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私の好きな100本の映画⑤ イタリア映画から

私の好きな100本の映画第5回

第5回は、5番目に好きな映画として、「鉄道員」を選定。その関連作品として、珠玉のイタリア映画を選定しました。最後の1本はマイナーではありますが、他は映画史に残る錚々たるメンバーとなっています。イタリア映画は、50年代の古い時期の名作と、学生時代に見て印象に残った映画の2つに分かれています。最近はどうなんですかねぇ…。



21.鉄道員 (Il Ferroviere)  第5位
  1956年 イタリア 監督:ピエトロ・ジェルミ 出演:ピエトロ・ジェルミ、エドアルド・ネヴォラ

これは、小さい時からNHKで繰り返し見てきた映画です。確かそのころ映画館でリバイバル上映もやっていたような記憶があります。モノクロの映画ですが、少年と父親の瑞々しい関係が印象に残っています。酔っぱらいの父親ですが、実直でスト破りまでやってしまう。しかし、不器用な彼は仕事も奪われ自暴自棄になりますが、最後に家族の元に帰ってくる。そして、不和だった家族が一堂に会し団欒を取り戻した中で、母親は、元の家族とそして何よりも、夫が家族の要として戻ってきたことが、とてもうれしく幸せそうに微笑んでいる。その傍らで、夫は死を迎えていた。なんとも大きな幸不幸のギャップの大きさ。せめて最後に戻ってきたことを救いと見るべきなのでしょうか?少年時代の私に強い印象を残した映画でした。



22.ニュー・シネマ・パラダイス (Nuovo Cinema Paradiso)
  1988年 イタリア 監督:ジュゼッペ・トルナトーレ 出演:フィリップ・ノワレ、サルヴァトーレ・カシオ

これは、映画愛に満ちた映写技師の物語。類型的な話として、同じような作品もいくつか作られています。ここまで感動的に、あるいは感傷的に徹底して作られると、もう言葉もありません。映画史上に輝く名作であることは、ほぼ万人が認めるところではないでしょうか?やはり好きなのは、ラストシーンで、検閲でカットされたラブシーンを繋ぎ合わせたフィルムを写す場面。ストーリーの中での位置づけもさることながら、名場面を連続して流すなんて、ほとんど反則技ですねと思うくらい、一気にクライマックスに達しました。これは、折に触れて振り返って見たい名作だと思います。



23.道 (La Strada)
  1954年 イタリア 監督:フェデリコ・フェリーニ 出演:アンソニー・クイン、ジュリエッタ・マシーナ

これは、鉄道員と同じ時期の、イタリアの押しも押されぬ名作。ラストの喪失感や悲哀も大きなもので、また、なんといってもジュリエッタ・マシーナの可愛らしさ(という表現がいいかどうかですが)が出色の作品でした。でも実際はアンソニー・クインが出ずっぱりというか、彼の物語のウェイトがかなり高いんですよね。この映画もNHKの放送で数回見たのですが、最近ちょっとご無沙汰です。無料動画にアップされているのを見つけたので、また見直してみたいなと思っているところです。ニノ・ロータの音楽も素晴らしいものでした。たぶん、今まで見たフェリーニの映画の中で一番好きかな…。いっぱい見ている訳ではありませんが。

道



24.カオス・シチリア物語 (Kaos)
  1984年 イタリア 監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ 出演:マルガリータ・ロサーノ、クラウディオ・ビガリ

最初に見たのは学生の頃だと思います。テレビの深夜放送でノーカットでやっていたものです。その後もテレビで再見。何といってもこの映画は海の青さが印象的なイメージがあります。でも、そのシーンは作品のほんの一部のイメージで、実はかなり土俗的な、凡そ洗練という言葉と対極にあるような映画だったと記憶しています。ミニシアターブームの絶頂の時代。フランス映画社配給の作品を、ちょっと通ぶって良く見ていた時期がありました。この映画はオムニバスなので、一つ一つの話を細かく覚えている訳ではないですが、甕の修理に来た男が、甕の中から出られなくなってしまい、領主にいたぶられるという光景は良く覚えています。きっと雰囲気で見ていたんですね。



25.セブンビューティーズ (Pasqualino Settebelleze)
  1975年 イタリア 監督:リナ・ウェルトミューラー 出演:ジャンカルロ・ジャンニーニ、フェルナンド・レイ

これは、上にあげた4本の作品とは違って、それほど有名でない映画です。しかし、個人的にはかなり印象深い映画でした。この映画を見てから、その背徳的とも言える内容と、凄惨な場面がけっこうトラウマになっていたのです。今では「サウルの息子」など、ナチス収容所の実態をよりリアルに描いた作品がありますが、今見てもだいぶ免疫ができています。当時は、この映画は内容も内容ですし、勧善懲悪的な感覚からはかけ離れた不思議な雰囲気をもった映画で、きっとどう考えてればいいのだろうと迷ってしまったのかもしれません。最近ちょっと思い出して、ネットで再鑑賞して見ました。当時ほど衝撃的な感想は持ちましたが、何かこう居心地が悪いような、独特な印象を残す映画だと思います。

<ブログ内にレビューがあります>
「セブンビューティーズ」 かつてトラウマになっていた映画を再見


さて、私の好きな100本の映画。第5回の5本は、イタリア映画を中心に選んでみました。ちょっと癖のある映画もあったかと思いますが、やはり雰囲気が好きなので、時々思い出したように継続して見ています。マカロニウエスタンやイタリアンホラーもあるのですが、イタリアのドラマのアクの強さはかなりのものだと思います。これでやっと25本。今のところ100本選びきっている訳ではないですし、さて次回はどんな作品を並べようかとちょっと考え中です。

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「しびれくらげ」 映画からテレビドラマへ…というような雰囲気で

GYAO!の「おとなの大映祭」です。今回は、「しびれくらげ」何作目ですかね。この映画は、「でんきくらげ」の好評により続けて作られた軟体動物シリーズ。その軟体動物が何を表すのかはわかりませんが、話はかなり硬質です。一番の軟体動物は、玉川良一かな?ということで、鑑賞です。

あらすじ
ファッションモデルのみどり(渥美マリ) は、大東繊維のファッションショーを独占していたが、これは大東繊維の敏腕営業マン、山崎(川津祐介)がみどりの恋人であったためだった。みどりはある日、山崎から大量受注のため、顧客のヘンダーソンと寝てくれと頼まれ、みどりはいやいや承諾する。一方、みどりには飲んだくれの父親(玉川良一)がいたが、ある日彼は美人局にはめられてしまい、みどりに目を付けたヤクザの一味は、みどりを商売女に仕立てようと、執拗な攻撃が始まった…。



