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「春の調べ」 女性のエクスタシーを初めて描く当時の問題作

サムソンとデリラを見て気になっていたヘディ・ラマーの、若きヨーロッパ時代の映画を見てみました。この映画は、ポルノグラフィーを除いて、史上初の女性のオーガズムを描いた映画、並びにセックスシーンを描いた映画(ただし頭部の様子のみ)と言われています。1933年のチェコスロバキアの映画になります。

あらすじ
年の大きく離れた男と結婚したエヴァは、夫の無関心に耐えられず離婚を決意。そして実家に帰り、偶然出会った躍動的な技師パウルと恋に落ちます。復縁を迫って実家を訪れた夫をはねつけると、失意の夫はパウルが妻を奪ったと気づき、彼を巻き添えに自殺を試みますが…。



新婚の初夜を迎えた、親子ほど年の離れた2人。新郎のエミル(ヤロミール・ロゴス)に抱えられて部屋に入ってきたエヴァ(ヘディ・キースラー)は、夢のある夜を期待しますが、夫は新婦に贈ったネックレスをつけようとして指を傷つけ、エヴァを構わなくなってしまい、エヴァは一人満たされない夜となりました。その後、夫婦でリゾートに行っても、楽し気な周囲の人々をよそに、夫はエヴァを構わず、エヴァは耐えられなくなり実家に帰ってしまい、離婚の手続きを取り始めます。そして、エヴァは近くの湖で全裸で泳いでいた時、衣服を置いた馬が逃げ出してしまい、全裸で追いかけるエヴァ。そして、工事現場にいた技師のパウル(アリベルト・モーグ)と共に馬を捕まえ、エヴァは若く躍動的な彼に親近感を抱きました。

その夜、一人で部屋にいたエヴァは家を抜け出しパウルの家へ。そして情熱的な一夜を過ごしたあと、家に帰ってみると、エミルが来ていて、自分の対応を反省し、復縁を迫りました。しかし、エヴァはこれをキッパリと断り失意のうちに帰っていくエミル。そして、途中の工事現場でパウルに町まで連れて行って欲しいと頼まれ、彼を車に乗せますが、パウルが自分がエヴァに贈ったネックレスを持っているのを見て、迫りくる列車にパウル諸共飛び込もうとしますが、すんでのところで思いとどまります。パウルは調子の悪そうなエミルに変わって車を運転し、町の宿屋まで連れていき休ませます。そして、その宿屋でエヴァと再会するパウル。2人は音楽にのってダンスを踊っている最中に、上階から銃声が響き、2人が駆け付けるとエミルが倒れていました。動揺したエヴァは、エミルとの関係をパウルに話すことができず、その夜列車の駅でパウルが寝ている間に一人去っていきました。

躍動的な労働が続く工事現場で彼方を見つめるパウル。その中で小さな子供を連れた母親も一緒に働いている姿を見つめます。そして、その姿とダブるように、エヴァは新しい生命を産み落とし、幸せの絶頂にいたのでした。

春の調べ

やはり見どころは、ヘディ・ラマー(ここでは、ヘディ・キースラー)の演技や容姿というところです。若い彼女の演技は大変美しいし、また、移ろう心が良く表現できていて、エロチックでもあります。映像表現も、間接的な暗喩でいろいろと盛り上げていき、草原や雲、躍動的な馬や労働者など、大変美しいものだと思いました。この映画は既にトーキーの時代にありながら、サイレント映画を見ているようで、トーキー以上にセリフが少なく、またサイレントのような状況解説もついていません。いわば映像ですべてを語らせるスタイルになっています。

ラスト、エヴァが去った後の映像はかなり違和感を感じるものです。当時のプロパガンダ的な労働者讃歌のような映像が続きます。何か、エイゼンシュテインの革命ものの映画を見ているよう。それはそれで迫力がありますが、ヨーロッパでは流行っていたのでしょうか。その中から見出す労働者母子から、エヴァの出産へ。それは、パウルの子であることは容易に想像できますが、現状二人が一緒に生活しているのかどうかは明らかにしていません。パウルの表情から遠くに想いを馳せているようにも見えました。

IMDB情報によると、この映画は当時アメリカでもドイツでも大いに物議をかもし、上映禁止が相次いだとのこと。また、監督は理想の表情を求めるため、彼女のお尻を突然ピンで刺したとか、ローマ教皇も公式に批難したことなど、いろいろいわくがあるようで、少なくとも当時としては衝撃的な作品であったことが伺えます。そして、現時点ではヘディ・ラマ―の美しい姿と、当時の先進的な映画の表現技法や効果の楽しめる、美しい作品であると思います。

2019.6.26 HCMC自宅にてパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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