FC2ブログ

「ディーパンの闘い」 闘うことの目的とは?


最近、無料動画を中心に、行き当たりばったり、人任せで見る映画を決めているような気もするので、たまには積極的に見たい映画を見てみようと思い立ちました。そこで、今日はi-Tuneから、この「ディーパンの闘い」です。劇場公開時はなぜかスルーしてしまいましたが、カンヌのパルムドールですから、見ておきたい一本です。

あらすじ
妻子を殺され、内戦下のスリランカを逃れた元タミール兵士のディーパンはフランスに入国するため、赤の他人の女ヤリニと少女イラヤルとともに偽装家族となる。3人は難民審査を通り抜けると、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人の職を得るが、そこは麻薬の売人の巣窟となっていた。昼間は外で収入を得、夜は一つ屋根の下で他人に戻る彼らがささやかな幸せを掴もうとしたとき、新たな暴力が襲いかかる。戦いを捨てたはずのディーパンは、再び立ち上がる…。



冒頭は、ディーパンの家族の葬送のシーンから。そして、偽装家族となりフランスへ脱出、難民審査を通過し郊外の団地に管理人の職を得て住み込みで働くことになります。しかし、そこは低所得者層が住む棟と、ディーパンの管轄外の、建設が放棄されて売人の根城となっている棟が中庭を挟んで向かい合っている状況でした。

最初は言葉も通じず社会に溶け込むのに苦労する状況でしたが、ディーパンは管理人の仕事をこなし、イラヤルは学校に通い、ヤリニは家政婦の職を得ます。しかし、それは売人のボスの家の家政婦でした。少しづつ生活にも慣れ安定し始めたところで、発砲事件が起きます。こんなところに住めないとヤリニは単独でイギリスに行こうとしましたが、ディーパンはそれを止め、対面の棟との間に白線を引き、売人グループとまさに一線を画しました。

そんな中で、麻薬の売人のボスが銃撃され、ヤリニはボスの家に拘束されてしまいます。ディーパンはヤリニを救出すべく、再び戦いに挑むのでした。

ディーパンの闘い

以上、ストーリーラインは比較的単純で、むしろいろいろなエピソードが積み重ねられ、物語が進行していくスタイルでした。

まずは、いろいろと勉強になりました。映画の中では直接語られないのですが、「タミル・イーラム解放のトラ」の内戦の歴史。仏教徒であり、多数派で、イギリス支配に抵抗した歴史を持つシンハラ人に対する、ヒンズー教徒の少数派で、イギリスに重用されていた歴史を持つタミール人の抵抗。すでに政府軍によって殲滅され、平和は戻っていますが、多数の難民を生み出したようです。これは、映画の中では、ヒンズーの神様に繋がるインド象の映像や、さらに抵抗を続けようとしている元上官との遭遇、そしてヤリニがイギリスに逃れようとしているところからも、その影響が伺えます。しかし、ディーパンにとっては家族を殺されたところで、その闘争はすでに終わった事となっていました。また、フランス郊外のスラムの状況。最近見た中では「戦争より愛のカンケイ(2010年)」でも、フランスへの移民について描かれていましたが、あまりこちらにいては解らないようないろいろな事情があるようです。

そして、主に描かれていたのは、疑似家族の3人が、それぞれの成長を遂げていく。3人とも全くの赤の他人という中で、それぞれに思いやりながら成長し、分裂の危機も努力しながら克服していっている。そんな姿がいろいろなエピソードでつづられています。特に、イラヤルを中心として、ディーパンやヤリニとそれぞれフランス語習得の話をしているところは、暖かなつながりが感じられました。

物語のほとんどの部分は、この団地での3人の生活と、成長と、葛藤でつづられます。戦いの部分は最後のみ。中庭に白線を引くという行為が、国境線の策定のイメージと重なり、再びタミール分離独立闘争へとイメージが繋がっていきますが、その後のティーパンの行動を見ながら、彼はいったい何の為に戦うのだろうと、ふと思いを馳せました。家族のためという単純な言葉では割り切れないような気がしたからです。最終的に、その戦いへの習性は、ヤリニの救出として、戦士の血が爆発するのですが、それまでに形成され実体化していく戦いへの道筋の中で、目的自体も曖昧な物からより具体的な物に変化を遂げていくように見えます。「闘い」という名の邦題に誘導されているのかもしれませんが、人間が闘うことの目的や意義について考えさせられる映画でした。

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR