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「ザ・サスペリア 生贄村の惨劇」 生贄信仰を持つ森の集落で

今日の鑑賞は、「ザ・サスペリア 生贄村の惨劇」。もちろんサスペリアとは何の関係もないのですが、名前にインパクトがあるのと、主要な登場人物の一人に、ショーン・ヤングが出ていること。あの元祖ブレードランナーの美人レプリカントです。内容も手ごろで、嫌な雰囲気がありそうなので、ちょっと期待して鑑賞です。2013年のアメリカ映画で、原題はJug Face (壺の顔)。日本では基本はネット配信ですが、オンデマンドDVDでの購入も可能です。

あらすじ
森の中の小さな集落に住む少女エイダは、村人の若者ボーディーとの結合を言い渡される。そして、エイダは、穴神様の憑依により陶工のドワイが作る壺の顔に、自分の顔が彫られているのを発見。それは生贄に選定されたことを告げるものだった。エイダはその壺を隠すが、その代わりに他の村人が次々と惨殺されていく…。



ストーリーを追うというよりは、まず設定から。
森の中に住む集団。森の奥深くに井戸くらいの穴があり、その中に穴神様が宿り村を守ってくれていると信じられていました。ここでは、子供を作るための結婚は結合と呼ばれ、本人の意思にかかわらず村人が決めて言い渡します。そして、女性は処女でなければならない。そして、穴神様が憑依した陶工のドワイが作る村人の顔を彫り込んだ壺は、穴神様への生贄を示し、そこに顔を掘られたものは、即座に生贄として穴神様の穴で首を切られ、生き血は井戸の中に注がれる。そういった不気味な風習のある集落でのお話です。集落の経済は、付近の町に卸す密造酒で成り立っているようです。

さて、エイダ(ローレン・アシュリー・カーター)は実の兄ジェスビー(ダニエル・マンチ)とのセックスで妊娠してしまいます。その後、エイダはボーディー(Mathieu Whitman)との結合を告げられますが、結合時は処女という掟に悩みます。そして、ドワイ(ショーン・ブリジャース)の窯を見たエイダは、自分の顔の壺が出来上がっているのを発見、壺を森の中に隠してしまいました。それを期に、村では惨劇が始まります。ボーディーの家族のアイリーン(Jennifer Spriggs)が惨殺され、穴神様を鎮めるためにドワイによりボーディーの壺が作られます。ボーディーは素直に生贄となりますが、その後、エイダの兄のジェスビーも穴神様の手によって殺され、しかも、エイダはそれらの場面をすべてトランス状態で体感していました。

ドワイはボーディーの壺は恣意的に作ったことを告白し、捕らえられてしまいます。しかし、エイダの導きで村から2人で逃走。さらにエイダはボーディーの母も穴神様に殺される場面を体感します。町の人の通報により、再び連れ戻された2人は、村で鞭打たれ、それが元でエイダは流産。父母は初めてアイダが妊娠していたことを知りました。すべてを告白したエイダは、父も殺されてしまい、穴神様の怒りを鎮めるには自分しかないと観念し、破局を止めようとすべてを告白、生贄を受け入れます。その夜穴神様が逃げろというお告げが来ますが、逃げるとドワイが死ぬと知ったエイダは、翌日村人の前で生贄になるのでした。

ザ・サスペリア 生贄村の惨劇

奇妙な集落が舞台です。住民は20人に満たない様子。その中で繰り広げられる惨劇といった内容です。住民は穴神様に素直に従い、生贄になることも素直に受け入れる(ほとんどの場合)。しかし、そこにドワイの恣意も入ったり、エイダが壺を隠してしまったりするので混乱し、結果的には、エイダを求めていた穴神様がお怒りに、という感じでしょうか。そういったことは、エイダのお爺さんを巡って、過去にもあったようです。そのような集落の人々が気持ち悪くもあり、町との交流も若干あるようですが、町の者は基本的には彼らとは距離をおいて近寄らないという態度の様でした。

さて、ショーン・ヤングですが、戒律至上主義の母として描かれています。戒律を守るためには娘を傷つけることも厭いません。股間を調べるために足を開かせる時に、たばこの火を押し付けるような鬼母です。そして、娘が生贄になれば村が救われるとなれば、娘の首を掻き切るのでした。いや、怖いですねこの世界。最後は、自分の家にエイダの首とともに一人戻るドワイ。普段は人との交流を絶って、ずっと生贄を選び続けてきた男です。いわばもう一人の主人公。エイダに自分が死ぬべきだといいますが、2人とも自分が幾人かの他人を死に追いやったという悔恨を背負っています。このあたりが、この物語の救われないところです。

このお話は、異様な風習に囚われた人々の業を描いていますが、ある意味普遍的な事象を表現しているとも見て取れないことはありません。こういったホラーなので、異様さが先に立って慮るのはなかなか抵抗があるのですが、何か社会を形成する人間の一つの特質をシリアスに浮き上がらせているようにも感じさせられます。人間社会でいろいろと起こってきたことを当てはめると、あながち単なるフィクションとも思えなくなるのですが…。

2019.4.12 HCMC自宅にて、Amazon Prime よりパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
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「サンライズ」 映像の完成度の高いサイレント末期の集大成