とまぁ、そんなあらすじです。真面目腐って、みどりを顧客のアメリカ人に抱かせる山崎。全く、恋人同士という雰囲気ではありません。口では言っていますが…。そして、父親はストリップ小屋の楽屋の世話係。いい加減な男で、横領で妻に逃げられてから、みどりとの二人暮らしですが、見るからに厄介者のわりに、親子の絆はしっかりしているようです。そんな父親がヤクザと繋がりのあるバーのママに、モデルの娘の自慢をしたことから、ヤクザの山野(草野大悟)はみどりを手に入れて、売春で稼がせようと、しきりに付け回すようになります。

まずは、美人局で百万円を要求、払えなければみどりを手に入れるという算段ですが、父親は娘の恋人の山崎に掛け合い、百万円を手に入れてしまいます。集金に来た山野の子分の健次(田村亮)は、みどりの境遇と同じく不甲斐ない親を持って堕ちざるを得なかった、自分の境遇を重ね合わせ、山野にもうみどりには手を出さないよう談判します。いったんは受け入れた山野ですが、収まるはずもなく、酔っ払いの父親を拉致し、娘をおびき寄せますが、健次は2人を解放してしまいました。一方で、山崎は、ヤクザとかかわりのできたみどりを遠ざけ始め、自分の身に危険がおよぶと、一方的に縁を切ると宣言。 みどりと父親は仕事も失ってしまった状態に。

しかし、みどりを応援する健次は、みどりを逃がしたことで山野に責められ明日までに連れてこいと命令。健次は、それにしたがいみどりとデートの1日を過ごします。そして夜になってみどりをモノにして連れていこうと試みますが、踏み切れずヤクザから足を洗うことを決心。みどりの最後の願いを聞き入れて山崎をはめ、大東繊維のやり方を暴露させてそれをネタにゆすり、1000万円手に入れると、それを持って足を洗うために山野の元に向かい、みどりはすべてを忘れて新しい生活へと踏み出すのでした。

しびれくらげ

スタッフも俳優陣も、ほぼ「でんきくらげ」を継承しています。で、前作と比べてどうかというと、基本的雰囲気は同じですが、よりそれぞれのキャラがたっており、演出も大げさ。その分品が無いという感じです。渥美マリの、いつも吐き捨てるようなきついセリフ。川津祐介は、明らかな悪役を演じ、玉川良一は、都合の良さと、ダメっぷりに拍車がかかっています。じっと見ているときついくらいの演出です。習字で言えば、始筆の部分を思いっきり強く描いたような感じ。(ちなみに私の育った地域では、この部分を「打立」といいます。これでお国が解ります)

で、思ったのは、こういう1本調子の強いやり方って、テレビドラマですよね。70年代に入って、テレビドラマに活躍の場が広がってくると、映画もこれと交錯しながら、こういう風に影響を受けてきたのかしらん?と思った次第。大昔にテレビで、映画とテレビの違いは、じっと集中してみるので、細かい演出をするのが映画、トイレに入ったり、ご飯を作ったりしながら見ることのあるテレビは、画面に集中せずともストーリーが追えるような作り方をすると説明しているのを見ました。これは随分昔に、一度だけ聞いて納得したもの。その記憶から、これはテレビ的だなと思った次第です。

そんな作品だったので、見ている分には面白いのですが、映画的にはどうかなと思ってしまいましたが、この軟体動物シリーズは、さらに続いていくことになります。このあたりは、迷走する大映と時代の変化に翻弄されるこの時期の邦画の姿なんでしょうか。そして、おとなの大映祭の次回無料配信は、谷崎潤一郎原作に戻って「鍵」神代辰巳監督です。さらに後の時代の1974年制作。むしろこの時代の流れに乗って、新しい時代を作っていった監督だけに、楽しみです。

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「キャッチ22」 あの時代の内容の濃いブラックユーモア

出張のおともにダウンロードした映画ですが、今回は「キャッチ22」。今さらという感じもありますが、見る機会が無かったので。中学だったか、高校だったかの時代に仲間内でよく話に出てきた映画です。名前だけ聞いて中身はあまり知らなかったので、興味深く鑑賞しました。

あらすじ
ヨサリアン(アラン・アーキン)は、爆撃機の搭乗員。負傷した射手を機内で救助した時のことが、トラウマのように彼を悩ましている。彼は、ダニーカ軍医(ジャック・ギルフォード)に交渉して、軍務を免れようとしているが、聞き入れられない。隊長のキャスカート大佐(マーティン・バルサム)は副官のコーン中佐(バック・ヘンリー)と結託し、部下の出撃ノルマをふやし続けた。部下は部下で、4回も墜落し平気なオーア(ボブ・バラバン)もいれば、物資を横流しして、MM興業なる怪しげなヤミ屋をやっているマイロー(ジョン・ヴォイト)もいる。ヨサリアンは、数々の奇行で軍に反抗する中で、ある夜、基地はドイツ空軍の猛爆撃を受けるが、爆撃させたのは、ドイツ軍と取引し綿を売りさばこうとした大佐と副官及びマイローだった。この時、ネイトリーが戦死したことを、彼の恋人に連絡しようとして隊を抜け出したヨサリアンだったが、彼女はヨサリアンが殺したと勘違いして、狂ったように暴れ始める。ヨサリアンはMPに連れ戻され、隊長らは、手に余るヨサリアンを英雄に祭り上げて送還することにし、気がとがめながらも隊に戻ろうとしたヨサリアンは、突然背後からネイトリーの恋人に刺されて入院。戸外ではヨサリアンの栄光の帰国の歓送会の練習の中、見舞いにきた同僚に、墜落して死んだと思われていたオーアが、ゴムボートでスウェーデンに脱出したことを聞かされ、ヨサリアンは病院を飛び出すと、ゴムボートを持って走り、大海原に漕ぎ出したのだった。



あらすじは、かなり端折っていますが、盛り沢山のエピソードを詰め込んだ、戦場の不条理コメディです。舞台はイタリアの小さな島で、ここから爆撃を繰り返しているのですが、隊長はとにかく功を上げるために、成果よりも出撃回数ノルマを吊り上げていき、とにかく目立つことは何でもやるというスタンス。隊員たちは仕方なく出撃しながらも、でたらめな行動ぶり。MM興業を立ち上げたマイローは、パラシュートやモルヒネなどを、綿や美術品など別の物資に交換、挙句の果てには町の娼館の女をすべて連れ去り、自前で娼館を経営するなどやりたい放題。それでも、隊ではすべてに目をつむり、うまく報告をして、時折女性を連れて訪れる将軍(オーソン・ウェルズ)から、表彰を受けるという乱れぶりです。

ヨサリアンは、まともな方ではありますが、何度飛んでも出撃回数ノルマが増えているので辟易しており、いろいろと画策するがかなうはずもなく、何もない街の爆撃を命ぜられたと分かった時には、途中の洋上で爆弾をすべて投下してしまい、それが将軍に判っては困るので、爆撃が成功したとして勲章を受けるという始末でした。同僚たちもストレスから奇行に及び、崖に激突して自爆するものも出たりと、混乱状態。休暇で訪れた町で一夜を共にした女は、街でアメリカ軍の為に働いており、ふたを開けてみればマイローの娼館の受付だったとか…。

