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「肉体の悪魔」 1986年版。見どころは、マルーシュカ・デートメルス

久しぶりの映画鑑賞。なんとなく、まとまった時間が取れなくて、ご無沙汰していました。で、買い置きのDVDからです。今日は、「肉体の悪魔」。これは、ラディケの有名な小説ですが、1986年版は、マルコ・ベロッキオによる、大幅に翻案したものになります。といっても原作は読んだような、読んでいないような…。読んでいれば、映画を観ているうちに思い出すのでしょうけどね…。1986年イタリア・フランス制作。監督は、前述のとおり、マルコ・ベロッキオです。

あらすじ
高校での詩の授業中、向かいの屋根の上で女性が今にも飛び降りようとして叫んでいた。その騒ぎで目覚めた中庭に面した家に住むジュリア(マルーシュカ・デートメルス)に、学生のアンドレア(フェデリコ・ピッツァリス)は、一目惚れしてしまう。ジュリアには、テロリストとして裁判中の婚約者プルチーニ(リカルド・デ・トレブルーナ)がいたが、その裁判にアンドレアはジュリアを追って立ち会うようになり、二人は深い仲になっていく。そんな二人の様子に気づいた、プルチーニの母と、アンドレアの父が二人を引き離そうとする中で、やがて判決の日を迎えることになるが…。



中庭に面した高校での詩の授業の最中に、若い女の叫び声が響き渡り、クラス中が窓際に集まりました。中庭の上の屋根の上で、今にも飛び降りようとしている女性。彼女はやがて我に返り、助けられますが、その時起きだしてきたジュリアに、高校生のアンドレアは目を惹かれます。アンドレアは授業を抜け出してジュリアを追って、裁判所の審議中の法廷に入りましたが、そこではジュリアの婚約者の審議が行われていました。ジュリアは父をテロで亡くし、婚約者はテロリストとして審議中、そしてアンドレアの父は精神分析医で、ジュリアは父の患者でもあるようでした。

婚約者のプルチーニは改心したと扱われ、出獄できる可能性が高い中で、プルチーニの母と、ジュリアは結婚後に住むことになる家を準備しています。一方で、アンドレアは法廷に通いはじめ、何度かジュリアと会ううちに、二人は深い関係となり、プルチーニとの新居で夜を過ごすようになっていきます。面会の時に、微妙な心変わりを訝しむプルチーニ。二人の関係を知った父は、精神的に不安定なジュリアとの交際を反対。また、プルチーニの母(アニタ・ラウレンツィ)は、大変な時期を乗り越え折角つかみかけている息子の幸せへの妨害の出現に悲しみ、二人の間を発展させないようにアンドレアの父に抗議します。

奔放で、不思議な魅力を持つジュリアは、アンドレアを翻弄し、ますます深みにはまるアンドレア。父に咎められたアンドレアは、もう会わないというジュリアの伝言を無視し、夜中に彼女の家に潜入。出会った二人は、やはりお互いに求めあい、ますます深い関係に。そして、彼女はアンドレアの頭の中を占有したい、そしてひと時もアンドレアを離したくないという様子でした。やがてプルチーニが釈放され、彼女との結婚式を控えた日、ジュリアはプルチーニの元には現れず、アンドレアの卒業試験の会場に現れ、真摯な学生といった様子で口頭試験を受けているアンドレアを涙ながらに見守るのでした…。

肉体の悪魔

冒頭、屋根の上の女性の場面から、この映画を微かな狂気が支配します。それは、激しく現れるというよりは静かに支配する雰囲気でした。裁判所で、改心者とそうでない者を区分けした2つの檻。改心者でない方では、審理中にセックスを始めるものがいました。ジュリアは精神分析医であるアンドレアの父の患者。父の妄想に突然全裸のジュリアが現れます。そして、アンドレアとジュリアの間も、普通の純愛以上の狂気がそこはかとなくついて回っています。優しい顔のジュリアと、何かに取りつかれたようなジュリアの表情の違い。このあたりは見事だと思いました。

一方で、ラディケの小説は結局思い出さないのですが、この映画のテーマが、狂気の入ったラブストーリーだとしたら、この映画の中の行動は、狂気ゆえの必然となる訳で、不貞とかそういった情緒は無くなります。すべて、ちょっと奔放過ぎて行動が極端なジュリア、一方で愛してしまったら、とことん男を独占しようとするジュリアの様子など、物語の主題はそちらに移る訳で、微妙な心変わりとか、背徳とかそういったものは打ち消されていました。そして、最後の涙は狂気から醒め、普通に戻る瞬間を表しているのでしょうか。だとしたら、その後の2人の関係に不透明感を残しながらのハッピーエンドということになります。そういう話なので、女性の怖さが前面に立ち、全体的には情緒的なところが今一つなのと、途中の話の展開が緩いので、ストーリー的なインパクトがあまり残りませんでした。

映画としての雰囲気は、前半導入には良くできていたと思いました。ちょっとアバンギャルドな雰囲気がありました。映像など、時折ハッとするような美しいアングルもありました。そして、マルーシュカ・デートメルスはとても美人でした。彼女を見るだけでも価値があるというものです。1962年生まれなので同級生です(笑)。1986年といえば、日本だと社会人2年目といったお年ごろですね。すっかりファンになってしまいました。マルコ・ベロッキオ監督は、最近「甘き人生」が日本でも公開されましたが、この「肉体の悪魔」が作られた時代から現在までの30年を扱った作品。まだ、見る機会がありませんが、ぜひ見てみたいと思います。

2018.10.28 HCMC 自宅にてDVDのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」 青春アイドル映画として素直に感動する

これは、大量購入DVDの中にあった一枚ですが、気軽に見られそうなので、空いた時間に鑑賞です。この小説は結構流行っていたようで、良く店頭で見かけました。私は結局読まなかったのですが、似たような話で、確か実業家の女性が地方の高校野球チームを強くする話は読んだかな…。この手の高校野球もの、いろいろなバリエーションがありますね。2011年東宝の作品です。

