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「ミラノカリブロ9」 日本のやくざ映画と通じるカッコよさ

Amazon Primeの特典にあった、フェルナンド・ディ・レオ監督の作品、ミラノカリブロ9を見てみます。1972年のイタリア映画で、2004年のヴェネチア映画祭でもリバイバル上映されました。B級アクション映画で楽しませてくれる監督だけに楽しみです。

あらすじ
マフィアの資金の札束が、運搬途中で白紙の束にすり替えられます。運搬に携わったメンバーは疑いをかけられ、拷問の末爆殺されましたが、結局金は行方不明のままでした。3年後、服役していたウーゴ(ガストーネ・モスキン)が出所すると、待ち構えていたのは、アメリカーナ―派のロッコ(マリオ・アドルフ)と彼の子分たちでした。ウーゴが金を奪ったと疑っている彼らは、ウーゴに親分に会いに来るように言い含めました。その夜も子分たちはウーゴのホテルを訪れると部屋を破壊。賠償を求められたウーゴは、旧友のチノ(フィリップ・ルロワ)を訪れ、金の無心をしにいきますが、再びロッコたちが現れます。今回はチノの活躍でロッコ以下の撃退に成功しました。

その後、ウーゴはボスと面会し、告白を求められますがウーゴは否定。ボスはロッコの部下として活動するよう求めます。その夜、ウーゴはクラブを訪れ、かつての恋人ネリー(バーバラ・ブーシェ)と再会。また、バーテンダーとその息子のルカ(Salvatore Arico)などと再会しました。ウゴはネリーと一夜を共にし、真犯人を必ず見つけると告げます。翌日再び運搬中の札束が消えてしまいます。運搬人は赤いジャケットの男に殺されたのです。ボスはチノの仕業と確信し、ロッコのチームに排除を指示。チノは逃げ延びますが、仲間が殺されてしまいます。

チノは殺された仲間の復讐に、ボスの家を急襲。ボスやその子分たちを殺害しますが、やがて銃弾に倒れてしまいます。チノは死ぬ間際にウーゴの本当の動機を読み取ります。ウーゴはチノの死によってボスから解放され、3年前に盗んだ札束の隠し場所に行くと、それを持ち帰ります。そして、ミラノを離れることに決めたウーゴはネリーに連絡し、ベイルートへの逃避行に誘います。しかし、彼女の部屋で札束を見せたところに待ち構えていたのは、赤いジャケットのルカ。ルカはウーゴの背後から発砲し、ウーゴは死の間際に最後の力でネリーを撲殺。そこにウーゴに心酔するようになったロッコが到着し、「お前にウーゴを撃つ資格はない」と怒鳴りながら、ルカの頭を何度も打ち付けるのでした。



ミラノカリブロ9

まずは、冒頭から70年代の雰囲気が溢れていました。オザンナの音楽も痺れます。イタリアのプログレ、いかにもこの時代を感じさせます。ボーリング場とか出てくると、うわっと思いました。ストーリー展開はなかなか緊張したもので、ラストにかけては静かながらも、怒涛の展開となっていきます。ネリーについては、どこかのレストランのシーンでフラグが立ちましたね。余計なことを聞きすぎでした。

ウーゴは寡黙な男で、当時の日本のヤクザ映画のスターと同じ雰囲気を持っているようです。健さんとか…。そして、最後には、ウーゴを讃える言葉で救われます。ポイントとしては、「ここにはマフィアはいない、チンピラかギャングだけ」みたいな発言と、孤高の崇高な男として讃えられるところでしょう。しかし、現金をしっかり強奪しているところが、やはりこういう結末に繋がり、ヒーローになれなかったというところでしょう。一癖二癖ある、フェルナンド・デ・レオのB級の裏社会を扱った、B級アクション。妙な人情味もあって、楽しいです! ガストーネ・モスキンなかなかいいですね。初めて見ます。暗殺の森とかでているらしいので、見る機会があれば注目したいと思いました。

この映画は、ギャング一味の抗争と並行して、警察の内部抗争?も描かれていました。世の中を根本から直したいという理想主義者と、悪い奴はいろいろな手段を使って叩けばいいという、いかにも高圧的な刑事。理想主義者は当時の社会情勢を語り、最後には内部の左遷劇となります。南部から貧民が流れ込み、北部の治安が悪くなるという構造になっているとか…。ストーリーも面白いし、緊張感もある、いい作品でした。

2019.11.20 HCMC自宅にて、Amazon Prime よりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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「マッドストーン」 70年代の雰囲気を色濃く残すB級映画

70年代のアクション映画を探して、いろいろと見てみたのですが、どうも社会派だったり、コメディが勝っていたりと、これというものに出会えませんでした。この映画も内容的にはドラマに近いような感じですが、アクションシーンも多いし、マッドマックスの原型ともいわれているようなので、アクション映画といってもいいかなと思いました。1974年のサンディ・ハーバット監督によるオーストラリアの作品です。