すべては、キャッチ22というパラドックスで正当化され、あきらめさせられる部隊の中で、オーアは4回墜落し生還。最後にとうとう戻って来ず、海の底に沈んだと思われていたところ、スウェーデンまでたどり着いたことが判明。いままでの墜落は、その練習だったと思い当たったヨサリアンは、やりやがったな!じゃぁ自分も!ということで、正気の世界へとむけて、歓送会の練習の隊列を尻目に、ゴムボートを漕ぎだすのでした。

というところでおしまい。相当、込み入った、グチャグチャな、凡そあり得ない、ブラックユーモア満載の不条理コメディでした。

キャッチ22

長年名前だけ知っていたという映画でしたが、初めて見ての感想は、意外とこういう映画が好きだったとうものでした。ドイツ軍と結託して基地を爆撃させてみたり、女性を窓から放り投げたりなどと、いささか不謹慎かもしれませんが、徹底したブラックユーモアでここまで作れるのもすごいと思います。原作あってということもありますが。この時代は、ベトナム戦争の時代ですから、こういった雰囲気があったということも頷けますし、SFにしてもミステリーにしても、アイデア勝負から派生して、ナンセンスな文学がかなり前面に出てきた時代でもあると思います。吹き出してしまうところも多かったです。

前半は、何を言いたいのかわからなかったところもありましたが、見ているうちに面白くなってきます。冒頭ナイフで刺されるのは、ラストの場面を先に見せる手法だったのですね。気づきませんでした。機上でスノードンを介抱するシーンが区切りで何度も出てきますが、出てくるたびに状況が進行しているのも面白い見せ方でした。戦場の部隊という集団で、普通の人間としてあり得なさそうなことを立て続けに描いていく様は、度の過ぎた行状だけに、見ていてこちらもマヒしてしまいます。それがまた、単純な暴力ではなく、やり過ぎたブラックユーモアであるところが面白いと思いました。

その時代には、その時代だから作れた映画というものがいろんな要素であると思うのですが、この映画も、今作ってみようということにはきっとならないのではないかと思います。きっと上辺だけ面白くて、魂が入らないのでは?そして、ここまで金をかけて作っても、楽しむ人がいないということになってしまうかもしれません。そういう意味では、昔の映画を見ると現代史や風俗史の流れを追うような楽しみができてきますし、それはそれで、好事家の愉しみでもあるのかもしれません。

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「セブンビューティーズ」 かつてトラウマになっていた映画を再見

セブンビューティーズは、学生時代に見て、強烈な印象を残した映画でした。内容の詳細はだいぶ忘れかけていましたが、このブログに書いている「私の好きな100本の映画」に入れようと思っていたところ、YouTubeに画像があったのを見つけたので、ちょっと覗いて見たら、最後まで見てしまいました。英語版での再見です。

あらすじ
ナポリで小さな家内工業を営むパスカリーノ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)は、いわゆる遊び人だった。彼には7人の姉妹があり、彼女たちの面倒を見ることが義務のようになっていたが、長女が婚約者に騙されていることを知り、その男を殺してしまう。逮捕されたパスカリーノは、裁判で精神病院へと送られるが耐え切れず、前線に出ることを選択。しかし、兵役にも耐え兼ねて脱走したところ、ドイツ軍につかまり強制収容所へ。毎日大勢が殺される収容所で、冷血な女所長に女性相手なら自信があるパスカリーノはなんとか取り入って生き延びようとするが…。



タイトルロールのバックはヨーロッパの戦場のフィルムが流されます。ヒトラーやムッソリーニの演説や、破壊され墜落する戦闘機や爆撃機の数々。そして厭世的なナレーション。それだけでかなりひねくれたインパクトがあります。場面はそのままパスカリーノの脱走場面へと続き、同時に脱走したフランチェスコ(P・ディ・オリオ)と逃亡生活を始めました。そして、場面は戦場に出るに至った過去のシーンと、逃避行のシーンと交互に展開していきますが、時系列を追って書いていきます。

ナポリの家内工業主であるパスカリーノは、一方で街では遊び人で鳴らした伊達男でした。彼には7人の姉妹があり、母親を含めた家族の面倒を見ることが、彼の家庭での義務となっていました。ところが、場末の劇場でのエロチックなダンスを踊る姉に愕然とし、娼館に行ってみれば、そこで娼婦然とした妹を発見します。彼女は「愛する婚約者のため」と白状し、彼は妹がその婚約者とやらに騙されていることを知ると、その夜、カッとなってその男を射殺。その死体をバラバラに切り刻んで、列車に載せてしまいました。やがて、これが発覚し、捕らえられ裁判にかけられた結果、精神病院に送られることとなりました。

病院では模範囚を演じていましたが、ついベッドに拘束されている女の誘惑にのってしまい、拘束衣を着せられ出歩くことが出来なくなってしまいます。時は戦争がヨーロッパ全土に拡大した頃で、囚人は兵役を望めば刑期が取り消されることになり、パスカリーノは兵役を選択、前線に送られますが、軍隊の生活に耐え兼ねて列車から脱走したのでした。これが冒頭の場面です。

脱走し、フランチェスコと同行しているパスカリーノは、飢えに耐え兼ねて山中の女性だけの家で食料を略奪。これで足がついたのか、ナチスに捕らえられ収容所に入れられてしまいました。この収容所の凄惨な情景が、ワルキューレの騎行の音楽にのってしばらく表現されます。ワルキューレの騎行といえば、「地獄の黙示録」ですが、制作年で言えばこちらの方が早いのですね。

収容所に入れられたパスカリーノは、再び愛する家族に会う為に、何としても生きのびたいと策を練ります。その収容所長(シャーリー・ストーラー)は、冷血で大柄な女で、女性に関しては自信のある彼は、何とか誘惑して取り入ろうと試みます。なんとか印象付けて、やっと彼女の部屋に入り込めたパスカリーノは、必死で誘惑し、遂に服をぬがせることに成功しますが、一方で女所長は、そんな彼の思惑はすべてお見通しで、すっかり軽蔑しつつもてあそびます。そして、彼はカポ(グループのキャプテン)に取りたてられますが、条件はグループの中から6人選び処刑する。そうでなければグループ全員を、パスカリーノも含めて処刑するという者でした。

今まで、労苦を共にしてきた仲間のフランチェスコや、同房の老人(フェルナンド・レイ)を外しますが、2人から、パスカリーノのその行為自体を厳しく糾弾されます。処刑当日、パスカリーノは2人以外の6人を指名し前に立たせますが、老人は怒って肥溜めに飛び込み自殺。フランチェスコは処刑場で暴れて引き立てられ、その銃殺はパスカリーノに命じられました。そして引き金を弾くパスカリーノと、6人の射殺の銃声が響き渡ります。

