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「よこがお」 筒井真理子さんは、ますます絶好調なのでした

たまたま、千葉劇場の下まで来た時、ちょうど「よこがお」が始まるところでした。筒井真理子さん主演、そして自分にとっては「さようなら」の深田晃司監督の映画ですから、これは見ないわけにはいけないでしょう。ということで、映画館に入ります。2019年、ということで、めずらしく最近公開された映画です。

あらすじ

美容院でリサ(筒井真理子)は、美容師の和道(池松壮亮)を指名しました。そして、数日後、リサは偶然を装って連絡先を交換します。彼女は、和道の部屋が見えるアパートの一室に住み、様子を観察していたのでした。実は、リサというのは仮の名で、本当の名前は市子。半年前まで、信頼の厚い訪問看護師をしていました。そして、担当の訪問先の大石家の長女・基子(市川実日子)には、介護福祉士になるための勉強まで見てやっていたのでした。そして、基子は市子に対して憧れ以上の感情も抱いていたのでした。

ある日、基子の妹・サキ(小川未祐)が行方不明になってしまいます。数日後無事保護されるのですが、逮捕された犯人は意外なことに市子の甥にあたる辰男(須藤蓮)でした。失踪の直前に、市子の元に辰男が訪れた時、辰男はサキに興味をもってしまったのです。この事件をきっかに、市子は関与を疑われ、犯行の手引きをしたと書き立てられます。また、サキも失踪先であったことに関してあらぬ疑いをかけらるるようになっていきました。市子は、マスコミなどからの取材攻勢が強まる中で、基子の裏切りにも会い、今まで築き上げた生活の全てを失ってしまいます。そして、市子はリサへと姿を変え、基子の恋人で会った和道に近づいて行ったのでした…。



よこがお

最近、新作に疎くなっていたのですが、ふらりと立ち寄った千葉劇場で、筒井真理子に惹かれて入っていったのです。まず、池松壮亮の美容師を訪ねる場面とその後の展開で、「だれかの木琴」を連想してしまいました。あまりにそっくりなので、そういう話かな?とイメージが作られた次第です。そして、リサと市子の過去と未来が交錯する展開へと進んでいきます。このあたりはうまく作られていて、最初のうちは時間の前後がよく解らなかったのですが、だんだん理解できてきます。そして物語は核心部へと進み…。

自分の甥の犯罪により、世間から追い詰められていく筒井真理子の演じる市子、そして、池松壮亮、市川実日子との奇妙な関係。理不尽なまでに糾弾される市子ですが、身内から犯罪者が出てしまうということは、いつの世でもこういう状況になってしまい、身を潜めて生きていかざるを得ないということになってしまいます。ここではその事実がありのままに語られていました。もちろん世間の攻撃は、犯人側だけにとどまらず、被害者へも俗物的な興味という形で襲ってきます。現在社会を克明に表現するこの映画は、まさに現在の不寛容の時代の危うさを象徴しているのかもしれません。

さて、筒井真理子さんの演技はいつも通り素晴らしかったです。最近ますますパワーアップされているような気がします。どんな役でもできるのですが、今回は犬のように吠えてはい回る演技を披露。こういった体当たりの演技も時々見られます(ANTIPORNOとか、凄いですね)。これ自体は良くやったなと印象に残るのですが、それ以上に全編を通じて困惑し、そして切れていく迫真の演技が、異常な状況をよく表現していて素晴らしいと思いました。市川実日子も微妙な距離感をもった演技が雰囲気を出していて良かったと思います。

2019.7.27 千葉劇場にて
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「白熱」 息もつかせぬ緊張感を持つフィルム・ノワール

白熱という名前の映画というと、私は田中光二原作のカーチェイス映画を思い出します。結構好きだったんですよね。当時のいろんな車が出てきて、子供心に楽しかった。それはさておき、この白熱は1949年のアメリカ映画になります。ずいぶん前に録画してあったものを、やっと見ました。内容も全く知識なく見始めましたが、いやいや、これはなかなか…という感じです。原題は「White Heat」。直訳ですか…。

あらすじ

ギャングのコディ(ジュームズ・キャグニー)は一味と列車強盗を決行し、母(マーガレット・ウィチャリー)と妻ヴェルナ(ヴァージニア・メイヨ)の待つ山中に潜伏。そして、警察の追跡を察知し、ロサンゼルス市内に逃亡しました。さらに潜伏場所が財務省防犯課により暴かれますが再び逃亡。コディはアリバイ作りの為、別の場所で起こしておいた事件に犯人として出頭し服役します。財務省側は裏を察知し、課員のハンク(エドモンド・オブライエン)を同じ監房に潜入させ、早速彼はコディに取り入り始めました。