あらすじ
シドニーの公園で公害の責任を追及する演説していた指導者が、何者かに狙撃され殺されます。その時、たまたま現場近くに、アンダーテイカー(サンディ・ハーバット)をリーダーとする暴走族「墓掘り」のメンバーがいましたが、彼らは麻薬で朦朧状態であり、犯人を認識できていませんでした。ところが、その日から暴走族のメンバーが狙われ始め、一人、また一人と殺されていきます。この連続殺人の捜査を開始した警察は、ストーン刑事(ケン・ショーター)をメンバーに潜入させることにしました。暴走族と刑事という関係で、最初は抵抗があったグループですが、アジトで共同生活を送る中で徐々になじんでいき、ストーンも社会的地位を捨て、メンバーとして活動している面々に共感を覚えていきます。

ある日、墓掘りは、対立する暴走族グルーブの「黒鷹」と衝突したことから、これに目をつけた犯人グループが黒鷹の名を使ってグループをおびき出します。決闘の場所へ向かった墓掘りを迎えたのは、環境破壊の張本人である資本家がやとった殺し屋たちでした。銃撃戦で犠牲者を出しながらも、手配中の犯人をつかまえたストーンは、自分たちで復讐するというメンバーの抗議を押し切り、犯人を警察に連行。ストーンは墓掘りメンバーの生き方に共感を持っていましたが、警察の立場を優先しました。墓掘りのメンバーは、ストーンの家を襲いリンチを加え、瀕死の重傷を負わせますが、彼らが去った後、恋人が警察に訴えようと受話器をとった時、ストーンは彼女の手を押さえこむのでした。



マッドストーン

マッドマックスの原型とも言われているとのことですが、確かに70年代の反骨精神など、その面影はあります。一方で、アメリカン・ニューシネマのオーストラリア版というイメージも持ちました。それは、ひとえにバイク繋がり。イージーライダーをイメージさせるからです。ただし、イージーライダーのような強烈な旧社会への反抗や、ヒッピーの文化が強く出ているというところまではいきません。ここはオーストラリアなので、そのあたりは軽めになっています。アメリカほど強いムーブメントでは無かったのかもしれません。でも、暴走族の集団生活を美化して見せるところなど通ずるものがあると思います。

というわけで、この時代の雰囲気をよく表している作品だと思いました。全体的に解りづらいところもあり、映画としてもいろいろと甘いと感じるところも多く、立派な映画だという感じではないのですが、生き生きとした表現で暴走族のメンバーを捉えていて、かなり説得力がありました。ラストは恋人との会話からリンチへと進行していくあたり、いかにも言葉で作ったというような感じもありますが、一方でこの結末には、すっきりしたという感じも残ります。時代を経て見ているという事もあるかもしれません。

ということで、この映画自体はB級の域を出ない感じですが、でも70年代の意気ごみや気合を感じた次第です。見てよかったという感想が残りました。さて、この映画の主役のケン・ショーターですが、なんか既視感があって、有名な俳優かと思って見ていたものの、日本公開作品はこれしかないようです…。う~む、どこで見たんだろう、この顔…。似た顔がいるのかなぁ。と悩んでおります。どうでもいいことですが。

2020.1.25 自宅にてAmazon Prime鑑賞

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「バニシング」 ディ・レオ脚本70年代イタリアアクション

70年代のイタリア製アクション映画。当時の雰囲気が懐かしい一本です。1976年のイタリア映画で、監督はルッジェロ・デオダート、脚本はフェルナンド・ディ・レオが担当しました。

あらすじ
凶悪犯罪が横行するローマの一角に、犯罪には手段を選ばない態度でのぞむ特捜部がありました。刑事アルフレッド(マルク・ボレル)とトニー(レイモンド・ラブロック)は二人組でバイクを駆り、日夜取締りに全力投球です。彼らはいつも手荒な追跡のあまり、犯人を殺してしまう始末。上司(アドルフォ・チェリ)はいつも生きたまま逮捕しろと怒鳴りたてています。それには、麻薬シンジケートのボス、バスキーニ(レナート・サルバトーリ)を逮捕するため、情報を手に入れたいということもありました。ある夜、バスキーニの主催の賭博パーティの情報を入手した二人は、到着早々駐車場の車を炎上させてしまいます。そしてバスキーニの妹が市内のアパートにいる事を知った二人は彼女のアパートに向かい、調査もそこそこに彼女と寝てしまうのでした。

バスキーニは、これにはさすがに黙っているわけにはいかず、殺し屋を向かわせますが、二人は無事生き残り、やがて特捜部内に裏切り者がいると知った二人は、出鼻をくじこうと、バスキーニのアジトである廃船に向かいます。しかし、船の中にはバスキーニの情婦がいるだけでした。バスキーニ達は、向かいの倉庫で待ち伏せ、船を爆破して二人を殺そうと考えていました。そして起爆装置を操作しようとした時、隠れていた上司の刑事部長の銃が発射されます。バスキーニとその手下を一気に射殺してしまったのです。銃声を聞いて船を出た二人は、倉庫にはバスキーニと手下の死体を発見。拳銃を手にした刑事部長が車に乗り、手を振りながら颯爽と去っていきました。二人は顔を見合わせながら、倉庫で起爆装置を見つけ、無人の船を爆破したのでした。