あらすじ
みなみ(前田敦子)は病床の親友・夕紀(川口春奈)の代わりに、予選を1回戦で敗退した都立程久保高校野球部にマネージャーとして入部する。みなみは甲子園に連れて行くと宣言するが、エースの慶一郎(瀬戸康史)をはじめ部員の大半は練習に熱心ではなく、監督の加地(大泉洋)も見て見ぬふりという様子だった。みなみは書店に立ち寄り、マネージャーについて書かれた本を店員(石塚英彦)に尋ねると、世界中のマネージャーが読んでいると言う「マネジメント」を勧められる。それはドラッカーが書いた経営学の本であった…。



みなみは入院している親友の夕紀から、予選を1回戦で敗退した野球部のマネージャーの代行を頼まれます。夕紀は絶対甲子園に行ける力があると言っていましたが、練習を見に行ったみなみの目に映ったのは、惨憺たる光景でした。野球に覚えのあるみなみは、カツを入れようと打席に立ちますが、さすがに力の差があり三振を喫し、その場を逃げ出します。みなみは引っ込みがつかなくなり、本屋でマネージャーについての本を求めますが、勧められて買って帰ったのは、ドラッカーの「マネジメント」でした。南は、この本の内容を野球部に活かそうと思い立ち、夕紀や後輩の文乃(峯岸みなみ)の助けを借りて、野球部のマネージャーとして活動を開始しました。

野球部には一つ大きな問題がありました。練習をしないエースの慶一郎(瀬戸康史)は、かつて祐之助(西井幸人)のエラーで調子を崩し試合に負けたことがあり、その後慶一郎に対し祐之助も、また監督の加地でさえも気を使ってコミュ二ケーションのない状態が続いていました。その原因は3人の大きな誤解によるものでしたが、ある日、再び同じことが発生。慶一郎は部員全員から糾弾されます。今ではみなみたちの助言で事情を理解していた加地は、いままでのはれ物に触るような事なかれ主義を捨て、部員に熱く語り始めます。そして、部員を一つにまとめた加地は、実現したかった野球に対するイノベーションを実行し始めました。

部員たちはその後、真剣に練習に取り組むようになり、練習試合では負けることもなくなり、実力を上げていきます。そしてそれは他の部活動にも影響を与え、野球を中心にいろんな部とのコラボレーションも始まりました。そして迎えた夏の予選大会。順調に勝ち上がっていき、ついに決勝戦を迎えます。ところが、決勝前夜、闘病生活を送っていた夕紀が無くなってしまいます。いままで走り続けてきたみなみは、夕紀へ今まで発してきた言葉が夕紀を追い込んでしまったことで罪の意識に苛まれ、当日試合場から逃げ出してしまいますが、一方でビハインドのまま試合は進行していました…。

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

普通にいい映画でした。というか、かなり感動しました。青春物、高校野球物、アイドル映画として、かなりいい線を行っているのではないかと思います。ドラッカーについては、平易な入門的な意味もあると思いますので、興味を持ってもらうというところでは成功しているのではないでしょうか。これは、原作と同様に役目を果たしていると思いました。思えば青春物の野球漫画を昔から慣れ親しんで来たものです。墨谷二中とか思い出しましたよ。いずれにしろ作られたゲームの話なので、現実的によせるかどうかは、コンセプト次第。いろいろ伏線も回収してくれるので、いいのではないでしょうか。

欲を言えば、ドラッカーの話と野球との関連が今一つかみ合って無いような気もしました。あっているようなあっていないような。理論と、野球の場面と交互に出してくれば面白かったと思うのですが、それはそれで話の流れを阻害するような気もしますし…。話でいえば、加地監督の変わり身が見事でした。あれだけのダメ男ぶりを演じていた大泉洋が、ついに自責の念に堪え切れず一気に変わってしまいました。これだけ人が急に変わることは難しいと思いつつ、熱弁に感動してしまいましたよ…。

前田敦子さんも、今や独特な雰囲気で数々の映画出演をこなして大女優への道を歩んでいますね。この翌年が、「苦役列車」、さらに翌年が「もらとりあむタマ子」と面白い作品が続いています。いろんな役ができるので、面白い女優さんになっていると思います。これはそのキャリアの初期の作品ということで、やはり見ておいて損のない作品だと思いました。この映画の中での印象としては、最初の方で文乃が逃げた時の様子が面白く印象に残っています。久しぶりに素直に見れる映画を観ることができました。

2018.10.14 HCMC自宅にて、DVDをパソコン鑑賞

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「オーディション・テープ」 猟奇的なスナッフフィルムの謎を追う!?

たまには、マニアックな映画をということで、「オーディション・テープ」という映画です。内容は全く知りません。解説によると何やら猟奇的な映画の様です。はて、何が出てくるでしょうか?2011年アメリカ映画。IMDBを見ると、3.1点という珍しい低評価映画なのでした。

あらすじ
ポルノ産業のドキュメンタリー映画を撮影していたクルーが殺害される。一人生き残ったマット(ジャスティン・ヘンリー)は殺人の容疑をかけられ取り調べを受けるが、彼の口からは驚くべき証言が語られていた。クルーはドキュメンタリー映画を撮影するうちに、この世界に初めて飛び込むことにしたアリッサ(マリッサ・ジョイ・デイヴィス)を密着撮影することにしたのだが、彼女がオーディション後行方不明となり、そこには驚くべきテープが残されていたのだ…。



荒れた納屋の不可解な映像の後、SM映像のタイトルバックで始まるこの映画、なんとなく面白そう…。ということで本編に入ります。マットは、いっちゃったような目つきで収監されていますが、普通の表情も見せている様子。そして牢屋から出され取り調べ室に入ります。全く、彼の言うことを信用しない刑事に対して、マットは一部始終を語り始めました。

マットは友人のロビー(レイ・ロサレス)・カメラ役、と元カノのマヤ(アジャ・ポロック)・マイク役の3人でドキュメンタリー映画の撮影をスタート。お題は「ポルノ産業」ということで、映画のオーディション会場の撮影から始めます。ポルノ女優のインタビューににやけるマットに、マヤは不満な様子、そして会場に駆け込んできたアリッサに興味を持ったマットは、初めてこの世界に入るというアリッサを密着取材することにしました。

アリッサに執着するマットに、マヤはますます不機嫌となり、アリッサに出演料を払ったことを知ったマヤは絶縁状態。そこに、アリッサに新しいオーディションの話が入り、現場に向かったマットたちは、個人宅で行なわれる会場からは締め出され不審を抱き始めました。会場の家から出てきたアリッサは人が変わったように取りつく島もなく、取材も断わりマットたちの前から消えてしまいます。マットはアリッサの足跡を追い、会場となった家に侵入しますが、そこで見つけたのは大量のスナッフビデオ。ますますアリッサの危険を感じ取り、撮影が行われているらしい場所を特定し乗り込みますが、そこにはショットガンを持った男が立ちはだかっていました…。

SLAUGHTER CREEK

以上は、マットの証言によるストーりーですが、これに対し取り調べの刑事は全く信用しようとしません。この取調シーンとマットの証言の物語は並行して描かれています。そしてクライマックスでどういう結末を迎えるかと少々楽しみになる訳ですが…。ここは思い切りネタバレしてしまいます。いいでしょう。サイコ男の妄想オチでした…。そこですか…。と脱力感です。なんか、話もすっきりしないし、落とすにも落とし方がなまくらで、また思わせぶりなラスト付という。なんとも言えません。

昔から、反則技の?落ちの代表格として夢落ちというものが確かに存在するのですが、ほぼ同じ効果を持っています。キツネにつままれた感じというか、ああ……。という感じで終わってしまいました。まぁ、この映画途中もPOVで撮られているので、映像も安定しないし、話も冗長な部分も多く、そう来られてもがっかりもしないのですがね。種明かしをされて伏線が効いて、なるほど!とスッキリする訳でもなく、複雑でした。というか、残念さも湧いてこない。さすがIMDBでも低評価すした。

という訳で、久しぶりに見たダメ映画でしたので、この機会を得たことに感謝しましょう。こういう映画もあるのですよね。あえて探して見に行けばいくらでもあるのでしょうが。それに、まぁ途中は面白いところも無い訳では無かったので、時間の無駄とは思わないのです。$500でここまで揉めるクルーも面白いし、マヤが怒るのは別の要因があってわかるのですが、ロビーまで文句をいうところが、この話のいい加減さが出ていて面白いところ。刑事の尋問も何か今一つなのは、結論が見えてるので気合が入ってないからでしょうね。ダメ映画はある意味愛しいので、大切にしまっておきましょう…。

2018.10.13 HCMC自宅にてDVD鑑賞(パソコン)

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「タクシー運転手 約束は海を越えて」 光州事件の凄惨な表現とカーチェイス?

機内映画のメニューをめくっていて目に留まった映画はこれです。確か軍艦島の映画の話題で持ちきりだったころ、同時期に上映されて、韓国でも大ヒットした映画でした。そういう話題でちょっと気になっていたので、見てみることにしました。2017年韓国の映画です。なぜかこのブログで韓国映画は初めてです。全く見ていないわけではないのですが…。

あらすじ
ソウルのタクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は、光州まで乗せて行くと大金が払われるという客の噂を聞いてこれを横取り、ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて、英語もわからぬまま光州に向かう。マンソプは機転を利かせながら、時間ぎりぎりで光州に入り、光州事件のただ中であることを知る。「ソウルに戻ろう」とマンソプは訴えるが、ピーターは大学生ジェシク(リュ・ジョンヨル)や光州のタクシー運転手ファン(ユ・ヘジン)の助けを借り、光州事件の様子を世界に伝えるべく撮影を始める。しかし、状況は悪化、次々と人が斃れる中、マンソプはますます焦ってくるが…。



民主化運動で混乱するソウルでタクシー運転手をしていたマンソプは、娘と二人暮らし。生活もは豊かではありません。その時ドライバーが集まる食堂で、光州往復で100000ウォンを払う外国人を乗せるという話を聞きつけ、彼は速攻でその客を奪い、自分のタクシーに乗せてしまいます。その外国人は、ドイツ人記者ピーター。日本にいた際に光州で何かが起こっていると聞きつけ、飛行機でソウルに着いたところでした。

光州に入る道路は、既に軍が封鎖していました。なんとか検問を通してもらい、光州に入りましたが、その荒れた様子に2人は愕然とします。二人は学生集団と出会い、自分達の事を世界に知らせて欲しいと頼まれ、ピーターは取材しながら彼らロ行動を共にすることとしました。付き合いきれないマンソプは、途中でソウルへ帰ろうとしますが、広場ではの学生のデモ隊に軍隊が突入、タクシーも故障で動かなくなります。仕方なく学生の中の1人、ジェシクの家にピーターと共に泊めてもらいますが、ジェシクの家のテレビでは、実際に見たこととは全く逆のことが伝えられていました。ジェシクの父もピーターに真実を伝えて欲しいと言い、ピーターは約束します。

マンソプは一人ソウルに帰ることを決め、光州の偽プレートや、秘密の道路を使って光州を脱出しますが、帰る途中食堂で見たテレビのニュースで、またしても事実と異なるニュースを見て、マンソプは再び光州に戻ることを決意。ジェシクの家に戻ると、彼らは病院にいるとのこと。病院でマンソプが見た光景はまさに地獄で、そこでジェシクも息絶えます。ピーターは、ショックでこれ以上撮影することはできないと言いますが、マンソプに励まされ取材を続けます。街では市民が軍によって次々と射殺され、マンソプたちタクシードライバーはタクシーでバリケードを作り、負傷者を救助します。そして、ピーターは撮影を終え、マンソプのタクシーは検問所のバリケードを突破し光州を脱出。カーチェイスの末、無事ピーターを空港を送り届けることができました…。

A TAXI DRIVER

光州事件の惨状を前面に出し、秘密裏に対応しようとした当時の韓国政府と、そこに潜入して真実を世界に発信したジャーナリスト。そして、そこには一人のタクシー運転手のドラマがありました。やはり、この映画のテーマは光州事件の真実をつぶさに表現したことが一番のテーマだと思います。全斗煥クーデター後の民主化を叫ぶ市民と軍部の衝突。日本でも当時ニュースとして伝えらていました。しかし、よその国の話ということで、それほど実感が無かったというのも事実です。

そういえば、かつて韓国人のお客さんとの話の中で、彼が光州出身であることを知り、光州事件の話を出したことがありました。彼は、大変残念そうな面持ちで、ひどい事件だったと語っていました。きっと中学生くらいの年頃で事件に遇っている方だと思いますので、まだ少年の目から見た事件ということになると思いますが、それでも非常にインパクトの強い出来事だったと思います。街中の銃撃戦や、病院の惨状など、この映画で映像として伝えることは多くあると思います。

さて、この映画はそういった惨状を、潜入したジャーナリストとタクシー運転手の視点から、克明にとらえた秀作といえると思います。正しい事実を世界に伝えるということに視点を置いていますが、実際にそこで起こっていることを見たということが、迫力を出していると思います。ただし、カーチェイスは余計でしょう。これにはテンションが下がりました。何かこう。全部が真実ではないんですよと言っているような気がして、全体の凄惨な表現内容に対するエクスキューズかなと思ってしまいました。

2018.8.1 JAL JL759機内にて

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「兵隊やくざ」 全9作の起点となったコンビの妙の面白さ

これは、手元にあった動画を、ちょうど2時間ほど空き時間ができたので、観たという映画です。何かと名前をよく聞く映画ではありますが、内容はあまりよく知りません。ただ、増村保造の映画であることと、彼の監督した戦争映画もなかなか一筋縄ではいかない良さがあるので、楽しみでした。1965年の映画です。

あらすじ
極寒のソ満国境に近い関東軍の兵舎に、やくざの用心棒をやっていた大宮貴三郎(勝新太郎)が入隊してきた。そして、彼の指導係を命じられたのが、インテリの三年兵・有田(田村高廣)であった。貴三郎の倣慢な態度は上等兵達の敵意を買い、なかでも腕に覚えのある砲兵隊の黒金伍長(北城寿太郎)は、彼を徹底的に痛めつける。貴三郎は、数日後単身黒金と相対し、かけつけた有田の出現もあって、黒金は指の骨を折られてしまう。復讐に燃える黒金は再度貴三郎を襲い、歩兵隊と砲兵隊の喧嘩にまで発展してしまい、外出禁止の罰を受けるが、それでも貴三郎は兵舎を抜け出し、遊郭へと駆け込んでしまう。そんな中で、戦況は悪化。貴三郎のところに、南方へ出動命令が下されるが…。



この物語は、三年兵の有田の言葉で語られます。有田は、インテリながら軍隊組織と距離を置き、古参兵として幹部を目指すでもなく、うまく立ち回り満期を待つ兵士でした。そんな兵舎に新兵が数人配置されることとなり、その中で手を焼かせることで有名になっている貴三郎の指導係を命じられ、すべての指導を彼がするということで承諾します。貴三郎は浪曲師を目指しながらやくざの世界に入り、用心棒を務めていた、一本気な男でした。

貴三郎は、軍隊においても自分都合で行動するところがあり、ある日一人で風呂に入っていると、そこに砲兵隊の連中が入ってきました。新兵の貴三郎を見ると彼らは寄ってたかっていじめようとしますが、喧嘩の強い貴三郎は彼らを返り討ちにします。面白くない砲兵隊の黒金伍長は面目にかけて彼に仕返しをしようとしますが、そこに有田が登場し、インテリの言動にうまくやり込められ、黒金の指を折られてしまいました。そして、これは砲兵隊と歩兵隊の果し合いに発展。派手な喧嘩が始まりますが、これが上層部にばれて、外出禁止を食らってしまいます。

しかし、それも気にせず貴三郎は兵舎を抜け出し、将校向けの芸者屋で懇意の音丸(淡路恵子)の元に通う始末。引き取りに来た有田も、今やすっかり打ち解け、兄弟の契りを交わします。そんな中で、戦況が悪化、少なくない兵が南方に駆り出されることとなり、貴三郎にも命が下りますが、貴三郎は故意に営倉入りしてそれを逃れ、有田に恩返しということで、有田に温めてきた脱走の計画を提案。そして、大隊全員に転進命令が下ったとき、客車から機関車に抜け出した2人は、部隊の列車を切り離すという荒業で無事脱走を果たしました。

兵隊やくざ

このお話は、先にも書きましたが、インテリ古参兵の有田の回顧として語られていきます。ということは、主人公たちは戦火を潜り抜けて生き残っているという安心感が前提で話が進んでいく訳です。有田は、いかにも世渡り上手な役柄で、自分の立ち位置を利用し、うまく立ち回ります。その有田と、一本気な貴三郎とのコラボレーション。この組み合わせの面白さが、この映画の妙といったところでしょうか。

基本的なストーリーとは別に、印象が残る点をいくつか。まず、痛い場面が多い。最初から風呂場での裸の殴り合い。これは、想像するだけでも痛そうです。あとは、貴三郎に挑む敵役のネチネチしたいじめと、満身創痍の貴三郎の反撃。どれも痛そうです。次に、淡路恵子が大変色っぽい演技です。惚れ惚れするような艶っぽさで、さすが増村監督というところもあるのでしょうか。そして、軍隊に蠢く有象無象をことさらコミカルに描いているところがとても面白いと思います。あまり型にはまらず、深刻にならず、かといって、滑稽に落ちることもなく。絶妙の塩梅だと思いました。

これを機にシリーズ化された、兵隊やくざですが、このコンビの妙で面白いシリーズなのでしょうね。残念ながら、一つも見ていません。最後第9作だけが、カラーで、大映配給ではなく、しかも増村保造監督とのこと。ちょっと興味がわきます。いずれにしても、機会を見つけてまた楽しみたいシリーズだと思いました。これで、増村作品を見るのは12作目。現状は、けっこう気軽にみられる位置に置かれているのか、日本人監督の中で、現在断トツのトップの位置であります。

