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「ゾンビ・ウォー101」 手作り感あふれるゾンビ・コメディ

時々、どうしようもなくダメな映画を見たくなる時があります。なんか疲れていたりとか、もやもやしていたりとか、ある意味危ない状態なのかもしれませんが、そういう時にこれはくだらなさそうと思ってみる映画。といっても、決して見た結果つまらないということではなく、何も考えずに見られるからだと思います。そういう時に見た1本。原題は、「101 Zombies」です。

あらすじ
アメリカ南部のある田舎町。汚染された地元の密造酒を飲んだ人々がゾンビと化し、次々と住民たちを襲い始め、町は大混乱に陥る。そんな中、高校生のケンの父親もゾンビになってしまい、ケンは戸惑いながらも父親を倒すのだった。そして、ケンと友人のデイブ、その弟・ブランドンたちは、自分たちの愛する人を救う為、迫り来るゾンビを蹴散らし、町を脱出しようと試みる…。



かいつまんで筋を追うと、原因は炭鉱の爆発で、隣り合った旧化学兵器工場跡が被災すし、そこでは過去に死者を復活させる研究が行われていて、貯蔵していた薬品が流出します。緑の液体が近隣の川に流入し、その水で作っていたこの町の人々に愛飲されている密造酒が汚染されるということになります。だいたい、怪しげな液体は緑色をしているというパターンが多いと思うのですが、結構定番なのでしょうか。

ケンは暴力的な義父に嫌気がさしていますが、義父が密造酒でゾンビになり射殺。友人のデイブとプランドンの協力を得て、死体を廃車置き場のトランクに放置。そのころ町では密造酒の影響で、次々とゾンビが増殖していきました。

まずは、町の人気番組である、ビンゴゲームの生中継!会場で発生したゾンビが出演者やスタッフをゾンビに変えます。いつも町で説教をしている、いかれた神父も、地元放送局で自分の番組を持っていますが、番組中にケンたちからかかってきた警告の電話「密造酒を飲むな」に対し、何を思ったのかあえて、「密造酒を飲もう!」と番組で説教を始めます。町のある部屋で、セクシーな服や下着をいろいろと着て、2人でファッションショーをやっていた若い女性2人が密造酒を乾杯してゾンビになります。この場面はトップレスが入り、サービスカットです。ケンの友人たちが集まるパーティーでも密造酒がふるまわれ、ほとんどの友人がゾンビになります。といった具合で増殖します。

このゾンビの特徴は、飲んだら一瞬でゾンビ化する。嚙まれたら即ゾンビ化するという、瞬殺の効果があり、動きも比較的素早く、人間と同じぐらいのスピード感です。走ります。

これに対し、ケンたちは母や恋人を救出するため、町に出てゾンビと闘いながら策を練る訳ですが、最終的には溶接技術で優勝したデイブの助けを得て、乗ってきた車を改造し、フロントにゾンビ化してしまったプランドンの首をつけて、マッスルカーとして町に飛び出し、道行くゾンビをなぎ倒しながら母や恋人を救出に向かいました。

一方で、ケンの母はドライブインに勤めていましたが、友人にトラクターヘッドの運転をしているトラックドライバーがいて、無線で交信します。店の冷蔵室に立てこもる母を励ましながら、ケンたちの戦いをスナイパーのごとく援護しました。また、ゾンビの研究ネットに加入している初老の男がいて、常に情報を収集し、ドライバーとやり取りしていました。彼はトレーラーハウスに住んでいますが、ドライバーのトラクターを連結しそこにケンたちが合流して町を脱出。籠城用の砦へと向かうのでした。ちなみに、最後の脱出行動の作戦名は、ローリング・サンダーです!

とまぁ、こんな話です。書くほどでもないかと思ったのですが、ついつい書いてしまいました。

ゾンビ・ウォー101

正直言って、なかなか面白かったというのが感想です。特に前半は、素人が撮った映画という雰囲気で、画面とか全くいまいちだなぁと思っていました。あの「キラートマト」を思い出したくらいです。まぁ、時代も進んでいますので、あれよりはまともですが…。しかし、後半になってからは、戦闘シーンを中心にして、なかなか頑張りました。けっこう迫力ありました。特に、マッスルカーの活躍の場面、昼になったり夜になったりしますが、面白く作っています。加えて首だけになった、ゾンビ化したプランドンの表情がファンキーで最高!音楽と相まって、ハードロックの雰囲気でした。仲間の中では、最後にゾンビ化してしまうクラスメイトのユージーンも、ゾンビ化した時の表情がなかなかユニークでした。

いかれた神父はゾンビ化に狂喜し、放送局のスタッフ?と密造酒の製造者のコンビと相対しますが、これはジャガイモ砲で倒されます。この映画の中で唯一人間対人間の戦闘シーン。このジャガイモ砲もなかなか威力が強烈でした。その他、薙刀あり、棍棒ありと、武器もなかなか凝っています。というか、素人の手作り感のあふれるアートです。

笑えたのは、刑務所からの脱獄シーンとか・・・。ああ...そうなるだろうなぁ...と思ったら、そうなりました。最後のエンドロールのキャストの一覧で、役名にZombieが沢山並んで苦笑。

全体的にゾンビの数が少なく、集団と言っても7~8人で固まってくる程度です。一方で、いろいろアイデアや小ネタが出てくるので、作っている人は面白がっているような感じです。

この映画、実写でどれだけ公開されているのか解らないのですが、IMDbにはアメリカでの公開の情報しかありません。日本でDVD発売されたということは、それなりの話題作でもあるということなのでしょうか?映画的には、B級の域に及ばずというレベルかと思いますが、はなからこの手の映画を見るぞと思ってみているので、そう思えば、意外と好きになる人も多いのではないかと思います。

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「落日の決闘」 西部の友情と掟

買ったままになっているDVDを一つ一つこなしていくシリーズ。今日は「落日の決闘」。ジョエル・マクリー主演の1946年の映画です。監督はスチュアート・ギルモア になります。かつて、西部劇を集中して見ていた時期があって。そのころまだ見ていないDVDが出れば精力的に買っていたのですが、興味が少し下火になってそのままになっているものがいくつか。有名どころは率先してみているので、残されたDVDは果たして…。
原題:The Virginian (1946)