久しぶりに、心しての名画鑑賞です。今日の選定はサンライズ。正直言って内容はよく知りませんが、著名な作品という事だけはわかっています。それほどの映画ですので、きっと感動があるのではないかと思います。1927年のアメリカ映画。F・W・ムルナウの渡米第一作で、サウンドトラック付のサイレント映画となっています。

あらすじ
若い農夫の男は、町から来た女の虜になる。女から妻を殺してすべてを捨て去り、一緒に町に行こうとそそのかされ、ボートから妻を突き落とす計画を立てるが、最後に思いとどまった。しかし、怯えた妻は逃げだし、二人は電車に乗って町へ向かう。そこでなんとか仲直りした二人は、幸せな時を過ごすが…。



夏休みに村にやってきた旅行者の中で、ある町の女(マーガレット・リヴィングストン)が長く滞在していました。彼女は、若い農夫の夫婦の家に向かい、すっかり女の虜になった男(ジョージ・オブライエン)を誘い出すと、男に妻をボートに乗せて事故に見せかけて殺し、農場も売りすべてを捨て去って一緒に町に出ようと誘います。男は、迷いながらも同意しますが、翌日妻(ジャネット・ゲイナー)を見た夫は計画の恐ろしさに打ち震えます。しかし、町の女に支配された男は、妻を対岸へ遊びに行こうと誘い、喜んではしゃぐ妻を乗せてボートを漕ぎだしました。そして川の中まで来たとき、男は妻に手をかけようとしますが、教会の鐘にふと我に返り、慌てて対岸までボートを漕ぎつけました。

妻は対岸に着くと、夫から逃れようと駆け出します。追いかける夫。ちょうど来合わせた電車に飛び乗り乗り2人は町まで来ました。町に着いても逃げようとする妻を捕まえ、レストランに連れていき少し落ち着かせます。そして花束を渡すと妻は泣き崩れました。町の教会ではちょうど結婚式の最中。そこで神父の祝福の言葉を聞きながら涙を流す夫。許してくれと妻の腕の中に泣き崩れます。すっかり仲直りして、教会を出て熱いキスを交わす二人は交通渋滞まで巻き起こし、その日は一日中町をデートします。写真館、美容院、遊園地、ディナーと新婚時代に戻ったようでした。

帰りは再び電車にのり、月夜のハネムーンにしようと、船で川を渡ります。しかしちょうどその時、雷鳴とともに猛烈な驟雨に襲われ、水面は激しく波立ち、船は転覆してしまいました。岸に流れ着き助けを呼んで妻を捜索しますが見つからず、悲しみに暮れて家に帰ります。そこに、無事妻を殺すことに成功したと思った町の女がやってきますが、怒った男は女を絞殺しようとします。ちょうどその時、村の人の男を呼ぶ声に気づき、行ってみると妻が別の場所から救出されていました。翌日町の女は村を離れ、村に上る朝日の中で二人は抱き合うのでした…。

サンライズ

立派な映画でした。まずは、映像の美しさがすばらしい。サイレント映画ですから映像で語るのが主になりますが、それも徹底して映像で語りかけてくる感じでした。冒頭の都会の情景とか美しい映像ですし、それぞれの長回しでじっくり撮っている人の表情など、どんどん入ってきます。字幕を極力少なくして映像でほぼ解らせようとしているのは、日本語字幕無しで見ているので、ありがたくもあります。犬の場面とかサスペンス感を盛り上げていますし、ボート上での夫の顔を伺う妻の顔など、語らずとも心中を表していきます。

全体は3つの部分に分かれています。最初はサスペンス。ここは盛り上げ方が凄くうまいと思いました。妻の様子や、妻を見た時の男の葛藤と、チラチラ浮かぶ町の女の影など、面白い表現です。中間部はラブコメ。これは徹底しています。子豚が酔っぱらうシーンまであってサービス満点。かなり熱い場面を延々と見せつけられることになります。そして最後はアクション部分。暴風の中で翻弄される小舟と捜索劇。そして町の女への憎しみが噴出する場面。一つ一つがしっかり描かれていますし、前半で作った葦の束の利用とか、いろいろとしっかり回収されていくのも構築感を高めています。

やはり、一番はジャネット・ゲイナーですね。可憐さが最高です。ラブコメシーンとか素晴らしいと思います。この映画でオスカーの主演女優賞ですね。ジョージ・オブライエンも好演してます。ナイフで脅すのはやり過ぎと思いますが…。そのほかにも、メイドさんとか、床屋さんとか、いろんな役の人の動きが丁寧に撮られていて、良い演技になっています。このあたりはムルナウ監督の力なのでしょう。今回は、新たな発見もいろいろあり、内容盛りだくさんな感動作を見せてもらった感じです。やはり名画を見る時間というのはいいですね。また時間をおいて見ていきましょう。

2019.4.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「第一級の産婆」 世界初の女性監督(映画史を辿って)

ネットをいろいろ回っていると、沢山の映画創成期の動画を見ることができます。これもその一つ。本当にたくさんあって、どれを見るかは気分次第ですが、初期は長さも5分くらいのものが多く、いい加減に見始めると訳が分からなくなるので、ある程度予備知識を調べて、狙って見るようにしています。1902年のフランス・ゴーモン社製作の映画です。
原題:Sage- femme de première classe

あらすじ
若い夫婦が赤ちゃんのお店にやってきて、庭のキャベツ畑から赤ちゃんを貰うお話。(上映時間4分強)



小さな赤ちゃんの縫いぐるみを売っている店の前で、愛を語り合う二人がいました。一つ買ってあげるよという事になって、女性はいろいろな縫いぐるみを抱いて確かめます。これはどうかしらと進める店員。でも、縫いぐるみじゃ物足りないようで、店員は本物をと、塀の向こうのキャベツ畑に案内しました。

良く太ったキャベツの中には、赤ちゃんがいるようです。店員は一人一人取り上げ、女性は抱いていきます。何人か確かめた後で、最後に一人の赤ちゃんがとても気に入った様子で、二人はお金を払って帰っていきました。

第一級の産婆

監督のアリス・ギイは、世界初の女性監督。当時、世界初の映画会社であるゴーモン社の社長秘書でしたが、22歳の時に映画の機材を見て、もともと演劇に興味をもっていたアリスは、当時はまだ動く絵という認識であった映画に、自分ならもっといいものが撮れると、ドラマ要素を持ち込み製作を始めます。そして、生涯に1000本以上の映画にかかわった女性監督であり、世界初の劇映画監督でもあるのです。その演出ぶりは、軍隊を指揮するようであったとか…。

この5分ばかりの映画ですが、なかなかの素晴らしいファンタジーになっています。2人の男女の動作も店員(産婆)の所作にしても微笑ましく、大変楽しい映画でした。実際の赤ちゃんで撮影されているようですが、人種の違う赤ちゃんは縫いぐるみの様です。黒人の赤ちゃんを見ると、露骨に目を背ける場面があるのは、まだそういう時代だったということでしょう。キャベツ畑から子供を授かる訳ですから、このストーリー全体が恋愛から出産までの暗喩なのですね。

場面は、2カットで、表のお店と、裏のキャベツ畑という構成。俳優は、Germaine Serandと、Yvonne Serandと記録されています。撮影中は、子供が泣くたびに、母親がカメラの前に出てきて大変だったとか…。ともあれ楽しい映画ですし、映画を見ていろいろな映画の歴史を調べてみるのも楽しいものでした。

2019.4.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」 江戸川乱歩のエッセンスを集めたエログロミステリー

カルト映画として名高い、恐怖奇形人間。気になっていた映画ですが、ついに鑑賞します。東映エログロ路線の石井輝男監督作品。1969年の製作です。

あらすじ
医学生広介は精神病院に幽閉されていた。脱走すると、聞き覚えのある子守歌から記憶をたどり、自分の出所を確かめに裏日本に向かう。地元の名家に侵入し、生活を始めるが、次々と不思議なことが起こり始める…。



医学生である人見広介(吉田輝雄)は、自分がなぜ精神病院にいるのか解りませんでした。ある時院内で男に襲われ、これを返り討ちにして脱走します。そして、曲馬団の少女初代(由美てる子)が歌う子守唄から記憶を取り戻しかけたところで、初代は裏日本というキーワードを残して殺されてしまい、犯人の嫌疑をかけられてしまいました。列車て裏日本に向けて逃亡中、広介は自身とそっくりの菰田源三郎の死亡記事を見て、源三郎の葬儀の場所に赴き、彼が蘇生したように見せかけて成りすまし、菰田家で生活を送りはじめました。

当主の丈五郎(土方巽)は生まれつきの奇形で、執事の蛭川(小池朝雄)に家を任せ、無人島で島を改造していました。その後、源三郎の妻の千代子(小畑通子)が殺されるなど不思議な事件が続くと、広介は真相解明のため、蛭川、遠縁の静子(賀川雪絵)、新参の下男(大木実)を連れ、島に渡ります。島では、丈五郎は奇形人間を作り、自らの理想郷を作ろうとしていたのです。そこでは初代そっくりの秀子(由美てる子・二役)という娘が男と人工的なシャム双生児にされていました。丈五郎は源三郎に、源三郎と広介は兄弟で、広介を医大に通わせたのは奇形人間の製造を任せたい為だったという秘密を打ち明けます。源三郎は、自らが広介だと打ち明け、秀子に外科手術を施してもとの体に戻し、愛し合うようになりました。

丈五郎は秀子の出生の秘密を明かしました。秀子は浮気をした丈五郎の妻とき(葵三津子)を幽閉し、せむし男に犯させて生ませた子で、広介と秀子は兄妹なのでした。そして、丈五郎はピストルを出して、広介に奇形人間製造を迫ります。そこで、下男が正体を明かして明智小五郎と名乗り、その場で執事の蛭川が静子と愛人関係にあることや、丈五郎を裏切り菰田家を乗っ取ろうとするための、数々の所業を暴きあげます。蛭川と静子は丈五郎に追われ、水中に落ちて死に、島の改造の計画遂行が不可能と悟った丈五郎は自殺、愛し合うようになった秀子と広介は兄妹の間と解って心中し、花火となって空中に四散したのでした。