2018.7.27 HCMC 自宅にてパソコン鑑賞

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「喜劇 駅前競馬」 競馬風景の、変わった物、変わらない物

ずいぶん前に録画してあった駅前シリーズの映画の1本です。何かお気軽な映画を見ようと思って手を付けたわけですが、安心安定の森繫久彌を中心とした喜劇シリーズ、いつ見てもそれなりに楽しめます。さて、今回はどんなお話でしょうか。監督は、佐伯幸三1966年の映画です。

あらすじ
ホルモン屋の主人徳之助夫婦(森繁久彌淡島千景)、競馬新聞社の次郎夫婦(フランキー堺大空真弓)、それに風呂屋の主人三平夫婦(三木のり平乙羽信子)は、亭主がそろって競馬好き、一方、女房は皆いまだに子供のないのを嘆いている。ある日、ただ騙して金を儲けたいだけの馬太郎(藤田まこと)という男の勧めで、彼の故郷にいる義経号の馬主になったが、馬太郎の父(伴淳三郎)は競走馬でもない義経号を手放そうとしない。一方、女房たちは亭主たちを説得して子供を産むレースをやることになったが…。



競馬新聞社を経営している次郎は、馬のことなら何でも知っていると吹聴する馬面の男馬太郎と出会いました。彼は、田舎に有力な競走馬を持っており、馬主になることを持ちかけてきます。一方で、その頃、景子・由美・駒江の三人は、お互い子宝に恵まれないことを相談しあっていました。そして、それぞれの亭主、徳之助・次郎・三平は、困ったことにみんな競馬に夢中という共通点を持っているのでした。

馬太郎は、友人の鹿子(野川由美子)に、うまく親父を騙してヨシツネ号を連れ帰ってくれと頼み、馬太郎の実家に向かわせます。
鹿子は彼の父を位牌を持って訪れ、家出した馬太郎はヤクザと喧嘩して死んでしまったので、女房だった自分をしばらく住まわせて欲しいといいます。その間になんとかヨシツネ号を奪おうという算段なのです。一方、馬太郎は、東京で徳之助・次郎・三平に馬主になった方が儲かると盛んにけしかけていました。

不妊の原因を検査していた女房達は、全員問題ないとの診断され、亭主たち猛アタックを開始しました。困った亭主たちは、誰の家が最初に子宝に恵まれるか競争することにし、賞金は馬太郎の斡旋する競争馬が稼いだ賞金にということにします。そして、三人はヨシツネ号を購入、馬の名前をヨシツネヒカリにして期待を寄せますが、調教師たちからは駄馬だと告げられてしまいます。しかし、ヨシツネヒカリに可能性を感じるた徳之助たちは、ヨシツネヒカリを徹底的に体質改善し、本格的な競走馬として鍛え直し、かくして、ヨシツネヒカリの出走と、子宝競争が佳境を迎えていくことになりました…。

喜劇 駅前競馬

あらかた、こういったストーリーなのですが、話はもう少し込み入っています。そして、ストーリーもしっかりしていて、小ネタもいろいろと満載で、なかなか楽しめる映画でした。馬といえば種付けなのですが、一方で三人の競争は種付け競争といった感じでしょうか。現在なら、こういったことを表向に冗談でも言おうものなら、バッシングの嵐にあいそうですが…。しかし、それも1960年代のおおらかな時代のことで、子宝が子宝として認識されていた時代。それが自然体だと思います。

さて、駅前シリーズには、題名通りに駅が出てくるのと、ご当地映画的な風情も入るのですが、この映画の駅は、京王線の「府中競馬正門前」駅。移っている電車は、1710形でしょうか??昔ながらの三窓の電車です。そして、競馬場は大井競馬場のようです。モノレールなど、映り込んでいます。当時の競馬場の雑多な風情は、中央競馬はクリーンになっているので、あまり感じられなくなりましたが、地方競馬に行くと、当時の風情がまだ残っていますね。

出ている俳優は盛りだくさんで、楽しい喜劇になっています。あらすじには出てきませんでしたが、山茶花究と池内淳子のカップルも重要な役割を演じています。そして、やはり野川由美子さんが、おじさんを誘惑する可愛い演技をしています。こういう俳優陣総出演のコメディーシリーズも今では見られなくなりました。この辺りの気軽な映画は、テレビドラマやネットにすっかり取って代わられたようです。そういえば、最近こういったコメディーシリーズものって、思いつかないですね。

2018.7.28 自宅にて、BS フジの録画を鑑賞

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「去年の冬、きみと別れ」 原作、脚本、演技と三拍子揃ったミステリー

飛行機の機内で、最新作を物色するひと時です。選んだのは、「去年の冬、きみと別れ」。これは絶対面白そうな予感。中村文則の小説と言えば、「銃」しか読んだことが無いのですが、これはなかなかの印象を残す小説で、そういった傾向のお話であれば大歓迎です。期待して見てみました。

あらすじ
婚約者の松田百合子(山本美月)との結婚を控えたルポライター耶雲恭介(岩田剛典)は、盲目の美女の焼死事件に目をつける。事件の元容疑者は、世界的写真家の木原坂雄大(斎藤工)だったが、真相が暴かれず、執行猶予の判決が出ていたのだ。耶雲は、その真相に近づくと、木原坂の危険な罠は百合子にまで及び、いつしか抜けることのできない深みにはまっていく…。



謎解きタイプのミステリーなので、あらすじはサラッと、いきましょう。この物語は「第二章」から始まります。気鋭のルポライター耶雲恭介は、出版社に盲目のモデル(土村芳)が写真家・木原坂雄大の家で撮影中に焼死した事件に目を付け、燃えているところの写真が存在するとのネット情報から、今やスランプの木原坂が故意に焼死させ、その写真を撮影したのではないかと目を付け、その取材を売り込みます。これを受けた編集長の小林(北村一輝)は、あまり気乗りしない様子でしたが、現時点の情報では不十分であり、取材を続けて報告するようにと返しました。

