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「モンスター・パニック 怪奇作戦」 モンスター総出演!

70年代のヨーロッパホラー映画。スペインの狼男、ポール・ナッシーの出ている作品があったので、さっそく見てみました。この映画、ポール・ナッシーの脚本によるもので、本人も狼男で出ていますが、主役ではありません。監督は、トゥリオ・デミケリほかで、1970年の映画です。製作国は、スペイン・西ドイツ・イタリア合作になります。
原題:Los monstruos del terror (1970)

あらすじ
氷河期に突入し絶滅の危機を迎えるウモ星人は、種族の生存を求めて地球侵略を計画。ワーノフ博士(マイケル・レニー)を送り込み、死亡した地球人のマレヴァ(カリン・ドール)とキリアン(アンヘル・デル・ポゾ)を蘇らせて助手とし、地球に向かいました。まず遊園地の吸血鬼の見世物小屋で、小屋の主人を刺殺すると、吸血鬼の骸骨を盗み出し、受付の美女イローナ(Gela Geisler)を連れ帰ります。修道院の地下に研究室を作った博士は、イローナを洗脳して仲間に加え、吸血鬼(マヌエル・ド・ブラ)をも蘇らせました。次に博士は狼男のデニンスキー(ポール・ナッシー)の墓を暴いて盗み出し、体内から銀の弾を取り除いて蘇らせます。ワーノフ博士の計画は、モンスター事典に載っているモンスターたちを蘇生して、地球人を襲わせて植民地化しようというものでした。

捜査を担当するヘンリー(クレイグ・ヒル)は、図書館でモンスター事典を見つけますが、先客がいたようです。デニンスキーは外に出ると狼男に変貌し、車の中のイルザ(パティ・シェパード)を襲いますが、イルザは車を発進させて難を逃れます。イルザに会ったヘンリーは、学校の先輩後輩であったことが判り意気投合、イルザから父(Peter Damon)がデニンスキーを詳しく知っていると聞き、父は死んだ妻がデニンスキーと付き合っていたと話します。そして、デニンスキーの墓を見に行きましたが、中は空でした。ワーノフ博士さらにミイラ男(Gene Reyes)、フランケンシュタインの怪物(フェルディナンド・ムロロ)も蘇らせます。そして、デニンスキーとイローナは愛し合い、デニンスキーは自分が満月の夜に狼男に変身するので、銀の弾で殺してくれと頼み、イローナは一緒に死ぬと言います。また、マレヴァとキリアンも愛し合い始め、ワーノフ博士はフランクにキリアンを殺させます。

ヘンリーとイルザは、ワーノフ博士が怪しいと睨んで修道院に乗り込みますが、博士はヘンリーを捕えてイルザを拉致。デニンスキーがヘンリーの鎖を解き、イルザの場所を教え、ヘンリーは吸血鬼を殺してイルザを解放します。その頃事態を悟った警察が修道院を包囲しました。ヘンリーは、ミイラ人間にてこずっていると、デニンスキがミイラ男を焼き殺し、さらに、デニンスキーはフランクも感電死させ、約束通りイローナに銀の弾で撃たれると同時にイローナを刺殺しました。博士とマレヴァは火が燃え広がり、逃げ出せなくなります。博士はウモ星に連絡し、感情と言うものを持つ地球人はコントロールできす、計画は失敗だったと報告。マレヴァだけは殺さないでくれと頼みますが、マレヴァはすでに地球人としては死んでいると言われ、消え去りました。そして、研究室は爆発し、取り囲んだ警察隊と共に、ヘンリーとイルザが燃える修道院を見つめているのでした。



モンスター・パニック 怪奇作戦

ドラキュラ・狼男・フランケンシュタインの怪物・ミイラ男が登場するという、古典的モンスター総出演と言う企画の作品です。盛りだくさんで予算が無くなってしまい、ゴーレムとか、エイリアンの宇宙船とかカットされたらしいです。この映画は見ていて、話がものすごく飛んでいくような気がします。繋がりが悪くてわかりにくいということで、なかなか素直に物語に入り込めませんでした。慣れれば、すんなり受け入れられるかもしれませんが、例えば、急に飛行機が飛んでる映像が出て、ピラミッドにいるなど、途中が一切省かれている上に、当時のメイクは今では顔が判別しづらかったり、登場人物の特徴がうまく描けてなかったりもあって、少々混乱しました。あと、善悪入り乱れ、警察側の印象も弱く、いったい誰が主人公なの?という感情移入の難しさもあります。