バニシング

フェルナンド・ディ・レオ脚本による、70年代イタリアアクション。Amazon Primeでは、「ダーティーデカ まかりとおる」という副題がついていましたが、これはビデオ発売時の邦題のようです。原題(英訳)は、LIVE LIKE A COP, DIE LIKE A MANというものですが、どちらにしてもなかなか内容と繋がらない感じが…。問題のダーティーデカは、イケメン俳優の2人が演じておりますので、ダーティーな感じがあまりないのですね。やることは無茶苦茶なのですが…。

麻薬シンジゲートのボスであるバスキーニを追うというのが基本骨格で、その片手間にいくつかの犯人を上げていくのですが、手荒に殺してしまったり、放火したり、尋問に行った相手と2人でセックスしたりとやることは非道。まぁ、殺したのも放火したのも相手は悪人ですし、セックスの相手はセックス依存症の女性ということで、エクスキューズはあります。そのノリでいろいろと展開するというストーリー。スリリングにうまく展開するかというと、まぁ、アクションで繋げているだけで、緊張感はありません。ラストは一応決まっていました。

フェルナンド・ディ・レオによる監督や脚本の作品を最近いくつか見ましたが、ストーリー展開はなかなか楽しいと思いました。この映画は残念ながら演出に締まりがないような感じがします。ただ、まったりと70年代のマカロニ・アクションを楽しむという意味で、今では貴重な作品群だと思いました。60年代のマカロニ・ウエスタンの脚本作品は数多く見られますが、70年代のアクションは日本では見られる作品が少ないので、また見かけたら是非チェックしたいと思います。

2019.11.28 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ブラックサンデー」 70年代のテロリズムとアメリカ映画

Amazonでみつけた、70年代アクション。評判も良さそうなので、早速見てみました。この映画は、当時の事情で、日本では公開されなかったようです。1977年のアメリカ映画で、ジョン・フランケンハイマー監督の作品です。

あらすじ
ベイルートで活動を再開したテロ組織。ダリア(マルト・ケラー)は、目標をアメリカにさだめ、ベトナム戦争帰りのパイロット、ランダー(ブルース・ダーン)を組織にスカウトし、実行後の声明文をテープに録音したその日、突如アジトを、カバコフ(ロバート・ショウ)をリーダーとする、イスラエル軍特殊部隊に急襲されます。ダリアはなんとか脱出に成功しますが、録音したテープを発見され、翌年1月に、破壊行動を起こすことが、アメリカ政府の知ることとなりました。

ダリアもアメリカに潜入し、日本のエージェントからプラスチック爆薬を大量購入します。カバコフが輸送した貨物船にかけつけた時には、すでに持ち去られたあとで、ランダーの仕掛けた爆弾に、危うく命を落としそうになりますが、一命をとりとめ入院します。さらに、看護婦に変装したダリアが、カバコフを毒殺しようとしますが、これは失敗。カバコフは彼女の身元を割り出しました。テロ組織の仲間のファジル(ベキム・フェーミュ)は、状況が良くない為、ダリアに計画の延期を迫りますが、ダリアは耳を貸さず、二人はFBIに発見され、ファジルは命を落としてしまいます。

テロは、8万人の観客が集まり、大統領も観戦するスーパーボールの会場でプラスチック爆弾を爆発させるというもの。ファジルを仕留めた時に、部屋からスーパーボールの案内状を見つけたカバコフは、テロ標的の焦点を絞り、厳重な警備体制を敷きます。一方、計画に使う飛行船に乗って現場に向かうダリアとマイケル。カバコフは、ヘリコプターで追い、二人を銃撃して倒しますが、爆弾を抱えたまま飛行船はスタジアムに向けて飛び続けました。カバコフはヘリから飛行船に乗り移り、ロープを接続し海上まで牽引していくことにします。最後に瀕死のランダーが爆弾に点火しましたが、すでに飛行船はマイアミの海上に出ていたのでした。



ブラックサンデー


70年代アクションで、ミュンヘンオリンピックで世界を震撼させた黒い九月と、モサドの対決がアメリカで行われるというストーリーでした。黒い九月側の視点から、活動と攻防が進んでいきます。内容は非常に緻密で、展開も充実し、テロ実行に向け準備していく過程をじっくり描いていきます。その内容は興味深く、また惹きつけられるものでした。ラストは手に汗握る攻防戦となり、かなりの時間を割いて結末がどうなるかハラハラさせる展開でした。

で、ラストですが、やはりちょっと疑問が残りました。イスラエルにも気を遣うアメリカの映画ですから仕方ないのかもしれませんが、両者とも今まで騒乱を引き起こし、殺戮も繰り返してきた存在。スタジアムを犠牲にすれば、テロ成立になってしまうのでそれはないですが、途中の会話で、主人公のテロリストを生み出したのは君たちだという言葉でも表現される因果関係にある世界。せめて相討ちぐらいにはしておけばよかったのではと思いました。これだと、一方的な感じがしました。むしろこの映画を今見ると、アメリカが諸悪の根源ではないか?みたいな印象まで持ってしまいます。

音楽は、ジョン・ウィリアムスが担当。これは目立ちます。この時代のスペクタクル映画のイメージそのものの、雄弁かつアクティヴな音楽でした。俳優陣では、ブルース・ダーンが素晴らしいと思いました。ベトナムで捕虜となり、精神的におかしくなった男を見事に演じていると思います。映画そのものは非常に水準が高く、しっかりしたものですが、やはり、このラストはどうも好きになれない感じでした。