江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間

カルト映画として名高いこの映画を見るのは初めてです。石井輝男のエログロ路線という事で心して見ました。冒頭から精神病院場面という事で、狂女たちの入り乱れる場面。石井輝男らしさがいきなりのインパクトを発揮します。そして、海辺の断崖を駆け回る丈五郎。私はこの映画では一番印象に残りました。これは、舞踏家土方巽の名演技だと思いました。江戸川乱歩の原作を組み合わせた伝奇的な映画、ベースはパノラマ島奇談や孤島の鬼などなど。うまく取り入れていると思います。

海辺での哀愁漂うラスト。海辺に追い詰められた犯人が…というのは、よくサスペンスドラマでもあるシーンですが、あまりにも今までやってきたことと、愁嘆場の対比が落差が大きく、すんなりと入っては来ません。それが石井輝男だと言えばそういうことだと納得してしまいます。それに最後の打ち上げ花火が揚がって。なかなか一筋縄ではいきません。そこまでやるかというところが、カルトなる所以でしょうか。

小池朝雄の怪演ぶりは、相変わらず板についていました。葵三津子の蟹を食べるところとか、なかなか強烈なシーンです。いろいろな事を大盤振る舞いでやってくれる中で、全編出ずっぱりの吉田輝雄と、一人だけ異彩を放っている大木実が、この映画をしっかりと支えています。そして、見世物的な要素が満載ながらも、芯がしっかり通った映画だと思いました。そうそう、蛇を殺すところは右手でやっていました。とっさな行動は利き手が出てしまうという演出と思いますが、そのあたりも、いろいろと考えられていますね。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

2019.4.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「ある女流作家の罪と罰」 オスカー候補となったメリッサ・マッカーシー主演作

機内で見る映画の3本目。目についたのがこの映画です。日本未公開というところにも興味を惹かれ、とりあえずこの機会に見ておこうという感じです。2018年のアメリカ映画ですが、アカデミー賞(主演女優賞・助演男優賞他)にノミネートされました。

あらすじ
売れない女流作家のリー・イスラエルは生活が困窮し、家賃も滞納するほどだった。ある日、著名人の手紙が高く売れることに気づくと、贋作に手をそめ、大金を得るようになる。しかし、収集家たちもその手紙の信憑性を疑い始め、やがて彼女はFBIにマークされ始めるが…。



落ち目の女流作家リー・イスラエル(メリッサ・マッカーシー)は、仕事がうまくいかず、アパートの家賃を滞納したり、知人のホームパーティーでトイレットペーパーを盗んできたりしていました。日々の生活は酒におぼれ、部屋の掃除もせず、唯一の友である猫と過ごす毎日です。なんとか復活しようと出版社にアイデアを持ち込むものの、全く相手にもされていませんでした。そんなある日、リーは、図書館で本の間に挟まれていた古い手紙を発見。そして、それを古書店に持ち込んだところ、著名人の手紙が収集家の間で高値で取引されていることを知りました。

そこで、リー・イスラエルは、古いタイプライターを買い、紙でも時代を演出し、手紙の贋作に取り組み始めます。さすがに作家である彼女の文章は、買取の店主の目をごまかし、高値で売ることができました。味をしめた彼女は、どんどん手紙を捏造。大金を得ていきます。そして、旧友のジャック(リチャード・E・グラント)の手も借りて売りさばいていくうちに、収集家が実在の手紙との文体の相違などに気づき始め、FBIからマークされ始めました。ついに、彼女は本物なら心配ないだろうと、手紙を図書館から盗み出し、売却しようとしますが、すでにジャックも逮捕され、その証言によりリー・イスラエルも逮捕されてしまいました。

裁判当日は、自ら真摯な反省の弁を述べ、執行猶予付きの判決で解放されます。そして、自分がしてきたことを反省しながら街を行き、騙した店を眺める彼女は、同じく解放されたジャックと出会い、一連の事件のことを自伝として発表したい。ついては、ジャックのことも書かせてくれと頼みました。当初とんでもない話と断っていたジャックですが、彼女の真剣な復活への頼みに折れ、リー・イスラエルは自伝を出版。再び作家へと復活したのでした。

ある女流作家の罪と罰

結果として、なかなか面白かったです。前半はうまく入り込めず、ちょっと退屈な感じがしていましたが、贋作の手紙に取り組み始め、それが徐々に疑惑を招き、さらに盗みまで発展していくという、負のスパイラルの中での緊張感がありました。そして、今まで文才はあるものの、主体的でない行動や文筆活動しかできなかった彼女が、自分に向き合うことができるようになり、彼女の表情も輝いてきたように見えました。このあたりの、メリッサ・マッカーシーも演技は見事だと思いました。それもそのはず、メリッサ・マッカーシーはこの映画でオスカーの主演女優賞候補だったのですね。

メリッサ・マッカーシーって、実はお恥ずかしながら注目して見ていたことがありませんでした。彼女の出た映画はいくつか見ていたのですが、彼女自身にあまり印象が無く、それが今回主演ととして見ることができていい機会だったと思います。基本はコメディエンヌですね。この映画は、日本では劇場未公開のDVDスルーなので、ちょっと惜しい感じです。勿論、DVDなりネット配信で見られるだけでも大変ありがたいのですが…。

