
「モンスター・パニック 怪奇作戦」 モンスター総出演!

原題:Los monstruos del terror (1970)
あらすじ
氷河期に突入し絶滅の危機を迎えるウモ星人は、種族の生存を求めて地球侵略を計画。ワーノフ博士(マイケル・レニー)を送り込み、死亡した地球人のマレヴァ(カリン・ドール)とキリアン(アンヘル・デル・ポゾ)を蘇らせて助手とし、地球に向かいました。まず遊園地の吸血鬼の見世物小屋で、小屋の主人を刺殺すると、吸血鬼の骸骨を盗み出し、受付の美女イローナ(Gela Geisler)を連れ帰ります。修道院の地下に研究室を作った博士は、イローナを洗脳して仲間に加え、吸血鬼(マヌエル・ド・ブラ)をも蘇らせました。次に博士は狼男のデニンスキー(ポール・ナッシー)の墓を暴いて盗み出し、体内から銀の弾を取り除いて蘇らせます。ワーノフ博士の計画は、モンスター事典に載っているモンスターたちを蘇生して、地球人を襲わせて植民地化しようというものでした。
捜査を担当するヘンリー(クレイグ・ヒル)は、図書館でモンスター事典を見つけますが、先客がいたようです。デニンスキーは外に出ると狼男に変貌し、車の中のイルザ(パティ・シェパード)を襲いますが、イルザは車を発進させて難を逃れます。イルザに会ったヘンリーは、学校の先輩後輩であったことが判り意気投合、イルザから父(Peter Damon)がデニンスキーを詳しく知っていると聞き、父は死んだ妻がデニンスキーと付き合っていたと話します。そして、デニンスキーの墓を見に行きましたが、中は空でした。ワーノフ博士さらにミイラ男(Gene Reyes)、フランケンシュタインの怪物(フェルディナンド・ムロロ)も蘇らせます。そして、デニンスキーとイローナは愛し合い、デニンスキーは自分が満月の夜に狼男に変身するので、銀の弾で殺してくれと頼み、イローナは一緒に死ぬと言います。また、マレヴァとキリアンも愛し合い始め、ワーノフ博士はフランクにキリアンを殺させます。
ヘンリーとイルザは、ワーノフ博士が怪しいと睨んで修道院に乗り込みますが、博士はヘンリーを捕えてイルザを拉致。デニンスキーがヘンリーの鎖を解き、イルザの場所を教え、ヘンリーは吸血鬼を殺してイルザを解放します。その頃事態を悟った警察が修道院を包囲しました。ヘンリーは、ミイラ人間にてこずっていると、デニンスキがミイラ男を焼き殺し、さらに、デニンスキーはフランクも感電死させ、約束通りイローナに銀の弾で撃たれると同時にイローナを刺殺しました。博士とマレヴァは火が燃え広がり、逃げ出せなくなります。博士はウモ星に連絡し、感情と言うものを持つ地球人はコントロールできす、計画は失敗だったと報告。マレヴァだけは殺さないでくれと頼みますが、マレヴァはすでに地球人としては死んでいると言われ、消え去りました。そして、研究室は爆発し、取り囲んだ警察隊と共に、ヘンリーとイルザが燃える修道院を見つめているのでした。

ドラキュラ・狼男・フランケンシュタインの怪物・ミイラ男が登場するという、古典的モンスター総出演と言う企画の作品です。盛りだくさんで予算が無くなってしまい、ゴーレムとか、エイリアンの宇宙船とかカットされたらしいです。この映画は見ていて、話がものすごく飛んでいくような気がします。繋がりが悪くてわかりにくいということで、なかなか素直に物語に入り込めませんでした。慣れれば、すんなり受け入れられるかもしれませんが、例えば、急に飛行機が飛んでる映像が出て、ピラミッドにいるなど、途中が一切省かれている上に、当時のメイクは今では顔が判別しづらかったり、登場人物の特徴がうまく描けてなかったりもあって、少々混乱しました。あと、善悪入り乱れ、警察側の印象も弱く、いったい誰が主人公なの?という感情移入の難しさもあります。
この映画は、ナッシーの狼男シリーズの一つにも数えられているようです。前後をみたことはありませんが、狼男という視点で見れば、続編という形もとっているらしい。出演する俳優は、そこそこ豪華で、マイケル・レニーは、亡くなる前の最後の数本の中の一本。その他では、ボンドガールのカリン・ドールなども出演。意外とキャスティングは凝っていると思います。その中で、ナッシーの相手役のGela Geislerがちょっと気になりました。ブロンドが綺麗で、まさにピンナップ・ガールの雰囲気でした。また映像は、遊園地など70年代の雰囲気を感じさせて、面白かったと思います。
ラストでは、修道院の地下で人間、怪物、エイリアン入り乱れて格闘が展開されます。最初の設定部分、怪物の蘇生、ラストへの伏線、怪物総出演の激闘と、ストーリー展開自体を辿ると王道です。その中で、狼男を見せ場の中心に持ってくるところは、ナッシー脚本だというところでしょう。もう少し描き込んでエピソードをうまくつなげてくれると、もっと楽しめたかなと思います。Amazonで見る映像は、レストアされたもののようで、クリアにいろいろな怪物を楽しめました。当時よりいい映像で見ている気さえします。この映画、大市場のアメリカでは残念ながらテレビプレミアとなったようです。残念でしたが、仕方がないかな…。
2021.1.9 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