2019.12.31 HCMC自宅にて、Amazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ダイヤモンドの犬たち」 捻った筋立と砂漠のカーチェイス

70年代のアクション映画のポスター画像が大変懐かしく感じたので、思わず見てしまいました。街角にはタテカンがあちこちにあり、それぞれの映画の独特の世界を主張していたものです。そしてお茶の間では、ロードショー番組。B級アクション花盛りでもありました。1976年のヴァル・ゲスト監督の作品。アイルランド・スイス・アメリカ合作となっているようです。

あらすじ
南西アフリカにある、ダイヤモンド・コーポレーションの集積所は、砂漠の真ん中にあって厳重に警備されていました。ある日、集積所の警備隊に勤務するマイク・ブラッドリー(ピーター・フォンダ)は、隊長のネルソンから、ダイヤモンド強奪を狙っているプロ集団の計画を、囮になって未然に防ぐことを命令されます。それは、まずブラッドリーが会社のダイヤを盗み、それを土産にして、グループに潜入するという、2人だけしか知らない計画でした。ブラッドリーは盗み出したダイヤをネックレスにセットし、愛人のクレア(モード・アダムス)にプレゼントしますが、そこに現れた本社の警備本部長ウェッブ(テリー・サヴァラス)に、クレアのネックレスからダイヤを発見され、偽装の事実を知るネルソンも殺されてしまうと、ブラッドリーの立場は危うくなってしまいます。

ブラッドリー自身も、かねてよりダイヤモンドの強奪を狙っており、ブラッドリーは、強奪グループと合流し、参謀となって行動をすすめることにしました。彼は早速、仲間の1人を労務者として潜入させ、他のメンバーで地下金庫からの大量のダイヤモンド強奪に成功。砂漠をジープで逃走するブラッドリー一味。しかし、その後をウェッブが隊員を総動員して追いかけ、次々と仲間を射殺。途中でクレアと合流したブラッドリーは、仲間をすべて失いながら、敵のヘリコプターを奪い取って飛び去り、ウェッブはどこかで取り返すことを誓い静かに見守るのでした。



ダイヤモンドの犬たち

70年代のアクション映画と言えば、テレビのロードショー番組でよく親しんでいた訳ですが、テレビドラマが充実してきたとはいえ、映画も娯楽に大きな位置を占めていた時代に、毎週のように放映されるロードショー番組は、つまみ食いする程度でも、普段と違った体験ができるひと時でありました。特に、話題作を放映する時以外の日常的な作品は、その後レンタルビデオへ、ネット配信へとメディアがとって変わっていったということなんでしょう。という訳で、この映画もそういう作品の雰囲気を楽しめるのではと思いつつ、気軽に見てみたという訳です。

主演は、ピーター・フォンダということだと思いますが、犯罪者側なので、ノワールとまではいかなくとも、「俺たちに明日はない」スタイル。対して、警備する側はテリー・サヴァラスで、実際はこちらの方が悪役のステレオタイプを演じます。という訳で、普通の作品とは主客が逆転した感じが面白いところ。そして、従来のアメリカン・ニュー・シネマの流れを汲むとすれば、ビーター・フォンダとモード・アダムスがハチの巣になって終わりというのが、容易に想像できるわけですが、そうはなりませんでした。この映画、いろいろと捻りながら、定石を覆しているのが面白いところです。もっとも、エンディングは2通りあるらしく、その差はWikipediaに掲載されています。まぁ、こういう後付けなら無い方がましかもしれませんね。

今回は、Amazonの配信で見たのですが、画質が良くて大変楽しめました。今の時代、映画は古くても画質がいいというのが一番。まずそこで印象が違ってきます。この映画の場合、砂漠の風景と、空の青が素晴らしいので、それがクリアーに出ているだけでも、素晴らしい体験だと思いました。その中で行われるカーチェースがなかなか面白い。ピーター・フォンダは髭を生やすとこうなるのですね。いつもと印象が違います。砂漠での戦いは、日焼けでみんな真っ赤な顔になっています。特にヒュー・オブライエンとの最後の殴り合い。そもそもそういう場合じゃないでしょう!という感じで、久しぶりに見た70年代アクション。楽しかったのでした。

2019/10/30 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「リンジー・ローハンの 妊娠宣言!? ハリウッド式OLウォーズ」 長い邦題ですが、原題は「陣痛」です

Amazon会員特典に、懐かしいリンジー・ローハンの名前を見て、思わず見てしまいました。ミーン・ガールズはなかなか面白かったと記憶しておりますが、これは肩の凝らないコメディのようで、脱力した感じで鑑賞できるという期待ができます。2009年のアメリカ映画で、ララ・シャピロ監督作品です。

あらすじ
セア(リンジー・ローハン)は両親を事故で亡くし、妹のエマ(ブリジット・メンドラー)と二人暮らし。出版社の社長のジェリー(クリス・パーネル)の秘書をしていましたが、愛犬の世話に失敗して首を宣告され、咄嗟にセアは妊娠していると出まかせを言います。妊婦は法律で解雇できないのです。ジェリーが愛犬の治療の為、遠くの診療所に同行することとなり、その間にニック(ルーク・カービー)が代役を務めることになりました。ニックは、スージー(ボニー・サマーヴィル)の書いた、妊婦の赤裸々な実体験の本を出版したいと考えており、ジェリーがいないうちに出版しようと、妊娠を宣言したセアに協力を依頼します。