彼女が、法廷で発言する場面。最初は、弁護士と打ち合わせた上での、作った話かと思ってみていましたが、どうやらそうでは無かったようです。そのあたり、ちょっと感動します。元々あった、編集者などからのいろいろな周囲からの批判。それでも頑なに一人で自分のスタイルで生きていた彼女が、この事件を契機に殻が破れたようです。その後の清々しさがやはり印象に残りました。そういう意味では、前半のちょっと退屈に感じた場面は、そのあたりの性格背景を描いているので、じっくり興味深く見ていくべきでした。しかし、最近のドラマ、Based on the true story.というのが多いなぁ…。

2019.4.22 JL759 (成田~HCMC)にて機内鑑賞

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「イメージの本」 思考を鍛えなさいと言われても…

元々、渋谷で古い映画をいくつか見ようと向かっていたのですが、数寄屋橋から銀座線に乗るために銀座四丁目に移動中、シネスイッチをチェックしたら、ちょうどこの映画をやっていたので立ち寄ってしまいました。ゴダールの最新作ということでちょっと興味が湧いたものですから…。2018年カンヌ映画祭で彼の為に設定された「スペシャル・パルムドール」というものを受賞しています。

あらすじ
かつて私たちがどうやって思考を鍛えていたか?にはじまり、手のひらを形作る5つの指に相当する思考と、その集約された幸福のアラビアと題した物語を、たくさんの映画、絵画、文学などをつなげて、思考を形作っていく…。



かつて私たちがどうやって思考を鍛えていたか?
手のひらを形作る5本の指。その5本の指にあたるもので映画はスタートしていきます。
1.リメイク
映画はいろいろなもののリメイクされたもので、現実の世界もリメイクが繰り返されます。
2.ペテルブルグ夜話
メーストルのペテルブルグ夜話で語られる戦争論を主題に思考が展開されていきます。
3.線路の間の花々は旅の迷い風に揺れて
列車の映像を主体に思考が組み立てられていきます。
4.法の精神
モンテスキューの法の精神をベースに、暴力を裁く法と、法の持つ暴力性について述べられます。
5.中央地帯
男性と女性の間の愛がテーマとなっているようです。

そして、この5本の指の集まる手として、後半部を構成する長い話に入ります。
幸福のアラビア
エジプトの作家、アルベール・コスリーによる「砂漠の中の野望」という小説をベースに、産油国に囲まれた石油を産出しないアラブの架空の小国ドーファの、内外に渦巻く権力闘争や陰謀を映像をつなぎ合わせて語っていきます。

といった内容になりますが、一見しただけなので現時点では十分に理解していないのです。(爆)

イメージの本

この作品は、過去の芸術作品、映画を中心に絵画や文学などの断片をつなぎ合わせて一つに構成された形となっていました。イメージ:映像の本という、題名そのものです。おびただしい作品数で、映画をそんなに多くは見ていない私としては、見てあの作品だとわかるのはポツポツという感じ。「ソドムの市」とか、「アンダルシアの犬」とか、解りやすいのですぐに目につきますが…。そして、前半が手を構成する5本の指という観点からの5つの哲学的なエピソード、後半がアラブを中心にしたストーリーという形で構成されます。

映像は、大半は、現代の技術を駆使した、HD画像や4Kといったものではなく、視覚効果も狙ってか、いろいろな方向で加工されているようで、いかにも過去の映像を見ているという年代感が出ていました。その中で鮮やかな映像なども織り込まれて、視覚効果を出していきます。音楽は、いくつかのモチーフが繰り返し使われますので、自然と耳についてきます。クラシック音楽を基調に、ロマンチックなピアノ協奏曲と、不安を表すような近代の管弦楽曲の断片。そういった形で、最後まで続き、エンドロール的に使用された映像の紹介がされる中で、もう一押し映像が続き、という感じで終わりました。

というわけで、過去の映像を組み合わせつつ、リメイクで表せるような、映画の内容の連続性や、社会の連続性、戦争論、法律にまつわる議論等が、断片的な映像と言葉で織り成されるその理論については、哲学的かつ学術的で、体感的に理解しづらいものも多く、ついていけないところが多くあります。というわけで見ていくうちに、引用されている古今の名作に興味が移ってきた次第です。最後の方で、その日の朝家で見ていた市民ケーンの冒頭の場面が出現。たまたま同じ映像を1日のうちで2回見たことになったのでした。

「思考を鍛える」ためには、一度見ただけではダメなのでしょう…。

2019.4.21 シネスイッチ銀座にて

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「ねらわれた学園」 懐かしいジュブナイルSFと大林宜彦の映像

同時代で学生を謳歌していただけに懐かしい感じの日本映画。この映画は見ていなかったので、機会を得て見てみました。ファッションや雰囲気に当時を振り返りつつの鑑賞です。1981年の日本映画です。

あらすじ
二年生に進学した三田村由香は、下校の途中で交通事故現場に遭遇。あわや惨事というところで念じた由香は、そこでトラックが後退して事故発生を未然に防ぐ。不思議な能力に違和感を覚える由香。その頃由香の高校に超能力者の学生が送り込まれ、学生たちを超能力者のコントロール下に置こうとする陰謀と対峙する…。