この映画は、ナッシーの狼男シリーズの一つにも数えられているようです。前後をみたことはありませんが、狼男という視点で見れば、続編という形もとっているらしい。出演する俳優は、そこそこ豪華で、マイケル・レニーは、亡くなる前の最後の数本の中の一本。その他では、ボンドガールのカリン・ドールなども出演。意外とキャスティングは凝っていると思います。その中で、ナッシーの相手役のGela Geislerがちょっと気になりました。ブロンドが綺麗で、まさにピンナップ・ガールの雰囲気でした。また映像は、遊園地など70年代の雰囲気を感じさせて、面白かったと思います。

ラストでは、修道院の地下で人間、怪物、エイリアン入り乱れて格闘が展開されます。最初の設定部分、怪物の蘇生、ラストへの伏線、怪物総出演の激闘と、ストーリー展開自体を辿ると王道です。その中で、狼男を見せ場の中心に持ってくるところは、ナッシー脚本だというところでしょう。もう少し描き込んでエピソードをうまくつなげてくれると、もっと楽しめたかなと思います。Amazonで見る映像は、レストアされたもののようで、クリアにいろいろな怪物を楽しめました。当時よりいい映像で見ている気さえします。この映画、大市場のアメリカでは残念ながらテレビプレミアとなったようです。残念でしたが、仕方がないかな…。

2021.1.9 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「ザ・ゾンビ 黒騎士のえじき」サービス満点スペインホラー

Amazonに面白そうな映画が出ていたので、さっそく見てみました。70年代のスペインのB級ホラーのようでちょっとワクワクしますね。1973年の映画で、監督はカルロス・アウレド。スペインのホラー映画に数多く出演したとされるポール・ナッシーの映画でもあります。
原題:El espanto surge de la tumba (1973)
英題:Horror Rises from the Tomb

あらすじ
15世紀のフランス、魔女狩りによって領主の黒騎士アレリク・ダルナク(ポール・ナッシー)とその妻の魔女マビル(ヘルガ・リーネ)は刑に処され、その際、アレリクは敵の子孫への復讐を宣言します。そして、復活を避ける為、アレリクは首と胴体を別の場所に埋められました。

時は変わって現代のパリ。画家のモーリス(ヴィク・ウィナー)と恋人のポーラ(Cristina Suriani)は、友人のヒューゴ(ポール・ナッシー二役)とその恋人シルビア(Betsabé Ruiz)たちと共に降霊会に参加し、降霊術を疑うヒューゴが、本物なら先祖のアレリクを呼ぶように注文したため、アレリクが出現。4人はその伝説の真偽を確かめるべく、ヒューゴの所有する屋敷へと向かいました。現在、領地は、管理人と、その娘二人、エルヴァイラ(エマ・コーエン)とシャンテル(María José Cantudo)が管理していました。さっそく4人は首の入った箱を掘り出しましたが、明日開封することにし、屋敷に戻ります。そして、夜の間にそれを宝物の箱と考えた泥棒が開封してしまい、魔力に操られた泥棒によって管理人は殺され、箱は胴体のある礼拝堂の地下に運ばれました。

さらに魔力に操られた泥棒によって、台所にいたシャンテルの心臓は奪われ、様子を見に来たポーラ、そして、モーリスやシルビアも次々と操られた友人たちによって、拉致されていきます。礼拝堂で蘇ったアレリクの首は、モーリスと泥棒によって胴体と合体し、さらにシルビアを生贄にしてマヴィルも復活しました。屋敷に残されたヒューゴとエルヴァイラは状況を悟ると、エルヴァイラが家に伝わる護符の「トールの小槌」の話を思い出し、井戸の底から手に入れます。しかし、操られたモーリスが帰ってきて、ヒューゴが殺され、さらにモーリスはエルヴァイラを襲いますが、護符によって守られ、モーリスは正気を取り戻しました。そして、書物の研究により、アレリクは魔よけで、マヴィルは更に銀の針を使えば倒せるという情報を探し当てました。