一方ヴェルナは、夫の入獄後、一味のビッグ・エド(スティーヴ・コクラン)と通じ、エドは獄中の手下を使ってコディを殺害しようと企てますが、ハンクの機転で難を逃れ、コディはすっかりハンクを信用するようになりました。そして、ハンクはコディに脱獄を持ち掛け、コディも乗りますが、決行当日突如コディの発作が発症して病室に連れていかれてしまい、これを知ったハンクの配置した包囲網は、全員引き揚げてしまいます。

一方で、コディとハンクは医者を脅し、みごと投獄してしまいます。そして、エドとヴェルナのひそむ家に辿りつくと、裏切ったエドを殺害。ハンクは外部と連絡できないまま、新たに化学工場を襲うことになりました。その決行途中に、外部との連携を取ることに成功し、工場の金庫を焼き切っている時に警官隊が到着。コディはハンクが敵のスパイであることを知りますが、警官隊に追われ已む無くタンクヤードに逃亡。大きなタンクに逃げ登るとタンクを爆発させ、大音響と共に散ったのでした。



白熱

冒頭の列車強盗の場面から、緊張感の溢れる息もつかせぬ展開に、すっかり取り込まれてしまいました。まさに、一流のサスペンスを見た気分です。色々な仕掛けがテンポ良く現れて、全く無駄がなく、またそのエピソードも盛りだくさんで、最後まで一気に見せられてしまいます。なかなか緊迫した濃密な時間を過ごすことになりました。

それぞれの登場人物の描き分けもしっかりできており、見事だと思います。筆頭はコーディのジェームズ・キャグニーが素晴らしい。人物設定自体も大変凝っていて、冷血なギャングでありながら、強度のマザコンで、常に母のマーガレット・ウィチャリーが彼の心を支配している。母はコディにビッグになれと鼓舞し続ける。、まさに母子セットで活躍するギャングです。そして、それを鬼気迫るように見事に演じるキャグニーに凄さを感じました。もちろんコーディだけでなく、翻弄されながらも一癖あるギャングの妻という役のヴァージニア・メイヨも、役柄と演技が大変合っていて、素晴らしいと思いました。

ラストは華々しく大爆発で終わります。あの位置で爆発すると、周囲の警官隊が潜むプラントも、ただでは済まないのではないかと思いましたが、それはさておいて、この怒涛のストーリー展開を最後にしっかり受け止めたという感じがして満足しました。今回見るまでは、この映画は知らなかったのですが、さすがに、フィルム・ノワールの名作として語り継がれている一本だと思いました。

2019.7.29 自宅にてNHKBS Premium よりの録画鑑賞

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「ミクロの決死圏」 懐かしい響きの本格SF映画

ミクロの決死圏。懐かしい響きです。自分のイメージとしては、ハヤカワSF文庫の二桁番台。文庫以前ですと、ミクロ潜航作戦として、ハヤカワSFシリーズにあった、アイザック・アシモフによる小説(ノヴェライゼーション)です。1966年の映画で、アカデミー美術賞と視覚効果賞の2部門を受賞。当時として、画期的な映画であったことが伺えます。

あらすじ

アメリカに亡命してきたベネス博士が襲撃され、脳出血で危篤状態となってしまいます。そして博士の持つ重要な機密を聞き出すために、博士を蘇生させるべく、隊員をミクロ化して体中に潜りこませることになりました。ミクロ化の可能な時間は1時間。その間に患部を修復し、脱出するという、空前のプロジェクトに選ばれたのは5名。脳外科医デュバル(アーサー・ケネデイ)、その助手コーラ(ラクウェル・ウェルチ)、循環器の専門医マイケルス(ドナルド・プレゼンス)、海軍大佐オーウェンス(ウィリアム・レッドフィールド)、そして特別情報部員グラント(スティーブン・ボイド)。さらにグラントは、将軍からデュバルがスパイとしてこの作戦を失敗させる虞があり、監視役をもいいつかったのでした。