第一学園の優等生三田村由香(薬師丸ひろ子)は二年生に進学しました。ある日、由香はクラスメートの耕児(高柳良一)と下校の途中で、トラック前に飛び出した三輪車を見て、心の中で戻りなさいと叫ぶと、トラックも三輪車も後戻り。事故は未然に防がれます。由香はこの不思議な一件に、不安を感じていました。その頃、剣道部の主将の耕児は、高校対抗の試合に出場。最後に出場した耕児は、全戦全勝で、第一学園を勝利に導きます。しかし、それも応援していた由香が「敗けないで」と心の中で念じ続けていたからだったのです。由香はますます自分の奇妙な力に不安をつのらせていきました。

そんな由香のところに、京極(峰岸徹)という不思議な男が現れ、「僕と手を組もう、世界を思うままに支配できる」と誘います。そして数日後、由香たちのクラスに高見沢みちる(長谷川真砂美)が転校してきました。みちるは不思議な魔力で生徒や先生を翻弄し、先徒会会長に当選。風紀の乱れた学校をただすということで、生徒を取締る学内パトロール隊を組織し、自分の思い通りに学園を作り変えていきます。その行動に、由香は違和感を抱き始めました。パトロールは日に日に厳しさをまし、些細なことで糾弾されるため、耕児たちも不満をつのらせていきますが、みちるの不思議な力に封じ込まれてしまいます。

みちるのやり方に批判的だった山形先生(三浦浩一)が交通事故に遇い、瀕死の重傷を負います。そして、仲間たちも次々と不自然な事故にあい、由香と耕児は我慢ならず、敵の総本山と思しき栄光塾に乗り込みました。そこで、再び京極と対峙し、自分は金星から来た。我々の仲間に加われという京極に対し、由香は真っ向から対抗。魔力を駆使して京極を倒し、京極に操られていたみちるたちも元の高校生に戻りました。そして学園は昔と同じ自由を取り戻すのでした。

ねらわれた学園

この時代の邦画はあまり見ていないのですが、この手の映画は決して嫌いではありません。ジュブナイルSFといえば、小中学生が対象。小学校の図書室にたくさんありましたが、この映画が出た頃は卒業しています。ジュブナイルSF関連の映像作品で、真っ先に思い出すのが、夕ばえ作戦やタイムトラベラーなど、NHKで放映された少年ドラマシリーズ。毎週楽しみにしていたという記憶があります。そして、この時代のジュブナイルSFもその延長線。原作者が相当かぶります。

日本のSFは60年代から。小松左京などが本格的なSFを書いて活躍していました。その頃、眉村卓や光瀬龍なども、しっかりしたSFを残しています。70年代に入り、眉村卓の作品は、ガチなSFからジュブナイル系のファンタジーが増えてきたように思います。小松左京は不器用でSFを書き続けましたが、眉村卓は器用に変貌。従って作品に本格的なSFの印象がありません。星新一顔負けのショートショートすら沢山書いています。その頃、欧米ではP・K・ディックなど、どんどん作風を研ぎ澄ましていく中で、格差がますます開いていったという印象です。

この原作は読んではおりましたが、映画は初めての鑑賞。内容的にも貧弱で、SFとは言い難いくらいの乏しいネタであり、ストーリーです。まぁ。そういう作品ですから、そこは割り切って楽しく作りましょうという感じに見て取りました。薬師丸ひろ子は売り出し中、大林宜彦は、いろいろお試しで可笑しなぐらいの効果を駆使し、とにかく何か奇抜で面白ければいいという感じでした。そして、主題歌はユーミン、おまけにカメオ出演もいっぱいです。そういえば、山本耕一は俳優だったのですね。「そうなんですよ、川崎さん」が流行った頃なので、この映画に出演できたのでしょうか。というわけで、いろいろ思い出しつつ、それなりに楽しみました。

2019.4.13 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「APP アプリ」 変なアプリに侵されたスマホの処置は?


難しい映画や、名画を見続けて疲れた時は、肩の凝らないサスペンス。ということで、オランダ製サスペンスの「APP」を鑑賞です。スマホを題材にしたサスペンスは、携帯時代も含めて日本でもいろいろと作られていますが、その性格上いろんなサスペンスの題材になりますね。2013年のオランダ製作の映画になります。

あらすじ
大学生のアナは、友人とのパーティーで痛飲した翌日、スマホに見知らぬソフトを発見する。そのソフトは、スマホの中で暴れまわるどころか、次々と感染し、人々のプライベートをさらし者にしていく。そして、アナの身の回りの人が次々と命を失いはじめてしまう…。



冒頭、友達と別れたリスべス(Liza Sips)は、家族や恋人との関係を苦に衝撃的な自殺をするシーンからスタート。何やらいきなり強烈なインパクトです。そしてタイトルロールの後本題へ。

大学生のアナ(ハンナ・フックストラ)は親友のゾフィー(Isis Cabolet)とダイビング学校に通ったり、寮でおしゃべりを楽しんだりする毎日。アナの弟はバイク事故のリハビリ中で、医者からの勧めでチップを埋め込む手術をすることになっています。ある日親友の誘いで、寮のパーティに出たアナは、高校時代の元カレと再会。お互いに憎まれ口を叩く二人。そして、翌日朦朧として目覚めたアナの携帯にイーリスという見慣れないアプリがインストールされていました。アシスタントと名乗るイーリスですが、授業中に携帯を鳴らしたりと異常な行動をはじめ、ついに、ゾフィーのセックス動画を拡散したり、授業中に教授のスキャンダルを教室の映像に映し出したりと、暴れ始めます。