あらすじ
自らの力で生きるべく、ワイオミングまでやって来たモリー・ウッズ(バーバラ・ブリトン)は、牧童頭ヴァージニアン(ジョエル・マクリー)と相棒スティーヴ(ソニー・タフツ)と知り合った。陽気なスティーヴであったが、牛泥棒トランパス(ブライアン・ドンレヴィ)にひきこまれて、悪事に加担していた。ヴァージニアンは、スティーヴに改心を求めるが、再び泥棒をはたらいたため、心ならずも親友を処刑せざるを得なくなる。さらにトランパスを追うヴァージニアンは、待ち伏せにあって射たれてしまう…。



東部ニューイングランドから、恋人や家族と別れ、モリーは単身ワイオミングに向かいます。到着直前に列車は牛の群れに阻まれますが、この牛を追ってきたのが、ヴァージニアンとスティーヴ。2人は東部の貴婦人の登場に、色めきだって話しかけ、世話を焼き始めました。モリーが町についてからも、なにかと世話を焼き、接近しようと競い合うような状況で、2人は親友同士の良いコンビでした。一方、トランパスは黒ずくめの服を着て、酒場でポーカーをやっていますが、スティーヴはトランパスとも親しげに話しています。

この頃、町では牛泥棒に手を焼いており、保安官に捕まえるように依頼しても、証拠がないと言って捕らえようとはしません。ヴァージニアンは、トランパスが牛泥棒一味のボスとにらんでいました。また、ヴァージニアンは一方でモリーに積極的に接近、愛馬を贈り、乗馬の指導ということで2人で遠出し、愛を告白します。その時、スティーヴが別の持ち主の迷い子牛にトランパスの焼き印をつけているのを発見。改心を迫り、悪事からは足を洗うと誓わせます。

ある日、ヴァージニアンとスティーヴが一緒に牛を追っている時に、トランパス一味が襲い、スティーヴもこれに呼応し一群の牛を略奪します。これを執拗に追うヴァージニアンたちは、スティーヴたちを捕捉、親友とはいえ掟に従わざるを得ず、スティーヴたちを処刑。人のいいスティーヴは、処刑される前に、ヴァージニアンの部下たちに持ち物を分配し、ついに最後の言葉を交わすことの無かったヴァージニアンには、「あばよ!話をしなかったので泣き虫にならずにすんだ」と手紙を残し、自分の愛用の拳銃を贈ります。

スティーヴたちの処刑後、ヴァージニアンは逃亡中のトランパスを追いますが、待ち伏せされ撃たれてしまいます。仲間に連れ帰られたヴァージニアンはモリーの献身的介護で回復しますが、モリーはヴァージニアンがスティーヴを処刑したことを知ると、西部は酷い世界だと詰め寄り、これが西部で暮らしていく避けて通れない道だ、とたしなめる宿主のミセス・テーラーの制止を振り切り、実家に戻るべく馬車にのります。しかし、御者に諭され、自分が本当にヴァージニアンを愛していることに気づき、町に引き返し、結婚することにしました。

結婚式の当日、町にはトランパスが戻っており、今日こそ、雌雄を決するということになりました。ウェディングドレス姿のモリーに別れを告げ、スティーヴの拳銃を持ち、落日とともに2人は町に出て相手の影を探します。2人が交差したのは一瞬。トランパスは倒され、ヴァージニアンのもとにモリーが駆け寄りました。

というお話です。

落日の決闘

このお話、ストーリー的にはなかなかいいと思うのですが、映画の方は、心情の変化を伴うような、微妙な背景を省略してどんどんうわべだけで進んでいくので、感情移入がうまくできず、どうしてそうなるの?というような、話の必然性もうまく追えないという、致命的な難点があります。 それがこの映画の残念なところと思います。

最後の決闘のシーンは一瞬でかたが付くので、この映画のメインは、やはりスティーヴの処刑のくだりでしょうか。ここはじっくり描かれていました。あとは、ミセステーラーと、モリーの実家に戻ると決意する時のやり取りが、西部の実情と魅力をよく描いていると思いました。

ストーリーは全体として、膨らませようによっては、いろいろなエピソードをもっと描きこむことができるようないいお話です。そして、メインを西部での友情や掟を持ってきたところに、決闘シーンだけが売りなのではなく、西部劇の詩情を含んだスタンダードなエンターテインメントとして楽しめます。やはり、アメリカの西部劇です。

邦題の「落日の決闘」はあくまでも一瞬です。基本はドラマなので、当時は、日本では西部劇に求めるものが違い、本来は、当時の西部を舞台とした幅広いドラマであったものが、西部劇イコール決闘のある活劇という捉え方をされていたことが、この邦題からも偲ばれます。

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「モーガン プロトタイプ L-9」 ブレードランナーの前振りか

今日は、出張中にベトナム航空の機内で見た、モーガンについて。その日は、「ナイスガイズ(2月日本公開予定)」「母親たちと娘たち(日本未公開)」と合わせて、3本見てしまいました。その中で、一番面白かったというか、ほーっ!と思ったのがこれなのでした。アメリカ及び世界各国では、昨年9月公開でしたが、かなりコケたようです。

あらすじ
研究施設で開発されていた人工生命体の試作品「モーガン(アニャ・テイラー=ジョイ)」が、研究者を襲って大怪我をさせる事故が発生。調査のため本社から危機管理コンサルタント、リー・ウェザーズ(ケイト・マーラ)と心理評価の専門家シャピロ博士(ポール・ジアマッティ)が派遣される。リーは隔離されたモーガンと対面し、シャピロはモーガンの心理評価を実施するが、その最中シャピロの厳しい質問に対し、モーガンは混乱し始めてしまう…



制作にリドリー・スコットが参加し、監督は息子のルーク・スコットの初長編という映画ですが、あらすじからも見ての通り、雰囲気も含めて、リドリー・スコットの過去の映画を思わせる内容です。90分程度の長さということもあるのか、ストーリーは明快でした。

冒頭のシーン。研究所内で、外出禁止を解こうと考えていると優しく問いかける研究者に、被験者が襲い掛かるシーンから始まります。この事件をきっかけに、本社から派遣されたのはリー・ウェザーズ。冷たい感じの細身の女性です。彼女は、到着するとすぐにこれまでの事情聴取にかかりました。