収容所を生き延びたパスカリーノは、故郷に凱旋。家族の7人の姉妹と母から大歓迎を受けました。姉妹はすべて進駐軍相手の娼婦となっており、かつて心を寄せた清純な娘(F・マルチアーノ)までも娼婦になっていました。アメリカ製のタバコや人形があふれかえる部屋で、彼はためらわずに、彼女に結婚のプロポーズして受け入れられ、母の「済んだことは、済んだこと。戦争は終わった。あなたは生きている」という言葉に、間をおいてパスカリーノは「Yes.I am alive.」と返し、幕となります。

セブンビューティーズ

ちょっと長々とストーリーを語ってしまいました。この映画は大学時代に見たのですが、この映画自体が目的でなく、どちらかというと併映の「カメレオンマン」を見に行ったのです。しかし、この映画の強烈な印象に、すっかり「カメレオンマン」は霞んでしまい、しばらくの間、この映画の各シーンがトラウマになったという影響を残しました。今見るとそうでもありませんが、多感な学生時代には、ちょっと刺激が強すぎた。そんな感じです。

いささか不謹慎ともいえる内容ではありますが、収容所での強烈な表現やせれに対応していく様子はかなりインパクトが強いものとなっています。収容所所長の部屋での所長とのやり取りなどは、かなりの緊張感と、戦争の異常性が表現され、戦争のバカバカしさ、あるいは愚かさと一言で言えないかもしれませんが、かなりの空虚な印象を残しました。パスカリーノの行為を非人道的なものと貶め、自ら命を絶つ行為を称賛するのはたやすいのですが、パスカリーノの行為を責めるまでの自信はありません。そういった形で、見る者の心に楔を打ち込むような映画だったので、収容所の強烈なシーンと相まって、一見しただけで長く心に残っていたのだと思います。

出演者では、やはりジャンカルロ・ジャンニーニと、シャーリー・ストーラーが、熱演ですね。微妙な表情も含め、この物語の残酷性がよく表現されています。F・マルチアーノは、これは役得です。出番が少ない中で、いい所を全部持っていってしまったという感じでした。

昔一度見ただけで、強い印象が残っている映画は、まだいくつかありますので、機会があればまた振り返って見てみたいと思います。印象に残っているのはそれなりに理由があると思うので、そういった映画を見つつ、自分を振り返ってみるのもいいものだと、改めて思いました。

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「墨東綺譚」 それは無いよと言いたいが、抗いがたい魅力

出張のお供にダウンロードしていった映画。今回は、「墨東奇譚」です。小説はかつて岩波文庫で読んだことがありましたので、艶やかな悲恋の話というイメージがありました。しかし、iPadの小さな画面とはいえ、際どいシーンが多いので、飛行機の中で見ると、いささか周囲が気になるのでした。1992年の映画で、新藤兼人監督の作品です。

あらすじ
良家の長男として生まれ育った荷風(津川雅彦)は父の意向に反し、文学の道を志した。荷風文学の真髄は色街の女性を描くことで、そのため夜の町に親しむことも多く、周囲から遊蕩児とみなされていた。また、荷風は、女性から手痛い被害を被る事も多かった。ある日、玉ノ井のお雪(墨田ユキ)と出会った荷風は、清らかな心をもった彼女に運命的なものを感じ、玉ノ井通いが始まる。。しかし、高齢な荷風にとって、お雪と結婚するには、互いの境遇が違い過ぎた。それでもお雪に惹かれていた荷風は、彼女と結婚の約束をするが…。



永井荷風は、麻布の家に住み、そこに実家の母(杉村春子)が訪ねてきて、永井の境遇がいろいろと語られます。その後は、永井が日々の暮らしの出来事をつけている「断腸亭日乗」という日記文学の記述と、物語が並行して進んでいく形をとっています。永井は銀座のカフェではその行状を糾弾され、それを手助けして逃がしてくれたお久(宮崎淑子)と関係しますが、お久にはしつこく金をねだられるようになり、家ではお歌(瀬尾智美)という若い娘を愛人として置いていましたが、あるひ田舎にかえってしまい、遊郭でみつけたきみ(八神康子)の元に通うと、いつの間にか店から消えており…。といった具合で、愛の遍歴を重ねますが、なかなかうまくはいかないという生活を送っていました。

あるひ、バスの中にきみの影を見た気がした永井は、そのバスに乗り込むと玉ノ井の私娼街にたどり着きます。一時の驟雨が襲い永井の傘の中に「送ってちょうだい」と入ってきたのがお雪(墨田ユキ)でした。永井はお雪のを店に送ると、誘われるまま店に入り、その後お雪の元に通うようになります。そのうちに店の女将のまさ(乙羽信子)とも懇意になり、他の客があれば待つ、用事を頼まれると言った、親密な関係となっていきました。そんな中で、まさの一人息子の悟(大森嘉之)の出征がきまり、まさの頼みでお雪はその筆おろしの相手をします。永井はそれが終るのを待ちつつ、お雪を幸せにできるのは、自分ではなく、悟のような若い男だという思いに取りつかれます。しかし、悟は特攻隊で戦死。失意のまさを慰める中で、お雪は永井に結婚をせまります。永井はまんざらでもないのですが、先の思いもあるため逡巡します。しかし、最後には承諾し、それを聞いたまさは、お雪の証文を燃やし、お雪を自由の身にします。

お雪は、永井が迎えに来ると言った当日、まさとともに待ちますが、結局永井は何度もためらい、行くことはありませんでした。そして、時間がたったある日、お雪への思いに耐え切れず、ついに腰を上げて会いに行こうと準備をし始めた瞬間に、空襲警報が鳴り、翌日永井はすっかり焼け落ちた玉ノ井を訪ねますがお雪の姿はありませんでした。

戦後、老いた永井とお雪たちはすれ違いますが、おたがい人違いと思って再開にはいたらず、市川の家に住む永井はある日一人きりでその生涯を閉じているのが発見されました。

墨東綺譚

画面が究極的に素晴らしかったです。墨田ユキ宮崎淑子瀬尾智美、八神康子それぞれの女性の描写が最高でした。とくに、墨田ユキは最高!見事に嵌りました。ストライクです。過去のAV作品もネットで見直してしまいましたよ(笑)。当時の玉ノ井の風情なんかも、とても美しく撮られていて、ロマンを感じます。玉ノ井駅も今や東向島になってしまいましたが、学生時代はまだ玉ノ井駅で、その名前に湧き上がる風情を感じていたことでしたよ。宮下順子の「赤線玉の井 ぬけられます」も良かった。

しかし、です。この後半の蛇足はナンデスカ?元々は小説を読んでいるので、実らない恋の物語というのは解っているのですが、取ってつけたような別れや、すべてが貧相に堕してしまう後半は、全く前半の風情をぶち壊していますね。語らなくていいものをいれています。きれいな絵と物語でつづられた、色街のストーリーは、それなりに美しく終わって欲しい。だらだら続くさまは、年よりの切れない小便を画像にして見せられているようで、大変残念でした。ついでに言えば学徒出陣のフィルムも不要です。

とは、言っても、おかみさんにすると約束した夜までのストーリーと映像は大変美しいし、杉村春子さんや、乙羽信子さんも含めて女優さんたちもいい演技を見せてくれているので、そこには駄作として切り捨てられない、抗いがたい魅力を持った映画です。せっかくここまでやったのなら、綺麗に完結させて欲しかったというのがとても残念。ああ残念と嘆いているところでございます。いやま、確かに夢を見させていただきました!