その結果、教授は学内で銃を乱射して自殺、アプリを消しに行った修理店は爆破され、そして、通話を妨害したり、冒頭に自殺したリスべスの声を流したりとやりたい放題。そして、このアプリは近隣にあるスマホやパソコンを始め、チップのある機器であれば何でも伝染するようにコピーされていくようです。そして、弟のチップにも感染し、弟は瀕死の状態に、またゾフィーさえも感電死させられ、その恋人も殺されてしまいました。

そして、弟を救うため、すべての医療機器から無理やり引きはがしたアナですが、そこに止めに現れたのは、担当医とパーティで再開した元カレ。過去の動画から、その元カレがイーリスをアナのスマホにダウンロードしたことを突き止めた彼女は、2人と対峙します。担当医は元カレの作ったリハビリ用のチップで一山当てたいと考え、元カレはどうやら昔の彼女を監視するためにも、そのシステムを使っていたようです。しかし、成功したのか暴走しているのか解らない状況で、男2人はお互いに自滅した格好で、アナはその場を逃れ弟を救うことができました。

ラストは、回復した弟と一緒に旅行に出る場面。乗り込んだ飛行機の計器にイーリスが現れ…。で終わりました。

APP アプリ

楽しく拝見しました。動機とか、首謀者の挙動の割には、やることが激しすぎるという感じはしますが、まぁ、そこまでリアルさを求めてないので…。というところです。グロい場面は見せていないので、スムーズに話が流れるのもいいところ。この元カレも、きっとイーリスはもはや制御不能になっていたのではないかと思いました。リスべスの呪いというか、リスべスの呪いをイーリスが受け継いでいたのでしょうね。ありがちなラストで、これは、良くも悪くもというところです。

ハンナ・フックストラさんはいいですね。スレンダー美人。スレンダーという印象はこの映画からではなく、もう一つの日本発売のある「アブノーマル」の画像から来ています。あちらの方はたくさん裸を見せてくれているのですが、映画自体は未見です。いつか見てみたい。この映画では、美しく、かつオートバイを乗り回す活動的な女性でした。気になる女優さんが増えました。

という訳で、肩の凝らない映画と言う意味で、なかなか楽しめました。増殖していくイーリスはなかなか脅威ですし、見ているとなんだかこれに近い話が実際にありそうな、という気もしてきます。スマホは個人情報の塊ですし、クラウドとも共有されていますので、気になり始めるとキリがないですね。そういうアプリに行き当たった時は、SIMの交換とかせずに、さりげなくセメントの中にでも落としてしまいましょう。それでも気づかれるかな???

2019.4.10 HCMC自宅にてAmazon Prime よりパソコン鑑賞

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「雨に唄えば」 いろいろなシーンを見たことのある超名作を通しで見る

何をいまさらというほどの超有名作です。でも、超有名映画は大量に見逃してます。例えば、「ローマの休日」…。まぁ、そういうことはままあることとは思いますが、死ぬまでには見ようという感じで、今日は「雨に唄えば」。1952年のミュージカルですね。

あらすじ
幼馴染のドンとコスモ。2人はハリウッドに出て、ドンはサイレント映画スターとなり、その高慢なパートナーのリナは、ドンを無理やり自分の恋人として扱いますが、ドンは高慢なリナが好きではありません。その頃ドンは演劇志望のケーシーと出会い、彼女の素晴らしさのとりこになりますが、嫉妬したリナはケーシーをハリウッドから追放してしまいます。しかし、その頃ちょうどトーキーの時代がやってきていました…。



ドン・ロックウッド(ジーン・ケリー)とコスモ・ブラウン(ドナルド・オコナー)は少年時代から、仲の良い友達でした。2人はハリウッドにやって来て、ドンはスタント・マンになり、その後俳優としてサイレント映画のスターになります。彼の相手役はリナ(ジーン・ヘイゲン)で、美人ではありますがかなり高慢で、ドンは好きになれなかったのですが、リナの方は、ドンは自分の恋人だと考えていました。ある日、ドンは若くて歌も踊りもうまいケーシー(デビー・レイノルズ)を見染め、なにかと世話を焼くようになりましたが、リナは嫉妬して、ナイトクラブに職をもっていたケーシーをクビにさせてしまい、ケーシーは町を去り、ドンは悲しみにくれました。

最初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」が公開されて大ヒット。ドンの所属する撮影所のボスは、ドンとリナが主役の「決闘の騎士」をトーキーで製作することに決めます。その撮影中に、同じ撮影所で製作中のミュージカルに端役で出演していたケーシーと再会したドンは仲直りします。「決闘の騎士」の試写会は不評。それもリナの声がトーキーでは聞けたものではなかったからです。コスモの発案でリナの声をケーシーの声で吹き替え、「踊る騎士」と改題して公開すると大好評。リナはケーシーを自分の影の声として継続するよう勝手に決めてしまいます。カーテンコールでリナは観客からその場で歌って欲しいとせがまれ、幕の後ろでケーシーが歌い、リナは口パクで切り抜けようとしますが、ドンとコスモはこの機会を捕らえて2人を仕切る幕を開けてしまい、リナは名声を失い、ケーシーはドンと結ばれ、新しいスターとして迎えられるのでした。