セアは編集者に昇格してスージーと交渉を開始。なんとか出版の承諾を取り付けます。一方で、秘密を知る親友のリサ(シェリル・ハインズ)とベビー用品店に行くと、マネキンがつけているお腹のクッションを持ち帰り、セアは見かけも妊婦らしくしてしまいます。そして、周囲の人の進めるまま、出産の教室などに通っているうちに、自分が妊娠しているとの錯覚が強くなり、またニックとも惹かれ合っていきます。そして、セアの親類もサプライズパーティーを開いてくれるに及び、ますます引っ込みがつかなくなっていきました。

スージーの本の出版イベントに時、セアは準備中に、嘘をつき続けているセアに怒ったエマにクッションを破り捨てられ、急遽風船を入れて参加しますが、風船が割れて嘘がバレてしまいます。ニックは会社を辞め、セアは謝りの電話をかけますが、彼は取り合ってくれません。引きこもりになったセアでしたが、リサからアドバイスで販促活動を開始。エマの協力で、有名なテレビ番組で本を紹介してもらえることになり、公開収録の会場にエマはニックを呼び、セアが壇上でインタビューに答えながら、客席のニックも応答する形で進み、最後は二人はお互いを見つめ合います。そして、セアはニックの子供を妊娠しメデタシメデタシ…でした。



リンジー・ローハンの 妊娠宣言!? ハリウッド式OLウォーズ

久しぶりのリンジー・ローハン。たまには軽いコメディを見るのもいいなと思って鑑賞しました。内容は、首になりそうだったリンジーが咄嗟についた嘘。妊婦は解雇できないという法律があったので、妊娠していると。それがきっかけで、妊婦の本の出版を担当することになり、お固い出版で、経営が芳しくなかった会社に旋風を巻き起こすというもの。しかし、時の経過とともに、さすがに嘘がバレ…。まぁ、ありえないようなコメディで、深く追及するものでもないです。

ポイントは、いつ嘘がバレるか、あるいは暴露するかということですが、それは、その間に勝ち得た信頼をすべて崩壊させるもの。当然言えなくて延び延びになっていきますが(あるいは仕事の為にあえて引き伸ばした)、見ている方からすれば、本人本当に妊婦の風情で、妊婦と同じような生活や行動をし始めるのが不思議なところ。面白い演出になっていました。嘘がバレる瞬間は、まぁここまで引っ張った割には凄いインパクトがあるわけでも無くという感じで、引っ張り過ぎでしょうという気もしないでは無いですが、まぁ仕方がないかな…。

さて、お騒がせのリンジー・ローハンですが、すっかり人気も落ち、干されてしまいという所だったのですが、IMDbを見てみるとやっと復活の兆しが見えているようです。2018年にテレビシリーズが1本、2019年に主役級でホラー映画Among the Shadowsに出演しているようです。これは、日本でも「シャドウワールド」という邦題がついていて、DVD発売もあり、WOWOWでも公開されたようですね。IMDbは2.0という低評価で、ここまで低いのも珍しく、逆に興味が湧きます(笑)。

2019.12.7 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー」 女子大生の援交取材と仮面家族

ジュリエット・ビノシュの名前に惹かれて見てしまいました。日本ではDVDスルーの作品。ポーランドの女流監督マルゴスカ・ズモウスカの作品。最近、ベルリン国際映画祭で受賞を重ね、活躍中です。この映画は、ヨアンナ・クーリグがポーランドの映画賞で、助演女優賞受賞というのが唯一の受賞のようです、2011年の、フランス・ポーランド・ドイツ合作の作品です。

あらすじ
「ELLE」の記者アン(ジュリエット・ビノシュ)は、ここのところ記事の完成に集中しています。それは、売春する女子大生のインタビュー記事でした。アンは大学生のローラ(アナイス・ドゥムスティエ) にインタビューしている時、ちょうどローラに予約の電話が入ります。以前、ローラは普通のアルバイトをしていましたが、忙しくて勉強する暇もなく、その時と比べると、時間も収入も余裕があり、元には戻れないと答えます。アンが、仕事で一番辛いのは何かと聞くと、ローラは嘘をつくことだと答えました。

アンは、女子大生のアリシア(ヨアンナ・クーリグ)に、インタビューに行きます。アリシアはパリの大学に入学した時、スーツケースを盗まれ、電話もできないほど困窮していました。 アリシアは最初の男性とは、いつもキッチンで過ごし、食事をして、ベッドに入るということを繰り返していました。そしてアリシアは、1ヶ月で理想の部屋を見つけ、その部屋で活動し始めます。アンとアリシアはウォッカを飲みながらインタビューをしていると、酒の力で打ちとけていきました。アリシアはある日、母が泊りに来て、高価でエロチックな服装を見つけ、アリシアを咎めますが、アリシアは無視して出ていってしまったようです。

