスカーを受賞するという、大変息の長い女優さんです。

2019.7.1 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「アリータ:バトル・エンジェル」CGを駆使した日本漫画の実写化

機内で肩の凝らない映画鑑賞をと思って選びました。原作は日本の漫画である「銃夢」。2019年公開のアメリカ映画です。ジェームズ・キャメロンが脚本とプロデューサーにあたり、ロバート・ロドリゲスが監督した作品です。

あらすじ
サイバードクターのイド(クリストフ・ヴァルツ)はアイアンシティでクズ鉄の山の中から、サイボーグの少女の頭部を発見します。さっそく自分の診療所へ持ち帰ると、無傷で高度な脳が残っていたため、サイボーグの胴体を接続しました。そして、自分の記憶を無くして目覚めた少女を、イドはアリータ(ローサ・サラザール)と名づけます。アリータとはイドが亡くした娘の名前で、母親のチレン(ジェニファー・コネリー)は娘の死後イドと別れていました。チレンは現在、優秀なサイボーグを競うモーターボール大会を主催するベクター(マハーシャラ・アリ)と言う男の部下として働き、自らを上空に浮かぶ故郷ザレムに送ってもらう機会を待っているのでした。

アリータはヒューゴ(キーアン・ジョンソン)というザレム行きを夢見る少年と友達になりました。アリータは、毎日イドが傷を負って帰ってくることから、ある日イドの後をつけると、イドはハンターウォリアーとして犯罪者サイボーグ達を退治していました。イドが劣勢と見るや、アリータは瞬間的に強大なパワーを発揮。戦士の記憶がフラッシュバックします。アリータから逃れた凶悪なグリュシュカは、ベクターの元へ逃げかえりました。グリュシュカの報告で、ベクターとチレンは、アリータが過去に作られた最強兵器だと知り、それを知ったザレムを仕切る男ノバは、ベクター達にアリータの殺害を命じます。そしてチレンは達成すればザレムに戻してやると約束されました。

ベクターはモーターボール大会にアリータを参加させ、他の参加者達に狙わせますが、アリータはすべて返り討ちにします。そこへヒューゴが襲われていると言う知らせが入り、大会から飛び出していきます。ヒューゴは瀕死の状態で、イドの診療所に運ばれたヒューゴに、イドはサイボーグの体をつなぎ合わせました。アリータはベクターを倒すべく彼のオフィスへ向かうと、彼がノバにコントロールされていることに気づきます。ノバが究極の敵であると知ったアリータは、ベクターを殺害しイドの元へ戻ると、ヒューゴがノバを倒すためにザレムに向かっていることを知ります。アリータは止めに行きますが、それをザレムから見ていたノバはヒューゴに向かって殺人カッターを投入し、ヒューゴはザレムへの道からアイアンシティへと落下し、死んでしまいました。そして、モーターボール大会に出場するアリータはザレムを見上げノバを倒す事を誓い、ザレムではアリータの姿をノバが見下ろしているのでした。



アリータ:バトル・エンジェル


日本の漫画「銃夢」をハリウッドで実写映画化した作品です。残念ながら原作には疎いので、そういった方面からは語ることができませんが、アクションや映像が美しい映画と思いました。結構アンドロイド物は好きなので、そう思って見始めたのですが、これはサイボーグでしたね。人間の脳がしっかり入っているようです。アイアンシティの描写も見事で、今どきのSFらしい、素晴らしい近未来像が情景として描かれています。

ストーリーとしては、まだまだではないでしょうか。ジュブナイル的なストーリーということもありますが、ザレムの世界がどうなっているかとか、双方の成り立ちや歴史がまだ盛り込まれていないようです。ラストも続編ありきで終わりますので、そのあたりは次に期待というところでしょう。したがって、この作品だけ見ると、アクション中心にまとまった映画ということになります。それはそれで、見どころは多かったと思います。

主役のアリータは、ローサ・サラザールさん。だいぶCGなどでいろいろ盛られていると思います。出来上がったアリータの目の目立ち顔立ちは、なかなか可愛らしいと思いました。確かにアニメとか目が大きいですね。そういったイメージもかなり盛り込まれているのでしょうか。肩の凝らない作品だったので、次回作はこの世界の歴史なども盛り込んでの続編を期待したいと思います。

2020.1.29 NARITA→HCMC VN301にて機内鑑賞

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「切腹」 太平の世に生活に困窮した武士にとっての面目とは