この研究所は、人里離れた山中にあり、遺伝子操作による人工生命体を研究しています。モーガンは3代目の試作品。赤ちゃんの姿で誕生し、5年が経過して、見た目は立派な成人となりました。その間、研究員たちの愛によって育まれてきましたが、リーは、この研究所の過剰なまでの家族的雰囲気に違和感を持っているのでした。

事件の発端は、森の中で怪我をした鹿を見つけたモーガンが反応し、鹿の首を搔き切ったことから始まります。その後、研究所内に幽閉され再教育していましたが、再び冒頭の事件を起こしてしまいます。そこで、モーガンの状況を判定し、今後の処置を決定するため、シャピロが心理評価のために質問を開始しますが、彼の質問はストレスを与える辛辣な質問となり、モーガンを挑発していきます。それに対し、反応し始めたモーガンはついに…。

というように話は展開していき、ここから先が本題ですが、日本ではまだDVD未発売故やめておきましょう…。

モーガン

まず、このタイプのストーリーは好きです。人工生命体と、人間のかかわるストーリー。「ブレードランナー」は最高傑作ですが、昨年公開された「エクスマキナ」もそうですし、邦画では、「さようなら」のように、実物のアンドロイドが役者として出演しているものもあります。リドリー・スコットだけあって、この手のストーリーはお手の物でしょう。この話は、その人工生命体の制作過程を扱ったもので、そういった意味では「エクスマキナ」と同じタイプです。ただし、あちらは機械的で、データ重視でありかなり完ぺきに近い。こちらは生物的で愛で育てるということで、かなりファジーです。

「ブレードランナー」のある程度完成されたレプリカントが作られる以前の研究課程の物語と捉えてもいいのかもしれません。この手の話は、リドリー・スコットにとっては、自家薬籠中の物。そういう意味で、自分がプロデュースして、息子のマーク・スコットに長編デビュー作として撮らせたのでしょうか。私は、ある程度成功していると思えますし、日本で劇場公開されないのがもったいないように思えます。正直、大画面で見てみたい。

この映画の欠点と思えることがいくつかあります。一つ目は、研究員たちの態度があまりにも危機意識が無さすぎで、自分たちのやっていることのリスクを全く感じていない。常識をはるかに超えたような情に流され方をすること。ある意味、研究成果を後生大事にすることは、有りがちかもしれませんが、ちょっと度を超えている。これにより、見ている方は白けてしまい、一気にB級感に支配される。二つ目は、最後の謎解きが登場人物の会話で行われること。とってつけた感じがします。三つめは、謎解きという興味を持ってみたとき、微妙に解りやすくて、語りつくされたいつものパターンであること。

上に張り付けた写真の場面は、いい場面だと思います。人間と、人間型の人工生命体でどう違うのか、何が同じで何が違うのか?それがこのテーマのテーマでもあり、「ブレードランナー」へと語られ続けるテーマでもあります。最終的には、人間の超人に対する憧れや嫉妬、新たなものへの探求心のあくなき追及など、いろいろな要素が重ねられます。残念なのは、この感想はこの映画を見て湧いてくるものでなく、この映画から「ブレードランナー」や「エクスマキナ」を思い出すことによって湧いてくるものかな?と思ってしまうことです。

でも、私はやはりこのテーマは好きですし、画像もかなり迫力を感じたので、映画としてはよくできていると思います。映画館では見ることはできないですが、BDでも買って、大画面でじっくり見直してみたいと思いました。

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「暗闇にベルが鳴る」 50年代の事件による都市伝説

GAYO!無料動画3連発の3つ目。「暗闇にベルが鳴る」も、「スタッフおすすめ 掘り出し映画特集」から。1975年のアメリカ映画です。主演のオリビア・ハッセーは、この後布施明と結婚し、日本でもおなじみの女優さんです。ロミオとジュリエットは、なかなか清純で可愛らしかったと記憶しています。

あらすじ
ジェス(オリビア・ハッセー)は、女子寮に下宿していた。そこには、最近怪電話がかかってきていたが、パーティの最中にかかってきたその電話に、バーブ(マーゴット・キダー)が『変質者』と怒鳴った時から、事件は始まる。パーティをきり上げ、クレアが部屋に戻り、まず犠牲となる。翌日、彼女の父親が訪ねてきたことで行方不明が発覚し、警察に捜査願いを出した。フラー警部(ジョン・サクソン)が捜査に乗り出し、警察犬が駆り出され、寄宿舎の周辺を隈無く捜すと、少女の惨殺死体は見つかったが、クレアは見つからなかった。その頃、ジェスは恋人ピーター(キア・デュリア)の子を妊娠していたが、彼女は中絶する決意をかためていた。ところがピーターは大反対で、怒ったピーターは『きっと後悔するよ』といって部屋を飛び出す。事件はその夜一気にクライマックスに達する。フラー警部はジェスに電話に出てもらって、怪電話の主を確かめようとしたが、ジェスは電話の相手が「ベビーは殺してはいけない」「こぶをけずるのとは違うんだ」というセリフは、ピーターの言葉と同じだった。そして逆探知に成功、なんとその電話は寮の中からだった。その間、2階では1人、また1人と殺されていたのだ。ジェスは新たな惨殺死体を見て、悲鳴をあげながら地下室にかけ込んだが…



クラシカルな雰囲気のサスペンス・ホラー映画でした。終始、犯人は忍び寄る影のように表現されています。そして一人になっている時や、物音で悲鳴が聞こえないような時に突然襲ってくる。不気味な雰囲気を漂わせています。一方、住人の女子寮生たちは、結構能天気な感じですが、人知れず一人一人犠牲になり、また犠牲になっていることもしばらく解りません。そういう形なので、この映画の売りは、演出でいかに恐怖を感じさせるかということに尽きると思います。そして、当時としてはある程度成功したのではないでしょうか。

今でこそ、この映画をみると古いなぁという気がするのですが、基本的に怖がらせ方はいまでも同じですね。影だけ見せたり、足元だけ見せたり、SFXはないですが、スタンダードではあります。