ミクロ化し、潜航艇プロテウス号に乗った5人は、血管内を航行してゆきますが、数々の思いがけない様々な困難が襲いかかり、体外と交信しながら解決してゆく5人ですが、やがて交信も途絶え、ようやく脳内の患部に到達した時、残された時間はわずか6分。隊員たちの超人的な活躍で治療を終えた時、ついにマイケルスが敵側のスパイであったことが発覚。彼は破壊活動を開始します。しかし、マイケルスは潜航艇もろとも白血球に捕食され、残った四人は徒歩で出口を目指します。時間も残り僅かになった時、眼から入ってくる光線を捉え、なんとか眼球の上に脱出。科学者たちに救出された彼らは、無事元の姿に戻ることができたのでした。



ミクロの決死圏

大変懐かしいストーリーで、かつてはいろいろな少年向けの雑誌などでも紹介されていたと思います。ハヤカワ文庫でも、初期からアイザック・アシモフの小説としてありましたが、実際は小説版はこの映画のノベライゼーションで、本家は映画でした。実際に読んでいなかったので、詳細は知らなかったのですが、この作品はミクロで体内の世界に潜航する内容だけかと思いきや、スパイものの要素も入っていたのですね。想像以上に面白く仕上がっていました。

特撮や仕掛けなど、当時の上質なSFのセンス・オブ・ワンダーが溢れる楽しいものでした。いろいろなトラブルが次々と襲い掛かるところは、宇宙ものの楽しさとも通じる感じです。まさにミクロの宇宙ですね。この時代のこういった作品を見ると、当時のSFの楽しさを思い出すと同時に、当時のアメリカのSFのレベルの高さを再認識します。

さて、通信が途絶えてからも、外の世界からの的確な対応に助けられるところなど、この辺りはあまりにもデキ過ぎという気もしますが、それはご愛敬。そして、現在ではレーザーでの治療とか普通に行われており、また内視鏡の発達で人は潜航しませんが同様の効果が実現しています。この間の科学技術の発達のスピードを考えると、さらに感慨深いものもありました。特撮も素晴らしく、ストーリーも良くまとまった、素晴らしいSF映画だと思いました。

2019.8.1 NHKBSプレミアムの録画鑑賞

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「旅愁」 (1950年作品)美しいラブストーリーを楽しむ

ウィリアム・ディターレ監督、ヒロインはジョーン・フォンテインのラブストーリー。原題はSeptember Affairで、「九月の出来事」となります。受賞歴としては、音楽を担当したヴィクター・ヤングがゴールデングローブ賞作曲賞に輝きました。1950年の映画でした。

あらすじ

イタリアからアメリカに向かう旅客機に、ピアニストのマニーナ(ジョーン・フォンテイン)と技師のデイヴィッド(ジョセフ・コットン)が乗り合わせます。マニーナはコンサートで、デイヴィッドは妻キャサリン(ジェシカ・タンディ)との離婚協議のために帰国するところでした。しかし、飛行機のエンジン不調でナポリに不時着。マニーナとデイヴィッドは修理の時間を利用して、町に出ます。ところが、飛行場に戻ってみると出発してしまったあとで、仕方なく2人はナポリ観光を続けることにしました。そして、カプリ島に滞在中に2人の恋は燃え上がっていきます。

朝になり、新聞で2人が搭乗する予定だった飛行機が墜落したことを知った2人。行方不明の乗客名簿に2人の名前があることを知ると、デイヴィッドとマニーナは、フィレンツェで2人だけの新しい生活を始めることにしたのでした。ある日、デイヴィッドの妻と息子が、デイヴィッドの最後の様子を知ろうと、マニーナの友人の家に訪ねてきます。そして、2人の真相を知るに至ったキャサリンですが、まだ夫を愛してはいたものの、夫の新しい幸福を知って静かに身を引きます。

2人がアメリカに戻った頃、デイヴィッドは、いつしか新しいプロジェクトに夢中になり、マニーナはコンサートで成功を収めていきます。そして、デイヴィッドとの生活に満たされない幸福を感じていたマニーナは、今の生活は本当の幸福ではないとデイヴィッドに静かに別れを告げ、南米への演奏旅行に一人旅立っていくのでした。



旅愁

ジョーン・フォンテインを中心にして、ナポリ周辺のポンペイやカプリ島などの観光名所や、ラフマニノフのピアノ協奏曲がふんだんに出てくる、美しいラブストーリーでした。美しい風景描写や音楽がふんだんに表れ、ストーリーの方は遅々として進まず、ただただラブストーリーとして盛り上げていくというもの。とにかく、ジョーン・フォンテインとロマンスを全面に押し出した、コテコテの不倫ストーリーとなっています。