ずいぶんと前に録画してあった「切腹」です。1962年の映画で、カンヌ映画祭では審査員特別賞を受賞しています。日本でもいくつかの受賞がありました。キネ旬は3位でした。松竹の製作で、監督は小林正樹の作品になります。名画なので、心して見てみます。

あらすじ
太平の世となった江戸。井伊家の江戸屋敷に、安芸福島家元家臣、津雲半四郎(仲代達矢)と名乗る浪人が訪ねてきます。その用向きは、生活に困窮し武士らしく切腹したいので屋敷の庭先を借りたいというもの。応対した家老の斎藤勘解由(三國連太郎)は、先だって同じようなことを申し出てきた、千々岩求女(石濱朗)の顛末を語り始めました。切腹志願は、その頃食い詰めた武士の間で流行っていたゆすりの手で、厄介払いの為の金銭を目的としたもの。井伊家では世に警鐘を鳴らすためと、切腹に追い込まれて、一度家に帰りたいという求女を慇懃かつ丁重に扱ったうえ、困窮し刀も質に入れてしまった求女を、竹光で本当に切腹させたのでした。

勘解由は先の判断に良心の呵責も感じており、半四郎に思いとどまらせようとしますが、半四郎は動じず、頑ななその態度に勘解由は切腹の準備を命じます。実は半四郎は求女の育ての親であり、また求女は病弱な半四郎の娘(岩下志麻)を妻にもらってくれたのでした。そもそも、求女がここを訪れたのは、病気の妻を抱えて長らく困窮し、あわよくば仕官、さもなくとも薬代を得たかったからでした。半四郎は井伊家の薄情な仕打ちを許すことができなかったのです。切腹の時、半四郎は介錯人に井伊家中の沢潟彦九郎(丹波哲郎)、矢崎隼人(中谷一郎)、川辺右馬介(青木義朗)を順に指名しますが、三名とも病欠でした。半四郎は、勘解由にこの三人は、求女を死に追いやった者であり、半四郎の復讐として事前に果し合いで髷を切り落とされていたのです。三名は髷が生え揃うまで仮病をかたって出仕していないのでした。

勘解由はこれを知ると、井伊家の恥が伝播することを恐れ、半四郎をこの場で打ち取ることを命じます。求女を容赦なく竹光で切腹させ、家臣が不覚にも髷を落とされたことが知られれば、譜代とはいえ幕府よりのお咎めが避けられないことが判っていたのです。数十名の家臣が半四郎に襲い掛かり、戦国の世を生き抜いた達人の半四郎は、多くを返り討ちにします。しかし、多勢に無勢。半四郎は最後には討ち死にしてしまいます。そして、勘解由は髷を堕とされた三名を切腹させ、負傷者には手厚い治療をし、ご公儀には、半四郎は見事切腹したこと、死者はすべてが病死として報告します。勘解由にとっては武士の面目などよりも、藩の存続が最優先であったのです。



切腹

数ある邦画の中でも、その歴史を語る中で必ず出てくる作品の一つ。率直な感想は、その普遍的なテーマと演技の凄さでした。今風に言えば、会社が倒産して路頭に迷い、不況の中で再就職もままならず、困窮にあえぐ者と、安泰な大企業において、会社を守り、無情に建前を通す社員たち。そして、井伊家の家臣たちは、非情に筋を通すという事を超えて、それは筋を通すというよりも、相手の立場の弱さを逆手に取り、見せしめのように浪人を追い詰めるていくところは、積極的な虐めとなって描かれます。弱者に対して、論理を笠に着て、これ見よがしに虐めに出る心理そのものです。

そして、俳優陣の個々の演技が秀逸です。こんな素晴らしい演技は最近の映画ではなかなか見られないなぁと思うほど、強烈なもの。仲代達矢三國連太郎のやり取りもさることながら、追い詰められる石浜朗や、何にも増して、困窮していく岩下志麻の演技は体中から感情を噴出させるような演技であったと思います。役者の熱演と、演出の見事な相乗効果ではないかと思った次第です。

劇中で、仲代と三國のやり取りにもあるように、テーマは武士道の虚飾をえぐるもの。武士の面目は、武士道精神の中で、自らの行動規範として信奉した者には悲劇が訪れ、三國は常にそれを組織を守る建前に使っていく。災難はいつでも降りかかる。それをいかにやり過ごしていくか。それが家を存続させるために必要な才覚であり、失敗すると明日は浪人として路頭に迷うという世界であったのです。太平の世で過剰となった武士の過酷さからくるもの。高邁にも思える武士道でさえ、解釈するのは人であり、時勢によっていかようにも変化するという厳しい見方をしていると思います。