女子学生の中では、バーブが一番個性的でした。警察に行ってクダをまいて、電話番号をフェラチオ20880と教えるあたり、なかなかのもの。それをまた新しい局番として信じてしまう巡査もどうかと思いますが、当時はまだフェラチオという言葉が広く一般的では無かったのでしょうか。ちなみに騙された巡査は実直ながらちょっと公務員的におざなりで、抜けも多い巡査をさらりと演じていて妙に好感が持てました。

暗闇にベルが鳴る

さて、ネタバレで恐縮ですが、実はこの映画、一応ピーターが犯人として捕まりますが、実際のところ犯人は判然とはしていません。ピーターが捕まったあとも、クレアとマックスの死体は発見されていない上、不気味な物音や電話が鳴り響くのです。つまり、事件は全く終わっていないのです。

あとで調べてみると、この映画の元になったのは、「The Babysitter and the Man Upstairs」という都市伝説のようです。内容を英語版Wikipediaから和訳しますと以下の通り。

10代の少女が夜ベビーシッダーをしていた。子供たちは、2階のベッドに入り、彼女は階下でテレビをみていた。電話が鳴り、男が彼女に子供たちを見るように告げた。少女は電話を切りテレビに戻った。男は何度も電話をかけてきた。最終的に少女は心配になり、警察に連絡、次の電話を逆探知することとなる。再度の電話のあと、警察から電話があり、彼女に電話は家の中からであり、すぐさま外に出るように告げた。彼女は外に出て、警察と会うと、彼らは、電話は家の中から出、男は子供たちを殺した後電話してきたのだと説明した。

以上です。そして、これはアメリカで1950年に実際に起きた未解決事件が元になっているとのことでした。

ということですから、都市伝説の映画化という意味では最近みた「ブラッディ・マリー」と一緒で、ましてや、ベースが未解決事件であれば、犯人を特定できないのですね。あくまでも都市伝説ですから・・・。そして、この映画2006年に、ボブ・クラーク監督が今度はプロデューサーをつとめ、リメイクされてもいます。

「マンハッタン恋愛セラピー」 いい人だらけのアメリカラブコメ

GAYO!無料動画3連発の2つ目は、「スタッフおすすめ 掘り出し映画特集」から、「マンハッタン恋愛セラピー」。2006年アメリカの日本未公開映画です。ちょっと軽めのラブコメということで期待して見ました。直前に見た「闇の子供たち」がけっこう重かったので、今度は軽くという感じです。2006年の映画で、監督はスー・クレイマーです。

あらすじ
ニューヨークのフラットで一緒に暮らすグレイとサムはまるで親友のような兄妹。ある日、サムは公園で出会った動物学者チャーリーと電撃的な恋に落ち、出会いの翌日に結婚を決めてしまう。兄の突然の決心に戸惑を隠せないグレイ。しかし、ユーモアに溢れ、快活で魅力的なチャーリーをどんどん好きになっていく。ラスベガスでの結婚式の前夜、ホテルの部屋で、泥酔したグレイはチャーリーと“ある行為”におよんでしまう。その事をきっかけに、グレイは自分自身も知らなかった真実に気が付き、パニックに陥ってしまう…



あらすじを読んで予想していましたが、やはりそれですか…。ということでした。

冒頭からのニューヨークの情景やダンスが、いかにもアメリカらしくていい雰囲気です。それに、この兄妹は、親友というより理想の恋人同士みたいな感じで、終始楽しい感じです。

ストーリーは、導入の人間関係がちょっとごちゃごちゃしていて解りにくかったのですが、グレイとサムとチャーリーの物語になってからは、ぐっと解りやすくなり、さらにニューヨークの映画ということで、ウディ・アレン的な雰囲気も感じました。3人とも恋人としては理想的な人たちで、明るく楽しく、いい感じでした。というか、そんな人ばかりでている映画でした。

チャーリーも恋人として理想的です。何と言ってもランジェリーに凝っているところが最高。そういう人は大好きで、なんか付き合っても魅力を感じます。ラスベガスの結婚式は、これまた楽しい。こういうのあるんですね。もう一回できるのであれば体験してみたくなります…。

セラピストも、毎回場所を変えてスポーツしながらやっているのですね。なかなか面白い趣向だと思います。

それで、途中から出てくるスコットランド人のタクシードライバーがとてもいい人というか、いい人すぎるぐらいいい奴でした。むしろグレイとくっついて欲しいというくらい応援したくなるのですが、そうはいかないんですね。2人でビルの屋上から眺めるマンハッタンの夜景は、素晴らしいシーンだと思います。

マンハッタン恋愛セラピー

この映画、結局は同性愛(あ、ネタバレしてしまった)がテーマになりますが、そこだけが重い部分です。同性愛のテーマも最近ずいぶん一般的になってきましたが、当時は今よりも少し抵抗があったのではないでしょうか?超有名な俳優が出ている訳ではないし、ラブコメなので、日本で公開されないのは解りますが、そのあたりも未公開の理由の一つかなと思いました。私も、まだ同性愛には若干抵抗があります、というか、少し色眼鏡で見てしまいます。

主演のヘザー・グラハムさんは、「ハングオーバー」で見たことがありますが、確か男が泥酔している間に結婚式を挙げてしまった子持ちの奥さん役。とてもチャーミングでした。チャーリー役のブリジット・モイナハンさんは、美人タイプのすっきりしたできる女性という雰囲気でいい感じでした。

ということで、ストーリーはまずまず、明るく、細かなエピソードがとても面白い、ハートウォーミングでチャーミングな映画でした。

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「闇の子供たち」 節度をもった行動をしよう

GAYO!無料動画シリーズ。3つ続けて見たので、3連発の第一弾「闇の子供たち」。いかにも重そうな内容だったので、ちょっと見るのに気が引けたのですが、東南アジアに駐在している身でもあり、一度は見ておこうと…。きっと、この映画にコメントを書くのは気が重いだろうなぁと思いながら見始めました。