アンは、夫・パトリック(ルイ=ド・ドゥ・ランクザン)との関係について、息子から仮面夫婦だと指摘を受けました。息子は学校を無断欠席しているらしく、そのことをアンはパトリックに告げますが、お互いにパトリックを叱れず、家族の間に微妙な距離感が漂います。女子大生たちの取材を終えたアンは、部屋に戻ると自慰を始めてしまいます。パトリックには、この家の男たちは、パソコンでポルノばかり見ていると詰め寄ります。アンは、パトリックの上司を招いての食事の日、美しく着飾り、パトリックはアンに近寄ります。そして、食卓につくとアンは、2人の女子大生が語った男たちが、食卓についていることを想像し、楽しくなりますが、現実に戻ると失望し、アンは席を外してしまいました。しばらくして戻ると、訪問客は既に帰っていて、アンの中座を責めるパトリックに、自分たちの為といいながらパトリックのズボンをおろして迫りますが、パトリックははっきりと拒否します。

ローラは、本当の名前はシャルロットで、ローラは仕事用の名前と言いながら、一瞬素顔を見せて立ち去ります。そして翌朝、アンと家族たちは、何もなかったように、仮面家族生活を始めているのでした。



ジュリエット・ビノシュ in ラヴァーズ・ダイアリー

題名が長いし、そしてこれがラヴァーズなのか?と思いますが、まぁ小文字の部分が多いのでいいとして…。この映画の雰囲気は私は好きです。内容は、ELLEの雑誌記者である、ジュリエット・ビノシュが、援交を行っている2人の女子大生たちにインタビューし、影響された彼女自身は、現在の生活の空虚さに気づいていくというものでした。それぞれの大学生の様子は、ありがちな話ではありますが、その一言で片付けていいものでは無いとは思います。エロスの表現はなかなか面白く、男たちのどうしようもなさと、この仕事の悲哀も十分に表現されていて、女性監督ならではの繊細さも備え、見ごたえのあるものでした。

一度だけ出てくる、病床の父を見舞いに行くシーン。そのベッドに横たわる父が、年をとるとだんだん死を意識するようになるが、実際はそれまでの時間が長く、生き続けなければならない、といったことを話します。その言葉が、最後の空虚な仮面家族の光景に重なっていきます。前の日に、新たな家族の再構築まで願っての、ジュリエット・ビノシュの夫へのプロポーズが受け入れられなかったという状況の中で、その翌朝の家族は、このあとは死ぬまでの長いカウントダウンの中で、ひたすら空虚に生きるだけだということを感じ、しみじみと幕を閉じました。

メインの女子大生のインタビューは、2人の性格の違う生徒が、最初は生活の為、そしてリッチに暮らすために始めた売春から抜けられなくなり、金銭面や自由な時間という意味ではうまくいっても、心に闇を抱えながら生活していかざるを得ない様子を、純を追って描いていきます。特に苦悩の話の部分については、ビノシュが彼女たちと、より親密にならないと聞き取れなかったような内容でしょう。そして、それを聞いたビノシュは、自分の生活を顧み、子供からもストレートに仮面夫婦と言われる現実を再認識。夫の上司を招いたディナーで、着飾り脱却を図るわけですが、残念ながら拒絶されてしまったのでした。

そして、全体的な雰囲気の中で、やはり若いことは、リスクもあれば可能性もあり素晴らしい。男も女もだんだん年を取っていけば、死へのカウントダウンを感じ、昔のようにもう一回華をと思っても、限定的なもので、体も世間も言うことを聞かないという状況になってしまう。そのようなことを身につまされるように感じてしまいました。裏返せば、お互い愛情のある家庭を作り上げることが、いかに大切かということだと思います。

ベートーヴェンの交響曲7番の第2楽章、なかなか雰囲気が映像にマッチしてますね。

2020.1.8 HCMC自宅にて、Amazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「イカルイト(原題)」極寒のカナダバフィン島における事件

カナダのバフィン島は、グリーンランドの向かいにある極寒の島。そしてイカルイトはバフィン島に位置する、カナダ北東部のヌナブト準州の州都の名前になります。この映画は、むしろバフィン島という所がどんなところだろうかという興味をもって見始めました、2016年の、ベノワ・ピロン監督の作品になります。
原題:Iqaluit

あらすじ
ジル(フランソワ・パピノ)は、イカルイトの建設現場で長年指揮をしていました。ある日部下のノア(Natar Ungalaaq)の家でアザラシの収穫があり、呼ばれたジルは家を訪れますが、帰り際にノアの姪のアニ(Christine Tootoo)から金の無心をされ、すんなり渡します。その後、バーで酒を飲んでから仲間と別れ、帰路に就いたのでした。

ジルの妻、カルメン(マリ=ジョゼ・クローズ)は、イカルイトの空港に降り立ち、同僚のヴィクター(セバスティアン・ユベルドー)の案内で病院に駆け付けました。ジルが町はずれの崖下で倒れているのが発見され、意識不明で担ぎ込まれたのです。しかし、すぐにジルは息を引き取ってしまい、カルメンは生前のジルの生活や、事件の真相を知るべく島に残り、ジルの職場を訪ねると、ノアに出会います。