そこへ、操られたポーラが現れると、モーリスは魔よけを使って正気に戻そうとしますが、ポーラはその場で気を失ってしまいます。そして、アレリクとマヴィルが三人を襲い、マヴィルはポーラを殺しますが、エルヴァイラに銀の針で倒され、アレリクはモーリスと相打ちになり、モーリスは死に、虫の息のアレリクはエルヴァイラに護符でとどめを刺され燃え尽きました。そして一人残されたエルヴァイラは、護符を湖に投げ入れるのでした。



ザ・ゾンビ 黒騎士のえじき

冒頭は15世紀のフランスという設定で始まり、ゴシック感があって期待しました。しかし、あっさり現代に跳んでしまって残念。ただし、黒騎士と魔女が復活するので、それなりのゴシック感は維持されます。ストーリー展開は流石に強引で、いい加減なところもあり、少々スムーズさを欠いていますが、こういった作品なので大目に見ましょう。少なくともストーリーの骨格自体は、かなり変化に富んでいて楽しめるものでした。初めて見るのでよく解らないのですが、一連のポール・ナッシーのホラー作品の中では、かなり出来の良いものと言われているようです。

この作品、楽しませるという意味では、サービス満点だと思います。魔女の処刑、降霊会から始まり、怪しげな村人による処刑、魔女の復活、ストーリーに関係ないゾンビの一群の出現、スプラッタな心臓の摘出、最後の戦いと、実際ホラー要素はてんこ盛りなんですね。そして、これまたストーリーに関係ない三角関係的なラブシーン、また女性たちがお色気女優で固められているため、露出度も相当高く、いろんな楽しみがありました。そうしてみるとまさにB級映画の鏡のように思えなくもありません。そもそもこのヨーロッパの70年代の過激なB級感自体が見ものなのでした。

ポール・ナッシーは、スペインのこの分野の第一人者だったようで、また見る機会があるかもしれません。なかなか個性的な俳優さんだと思いました。女優さんでは、ヒロイン的な活躍をするエマ・コーエンさんはなかなか可愛らしいのですが、沢山映画に出ていますので、時折ヨーロッパの娯楽作品で見かけることがあると思います。あとは、魔女のヘルガ・リーネさんは、マカロニやホラーに多く出演しているのですが、アルモドバル監督の初期作品「セクシリア」に準主役級で出演していますね。バンデラスの映画初出演の作品でもあり、見てみたい映画です。こうしてみると、いろいろ広がりがあって面白いと思いました。

2021.1.1 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件」

長く過激で、猟奇的な邦題の映画。Amazonの会員特典にアップされたので見てみました。原題は、「神よ許したまえ」といった感じだと思います。2016年の映画で、監督はロドリゴ・ソロゴジェン。数々の映画賞を受賞した映画で、ゴヤ賞では、主演男優賞。サン・セバスティアン国際映画祭では作品賞、などなど。面白そうです。
原題:Que Dios nos perdone (2016)
英題:May God Save Us


あらすじ
刑事のハビエル・アルファロ(ロベルト・アラモ)は暴力的で、署内で問題視されていました。ある日、アパートで一人暮らしの高齢女性が殺害され、アルファロと組んで、現場で検証していた、吃音の刑事ルイス・ベラルデ(アントニオ・デ・ラ・トーレ)は、レイプの形跡を発見します。二人で捜査を始め、男が頻繁に出入りしていたことや、事件の前に被害者が恋していると語ったことなどが判りました。ベラルデは類似の事件をあたり始める中で、二人は別の殺人事件の現場に急行。またも高齢女性で、ベラルデは先日の事件と同一犯と睨みます。ローマ法王の来訪があり、事件は隠蔽されますが、二人は極秘捜査を継続します。分析では、犯人像は年上女性に対するコンプレックスと、被害者以外の弱者には思いやりがある傾向となりました。また、被害者の姪によると、被害者は信心深く教会に通っていたことが判り、二人は被害者とミサに参加していた人々の証言から、被害者には恋人と称する者がいたことなどが判ります。