あらすじ
日本新聞社バンコク支局の記者、南部浩行(江口洋介)は、東京本社から、あるネタの調査を依頼される。それは近く日本人の子供がタイに渡り、臓器移植手術を受けるらしいとの情報だった。その頃、東京の大学で社会福祉を学んだ音羽恵子(宮崎あおい)は、アジアの子供たちのために何かをしたいという思いで、バンコクの社会福祉NGOを訪ねる。女性所長ナパポーン(プライマー・ラッチャタ)とスラム街の視察に同行した音羽は、貧民層の厳しい現実を目の当たりにし、アランヤーという少女の消息が分からなくなっていることを知る。さらに、取材のためにセンターを訪れた南部から、子供の臓器移植手術の情報を聞かされる。アランヤーは、客を介した本人からのメモによって、チェンライの売春宿に売り飛ばされていたことが発覚。マフィアが仕切るこの売春宿には、大勢の子供たちが劣悪な監禁部屋に閉じ込められていた。メモを受け取ったナパポーンと音羽は、売春宿の場所を探り当てるが、警察は証拠不十分として動こうとしない。マフィアの監視の目があるので、自力での救出も難しい状況であった。そんな中、東京に飛んだ南部と音羽は、臓器移植手術のネタを掴んだ記者、清水(豊原功補)と合流、梶川(佐藤浩市)という商社マンの自宅へ向かう。彼こそタイで手術を受けようとしている子供の父親であったが、取材は決裂。無力感に打ちのめされながらタイに戻った音羽は、売春宿から捨てられたゴミ袋の中に、病に冒されたアランヤーを発見、救出に成功した。一方、南部は、フリーカメラマンの与田(妻夫木聡)と協力して、臓器提供者の子供が病院に連れてこられる決定的瞬間を撮影しようと試みるが、マフィアに見つかり拳銃で脅される。子供たちを救おうともがき苦しむ南部は、人間の内に潜む真の闇と向き合うことになるのだった…。



長いあらすじで恐縮ですが、語られている内容が多いので。さらに少し捕捉します。コメントに繋がらないので、ネタバレまで書いてしまいます。ご注意ください。

アランヤーの物語は、あらすじ通り。都会のスラムから売られた女の子で、元々はNGOで読み書きを教えられていた子供です。病気(エイズ?)で弱ったため、ごみ袋に入れられて捨てられたところを助けられます。
一方で、臓器売買の犠牲となる女の子は、農村から買われた女の子。姉のヤイルーンは、アランヤーと同じようなにゴミ袋に入れて捨てられたあと、脱出して自力で故郷に帰り、そこで死を迎えます。妹のセンラーは、少し遅れて売られ、売春宿で働かされたあと、生きたまま日本人の子供の心臓移植の提供者となります。

南部たち、新聞記者側の態度は、この事件をスクープし、広く世間に知らしめ再発を防止しようというもの。最終的には正確な情報をつかみ、現場を写真に撮りますが、行為自体を阻止することはしません。その後、南部は、罪の意識にもさいなまれ、自分も過去に少年の児童買春を行ったことがあり、自殺します。

一方で、音羽はNGOとともに、最終的には身を挺してアランヤーを無事救出します。NGOや警察は、内部に内通者がマフィアと通じていたりします。NGOはその為、犠牲者を出すことになります。

以上が、だいたいのストーリーになります。

闇の子供たち

この映画、ドキュメンタリーなのか、フィクションなのか、どこまで事実に基づくものなのか、はっきりしないような語り方になっていますが、事実に基づいたメッセージ性のあるフィクションと捉えていいのかなと思います。児童買春と、人身売買に関する、「東京からわずか20センチ」のところにある事実です。

南部は新聞記者としてバンコクに駐在していますが、事実を得るために、情報屋に金を渡して取材していきます。普通のフィクションなら、彼が正義感をもって事件を阻止しようということになる役回りですが、この映画ではそうはなりません。センラーが病院に連れていかれるのを写真を撮るということで終わらせます。過去に傷があり、それに苛まれているのなら、最後の償いの意味も含めて病院に突入し、そこで戦死を遂げるのも良し、救出してヒーローになってそれから自殺するのも良しというお膳立てができますが、何もしないで自殺します。それが、社会の現実と矛盾を一番映し出す方法だというテーマで捉えれば、選択としてはありだと思います。一番虚しい捉え方です。

一つ思うのは、今の世の中では、実際にこの写真をスクープしたところで、見殺しにしたことを糾弾される可能性もあり、心臓を移植してもらった方も傷を負うことは間違いないと思うので、没になる可能性も高いでしょうから、実際は手術を阻止するための手段を裏でもっと考えるべきでしょう。スルーして写真を撮るだけというのは、姿勢としてはありえない、甘い判断だと思います。

南部と音羽が、心臓移植を受ける子供の母親と口論する場面がありますが、両方の主張が対立して喧嘩別れとなります。実際生きた子供から心臓移植を受けると聞いた時、どういう反応をしますか?貧困にあえぐタイ人は、牛や豚と一緒ですか?というようなことを考えさせられます。

音羽のとる行動は基本的に正しい。危険ですが、立派な行動をしています。感情的になるなと言われていますが、逆上はしていないと思います。

子供たちが受ける虐待の数々が、この映画では描かれています。
まずは、センラーの初めての客は日本人。彼は、スーツケースにセンラーを入れてお持ち帰りをして、少女の初めての男となる訳ですが、その様子をネットに逐一書き込んでいます。ある男の子は激しい行為のあと、お尻から血が流れ出て痛みに耐えている様子が映されています。男の子と女の子をセックスさせて見ているだけというドイツ人もいます。男の子と女の子を部屋に連れ込んだ夫婦は、子供に何か注射をしますが、量を間違え男の子は死んでしまいます。マフィアは口止め料として多額の現金を要求します。いろいろありますが、醜悪な情景を容赦なく伝えています。

その様な厳しい経験を経て大人になったタイ人。男はその売春宿のすべての実務を仕切っています。女はNGOで子供の救出の為に働いています。共通の考え方は、タイのことはタイ人に任せろです。それはある意味正しくて、内通者が警察にもNGOにもいるという現状を見ても、自分たちで何とかしないと最終的にどうしようもないことです。ただ、2人の言っている意味が全く違っているのも事実、タイで児童を買っているのも、日本人なり欧米人であるということも事実。経済がどうこう言っても、いわば自分を正当化するための言い訳に聞こえます。