【リスト】 ① 裸のエロスを見る作品

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「ディープ・インパクト」 改めて、世界は変わったなという感想を持つ

買い置きDVDを久しぶりに見ました。大変ヒットした映画ですが見逃してしまい、少したってDVDを買ったのですが、ずっと置いたままだったという映画です。ヒットした映画って、ストーリーに限らずいろんな情報が横から入ってしまうので、見たような気になって、同じタイミングで見ないと、こういうことになりがちです。(今、「ラ・ラ・ランド」がそうなりつつあります)DVD自体も放置して10数年たっており、同名の三冠馬などもつい最近のことのように思うのですが、もう20年になるのですね。時の流れは速いことを実感します。

あらすじ
新進ニュースレポーターのジェニー(ティア・レオーニ)は、大統領(モーガン・フリーマン)の側近アラン(ジェームズ・クロムウェル)の辞任の謎のスクープを追っていたが、それは巨大彗星が1年後に地球に衝突するというものだった。米国政府は百万人を収容する巨大シェルターを建設する一方で、彗星を軌道から逸らすべく、宇宙船メサイア号を出撃させ、彗星の軌道をそらすことを試みるが…。



それでは、かんたんに内容を…。天文部の高校生ビーダーマン(イライジャ・ウッド)は、名前の解らない天体を発見し、天文台のウルフ博士に伝えます。ウルフ博士は計算の結果、彗星が地球に衝突するとの結果を弾き出し、博士は急遽情報を持って車を飛ばしますが、交通事故で亡くなってしまうという衝撃的な導入部からスタートです。

1年後、テレビ局の若手社員のジェニーは、財務局長官の辞職が「エリー」という女性との不倫スキャンダルだという情報を得て取材に向かいますが、FBIはジェニーを連行。大統領が面談し、2日後の緊急会見まで待つようにと言われました。その会見で、政府は「ウルフ=ビーダーマン彗星」が1年後に衝突する事と、対応策としてメサイア号を飛ばし、核爆発により軌道をそらす計画を発表、ジェニーはテレビ局からその報道キャスターに抜擢されます。メサイア計画のクルーには、過去に月に降り立つことで、一躍有名になった、ベテランパイロットのフィッシュ(ロバート・デュヴァル)も参加、彼らは予定通り彗星に向かいます。

メサイア号は、核爆弾を彗星の地下で爆発させることには成功しましたが、彗星は大きな破片の「ウルフ」と小さな破片の「ビーダーマン」の二つに分裂しただけで、軌道を逸らすには至りませんでした。そして、爆発の余波でメサイアは地上との交信もできなくなってしまいました。政府は、計画の失敗を伝えるとともに、核ミサイルでの迎撃及び、100万人限定の、地下居住施設を発表。社会の維持に必要な要員をまず確保し、それ以外の入居者は抽選で選ばれることになりました。彗星発見者として権利を与えられたビーダーマンは、恋人のサラと結婚すれば家族含めて一緒に避難所に入れると聞きつけサラと結婚。しかし、避難当日、送迎バスに乗り込む時になって、サラ以外の彼女の家族は対象外となっていた事が判明、サラは、両親を置いていく訳にはいかないと残ってしまいます。そして、ビーダーマンも権利を捨て、サラの元に引き返すことにしました。

一方で、権利を得たジェニーでしたが、抽選対象外だった母が自殺。ジェニーは母を捨てて若い女性と再婚した父を許せなかったのですが、衝突を待つばかりとなった中で、家族の絆を思い出したジェニーは、避難権を同僚に譲り、家族との思い出のビーチに向かいます。そして同じ思いを持ってそこに居た父と再会し和解。その頃、先行していた小彗星が地球に落下。ジェニーの立つビーチの水はみるみる引いていき、1000メートルにも及ぶ高さの津波が、すべてを飲み込んでいきます。

バイクでサラと合流したビーダーマンは、先に進めないサラの両親から、サラとその妹を託され、山を駆け上がりました。一方で通信が復旧したメサイア号は、フィッシュ指導のもとで、残された核弾頭で大彗星を破壊する事をNASAに告げ、乗員は家族との最後の交信を交わし、大彗星に突入。小彗星による津波をなんとか振り切る事に成功したビーダーマンたちが空を見上げると、メサイア号の突入で破壊された大彗星の破片が、大気で燃え尽き、赤い流星となって降り注いていました。

ディープ・インパクト

という、いわゆるパニックもののストーリーでした。冒頭は、彗星の発見から地球への衝突と博士の事故死という、衝撃的なスタートで始まりますが、そのあと、エリーをめぐって少し停滞した導入部になります。この落差が大きくもどかしい感じ。そして前半のメインは、メサイア号での彗星への上陸と撤退の場面で、緊張感が高まります。その彗星の場面は素晴らしいのですが、どうも、この映画は、地上の普通の物語の進行がまどろっこしい感じがします。なんかちょっとバランスが悪い感じ。大変面白いのですが、引き込まれきれない感じでした。

この映画が上映される同じような時期だったと思いますが、「インディペンデンス・デイ」は劇場で見ています。設定は違いますが、同種の内容だったと思います。アメリカ大統領が出てきて、国民に演説し、最後にヒーローが決死の対決をして、地球を守り抜いたというような。私は、この映画が、いかにもアメリカが一番みたいな演出だったので、正直嫌いだったのですが、この映画は、「インディペンデンス・デイ」ほどではなくても、同じような臭いを感じます。その後、911が起こり、長いテロとの戦いが始まりますが、映画もあれ以降、こういった楽天的な演出は収まってきたのかなと思います。この映画のように、ロシアだけが入ってお茶を濁している場合ではなくなっていますね。そのあたりに時代の流れを感じました。

最後まで見て、ワシントンの瓦礫のなかで演説する大統領を見ても、今にして見てみると、数年後に起こった911の惨劇がダブりますね。その現実と、それまでエンターテインメントとして作ってきた絵空事が重なったことが、かなり皮肉な印象を残し、今日これを見た後は、改めて現実を見つめるという機会になったと思った次第です。世界は変わったなという感じです。

とりあえず、気になっていた映画を一つ消化し、そういう意味ではすっきりした感じです。突っ込みたいところもいろいろとあるのではありますが、クライマックスにかけては、面白かったですし、メサイア号の乗員と家族の別れといった感動のシーンもあったりして、いろいろとサービスもあり、見ている分には楽しい時間だったので、それはそれで良かったということになります。

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「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」 ホラー+子供たちのドラマ