前半は、さながらナポリの観光映画。ストーリーが動き出すのは後半の、アメリカから妻子が訪ねてくるあたりから。展開はそつの無いもので、破綻なくまとまっているのですが、そうそうドラマチックなお話ではありません。ジョーン・フォンテインを魅せるアイドル映画という風情でもありました。それもまた映画のあり様なので、甘美な音楽と美しいジョーンと恋の物語に身を委ねるという感じで鑑賞できるのも、些事を忘れるひと時としていいものかと思います。

ジョーン・フォンテインは、日本生まれの女優さんということで、親しみも湧くのですが、私としては今までヒッチコックの映画を2つほど見たくらいでした。ヒッチコックの映画は美人が主役ということもあるのですが、彼女にもぴったりはまっていたと思います。そして、この旅愁でも美しく魅力のある女優さんとして光を放っていると思います。また、ジェシカ・タンディも出演の場面はそれほど多くは無いのですが、安定の印象的な演技を見せてくれていたと思います。やはり綺麗にまとまった美しい映画でした。

2019.8.10 HCMC自宅にて、Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「白昼の幻想」 LSDによる幻覚をひたすら映像化する

イージー・ライダーを見た時に、この頃のヒッピー文化が気になって、それならと思って買ったDVDの一つ。 「B級映画の帝王」のロジャー・コーマン監督、ジャック・ニコルソン脚本による1967年の映画です。この時期には、こういった映画がいくつか作られているようですが、そのうちの一つ。カルト映画というところまでも行ってはいないような気がします。

あらすじ

ポール(ピーター・フォンダ)はCM製作のディレクターで、日夜斬新なアイディアが要求される中、ストレスが蓄積する一方でした。それに加えて、妻のサリー(スーザン・ストラスバーグ)とは離婚の話し合いの真っ最中。ついに、ポールは、この日常から逃避し、自分を取り戻せるかもしれないと、LSDの服用をおもいつきます。サイケデリック・クラブに出かけ、リーダーで友人のジョン(ブルース・ダーン)からLSDのカプセルをもらい、初体験の事故を危惧するジョンの監視のもとで服用することとしました。

トリップが始まると、まずは海岸のサリー。彼女を抱きしめると、金髪のヒッピー娘、グレン(サリ・サッチス)に変身。そして、馬に乗った黒衣の人間に追われ、古い館に逃げ込むと、儀式の中でポール自身の埋葬を見ます。そして、まわりにはポールが撮影したCMを流し、サリーがほかの男に抱かれていました。ふと気が付くと、ジョンの部屋に戻っていましたが、そこでは、ジョンが倒れていました。自分が殺したんだと思い込んだポールは、街に飛び出し、コインランドリーへ。サリーの洗濯物をつかみ出そうとするポールに、サリーが叫び声をあげ、逃げだすと再びサイケデリック・クラブへ。そこでジョンは生きている、と知らされたポールは、再び街をさまよい、金髪娘グレンに出会って彼女の家へ。快楽の一夜のあと、潮風にあたった時、やっとポールはトリップが終わったことを知り、現実に戻ったのでした…。



白昼の幻想

「嵐の青春」と対を為すような作品とも言われますが、こちらはほとんどストーリーがありません。LSDによる幻覚の世界を彷徨うピーター・フォンダの映像が大部分を占め、その異様な幻覚の世界を徹底的に映像化したということが売りなのでしょうか。この幻覚は、ジャック・ニコルソンの実体験にもよるとの事で、実際LSDの幻覚とは、このようなものだと理解しておきましょう。Wikipediaのあらすじには、「離婚寸前の男がLSDを服用しようとする。」という一文だけ。まさにその通りではあります。

ということですので、当時の一般的なヒッピー文化の雰囲気や、幻覚についてうかがい知るにはいいとは思いますが、この映画の中にヒッピー文化の思想が現れているかというと、そこは疑問だと思います。というか、ほとんど幻覚だけ終わってしまいました。 単なる幻想の旅の再現です。(と何度も同じことを書きますが、それしかありません)

撮影自体は、当時の技術を駆使して、特殊モンタージュや特殊レンズ、オプティカル処理などを利用し、美しい幻想の数々を描き出しています。ピーター・フォンダがほぼ全編に出ていますが、他には「嵐の青春」のヒロインだった、スーザン・ストラスバーグがサリー役で出演。あとは、デニス・ホッパーが目立ったところだったかと思います。まぁ。こういう映画もあるということを体験できました。