雨に唄えば

押しも押されぬ名画の鑑賞です、いろんなシーンを見たことはあるのですが、それで見た気になっていましたので、改めて通して見てみました。いろいろと面白いところの多い映画ですので十分楽しみましたが、やはり見た気になっていたのが正解でした。今となっては、ありがちなストーリーだし、名シーンは見てしまっているので、そうそう改めて見たという気がしなかったという事です。最近「巴里のアメリカ人」も見ましたが、絶対的にあちらの方が私は好きです。

サイレントからトーキーに移り変わる映画の舞台を描いた映画。映画作家は当然楽屋裏をよく知っている訳で、うまく描けて当たり前。素人から見れば新鮮で面白いものに移るのは間違いないですが、映画を描いた映画もたくさんあり、我々も目が肥えているので、最近ではよほど凝っていないと陳腐に見えてしまうのかもしれません。そういう意味ではラ・ラ・ランドとかも、今一つ感心しなかったのは、なんとなく楽屋落ちを見ているような気がしてしまったからでしょう。

絶対的名画なので、ちょっと見たタイミングが悪かったという事かもしれません。当然主題歌は素晴らしい名曲ですし、史上に残る名シーンなのです。でも、どうしても映画の為の映画というか、歌と踊りの為の映画と言うか、そういった感じから抜けきれませんでした。巴里のアメリカ人は、素晴らしいラブストーリーがあって、それと良くマッチしていて、さらに華やかだったのです凄く感心して見ていたのですが、ここではそうまで感じることができなかったという、個人的な感想でした。

2019.3.30 HCMC自宅にてAmazonPrime よりパソコン鑑賞

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「怪物団 フリークス」 サーカス出身のトッド・ブラウニングだから描けた名作

前世紀の終わりに、一度レンタルして見たことがありました。当時、それほどインパクトを感じていなかったのですが、語り継がれる名画なので、たまたま見つけたことから、もう一度確かめてみようと再見しました。1932年のアメリカ映画です。

あらすじ
サーカス団の一員である小人のハンスは、婚約相手がありながら美貌の軽業師クレオパトラに誘惑される。ハンスが資産家であることを知ったクレオパトラは、ハンスと結婚した後で、彼を亡きものにしようとたくらむが…。



サーカス団の一員である小人のハンス(ハリー・アールス)は、小人の曲芸師のフリーダ(デイジー・アールス)と婚約していました。ところがハンスはサーカスの花形の軽業師クレオパトラ(オルガ・バクラノヴァ)に魅せられていきます。クレオは最初はハンスをからかうつもりでちょっかいを出していましたが、ハンスが莫大な資産を相続していることを知ったクレオは、情人のヘラクレス(ヘンリー・ヴィクター)と共謀し、金目当てに彼を誘惑、ハンスはクレオパトラに騙されたまま、結婚を決めてしまいました。クレオはハンスに毒薬を飲ませて弱らせ、資産をすべて自分の物にしようという算段でした。

婚約者を奪われて悲嘆にくれるフリーダを、一座の仲間のフロソ(ウォーレス・フォード)とヴィーナス(リーラ・ハイアムス)は心配して慰めます。結婚式の祝宴では、クレオはハンスと一座の小人の見世物仲間を侮辱し、彼女の真意を知ったハンスは後悔しますが、自分たちに対する侮辱や毒殺計画を知った一座の仲間たちは激怒し、クレオを追い詰めて罰を下したのでした。その後ハンスはサーカス団をはなれ、資産家として生活していましたが、失意のフリーダはずっと後悔していたハンスと、フロソとヴィーナスの仲介で再会し、再び結ばれることとなりました。

怪物団 フリークス

昔、一度見たことがありました。当時、何かの記事でカルトムービーだということを知って、キワ物的な映画だと思い込み、レンタルビデオを借りてきたということです。実際見ると、想像とはかなり違ったということでした。今回、は改めての再見です。そして改めていい映画だったと思いました。まずは、サーカスの小人たちが、自然に活き活きと描かれているのが大変新鮮です。あるがままの素直さで、かつ前向きに。この普通さの感覚がすごいと思います。これは、サーカスで育ったトッド・ブラウニングだから描けた世界だと思いました。

一方で、健常者であるクレオとヘラクレスは、徹底的に醜悪な精神を持つものとして描かれています。クレオの結婚式の日の、酒の入ったバカ笑いの連続は凄まじい迫力でした。そして、ストーリーの中で、いろいろと見世物的にエピソードが挟まれていきますが、ヒルトン姉妹のエピソードとか面白かったです。全体としては、人は外見よりもその心ということが込められています。

この映画は、公開当時は世間に大変なショックを与え、論争の的となった結果、トッド・ブラウニングにはその後、まともな仕事は回されなくなり、事実上映画作家としてのキャリアの終焉を迎えてしまいました。これには、当時の社会良識や価値観によるものと思われますが、奇形の人間は見世物どまり。それが、健常者を復讐で奇形に変えてしまうなどけしからん、ということでしょうか。

2019.4.6HCMC自宅にて、Amazon Prime よりパソコン鑑賞

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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