アメリカでは前売りが絶好調と伝えられていた、「IT」が公開されたので、さっそく観てきました。邦題は、「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」。ややこしい邦題です。話す時は、「いっといっとそれがみえたらおわり」と言わないといけません。スラッシュや、ダブルクォーテーションやスペースや句点まで入ってますので、書くのも大変。原題では「いっ」でいいんですがね(笑)。

あらすじ
静かな田舎町のデリーで児童失踪事件が相次いで起きていた。内気な少年ビル(ジェイデン・リーバハー)の弟ジョージ(ジャクソン・ロバート・スコット)が、ある大雨の日に、おびただしい血痕を残して姿を消す。自分を責め、悲しみにくれるビルの前に現れた「それ」を目撃して以来、ビルは「それ」の恐怖にとり憑かれてしまう。不良少年たちからイジメの標的にされている子どもたちも、あらゆる場所で何かに恐怖を感じるたびに「それ」に遭遇していた。「それ」の秘密を共有することとなったビルと仲間たちは、「それ」と立ち向かうことを決意する…。



ジョージが、兄のビルにノートで作ってもらった船を、水の流れる道路に浮かべると、勢いづいた船に追いつけなくなり、排水溝に落ちてしまいます。そして、排水溝の中を見ると「IT」がジョージに話しかけてきます。巧みに話す「IT」に引き込まれ、手を伸ばすと排水溝の中に引きずり込まれて今いました。というのがスタート。これは予告編で何度も見たシーンなのでした。さて、そこから本題。

学校では、いじめられる方になっている7人の子供たち。ビルは吃音をからかわれ、ベン(ジェレミー・レイ・テイラー)は、小太り、べヴァリー(ソフィア・リリス)は、家庭環境など、そして、リッチー(フィン・ウルフハード)、マイク(チョーズン・ヤコブス)、エディ(ジャック・ディラン・グラツァー)、スタンレー(ワイアット・オレフ)。7人の境遇が語られますが、その情報がベンを中心に集められて一つになり、結束が生まれていきました。

いじめっ子側の明らかに上級生である、ヘンリー(ニコラス・ハミルトン)以下4人組は、ナイフや車を持ち、7人をいじめていますが、やがて7人の結束の前に旗色が悪くなっていきます。そして、一人は「IT」の罠にかかり、行方不明に。

7人は、いろんな場所で「IT」を見ますが、それは、自分が恐怖やわだかまりの対象となっているものになって現れている様子。ベンにとっては、ジョージであり、べヴァリーにとっては、父であり、スタンレーにとっては、書斎の奇妙な絵であったり、等々。そして、すべては、ピエロの格好をした「IT」すなわちペニーワイズ(ビル・スカルスガルド)の化身でもありました。

7人は、街の地図と、地下の下水道網を重ね合わせ、その合流点にある「IT」の本拠地へと近づいていきますが…。

IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。

まず第一にこの映画の売りはホラーなのですが、鳥肌の立つような怖さはありません。相手はどちらかというとモンスターのようで、音とお化け屋敷のような怪奇現象で迫ってきますが、畳みかけるような怖さや、心にしみるような怖さを作っている訳ではないので、むしろそのモンスターの造形をじっくり楽しんでしまうような感じです。ストーリー自体もゆったりしているので、モンスターもじっくり見てしまうのです。ピエロはもちろん大活躍ですが、あの絵から出てきたモンスターがなかなか面白い感じでした。印象は、7人の子供たちの恐怖心を克服して行きながら、成長していく姿。その中でロマンスも入り、友情と結束が固まっていく。そんなドラマでもあります。

そのロマンスは、主役同士がくっついてしまうと普通なので、最初の場面でべヴァリーに心を寄せるベンを応援していたのですが、その愛の力は間違いなく発揮できていたので、まぁいいでしょう。ラストの方で、誓いの場面から一人づつ去っていくところの順番なんかも、ちょっとドキドキしましたよ。そういう場面も含めて、登場人物も多く、エピソードも盛りだくさんなこのストーリーをうまくまとめているなという感じがしました。単純にホラー映画というだけでなく、子供たちのドラマとしても楽しめる内容になっています。

このお話は、そもそも第一部で少年時代、第二部で30年後という形で構成されています。今回の映画化は第一部のみですので、第二部も間違いなく作られるようです。次回作にも期待したいと思います。当然、俳優さんたちは大人に変わっているのでしょうから、彼らにはもう会えないのですが(回想シーンくらいはあるのかな?)、それ自体がちょっと寂しいような、7人の演技でした。

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私の好きな100本の映画④ ハリウッド

私の好きな100本の映画第4回

第4回は、4番目に好きな映画として、「シカゴ」を選定。その関連作品として、いかにもハリウッド映画という作品を選んでみたいと思います。とは、いってもいろんな作品がありますので、一つだけフランス映画が入っているのはご愛嬌。ミュージカルやコメディなど、見ていて楽しい作品を並べてみました。もちろん、ハリウッドはこれだけではないのですがね。



16.シカゴ (Chicago)  第4位
  2002年 アメリカ 監督:ロブ・マーシャル 出演:レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ

2003年度アカデミー賞受賞作ということで、公開時に地元の映画館で見た作品。楽しい歌と女優たちの饗宴を堪能しました。キャサリン・ゼタ=ジョーンズが、アカデミー賞助演女優賞です。キャサリンの迫力の演技と踊りは見ごたえがありますが、やはり私にとって、この映画はレニー・ゼルウィガーです。彼女の絶頂期の作品の一つで、魅力が満開です。この年のオスカーはニコール・キッドマンとなったのですが、翌年にそのニコール・キッドマンと共演してオスカーを獲得しています。男性では、ジョン・C・ライリーがなかなかの好演でした。その後のすぐにDVDを購入、ちょっと気になった時に取り出して見ている、何度でも心おきなくみられる数少ない映画の一つになっています。ストーリーもいろいろと盛りだくさんで、やはり飽きませんね。



17.サウンド・オブ・ミュージック (The Sound of Music)
  1965年 アメリカ 監督:ロバート・ワイズ 出演:ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー

さすがに、同時代では見ていませんが、学生時代にリバイバルで見た作品。LDの時代になって、さっそく買い求め、自宅で何度も見ました。やはり、この映画は、音楽ですね。この映画の中の数々のナンバーは、音楽の教科書ににもいろいろと載っていて、おなじみの曲が多く、楽しい曲が続きます。弾けないピアノですが、初級用の楽譜を買ってきてなんとか全ナンバーを弾いてみたりしたのですよ。そういう意味でも思い出深い映画です。
この映画は、やはりジュリー・アンドリュースの清純なイメージに支配されます。もちろん悪役もいろいろと登場しますが、それに打ち勝つ純真さで全編貫かれています。そして、全編明るい音楽に身を任す。そのような至福の時を得ることができるのです。



18.アパートの鍵貸します (The Apartment)
  1960年 アメリカ 監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン

これも、勿論同時代には見ていませんが、NHKで良く放映されていたので、何度も見ています。ハリウッドの往年の名作って、それまで見ていませんでしたが、この映画は大変気に入りました。そもそも当時は白黒映画というだけで古臭いイメージがあって、とっつきにくかったのですが、これは終始楽しく見られました。ビリー・ワイルダーとジャック・レモンは、この映画を最初に見たおかげで、いつも対になって思い出され、アメリカの良心のようなイメージが形成されました。そういう意味で、アメリカのメディア戦略は間違っていない??二人とも数限りない作品を輩出している訳ですが、いつも人の優しさのようなものを感じさせます。で、私のそのイメージの元になったのが、この作品なのです。

アパートの鍵貸します



19.マスク (The Mask)
  1994年 アメリカ 監督:チャールズ・ラッセル 出演:ジム・キャリー、キャメロン・ディアス

やはり、この映画は大変面白いと思うのですよ。ジム・キャリーはワンパターンとは言われようとも、やはりジム・キャリーですし、キャメロン・ディアスは当時若かった。(当たり前ですが)。スタンリー・ザ・マスクの行動は、ハチャメチャで、ギャグが冴えて、最高です。トムとジェリーを実写にしたようなノリのギャグでもあります。
最近、ジム・キャリーの作品はそれほど多くはないようですが、昨年ポーランドで撮られた「True Crimes」という犯罪ドラマでシャルロット・ゲンズブールと共演しているようです。あまり話題にはなっていないようで、でも、真面目なジム・キャリーってあまり見たことが無いような気がするので、近況にちょっと興味があったりします。



20.アーティスト (The Artist)
  2011年 フランス 監督:ミシェル・アザナヴィシウス 出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ

フランス映画ではありますが、舞台がハリウッドなので、ここに登場です(笑)。いろいろと映画を見ていると、まぁ映画界の舞台裏を描いた作品というのは、いわば内輪のネタなので、面白く作れて当たり前、ある意味いくら面白く作っても反則であり、あまり評価をしたくないというのが本心ではありますが、これは、いろいろと凝っているし、過去をよく検証しながら取り組んでいると思うので、素直に選んでいます。凝っているのは、白黒でサイレントで作られているということ。よく頑張りましたという評価です。ラブストーリーとしても、愛犬とペピーにより助けられるストーリーは、きれいなラブロマンスになっているので、これは素直に好きです。プロットをうまく作って、ラブストーリーの王道を進んで、ハッピーエンドで終わる。素直に見て良かったという気分になる。結果として、楽しく、緊張感もあって、ウマい!座布団1枚という感じが残りました。ペピーが、一貫して明るく人がいいところもプラスでした。



さて、私の好きな100本の映画。第4回の5本は、ハリウッドというお題で、ミュージカルやラブロマンス系の作品が並びました。理屈抜きで楽しめる作品たちだと思います。次回は再び舞台はヨーロッパに戻ります。自分の第5位の映画「鉄道員」を中心に5本が登場。さて、5本選べますでしょうか。

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「ウェディング・シンガー」 古風なラブコメと懐かしのメロディに大満足

機内エンタメで、上映時間の短そうなものを選んで見始めた「ウェディング・シンガー」ですが、お恥ずかしながらこの映画について何も知りませんでした。あとで、調べてみて、ああこの時代のこういう映画だったのねと解った次第です。先入観無しの感覚って違うんだなと思った次第。

あらすじ
結婚式を盛り上げるのが仕事のウェディング・シンガーのロビー(アダム・サンドラー)は、自分の結婚式の当日、花嫁に逃げられ、激しく落ち込み仕事もまともにできなくなる。一方、新人ウェイトレスのジュリア(ドリュー・バリモア)は、長年つきあった彼から、ついに結婚することを決めたと伝えられ、結婚式の準備を始める。忙しい新郎に変わって、ジュリアの結婚式の準備を手伝うロビーだが、互いに気になる存在になってくる。結婚式が一週間後に迫ったある日、ロビーは彼女の婚約者のグレン(マシュー・グレイヴ)が、プレイボーイでジュリアから気持ちが離れていることを知り、ロビーは自分がジュリア無しではいられない事をさとると、ロビーは意を決し行動に出るのだった…。



ある日の結婚式場。結婚式でのロビーの歌と喋りの場面から始まりました。式を盛り上げることを生業としているロビーは、歌で場を盛り上げながら、絶妙な喋りで酔っ払いのうまくあしらいますが、その日は新人のウエイトレスジュリアもいました。ジュリアが仕事に疲れて裏口で休んでいるところで、客の介抱にロビーが出てきて、彼が1週間後に結婚式を挙げることを話します。そして、ジュリアも式に同席することになりました。ところが、ロビーの式の当日、新婦は現れず、夜になってロビーの家に現れ、私が好きだったのは昔のあなただったということが解ったと告げて去っていきました。

一方、ジュリアは長年付き合ったグレイからの結婚を心待ちにしており、そのために少しでも近づこうとこの町に越してきたのですが、ある日グレイが結婚しようとジュリアに告げ、ジュリアは大喜びです。グレイは結婚式を挙げることに乗り気では無い様子ですが、ジュリアの提案で結婚式をこの町で行なうこととし、忙しいというグレイに変わって、ジュリアが全部準備をすることとなりました。

一方ロビーは失意から立ち直れず、久しぶりに仕事に出ても、披露宴の列席者を揶揄するようなスピーチをして結婚式をぶち壊しにする始末。そんな中で、ジュリアの婚約パーティに出かけました。パーティーで、グレイは友人に別れきれなかったから仕方なく結婚するような発言をしており、幸せそうなジュリアをよそに怪しい雰囲気でした。ロビーはここでもグレイの友人から、結婚式に花嫁が来なかったことを冗談交じりに指摘され、切れる始末です。

その後、ロビーは、一人で準備をするジュリアを手伝ううちに親密になっていきますが、あるひジュリアの友達がロビーに興味を持ち、ダブルデートをすることになりました。その席上、女性がトイレに去りグレイとロビーが2人きりになった時、グレイはジュリアに隠れて、日々女を追いかけており、ジュリアのことは特に大切に思っていなさそうなことを知ります。ロビーはグレイの本性を知るとともに、ジュリアに対する恋が芽生えていることを実感しました。

ここで、目的地に到着…さて、次回搭乗時に続きを…。

結婚式を間近に控え、ジュリアのグレイへの違和感はますます募り、本当に愛しているのはロビーの方だと気づいて、ロビーの元に出かけたのですが、出迎えたのはロビーの元カノのリンダでした。リンダはロビーとよりを戻そうとたまたま上がり込んでいたのです。失望したジュリアはグレイに、希望通りラスベガスで式をあげようと機上の人となります。ロビーはジュリアを追い、飛行機に飛び乗ったところ、それはジュリアたちののった飛行機と同じ便で、乗客たちの後押しもあり、めでたしめでたし!という内容でした。