2019.8.1 自宅にてDVD鑑賞

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「イヴの総て」 ベティ・デイヴィス対アン・バクスター

久しぶりの記事になりました。何となく忙しかったというだけなのですが、一応映画はそこそこ見ていました。主に昔のハリウッド映画を中心に。いろいろと書いていくと、また興味も広がっていくと思いますので、続けていきたいと思います。が、少し簡略化して…。ということで、昔のハリウッド映画から、「イヴの総て」。1950年の映画で、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督。アカデミー作品賞含め6部門受賞の、押しも押されぬ名作です。

あらすじ

演劇界最高の賞の授賞式、賞は新進のイヴ・ハリントン(アン・バクスター)に与えられました。しかし、会場の中でイヴの本当の姿を知る者は、複雑な表情を浮かべて見守っていたのでした。

数ケ月前、劇作家の妻カレン(セレステ・ホルム)は、毎夜劇場の楽屋口で大女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)を待っているイヴを知り、マーゴに紹介します。そして、イヴの身上話にマーゴは感動し、イヴをマーゴのアパートに住まわせ秘書として起用することにしました。用意周到で賢いイヴに、マーゴはすっかり信用していましたが、ある日ハリウッドの仕事から帰って来る予定の、マーゴの恋人である演出家のビル(ゲイリー・メリル)に対する出過ぎた態度に、マーゴは疑念を抱き始めます。

そして、イヴはカレンにとりいって、マーゴの代役に推薦してもらい、また批評家のアディスン(ジョージ・サンダース)にも実力を認められるようになっていきます。マーゴはこれが気に入らず周囲に当り散らしますが、そのマーゴの行状にカレンまで立腹してしまい、カレンは策を用いてマーゴを舞台に欠勤させ、代役のイヴを立たせてしまいました。イヴは大成功をおさめ、アディスンはイヴへの賛辞を書き立てます。イヴのやり方に気づき始めた周囲の人々ですが、イヴはさらにカレンの夫ので脚本家であるロイド(ヒュー・マーロウ)を篭絡し、彼のマーゴの為に書いた新作を自分の物としてしまいました。

周囲もイヴのやり口に気づいていましたが、イヴはアディスンと組んで、周囲の人を踏み台に最高の栄誉を獲得。そして、受賞式の夜イヴはパーティーを欠席し、一人アパートに帰りました。イヴは部屋にフィービー(バーバラ・ベイツ)という演劇志望の少女が上がりこんでいるのを見つけます。フィービーはイヴの世話をやき、イヴが寝室に入ると、フィービーはイヴの衣裳をつけて鏡の前に立ち、数か月前のイヴの様に光悦の表情を浮かべるのでした。



イヴの総て

演劇の世界の話ではありますが、ハリウッドの世界の話にもダブって感じられました。一見大人しそうに見えて、いろいろな機会をうまく利用し勝ち上がっていくイヴの姿が見事ですが、もちろん本来の才能無くしては成し遂げられないことだと思います。そして、単に才能だけでも成功しないということも教えてくれます。いや、肯定的にとらえるとそうなんですが、 AFIの、「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」で、イヴは悪役の23位に入っているところを見ると、権謀術数をめぐらす悪役という見方が一般的なのでしょう。

そもそも実話がベースとなった小説が原作ということで、内容もかなり現実味を帯びてくるのですが、映画成功後もベティ・デイヴィスアン・バクスターが同一映画でオスカーを争った(これは共倒れ)ということで、オスカー女優同士の対決がありました。勝負の世界は厳しいのでした。演技はベティ・デイヴィスが貫録みたいなところもありますが、アン・バクスターもこの映画と演技は雰囲気に実に合っていると思いました。どちらかと言われれば、私はアン・バクスターの方かな?

この2人の演技は言うまでもなく大変素晴らしいものですし、それがこの映画の醍醐味でもありますが、その中でマリリン・モンローがでていますね。見たところこの映画に中にあっては、かなり浮きまくっている感じがしますが、これは芸風の違いからくるものなのか、早くもこの時期から、タイプの異なる大女優の片鱗が現れているのかは判断に苦しむところ。妙に目立っていたことは間違いないと思いました。

2019.8.3 シネマヴェーラ渋谷にて

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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