耶雲にはもうすぐ結婚を控えた百合子という恋人がいました。婚約して幸せそうにも見える2人でしたが、百合子の想いとは裏腹に、耶雲は事件にのめりこんでいき、百合子との関係をなおざりににしていきます。耶雲は取材のため、木原坂の家に出入りすることを許され、核心をついた際どい質問もしていきますが、一方で百合子のことも話してしまったため、興味をもった木原坂は百合子と会うようになります。そして、耶雲の気持ちが捉えきれない百合子は、とうとう木原坂の家を写真のモデルとして訪れることになってしまいました。

百合子の危険を感じ取った耶雲は、木原坂の家に急行、しかし中には入れないでいるうちに、木原坂の家から出火。強行して乗り込んだ耶雲の目に移ったのは、業火の中で焼け落ちる人影でした…。

というショッキングな場面で、第二章は終わり。そして、その前後の話へと物語は進んでいきますが、そこは映画をみてみましょう。

去年の冬、きみと別れ

さて、第二章はショッキングな映像で終わるのですが、物語の中盤でこういった場面があると、何かあるぞと勘繰りたくもの。なんか焼け落ちる人影って嘘くさいし、何なのだろうかという思いを持たせたまま、ストーリーは過去へと遡っていきます。そして、二転三転する種明かしの展開が待っている訳ですが、目まぐるしく入って来る新しい情報に翻弄されて、正直見入ってしまいました。なかなか面白かったです。この話。オリジナルだとこういうストーリーはできないと思うので、これは中村文則の原作の力でしょうね、と正直思いました。

その原作を迫真の演技で演じた、岩田剛典、斎藤工、そして斉藤工の姉役の浅見れいな、山本美月、北村一輝、土村芳と、みんな良かったです。原作とそれをうまく処理した脚本があると、こうも素晴らしく仕上がるのだなと感心した次第でした。造りも仕掛けも凝っていて、ミステリーの映画として言うことなしの展開でした。その中で語られる、純愛?行き過ぎた愛や、かりそめの愛など、ちょっと異常な感じの愛の形が切なく表現されています。

原作は読んでいないのですが、なかなか映画化しづらい原作をうまく処理して再構成しているとのこと。また、原作を読んでいる人の為にそれなりの仕掛けを仕組んであるようです。つまり、読んでいる人もまだ別の騙され方をして、それでも原作に忠実であるようなことになっているとか。なかなか手の込んだ気合の入った一本という事の様でした。そして、この映画は、原作あってのものでありながら、原作、脚本、そして出演者の演技の力の相乗効果で再構成された、素晴らしいエンターテインメントと言えるのではないかと思いました。

2018.8.1 JAL JL759 機内にて

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「ノン子36歳(家事手伝い)」 ダメな大人たちのシナジーに光明は?

休日に、再加入したHULUが見ることができたので、鑑賞しました。結局海外からVNP経由だと、見られたり、見られなかったりで、そのあたりの対応や設定の仕方もよく解らないので、この手のVODは加入してみたところで無駄になることが多いのです。少し前に、見たいものがあったので、再課金したのですが、結局思い通りにはいかず、再び見るのをやめてしまいました。これはたまたま見られた時の1本です。

あらすじ
三十代も中盤のノブ子(坂井真紀)は、芸能人をやったが売れるまでいかず、今は実家の神社で家事手伝いである。ノン子に対して、両親も妹も決して好意的には接してくれず、田舎に住み逃げ場もない彼女は、バツイチ女友だちが経営するスナックで酒を飲んでくだを巻くのが日常という生活を過ごしている。そんな時、神社の祭りでヒヨコを売ってひとやま当てようという若者、マサル(星野源)が現れた。ひたすら一途な彼の性格に、ノン子も閉ざしていた心が少しずつ開いていくのだが、ある日突然別れた夫・宇田川(鶴見辰吾)が現れる。やりなおそうと言う彼にノン子は揺れ動く…。



題名とともに「最後にしたのいつだっけ?」と書かれています。ちょっと意味深なコピー。
さて、東京でタレントをやってみたこともあるノン子は、一度はマネージャーと結婚して即離婚し、田舎に帰って家族と同居しています。狭い田舎の中で、30代半ばを過ぎ出戻りという身分、表向きは、実家の神社で家事手伝いながら、実際は何もせずだらだら過ごす日々。親とは微妙な関係で、妹にも馬鹿にされる中で、楽しみと言えば同じバツイチのママの経営するスナックでくだを巻くくらいですが、ママも迷惑顔でした。

それでも全くやる気無しのノン子のところに、マサルという若者が現れます。ノン子の実家の神社で行われる祭りでヒヨコを売りたいとのこと。仕切っている安川(津田寛治)を紹介しますが、すげなく断られ、それでも最後は許してくれると勝手な考えで、ノン子の家に居候し準備を進めるマサルでした。少しずつ打ち解けるノン子とマサルでしたが、そこにもう一度東京で一旗揚げようと、ノン子の元夫が現れます。元夫の言葉に、だんだん東京に戻る決心を固めていくノン子でしたが…。

そして、ついに祭の日がやってきます。当日に土下座すれば店を出せると考えていたマサルでしたが、逆に安川の仲間にボコボコにされ、逆切れしたマサルはチェンソーを振り回し祭りを目茶苦茶にします。一方、ノン子は元夫の話が嘘と解り、少しづつ前向きになり始めたノン子はショックは隠せません。そして、マサルとノン子はその場を逃げ出し、電車にのりますが、途中でマサルが自販機に向かった隙に、思い直して一人で田舎に帰るノン子。時は流れて、田舎で鶏を楽しげに追いかけるノン子の姿がありました。マサルが仕入れたヒヨコが成長したのかな?