2020.1.22 自宅にてNHKBS Premiumよりの録画鑑賞

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「喝采 (1929)」 名歌手ヘレン・モーガンの迫真の演技

歌姫ヘレン・モーガンの初のタイトルロール作品。クラブシンガーで注目を浴びた彼女は、ミュージカル「ショー・ボート」で名声を確立しました。そんな絶頂期に撮影された作品です。1929年の作品で、監督はルーベン・マムーリアンでした。アルコール依存症で苦しんだ彼女ですが、そんな悲劇の歌姫と重なる映画でもあります。

あらすじ
ニューヨークの場末の劇団の看板女優キティー・ダーリング(ヘレン・モーガン)は、一人娘のエプリル(ジョーン・ピアース)との二人家族でした。キティーは一度はブロードウェイの舞台に立ちたいという夢があったのですが、娘にはこんな仕事はさせたくないと、小さいころから彼女を修道院に預けます。キティーは一人の寂しい生活を、一座の三枚目役者のヒッチ(フラー・メリッシュ・ジュニア)との付き合いで紛らわしながら過ごしてきたのでした。

そして、エプリルも17才となり、元来女好きであったヒッチは、エプリルのことを知ると修道院から呼び寄せ、キティーと暮らし始めます。しかし、ヒッチの目的はエプリルで、母親の不在にヒッチは度々エプリルに言い寄りますが、エプリルはヒッチを拒絶し、母親に訴えます。そんな日々の中で、エプリルが街で絡まれた時、船乗りのトニー(ヘンリー・ウォズウォース)に助けられ、二人はお互いに恋するようになります。母親も、エプリルが荒んだ生活から離れ、幸せな生活を送ることを願っていたので、二人を認め、エプリルはプロポーズを受けようとします。

しかし、エプリルはキティーがヒッチからも過去の芸人と罵られ、母の生活を助けるためには、好条件のオファーを貰っていたエプリルが舞台に上がって助けるしかないと考え、愛するトニーとの結婚を断り、今まで軽蔑していた舞台に立つ決心をします。一方、その時娘の幸せを見届けたつもりのキティーは、自分にはもう先が無いと、毒を飲んでしまい、劇場支配人はキティーが調子が悪いと見ると、エプリルを代役に立て、彼女は一生に一度の観客の大喝采を浴びました。舞台裏には、別れて航海に出たはずのトニーが彼女を迎え、その時母親はひっそりと息を引き取っていたのでした…。



喝采(1929)

ブロードウェイの名歌手ヘレン・モーガンの主演による、舞台裏テーマの作品。1929年の映画ですが、彼女のモダンな迫真の演技に驚きました。古い映画は頭の中を古い映画に合わせてみないと、違和感が付きまとうことが往々にしてあるのですが、このヘレン・モーガンの自殺に至る演技には、逆に古いハリウッド映画に切り替わっている頭が、ストレートに意表を突かれました。彼女の映画初主演として出演したこの作品の中での鬼気迫る演技は、元々の舞台の芸術家としてのポテンシャルの限りのない高さを感じた次第です。

このほかにも、ジョーン・ピアースとヘンリー・ウォズウォースの別れ話のシーンとか、あまりに自然過ぎて、ガチな別れ話になっています。作ったような映画が多い中で、この自然さはちょっと驚きました。ハリウッドの映画に何かリアリズムのようなものを感じます。そして、次の電車がすぐに来るという、ホームの男性のウィットに富んだセリフには思わずにんまりしてしまいます。

その様に、途中途中に大変に見どころの多かった映画でした。ちょっと残念なのは、ラストがあっさりしすぎで、オイオイという感じで終わってしまったこと。もう少しじっくり仕上げることができたのではと思うと、途中が素晴らしかっただけに、少し残念でした。でも、全体としてはストーリーもしっかりしていて感動的な映画だったと思います。いい映画に出会えたと思いました。

さて、ヘレン・モーガンは、ミュージカルショウ・ボートの初演メンバーになる訳ですが、このオリジナルメンバーを起用して制作されたのがショウ・ボート(1936)。これが、ヘレン・モーガンにとって最後の映画作品となりました。