ある時、ベラルデは野良猫に餌を与えている不審な若い男を見かけます。二人は男が入ったアパートに踏み込むと、男はベラルデを突き飛ばして逃走しました。ところが、アルファロは警察への苦情が殺到したことから、解雇されてしまいます。そんな時、またしても同様の事件が発生。ベラルデは取り逃がした容疑者の弟と接触し、容疑者はドラッグ問題を抱えていることや、母とは仲が悪かったことを聞き出します。ベラルデは改めて犯人像を洗い直し、犯人は30~35歳代の白人、中肉中背の黒髪で容姿に気を使う、母に対して強いトラウマがあり、短期で残虐。日常は穏やかな紳士的で、老女と親密になると豹変する。老女を母に見立てて殺してきたが、実の母には手を出さないと分析しました。そして、その特徴に完全に一致する男、アンドレス・ボスケ(ハビエル・ペレイラ)は、この日もひとりの老女に優しく接触、アパートに送ったところで豹変して老女を嬲り殺したのでした。

ベラルデは、アルファロの協力を得て二人での捜査を再開しますが、現場に訪れたアルファロは、そこに現れたアンドレスに殺されてしまいます。ベラルデは、アルファロの家族から、彼が現場で見つけたペンダントを受け取りました。ペンダントは聖体拝領を示すもので、ペンダントの日付から、この日に聖体拝領を受けたのはアンドレスであることを突き止めます。ベラルデは警官隊とアンドレスの家に突入しますが、そこにはアンドレスに殺害された母の死体がありました。それから3年後。アンドレスの居場所を突き止めたベラルデは単身で彼の元に向かい、アンドレスの車に乗り込むと、ベラルデはアンドレスを何度も殴りつけ、二度と人殺しをしないことを誓わせます。そして、ベラルデはぐったりしているアンドレスを車の荷台に乗せると、一人物思い耽るのでした。



ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件

ミステリーとして、基本ストーリーの中に挿入される様々なエピソードが大変面白くて、殺人も猟奇的で、良くできていると思いました。そして、登場する刑事も職務に忠実な二人ですが、吃音とか、切れやすいとかのハンデを抱え、私生活でも悩みが多い設定も面白いと思います。二人のプライベート面にも焦点が当てられ、ベラルテは捜査中に女性ロサリオ(マリア・バリェステロス)と知り合ったり、アルファロは殉職する直前、家庭内の長らく続いた不和を無事解決していたりと、いろいろと盛りだくさんな要素を織り込んだ、久しぶりの本格的なミステリーを楽しんだという感覚が残りました。

犯人の異常性もよく出ていたと思います。その中で親子の関係や、幼少期のトラウマといったものが語られます。これは現実的に、犯罪の遠因としてよく取りざたされる問題で、この中では詳しく語られないので、ピンとこない面もありますが、納得感はありました。捜査は、警察としてのものから、プライベートな捜査へと移行していきます。そして、いろいろ諍いを起こしながらも、刑事仲間が彼らを味方していきます。警察としての捜査をやめた理由が、ローマ法王の来訪があるため、猟奇的事件の発生を隠蔽したいというもので、これは文化の違いなのか、ちょっとピンときませんでした。

この警察組織は、決して規律がとれた立派なものではなく、犯人に倒されてしまうアルファロは、その犠牲者とも言えるかもしれません。捜査は組織より、個人の力に委ねられている感じです。ストーリーはアルファロが命を落としてまで追い詰めた犯人を、相方のベラルテが3年後に探し当てて落とし前をつけるという、きっちりとした展開にもなっています。そのような、個人、家庭、組織、社会と背景に様々なものを描いた、盛りだくさんのテーマが織り込まれ、最後まで飽きないミステリー。欲を言えば、全体的にぼかしたような感じになっているので、白黒つけてまとまっているという感じではありませんが、現実はファジーなものだと言われれば、より、リアルではあるかもしれません。そこはヨーロッパ映画らしい感じでした。

2020.1.20 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「リムジン」 出演者ほぼ一人によるリムジン監禁サスペンス

Amazon Prime の特典期間終了予定作品に、面白そうなものがあったので、見てみました。ちょっとした監禁物のようですが、なにより上映時間が75分と短いので、お手軽なのです。2016年の映画で、アリッツ・ズビリャガという監督のスペイン映画。ホラー関連の映画祭にいろいろ出品された作品みたいです。2016年のシッチェス映画祭でも上映されています。
原題:El ataúd de cristal (ガラスの棺)