ノン子36歳(家事手伝い)

36歳、バツイチ、そして負け犬という感じで、田舎に戻って暮らす女性の姿がリアルです。化粧もせず、衣装にも気を遣わず、サンダル履きでママチャリに乗り、スナックでくだを撒く毎日。家族からは腫れもの扱い、あるいは馬鹿にされ、それでもやる気なしで生きていく。そんなノン子の姿が赤裸々に描かれていました。マサルもまぁ、悪くは描かれている訳ではないですが、考えが甘すぎで、今までどうやって生きてきたのかという風情。いうことは大きいですが、やることに考えが浅はかという、成功しない若者の典型を見るような痛い感じでした。

そんな映画の中で、ラブシーンは凄く雰囲気が出ています。元夫とのラブシーンは、その気があまりあるように思えない中で、いかにも「最後にしたのいつだっけ?」というコピーに見合うように、36歳の体が反応してしまったような、ねちねちした感じのラブシーン。美しくなく、猥雑という表現がピッタリのもので、これは必見です。一方、マサルとは、筆おろしに近いような、36歳の女性が手ほどきをするようなぎこちないラブシーン。両方とも、36歳という状況が際立つものでした。この一貫した、やる気のなさや、猥雑さや、閉塞感の表現は、凄いと思います。

で、電車で途中までいったものの、思い直してか、アッサリとマサルを捨て去ってしまうノン子でした。まぁ、そこにも将来が見えなかったということなんでしょう。今までのマサルの行動から、良く付き合ってきたと思いますが、ちょっと思いなおしたのでしょうか。最後に楽しそうに鶏を追いかけるノン子が救いでした。生活環境はあまり変わっていないと思いますが、なにか吹っ切れた感じがあります。そして、これからも人生は長い…。そういった何げない日常を、リアルに描写して、ちょっと自分を見つめなおす効果があるような、いい作品でした。でも、出てくる登場人物は、誰しも本当に情けない大人たちという風情でした。

2018..09.09 HCMC自宅にて HULU鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「団地妻 昼下りの誘惑」 狭い世界の誘惑のスパイラル。結末は…

久しぶりに日活ロマンポルノを見ようと思った訳ですが、まず第一優先は宮下順子様なのです。ネットからいろいろ選んだのは、「団地妻 昼下りの誘惑」。やはり、定番の団地妻シリーズは外せないのと、宮下順子らしい演技が見られるのは、これではないかと…。シリーズでもそこそこ評判のいい方と思うので、期待して見始めました。

あらすじ
団地妻の笛子(宮下順子)は、夫・賢三(石津康彦)が持っていた女性の定期入れに不審を抱き、興信所に調査を依頼する。ところが調査員・石井(坂本長利)の調べで、賢三はスリであることが判明。笛子は賢三を気遣い、自分も悪い女になろうとする。一方、団地では、痴漢の出没が話題となり、笛子の向いに住む望月恒子(絵沢萠子)も、ある夜痴漢に遭遇してしまう。数日後、賢三と石井が団地内で出会い、石井は、興信所の調査員でかつ痴漢であると告白し、一緒に痴漢とスリをやらないかと持ち掛ける。一方、悪い女になろうとした笛子は、売春グループに入り、モーテルで最初の男に会うと、何と恒子の夫・喜久男(浜口竜哉)だった。喜久男はこの日のことが忘れられず、出張先から笛子にテレホンセックスを申し込むまでになるが、笛子がそれに合わせて陶酔している時、ちょうどそこに訪ねてきた、ちり紙交換の青年・松崎(大江徹)とも関係を持ってしまった。そして、賢三と石井は計画していた痴漢とスリの共同作業を実行に移そうとするが…。



笛子は、平凡なサラリーマンを夫に持つ団地妻になることが夢でした。夫・賢三は製薬会社の営業マンでしたが、夫の持ち物から女ものの定期入れを見つけてしまい、ご近所の恒子といっしょに興信所に調査を依頼します。その頃団地のママさんコーラスグループでは、最近団地内に出没する痴漢の話題で持ちきりでした。笛子や恒子も練習の最中にその話題を交換し合っていました。

笛子の夫賢三は、サラリーマンを巧みに装っていましたが、実はスリを稼業としていました。一方で、賢三は笛子を大事にしていて、家庭を壊したくないと思っています。ある日、調査結果がでたとのことで興信所を訪れた笛子は、夫が実はスリだったことを知らされます。思い悩む笛子でしたが、夫との団地生活を守りたい笛子は、自分も悪い女になって夫と合わせようと思い、その夜自分は売春していたと嘘の告白をし、それを庇う賢三と燃え上がります。

団地内のトイレで、賢三は興信所の男と出会い、男から賢三がスリであることを笛子に報告した事、また男は痴漢であることを打ち明けられ、痴漢とスリを一緒にやらないかと持ち掛けられます。一方で、悪い女になる決心をした笛子は売春を決行しますが、最初の相手として現れたのは、恒子の夫でした。驚く2人でしたが、2人だけの秘密という事で燃え上がりました。恒子の夫は笛子が忘れられず、出張先からテレホンセックスを要求。これに笛子も捉え陶酔の境地に入りました。そこに、頼んでいたチリ紙交換の青年が現れ、笛子の悶える姿に興奮し、そのままセックスに突入します。

そして、その3ケ月後、笛子は妊娠を賢三に告げ、2人は幸せの絶頂にあるかのように見えました。しかし、賢三はここで興信所の男から持ち掛けられていた、痴漢とスリのコラボを決行、あえなく逮捕されてしまいました。団地からは笛子はいなくなり、噂だけが残っています。チリ紙交換の青年は何か嬉しそうに帰っていきます。そして、別の団地に帰宅した青年は、自宅のベルを押すと、出迎えたのは、お腹が大きくなった笛子でした。笛子はあの時に妊娠しており、実の父親と、今度は平凡なサラリーマンの妻として嬉々として団地で暮らしているのでした。

団地妻 昼下りの誘惑

やはり、宮下順子良かったです。団地妻の演技堂に入ったものでした。売春婦として、浜口竜哉と絡む場面とか、最高に色っぽいし、同じく浜口竜哉の指示で一人で燃え上がる場面とかもいいですね。ここは電話の指示で、服を1枚1枚脱いでいく。なかなか期待をそそる場面です。浜口竜哉とは共演も多いので、いつもの相手という感じですかね。また、「私は実は売春していたの」っていう嘘の告白の場面とかも良かったです。健気な女を演じきっています。それが、一転売春の現場で、「たまには奥さんともしなくちゃダメよ」なんて色っぽいセリフがでてくるこの落差もいいですね。