最終的に、南部は深い暗黒に沈み、ヤイルーンとセンラーは天国で再会し、楽しく遊んでいるというエンディングですが、フィクションながら、ドキュメンタリー風に作られていて、実際事実としてあり得ることでしょうから、映画に対するよりも、社会に対するコメントにどうしてもなってしまいます。こういった映画は、政治利用でなく、人道的な観点で継続的に作られているべきもので、人間の社会において常に警鐘をならしておくべきだと思うだけです。そして、今、東南アジアに身を置く身としても、よその国にいさせてもらっているという気持ちの元で、襟を正して節度をもって恥ずかしくない行動をとる。ということと思います。

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「たった一人のあなたのために」 レニーの魅力が満開です

「しあわせ色のルビー」を見た後、もう少しレニーを見てみようと思ってヤフオクから買って来ました。ちょうど今、期間限定Tポイントの消化ということで、月に500円消費しないといけないという事情もあるのです。レンタル落ちですが、見るには十分。正規販売品に越したことはないのですが、それほどメディアにこだわるほうではないし、どんどん新しいマスタリングとか変わっていってしまうので、ソフトをコレクションすることについて、最近あまり意味がないのかな?と思たりしているところです。

あらすじ
1953年のニューヨーク。旅行に出かけていたアン・デヴロー(レ二ー・ゼルウィガー)が一日早く帰宅すると、夫でジャズマンのダン(ケヴィン・ベーコン)と若い娘の浮気現場に遭遇。それを見たアンは、即座に夫に別れを告げて息子であるジョージ(ローガン・ラーマン)とロビー(マーク・レンドール)を連れて新たな夫と生活の安定を探しに旅に出る。若かりし頃に持った数々の恋愛経験を武器に様々な男との出会いに成功するが、どの男も欠陥だらけ。米軍勤務のハーラン(クリス・ノース)は、息子との確執から粗暴な本性をあらわにさせるし、かつての恋人だった男は事業に失敗して無一文。しかもアンの持ち金まで持ち去ってしまう。その後、別の出会いを求めてセントルイスへ向かうも、姉のホープ(ロビン・ウィーガード)ら夫婦からは冷たくあしらわれ、まあまあなランクだった夫候補のビル(デヴィッド・ケックナー)も、実は女を口説くのに抵抗を感じない所帯持ちというオチで結婚話はパーに。結局、何もかも上手くいかず途方に暮れたアンたちは、夢の都ハリウッドを目指すのだが…。p>



レニーがニューヨークからロサンゼルスまで安定した家庭を求めて旅するロードムービーです。ふたりの息子を連れていくというところがポイントで、レニーが動くたびに学校を変わらないといけないので大変です。兄のジョージは、俳優志望で、地元劇団で練習をし、いざ主役となると引越しということが続きますが、この生活に大きな不満は持っていない模様。一方、弟のロビーはむしろ常識人で、母の身勝手な行動に耐えきれず、父と連絡を保ちながらいやいや付いていくという状況でした。

で会った男は以下の通り

米軍勤務の男
レニーの元恋人。話は進むが、ロビーとの地位(家族で誰がトップか?)という争いを起こし、暴力をふるう。
無一文の男
事業に失敗したばかりと知らず、レストランに行くが、金の無心をたのまれ、おまけに有り金を持ち逃げされてしまう。
金持ちの実業家?
デートを約束するが、若い恋人に見下され、おまけに男の、「あの年格好ではここに来れないよ」という発言を耳にし没。
バーにいた刑事
実業家の話を耳にし、自棄になってその場の金欲しさにバーにいた男に声をかけるが、売春容疑で即拘留。
寡黙な隣人
あまり生活力がなさそうだが、人の好さそうな隣人の若者。拘留された警察から引き受けに来てもらうが、居場所無く転居。
病気の店主
レニーの客扱い能力が優れているので、社員に採用され、結婚話に進むが、妻が現れ、誰にでもそういう話をし、精神科医から病気であることが認定されている。申し訳ないと詫びられ終了。
白タクの客
金が底をつき、途中で客を拾って車に乗せながら食つなぐが、ついに一人の客に、ホールドアップ+有り金を盗まれ無一文に逆戻り。

まぁ、こんな感じでハリウッドに到着。まずはバイト的な仕事を始めます。兄のジョージを俳優として売り込むことにまずは成功します。そこに元夫が現れ、ニューヨークに一緒に帰ることを提案されますが、もうやり直せないと断り、ロビーだけニューヨークに帰って、元の学校に復学することに。その後、元夫の急死の報を受けることとなります。ジョージは俳優としての第一歩を歩むべく、撮影に臨みますが、下手なのでスタッフが頭を抱えているところへ、やはり、母の元に戻りたいとロビーが現れ、ジョージの代役を務めて大抜擢。ジョージは俳優はあきらめ、スタッフとしてハリウッドで職を得ることになりました。そんな2人の子供を誇らしげに見守る母レニーは、もう男からの誘いものらず、幸せに過ごすのでした。

というお話です。めでたしめでたし、という感じで終わります。

たった一人のあなたのために

普通にいいお話でした。おとぎ話のような。実際にはそんなことありえないぞと思うのですが。

それで、レニーの魅力総集編みたいな感じで、とても気に入りましたよ。

まず、やること為すことうまくいかず、振られ続けるところが、「ブリジット・ジョーンズ」的です。いろんなことをやってくれます、そこで、売春婦容疑で拘留されるとか、レニーじゃないとあり得ないという感じです。
時代設定が、1950年代で、考え方とか、レニーの服装とかが、たまらなく「シカゴ」的です。レニーのメイクもシカゴを思い起こさせます。
店員として、話術で成功してしまうところは、「しあわせ色のルビー」で見たままです。

そんなこんなで、レニーの魅力満開。レニーファンとしては、なかなか楽しめました。この映画、ケヴィン・ベーコンも出ているので、いいと思うのですが、日本では残念ながら未公開。軽めのラブコメがあまり公開されないですね。おまけに、最近公開された、2作。キアヌ・リーヴスとの「砂上の法廷」も、「ブリジット・ジョーンズ」の3作目もパンフレット制作なしです。おいっ!!(怒)
アメコミ系のやつとか、大々的にやるのなら、このあたりも少しは取り上げてほしいものです…