ウェディング・シンガー

この映画を見始めた時、全く予備知識が無かった私は、いつの時代の映画かも解らず、全体的にくどい感じや、一昔前の雰囲気のタイトルロールから、最近の映画にしてはちょっとセンスが違うなと思っていました。どちらかと言えば負のイメージを膨らませつつ見ていきましたが、カルチャークラブやポリスなどの曲が流れていくにつけ、なんとなく面白くなってきて、まぁちょっと強引な話だけど、ありかもね。と思うようになった次第。それで、ロビーとジュリアの素敵なキスとかがあって、面白くなってきたところで、ひとまず飛行機が着陸態勢に入り、続きは次回のお楽しみとなってしまいました。(汗;)

それで、この映画のことを調べてみると、けっこうヒットした映画らしいですね。そういわれてみれば、この時代の雰囲気が出ているような…。時代背景とか、知っててみると違ったかな?と思いました。その後の、アダム・サンドラーとドリュー・バリモアの、50回目のファースト・キスの方は見ています。ドリュー・バリモアを見ること自体が久しぶりだったので、その人と解らなかったのですよ。昔は、よく見てたのですが。

そして、時は流れ機内で続きを見る機会を得て、継続鑑賞です。といっても、もうほとんど最後の方ですし、こういうラブコメなので、結果は見えていますが、予定通りに事が運んでという展開。安心感あります!最後のキメもこの映画らしくてなかなか良かったです。飛行機の乗員・乗客総出で応援するところとか、この時代のラブコメらしくていいなと思いました。そして最後にエンドロールの「ラジオスターの悲劇」久しぶりに聞きました。懐かしいですね。全体として、80年代の音楽と、ベタではありますが、定石通りのラブコメの展開に、懐かしさもありで、タイヘン楽しかったということでした。

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「真空地帯」 個人に感情移入できないもどかしさ

野間宏の「真空地帯」も、昔読んだ小説のひとつ。面白かったという記憶はあるのですが、内容はというとあまり覚えていませんでした。映画の「真空地帯」は、1952年。小説が出版された年と同じ年に公開されたというスピード映画化です。当時、同じ年にさっそく映画化された人気作品であったことが伺えます。

あらすじ
二年間の服役を終えた木谷一等兵(木村功)は、大阪の原隊に帰ってきた。服役中の部隊の様子はすっかり変わっており、名目上病院帰りとしていた木谷に対する班内の反応はさまざまであった。木谷の罪状は、財布を盗んだことであったが、実際は経理委員間の争いに巻き込まれた格好で、事件は拡大され一方的に重い罪を着せられたのだ。隊の中で、様々な人間がうごめく中で、野戦部隊への人員供出の命令が入ってくる。当初木谷は選外であったが、木谷を疎んじる元経理委員の策謀で、木谷を野戦行きに回してしまう。隊の中でも孤立していた木谷はついに爆発。木谷を追い込んだ人間に次々と鉄拳をふるい、隊を脱走しようとするが、あえなく捕らえられ、船上の人となった。



大阪の部隊に、陸軍刑務所から2年間の服役を終えて帰ってきた木谷一等兵は、上官である准尉と面談し、人事担当の會田一等兵とも相談の上、病院帰りということにして原隊に復帰します。すでに4年兵になっている木谷には、周囲の兵隊は総変わりしており、一部の上層部を除いて知らないものばかりでした。そして、軍隊の中では、初年兵は2年兵、3年兵から、鉄拳で徹底的に教育され、その中で木谷は浮いた存在となっていました。曾田は犯罪記録から木谷の過去を知り、ある日木谷から直接過去の話を聞く機会を得ます。木谷は曾田に以下のように一部始終を話しました。

木谷は、以前隊にいた時、休みのたびに飛田遊郭の花枝という女と懇意になっており、将来を誓い合う中になっていました。そしてその頃、隊の中で夜間に財布を拾います。それは、林中尉のものでした。林中尉は、落としたはずはない、服の中から取られたのだと主張。林中尉と同じ経理委員の金子軍曹と中堀中尉はかならず刑務所に入ることの無いよう努力してやると木谷に約束します。木谷は一貫して拾ったと主張しますが、最後には花枝に送った手紙まで証拠として持ち出され、最終的に抗弁は入れられず服役することとなってしまいました。

隊にはやがて野戦部隊への補充を出せとの要請が入り、曾田はその情報を得ます。今回は、補充兵主体で、木谷は対象から外れていると、一度は木谷に告げます。曾田はその後、表向きは木谷に良くしている金子軍曹が木谷を野戦に出せと准尉を買収している現場を発見。木谷は野戦行きのリストに入れられてしまいました。一部始終を曾田は木谷に話すと、木谷は過去に自分を貶めた人々に会って恨み言をぶつけようと、隊に戻ってきていた林中尉を捕まえます。林中尉は、当時のことを弁明。私腹を肥やしている中堀中尉を告発しようと罠を仕掛けるはずだったが、失敗し中堀中尉に一切の権力を握られ自分まで左遷されたことを暴露。良くしていただいたはずの金子軍曹がその裏で暗躍していたことを知りました。そして花枝もこの件で追及され飛田にいられなくなり鳥取に移ってしまったとのことを知ります。

木谷は、准尉に自分が野戦に行く理由を質しますが、聞き入れられず、野戦に出る前日に准尉の部屋に忍び込み、保管してある花枝の写真を入手、そのまま金子軍曹の部屋に押し入り、散々打擲を加えます。そしてそのまま柵外に逃亡を企てますが、あえなく捕まってしまいました。そして、翌日船上の人となった木谷は、抵抗しようも無い軍の組織を感じつつ、花枝の写真を取り出すのでした。

真空地帯

印象としては、たぶんこれは小説通りだろうなという感じでした。野間宏は、全体小説の思想を進めたと言われていますが、このころもそういった方向を進めていたのでしょうか。社会のいろいろな階層をすべて盛り込むことで、社会全体の構造を捉えていく描き方。この物語では社会とまではいかないかもしれませんが、軍隊の内務班の様子を全体的に捉えているような感じもします。主人公はたぶん木谷なのでしょうが、さりとてその個性はあまり共感できるようなものでもなく、ただただこの時代の内地の軍隊を描いたという感じが残りました。

当時は、戦争の記憶も生々しい時代で、だれもがつい最近経験したことですし、今では想像しがたい思想的変遷が短期間で起こっていることから、その時代なりの読み方や描き方があって、こういう作品になっていると思います。戦争の記憶を身近に持たない今、これを見れば、反戦ということ以上に感じるのは、このような体罰が絶えて久しいことや、軍隊を大企業など会社組織に置き換えて見てしまうことからくる、組織や運営の在り方の相違や理想の追求ということになってしまいました。

好みということかもしれませんが、私としては魅力あるなしにかかわらず、もっと登場人物の人物像を掘り下げた描き方の法が好みなので、ちょっと物足りなさが残ってしまいます。それは単に、これだけ無表情で演じられると、木谷の心情が見る者になかなか響いてこない、ということかもしれません。それはやはり、組織や社会を描きたくて、個人の描写を抑えたということなのでしょうか??

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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