ストーリーも申し分ないし、細かなエピソードも無駄なくまとまっていました。そして、最後はオチまでつけてもらっています。当時の風物としては、もちろん団地の光景はありますが、「団地の平凡なサラリーマンの主婦になるのが夢」というのは一般的な話だったのでしょうか?そこは、一世代上の話です。京王6000系がちらりと見えます。まだ登場して数年です。痴漢の為に乗り込むのは5000系でした。そして新宿西口地下広場での捕物劇、また、ママさんコーラスで練習しているのは、童謡の「ピクニック」。この歌で発表会ですか…。

という訳で、久しぶりに日活ロマンポルノの中でも、団地妻シリーズという看板シリーズでした。まだまだ見ていない方がずっと多いので、これからの愉しみにしていきます。日活ロマンポルノには、団鬼六ものとか、その他たくさんの作品があるのですが、少しづつおさらいをしていきたいという感じです。そういえば、団鬼六○○地獄っていう作品群、学生時代によく見たのですが、最近ご無沙汰なので、ちょっと見てみようかな…。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

2018.10.6 FANZA(旧DMM18) から、HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「ラブホテル」 生気のない男と、活気のある女たち

たまには、日活ロマンポルノを見て、当時の世相を思い出そうとするひと時があります。今回は、名作の評価を得ている「ラブホテル」を見てみました。1985年といえばバブル前夜ということになりますが、私にとってもいろいろと楽しかった時代で、当時はラブホテルも利用していましたよ(笑)。多様な文化が咲き乱れる楽しい時代でした。

あらすじ
自分の会社が倒産し、取立屋に妻の良子(志水季里子)を犯された村木(寺田農)は、絶望し金で女を買い自殺しようと考えていた。ホテトルから名美(速水典子)という女がやってきて彼女の体を見ているうちに自殺を思いとどまり、その二年後、死ねなかった村木はタクシーの運転手として名美を客として乗せる。海に行きたいという名美は、タクシーを降りると防波堤の上から飛び込もうとするが、それを村木は止め、自分はあの時の男だと話した。その頃奈美は、上司の太田(益富信孝)と不倫関係を続けていたが、それも破綻し、名美は村木にあの夜の続きをしてほしいと頼む。そしてあの日と同じラブホテルで、二人は激しく体を合せるが…。



村木自分の経営する会社が倒産し、借金取り立てのヤクザに妻・良子を目の前で犯されます。これに絶望した村木は女を道連れに死のうと思い、ラブホテルにホテトル嬢を呼びますが、そこにやってきたのは大学生の名美でした。村木は名美に手錠をかけるとナイフで脅し、死ぬ前にお前を道連れにすると言いますが、名美が一人で感じる姿を見ているうちに、村木は何もできなくなってしまいます。

2年後、村木はタクシーの運転手をしていました。そして、村木のアパートには時々良子が来ています。借金の取立て対策として彼女と離婚していましたが、それでも彼女は会いに来るのでした。彼女が持ってきた弁当を食べ、村木は良子を抱きます。ある日村木は名美を街で見かけ、後をつけます。そしてマンションから出てきた名美を自分のタクシーに乗せ、彼女は海に行きたいと言います。海に着くと名美は、防波堤の上から飛び降りようとし、駆け付けて名美を止めた村木は、2年前のあの時の男だ、君は自分を救ってくれた天使だと話しました。

その頃、名美は上司の太田と不倫関係にありました。不倫を知った太田の妻が会社に現れ、名美を追いかけまわし、結局名美は会社をやめ、太田との関係も終わります。名美に頼まれた村木は、太田のマンションに押し入り、太田の妻を脅して興信所の報告書を奪い取り、約束した二年前と同じ部屋で名美を待つのでした。そして二年前を再現、二人は激しく愛し合いますが、村木の心は離れていきます。

名美が目覚めた時、村木はすで部屋にはおらず、名美は手料理の材料を持って村木のアパートに行きますが、すでに空家となっていました。立ち去る名美の横を、また食事の準備をした良子が通り過ぎていきます。二人の女は、一瞬顔を見合わせますが、桜の散る中そのままそれぞれの方向へ歩き出しました。 

ラブホテル

それほど、露出の多くないロマンポルノ。今の感覚でいうと、ほぼ一般映画です。物語の中心は村木、名美として良子。やはり見ていて思うのは、名美や良子の人間的な悩みや思いに対して、村木はあまりに狭量というか、情けないというか、これだけ幸せなお膳立てがあるのに、何を考えているのかという感じですね。これが2人のうち、どちらかを選びきれず去っていったというのであれば、まだわかるのですが、そういう訳でもなく、ただただ人生の敗者となって去っていったという雰囲気です。世の中の男ってこんな感じなのかな?と男の自分がかえって考えこんでしまいましたよ。

全体として、評判ほどには…という感じで、ちょっと締まりがないのかな?と感じました。しかし、ラストシーンはいかにも作った感じではありますが、なかなか秀逸だったと思います。ちょっと感動的です。それだけに、村木の情けなさがなおさら強調されます。でも、今の時点で村木は逃げ出さなくても、良子と名美が争うことになれば、また逃げだすでしょうね。良子にあれほどひどい言葉を言えるようであれば、名美とも結局は合うことは無いでしょうから。

そういうことで、いろいろと考えさせられるいいストーリーだったと思います。名美の恨み節も堂に行っていましたし、良子の健気さもよく伝わりました。ただ、「セーラー服と機関銃」でもそうでしたが、相米監督の絵はあまり好きになりませんでした。私にとっては何かすっきりしないものが残る映像なので。ただ、冒頭近くの、良子がやくざに侵されているところの絵は良かったです。しかし、それらを差し置いても、石井隆さんのストーリーはなかなか良かったと思いました。

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

2018.9.15 HCMC 自宅にて iTune からパソコン鑑賞

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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