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「続・荒野の1ドル銀貨」  マカロニウエスタンの詩情

朝日新聞出版で、「マカロニ・ウエスタン傑作映画DVDコレクション」というのがあって、創刊当初いくつか買ったのですが、鑑賞済みの映画も多く、何号目かでやめてしまいました。いつもの通り見ずに積んであったのですが、この際見たことのないものを取り出してみようと、見た一本。「続・荒野の1ドル銀貨」ですが、「荒野の1ドル銀貨」とは、全く関係ありません。

あらすじ
南北戦争が終って荒野を馬に乗った一人の男が帰って来た。男はモンゴメリー・ブラウン(ジュリアーノ・ジェンマ)、またの名をリンゴという早射ちのガンマン。故郷ミンブレスに着いてみると、様子がすっかり変ってしまっていた。それというのも、砂金が発見されて以来、メキシコ人フエンテス一家が居据り、民を苦しめていたからだった。さらに、リンゴの最愛の妻ハリー(ロレーラ・デ・ルーカ )もパコの女になっているという噂であった。リンゴは変装し、花屋の手伝いとして町に住みつくと、ある朝、リンゴの死体が運ばれてきた。町の人たちはリンゴに託していた最後の望みを断たれたことを知り沈んだ。リンゴはかつての自分の邸宅に忍び込むと、そこへハリーが入ってきてリンゴと顔を見合わせた。だがリンゴはパコたちに捕えられ、拳銃を持つ手にナイフを突き刺され、右手は使いものにならなくなった。失意のリンゴのもとへ花を買うふりをしてハリーが忍び込み、町の状況を告げる。リンゴは左手で拳銃を射つ訓練を始める一方、町の人々の協力を得ることに成功し、フエンテス一家のパコとハリーの結婚式当日、左手に銃を持ったリンゴがフエンテス一家の前に立ちふさがった。



あらすじは、非常に単純明快ですので、上に書いてある通りです。その単純なあらすじの物語は、非常にスローテンポで進みます。しかし、緊張感が持続し飽きることはありません。密度が高く集中できます。いったい、これは何でしょうと思うのですが、演出とエンニオ・モリコーネの音楽の力でしょうか。全編に流れる雄弁で芳醇なモリコーネの音楽。マカロニウエスタンの常套ともいえる画面いっぱいの表情の撮影。やはり感想としては、この映画はマカロニウエスタンの魅力に溢れているなと言わざるを得ません。

アメリカの西部劇が詩情豊かなという表現をされますが、この映画「マカロニウエスタンの詩情」に溢れていると言えるのではないでしょうか。アメリカ風の詩情でなく、イタリア風の詩情です。スタンドグラスの色付きの窓の向こうを、ジュリアーノ・ジェンマがゆっくり通り過ぎる場面。いかにも、イタリア映画風の情景だと思います。

続・荒野の1ドル銀貨

原題は、リンゴの帰還。そのものずばりです。邦題は、同じジュリアーノ・ジェンマの「荒野の1ドル銀貨」にあやかったものでしょうが、1ドル銀貨といえば、最初に先住民から薬草を買う場面ででてきたのが、1ドル銀貨かな?と思ったくらい。意味はありません。

マドンナ役のロレーラ・デ・ルーカは、西部劇の舞台とはかけ離れたような、高貴な感じで、美しいです。いかにも美人タイプ。監督のドゥッチョ・テッサリの妻でもありました。そして、サロンの女を演じたNieves Navarroと、花屋役のManuel Muñizが、狂言回し的な役として、いい役を演技してくれています。

なんかの続編みたいな、無粋な邦題ではありますが、内容は、音楽、映像、演技と三拍子揃ったような、まとまりのいい映画だと思いました。やはり、マカロニウエスタンに興味が尽きません。

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「地獄の女囚コマンド」 B級アクションは邦題の勝利か?

あてもなく、GYAO!を眺めていて、なんとなく目についた「地獄の女囚コマンド」。はて、どこかで聞いたようなタイトルです。一生懸命映画をみる気分でもなく、なんとなく見てしまいました。いかにもB級というネーミングですが、1990年のアメリカ映画。この時期のB級映画が気軽に見られるのも貴重なのでつい…。この映画ちゃんと日本で劇場公開されているのですね。今ならきっとDVDスルー?

あらすじ
いわくあり気な商人ウィラード・トーマス(ジョージ・ケネディ)は、元コマンドのフランク・ライアン(ブライアン・トンプソン)に、中東の独裁者に捕らえられている革命勢力のリーダー、ラリスを救出せよという仕事を依頼した。計画は、独裁者マイケル・バルスト(オリバー・リード)の有名人好きを利用して、ライアンが著名デザイナーとなり、女性コマンドをファッション・モデルとして入国させるというもの。集められた女コマンド六人とライアンは思惑通り、バルストのお気に入りとなり、地元の連絡員ともコンタクトを取って計画を進めていった。要塞跡に到着すと、ヘリの襲撃を受ける。依頼人のトーマスが裏切ったのだ…。



ライアンがトーマスから依頼を受けるところから始まり、トーマスに選抜された女性6人の訓練を始めます。女性は、服役中の女囚も含まれますが、そうでない人もいるので、あくまでもすべてが女囚コマンドではありません。訓練は、コマンドの訓練と、ファッションモデルの訓練を同時に映していくかたちで、両極端の面白さ。ちょっとこのあたり、気が利いています。

無事、独裁者の国に潜入し、独裁者バルストの歓迎を受けることになりますが、ここでバルストの愛人がコマンドに加入。と言っても、モデルの一員に加えてと懇願されての加入。実は、彼女は味方の連絡員の一人でした。先に潜入していた彼女に、他の連絡員も加わりますが、女性は7人。7人の部隊というのは、いろいろな映画で使われているパターンです。ただし、この映画の場合は他にも男性がいるので、総勢7人という訳ではありませんが。