カルメンはジルが大量に持っていた彫刻から、その訳を知ろうと彫刻家の家を訪ねますが、そこはノアの家でもありました。そしてアニを見ると、ジルが危篤の時に彼女が顔を出していたことを思い出し、ヴィクターに訳を尋ねると、ジルはアニとの間に子供を授かり、彫刻を買う事で生活を援助していたことを告げられます。ショックを受けたカルメンはノアに事情を質しますが、自分は酔いつぶれてしまい、ノアの車で昔ジルも通ったという、河畔のキャンプ場に連れられ、ノアの配慮で傷心をいやすことになりました。

ノアの息子のダニー(Paul Nutarariaq)が警察の訪問に反応し、アニを連れてボートで逃亡したという知らせが入ります。ノアとカルメンは現場に急行し、ライフルを持って立てこもるダニーを落ち着けるため、隣の小屋に泊まって一夜を明かします。そして、アニと二人きりになった時、カルメンは、ダニーがジルに絡んで突き飛ばしたことが原因で、ジルが命を落としたことを聞かされました。翌朝銃声で目を覚ましたノアたちは、飛び起きて走ると、そこには死にきれなかったダニーがいました。謝罪するダニーをカルメンは信じ、一行はボートで街に帰っていったのでした。



イカルイト

夏のイカルイトで、静かに進む愛憎劇でした。離れて暮らす夫が事故死し、調べると現地で子供を作っていたという、ショッキングな事実を突きつけられる妻のカルメン。彼女は、イヌイットの若き娘アニに出会い、言葉を交わす場面は緊張感に溢れています。そしてアニは、ジルがカルメンを愛していたことについて、「ジルはあなたと離婚しなかった。あなたにはいない彼との子供が、私にはできたのにね」と強烈な一言を浴びせました。この言葉は一瞬にしてカルメンを切れさせたうえ、心を打ち砕いたようです。これは凄いセリフでした。ここまで厳しいのは、なかなか無いです。この一言で、この映画の印象が急上昇です。

もう一つは、ジルの死の直接原因となった言葉。ダニーがジルに絡む回想の場面で、「お前らは大金を持ってここにきて、俺たちの女と寝るんだ。彼女はお前の娼婦か?」。いやま、これはよく解ります。子供ができても離婚せず、金だけ出し続けると、こういう結果になったということです。よくある話とはいえ、あまりにもストレートな表現でした。静かで抑制された展開の中で、この2つが突出して印象に残る、激情の映画だったと思います。

主演の、マリ=ジョゼ・クローズは、「みなさん、さようなら」でカンヌの女優賞を受賞した大女優。カンヌ受賞を機に、いろいろな名画に出演されています。彼女と渡り合う、Christine Tootooは、出演作が後にも先にも本作のみ。なかなか見どころを作ってくれたのですが、女優の道を進まなかったのでしょうか。ストーリーは単純ですが、良くまとまった作品で、雰囲気も良く、好感が持てるものでした。カナダ映画もなかなか奥が深いなと思います。

2020.1.11 HCMC自宅にてAmazon Prime よりのパソコン鑑賞

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ジャンル : 映画

「サラは走る」 若き女性アスリートの生き方を読む

見たい映画はいろいろリストに入れているのですが、それらを見るのにあまり気乗りしなかったとき、新鮮で気軽に見られそうな映画があったので、思わず見てみました。監督は、クロエ・ロビショウ。2013年のカナダ映画で、カンヌのある視点部門にノミネートされました。その他、いくつか受賞歴もあります。
原題:Sarah préfère la course

あらすじ
サラ(ソフィー・デスマレー)は高校生の中距離ランナー。地元ケベック・シティで、高校生のトップに立った彼女は、モントリオールの陸上競技チームに推薦されますが、両親から反対されます。それは主に金銭的理由でした。しかし、走る事が何よりも好きなサラは、バイト先の男性の友人アントワーヌ(ジョン・セバスチャン・クルシェヌ)と相談し、二人でルームシェアをし、アントワーヌはモントリオールで仕事を探すという支援を得て、モントリオール行きを決めます。道中で、アントワーヌから補助金目的で結婚することを提案された彼女は、特に愛している訳ではないのですが、承諾し、形だけの結婚式を上げました。

モントリオールでサラの陸上競技生活が始まりました。何より走ることが好きなサラは競技に打ち込み始めます。どうやらサラを愛している様子のアントワーヌは、とりあえず結婚式を挙げたもののそれ以外は何の進展のない関係に、少しづつ焦りが見え始めます。その頃サラは心臓の様子が少しおかしくなっていて、友人たちのパーティーに行ったとき、不整脈が現れ始め、アントワーヌに連れ帰られる羽目になりました。ある日、いつもの通り2人で部屋に入る時、良い雰囲気になっていたのを見計らって、アントワーヌはサラと深い関係になることに成功しますが、サラのセックスは味気ない義理のようなもので、アントワーヌは傷つきます。

ある日サラが帰って来ると、アントワーヌが部屋で酔いつぶれていました。サラが振り向いてくれない様子に追い詰められたアントワーヌは離婚を決意し、ケベックシティに帰ることにします。サラは心臓の問題を解決するために、訪ねてきた母と共に病院へ行き、48時間心臓のモニターをつけることになりました。そして、練習の時、サラはモニターを外して走り始めます。サラはとにかく走る事だけが好きなのでした。



サラは走る

静かな演技で、サラの心情を追っていくストーリーでした。アントワーヌは男ですから、そもそもこういったオファーと結婚までして事実をつくりあげたのは、口には出さずとも最初からサラをモノにしたいという魂胆があったはず。しかし、こぎつけた二人だけの生活は、サラがあまりにも競技一辺倒なため、恋人らしい関係は全く生まれず、アントワーヌは絶望に追い込まれてしまいます。そして、最後まで走ることを優先するサラ。名誉も何もいらない。楽しみは走る事、そしていいタイムを出すことと公言します。そのようなアスリート一辺倒の女性を描いた映画でした。

困るのはサラがとても美人なことです。世の男なら放っておかないような美人。時々、オードリーのような顔立ちに見えたりします。でも、相手を気遣ってはいますが、最終的には走る事しか眼中にない様子で、その落差が男を複雑な気持ちにしてしまうようです。それは、母に対しても、自分に対しても同じ。とにかく走ることが好きということでした。アントワーヌもイケメンの部類。雰囲気は、若い頃の夏木勲の感じです(笑)。そういうことなので、ソフィー・デスマレーさんの映画は、何かあればまた見てみたいなと思いました。

それほど、ストーリー性がある訳でなく、心情や情緒で最後まで押し切ってしまう映画。クロエ・ロビショウはカナダの女流監督で、長編はこの映画を含めてまだ2本のようですが、短編も含めるとカナダではいくつかの受賞作品があるようです。なかなか雰囲気のいい映画を作る方だと思いました。この映画のラストは、不安な歪んだような音楽で終わりますが、それは心臓のモニターを外したサラが走り始める場面。何かを暗示するような終わり方です。心臓の事なのか、別の事なのか、あるいは何も起こらないのか、含みを持たせた感じです。でも、先は解らないから考えても仕方が無い訳で、全体を通したサラの心情を読み取りながら、この映画を見終えることになりました。

2020.1.12 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
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「アメリカ帝国の滅亡」 別荘でのセックス談義からの発展で

Amazon Primeの会員特典に、フランス語圏のカナダ映画がいくつか登場していましたが、これはその一つ。全くどういう映画かわからぬままに見始めました。ドゥニ・アルカン監督の1986年の作品で、オスカーで外国語映画賞にノミネートされました。そして、この後日談である「みなさん、さようなら」で、同賞受賞となったようです。

あらすじ
モントリオール郊外の美しい別荘で、大学教授たちを中心とする仲間が集まることになり、男たちは先行して料理の準備を始めます。彼らは、料理の準備をする間、ずっとセックスライフについて語り合っていました。一方で、このパーティーに参加する女性たちは、モントリオールのスポーツジムに集まり、こちらの方も話題は男とのセックスライフの話ばかり。その頃、別荘にはディアーヌ(ルイズ・ポルタル)の知り合いというマリオ(ガブリエル・アルカン)が尋ねてきますが、まだ女性たちが来ていないので帰っていきます。

やがて、別荘に女性たちが到着。ディナーが始まると、世間話から徐々に微妙な話に傾いていき、マリオが現れてディアーヌを連れ出してしまうと、一部では暴露発言も出て、大学教授らしく学術的な話も織り交ぜながら、ますます微妙な雰囲気に。そして夜も更け、それぞれが思い思いの夜を過ごしました。そして、夜が明け、ディアーヌも激しい夜を過ごして帰ってくると、前日の余韻を残しながらも、それぞれの想いや苦悩も秘めたまま、また新たな清々しい朝を迎えるのでした。



アメリカ帝国の滅亡

あらすじは、枠組みのみを簡単に記述しました。内容は会話劇のように、いろいろと語られる登場人物のセックスライフや暴露話。歴史学者たちという設定の中での、社会学的持論の展開。多数の浮気のエピソードの中には、登場人物の間の複数の相手とのセックスの関係などなど多岐にわたるので、書き始めるとキリがありません。表題のアメリカ帝国云々に関しては、快楽的生活が浸透し、時短など生活が楽な方向に進むということが帝国の崩壊に至るというものですが、それも一つの話の中のネタ。ネタの中には、なるほどと思うものもありますが、だいたいは他愛もなく頭の中を通過していきました。

この映画を見ている間に、ずっと思い出していたのは、後年の「セックス調査団」というアメリカ映画を、今は無き銀座シネパトスで見た記憶。これも、知識人が別荘に集まってセックス談義をする映画で、いろいろな話題がでてエスカレートして、最後は思い思いの行動にでるというものですが、ほぼ構造が同じです。この映画のパンフレット(無料配布の4ページのリ-フレット)に、篠沢秀夫教授が寄稿しており、アメリカ映画がフランス映画に一歩近づいたようなことが書かれていました。まさに、この映画はカナダ映画の中でも、フランス文化圏の雰囲気を色濃く映し出す映画で、プロットは違いますが「セックス調査団」の元ネタかなと思ってしまいました。

カナダ映画というと、取りとめもない感じで印象が定まらないのですが、文化圏によって、アメリカ映画のB級という感じの映画と、フランス映画の両面が潜んでいて、特にフランス映画は本国に負けず劣らず、いい雰囲気を持っていると思います。派手ではありませんが、何か自己主張を持った特徴のある作品も多く、いろいろな試みにハッとさせられることも多いので、なかなか目が離せないのでした。

2020.1.11 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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