2019.9.19 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「あのアーミン毛皮の貴婦人」 ルビッチの遺作となった洒落たミュージカル

エルンスト・ルビッチの最後のミュージカル。楽しいコメディを期待しての鑑賞です。アカデミー賞には、"This Is the Moment"が音楽賞ノミネートとなりました。1948年の映画で、主演はベティ・グレイブル。ルビッチの死後、オットー・プレミンジャーが完成させました。

あらすじ
ヨーロッパ南東のベルガモの宮殿に飾られている歴代当主の肖像。その中で、”アーミン毛皮の貴婦人”と呼ばれたフランチェスカが、一際目立っていました。そして現在の当主アンジェリーナ(ベティ・グレイブル)は、明日に控えるマリオ(シーザー・ロメロ)との結婚式を心待ちにしていました。その時、敵国ハンガリーの軍隊が城に攻め込んでくるとの情報が入ります。その夜、ベルガモの危機を知った、肖像画の歴代の城主達が絵から抜け出し、フランチェスカを中心に鬨の声を上げるのでした。

ハンガリー軍の指揮官テグラシュ(ダグラス・フェアバンクスJr.)は、あっさり城を占領して入城。ところが、フランチェスカの肖像画が気になり始めます。翌朝、アンジェリーナは、テグラシュと副官ホーヴァス(ウォルター・エイベル)に挨拶すると、テグラシュは、フランチェスカにそっくりのアンジェリーナに惹かれ、フランチェスカのことを調べ始めます。それは、今から300年前、ベルガモが敵に占拠された時、フランチェスカが敵の君主を虜にし、背中には剣を突き立てたという伝説でした。

テグラシュは、夫のマリオを見逃す代わりに、アンジェリーナを食事に誘い、300年前と同じアーミンのコートを着てくるよう要求します。しかし、アンジェリーナは約束の9時を過ぎても現れず、テグラシュは眠ってしまいました。そして、肖像画から現れたフランチェスカが、アンジェリーナに扮して現れ、歌と踊りの楽しい時を過ごし、テグラシュは愛を語りはじめます。翌朝、上機嫌で目覚めたテグラシュは、アンジェリーナを迎えると、マリオを解放し、アンジェリーナに素晴らしい夢のことを語り、城から撤退を命じました。

かくして、歴史が繰り返されベルガモは救われたのですが、その後、人が変わってしまったテグラシュを気遣うホーヴァスは、アンジェリーナを呼び寄せ、眠っていたテグラシュは、部屋にアンジェリーナがいるのに気づくと、マリオと別れたアンジェリーナから求婚され、それを承諾します。そして肖像画の歴代の城主達も、二人の未来を祝福していたのでした。



あのアーミン毛皮の貴婦人

冒頭に書きました通り、ルビッチ監督の遺作にして、ベティ・グレイブル主演のコメディミュージカル作品です。歴代の当主が、肖像画から出入りするのも楽しいのですが、彼らがこぞって歌う歌の中のフレーズ、ハンガリアンとバーバリアンが耳に残ります。そして、フランチェスカとアンジェリーナの一人2役のベティ・グレイブルの歌と踊りが見どころ。テーブルを巧みに使ったダンスなんか、大変見ごたえがありました。 肖像画の裸足の貴婦人は、これぞ、百万ドルの脚線美。納得です。

とは、書きつつもルビッチの映画ってほぼ見ていないので、これがルビッチタッチというものか?と納得している次第。ビリー・ワイルダーに影響を与えたと言われていますが、全体のコメディの雰囲気としては、豪華な感じといい間合いといい、メル・ブルックスみたいな雰囲気も感じました。 製作開始後、僅かな期間で急逝したルビッチですが、オットー・プレミンジャーが見事に完成させています。彼の名前はクレジットされていませんので、あくまでルビッチの作品であるということを強調したかったのでしょうか。

ミュージカルコメディは、まさにハリウッドを代表する娯楽作品で、どの映画を見てもそれなりに楽しめますが、今までそれほど積極的に見てこなかったということで、大変損した気分です。何となく、この世界には嵌らないぞ…とあえて遠ざけてきたきらいも無いではないのですが、やはりそれは西部劇と共にアメリカ映画の王道として、しっかり見ていきたいなと思うようになりました。やはり、歌と踊りは何物にも代えられない楽しさがありますね。

2019.9.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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