連絡員のアナの情報で、目標のラリスの行動を察知、バルストにも取り入り、要塞跡へと潜入しますが、そこでトーマスが決行の連絡を受けてとった行動は、ライアンの正体をバルストにばらすことでした。ラリスを奪還し、守備隊とコマンド部隊の戦闘が続く中、バルストはヘリに乗って現れますが、コマンド部隊はヘリを奪取。要塞から舞い上がると、地上に残されたバルストを、ライアンたちと一緒に蜂起した革命軍が取り囲みます。そしてライアンはアメリカに戻り、裏切ったトーマスに銃口を向ける…

というお話でした。

地獄の女囚コマンド

サスペンス・アクションではありますが、緩いです。手に汗を握りません。アクションシーンも、敵が妙にもたもたしていて、真に迫らない。ダイナマイトや手榴弾で吹っ飛ばされるシーンなんかもいっぱい作っていますが、爆発地点から少しずれたところで、「うわーっ!!」と叫びながら転がり、倒されていくという緩いアクションです。いいんです別に、リアルな戦闘が売りな映画じゃないから。2人並んで狙撃されるシーンなんかは、倒された一人をちらっとみて「うわーっ!!」と言いながら自分も倒れる。精鋭の守備隊なのに、弱い。というか緩いです。

まぁ、戦闘シーンはいいとして、売りは美女軍団のコマンドですね。やはり、見せ場は美女軍団。プールサイドやファッションショーで頑張ってくれる。静かな女同士のバトルあり。裏切りあり、ライアンとの絡みあり。IMDbで調べてみると、出演した7人の女優のうち、今でも頑張っているのは、Barbara Niven 、Jordana Capraの二人。この映画以降出演作がない女優が3人。それほど一流どころを集めたわけではないようです。

この映画がアメリカ映画らしいところを主張しているのは、やはりジョージ・ケネディが出ているところでしょうか。全編にわたって出ている訳ではありませんが、存在感があります。西部劇や角川映画にも出演し、幅広い活躍のジョージ・ケネディですが、やはり私は、エアポートシリーズが一番印象深い。

ストーリー的にはそつなくまとまっており、ギリシャロケ(監督もギリシャ人)はなかなか美しいので、B級感を漂わせ気軽に見られる映画でした。テレビの午後のロードショーにピッタリのような…

もう一つ、この映画のトリビアネタを。IMDbで見た限りでは、製作国の本家アメリカでは、ビデオプレミアなんですね。それより早く、韓国で劇場公開、そして日本で劇場公開、こういう売り込み方はどうなんでしょう。原題は、「Hired to Kill」で極めて平凡。これを直訳したところで、誰も気に留めなかったのでは。この映画、内容のわりにHDマスターでDVD化され、ブルーレイにもなっているところを見ると、「地獄の女囚コマンド」という邦題で手に取る紳士が多いと思われます。まさに邦題の勝利。

いやいや、こういう映画をみるとなんだか、トリビア的に調べてみたくなりました。

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「かぐらめ」 熟年パワーの大活躍か…

成田からホーチミンへの飛行機は、今回はベトナム航空に搭乗。最近ベトナム航空にも最新型のB787が配置され、朝の便は機内エンターティンメントが楽しめるようになりました。日本語で見られる映画はそれほど多くはないのですが、今回は日本映画が一本入っていて、まだ見たことがないので、さっそく鑑賞です。でも、なぜこの映画が1本だけ入っているのかは謎であります。

あらすじ
小学生の時に母・百合子(筒井真理子)を亡くした菊地秋音(武田梨奈)は、母が亡くなる日、父・恭次郎(大杉漣)が母を看とらず「獅子神楽」を舞っていたことを忘れられずにいた。それ以降、秋音と父の間には深い溝が生じ、高校卒業と同時に秋音は故郷の山梨を離れるが、東京での生活は行き詰まるばかりであった。一方、恭次郎も妻の死による悲しみから抜け出せないでいた。ある日、秋音は百合子の13回忌に5年ぶりに実家に戻ってくる。だがそこには恭次郎の見合い相手で、どこか百合子に似た斉藤陽子(筒井真理子)がいた。そんな中、60年に一度の大例祭で恭次郎が妻の死以来絶っていた神楽獅子を披露することになるが…。



さて、率直な感想ですが、この映画随所に涙腺の緩むような感動的な場面はあるのですが、ストーリー全体に妙に納得がいかない部分が多いような気がします。やはり、一番気になるのが、武田梨奈が固い。頑なすぎる。そういう役かもしれませんが、ここまで頑なだと、ちょっと現実的でないというか、これまで母の死後、小学生の時代から13年間たって、こうまで事情を理解せずこういう行動をとるのが、信じられないのです。

また、継母となる可能性のある、筒井真理子との関係も、会話をしてみたり、拒んでみたり、関係性が不安定でスムーズに入ってきませんj。妙な違和感を残したまま進んでいくので、美しい話がちょっとそがれた格好です、脚本や演出や武田梨奈の演技含めてマイナス面が重なったような気がしてなりません。

かぐらめ

一方で筒井真理子は、一人二役ですが、自然な感じで良かったと思います。手紙を破こうとしたのは、葛藤の表現ということですが、少々演出にやりすぎ感あり、もっとうまく表現できたのではないかと思いましたが、後妻に入る身として揺れる心がよく演じられていました。「淵に立つ」は残念ながら見ていませんが、「ANTIPORNO」はさすがという演技で、これからもう一段の飛躍が期待できそうです。

あと、ちょっとした違和感があったのは、武田梨奈が神楽を舞い終えて、それを讃える村人たちの中から、筒井真理子がすっと去っていったところ。これは何を現したかったんでしょうか?妙に思わせぶりな、ちょっといやらしい表現に見えました。

さて、とはいっても、いろいろな場面で、涙腺を緩まさせられたのも事実。飛行機の中で配られるナプキンを後生大事に手にもって見ていましたよ。母の死の場面で神楽を舞いに行くところなど、感動的でした。そういういいところも、いろいろとありました。

朝加真由美 なんかも、武田梨奈を見守るいい役でした。人は皆に見守られて育てられていくんだね。ということが、彼女の存在で良く出ていたように思います。シーンは多くないですが、彼女のおかげで安心感が出て、ぐっと締まったような気がします。

そうこうしてみると、熟女2人と大杉漣が頑張って、武田梨奈に檄を飛ばすような映画。そんな感じですかね…

がんばれー!

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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