あらすじ
女優のアマンダ(パオラ・ボンテンピ)は、授賞式に出席するため、リムジンに乗り込み自宅を出発しました。ところが、途中で電話が通じなくなり、到着するはずの時間になっても、目的地に着きません。そして、社内のスピーカーから、男の声でヌードシーンを演じるよう命令されました。アマンダは拒絶しますが、車が止まっていきなり覆面の運転手が現れ、警棒で殴打されてしまいました。男は戻っていくと、スピーカーの声はさらにヌードの演技を強要し、アマンダは仕方なく従い始めます。脅迫者は、さらにこういうことになった理由を、自分で考えてみろと言っているうちに、実は女性であることが判りました。

女との会話の中で、彼女は、アマンダが主演を獲得し、出世作となった映画の、最初に内定していた女優だとわかりました。その後彼女は、その映画のパロディ版のポルノに出演。レイプまでされ、あとは落ちる一方だったとの事。彼女はアマンダが役を盗んだとして、その復讐をしていたのです。当時アマンダは人違いで抜擢され、役作りに励んでいた女優の存在にもかかわらず、知らぬふりをして、見事盗み取ったのでした。再び運転手が侵入し、アマンダをレイプしようとしますが、アマンダは割れた瓶で運転手を撃退し、運転手からリモコンを奪って、窓から外に出ると、そこは沼の畔でした。

そこにいた女は、ハンドガンでアマンダを撃ち、再びアマンダをリムジン内に手錠をはめて拘束します。女もその反対側に座っていました。床には水があふれ、徐々にリムジンが沼に沈んでいるようです。手錠のキーを持つ女が、最後に言い残す言葉を求めると、アマンダは、解放してくれれば、あなたを助けると言いますが、女は余命半年だと言い、聞き入れません。水位が上がってきた時、ついにアマンダは、役を盗んで以来、ずっと偽りの日々を過ごしてきたことを告白し、謝罪しながらも、それでも生き続けたいと懇願します。女はアマンダの手錠を外し、アマンダはなんとか窓から脱出しますが、女は密かに笑っていたのでした。岸にたどり着いたアマンダは呆然と森の中へと歩いていきました。



リムジン

スタート早々にリムジンに監禁され、最後までほぼリムジン内で展開するお話でした。出演者も、アマンダ以外に2名。従って、主演のパオラ・ボンテンピさんの、女優が女優を演じる一人芝居を見続けることになる訳です。さすがに、本業を演じる訳ですから、板についています。ずっと車での移動中という場面ですが、すべて車の中から写され、外の風景は夜のぼやけた景色が動くだけ。揺れも全くないので、一人芝居を楽しむには、却っていい感じかと思います。動きはエンジン音で表される感じでしょうか。映像も美しく、面白いシチュエーションでした。

途中で運転手が乱入してきたり、ビンでケガをしたりしますが、それほどヴァイオレンス的な激しさは感じませんでした。その割に体に出来る痣が大きくて、ちょっと不自然に感じました。かなりボロボロになっています。最後の沼地の脱出劇は、画面が今ひとつはっきりしませんでしたが、光の届かない世界で仕方がないとは思うのですが、もう少し解りやすいと良かったと思いました。最後の脅迫する女の不敵な笑みは何を表しているのでしょう。アマンダの反省を受け入れたということでしょうか。あるいは、反省を表明しても、心の底は見切っているよ、という笑いでしょうか。

シチュエーションの設定が面白く、映像のきれいな映画でした。最後の笑みについては、抵抗姿勢を崩さないアマンダが、最後に罪を告白し、それでも生きたいと吐露したことから、女は相手を解放しましたが、いままで影の存在でしかなかった彼女が、最後の瞬間でも、優位に立つことができたという、勝利の笑みと解釈しておきます。

2020.4.12 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「誰もがそれを知っている」 登場人物の整理に苦労しました

イランのアスガル・ファルハディ監督によるスペイン映画です。2018年の映画で、カンヌのコンペティションでプレミア上映されました。ファルハーディー監督の映画、最近ではセールスマンを見たのですが、人間模様の描写が素晴らしく、今回も期待しての鑑賞です。

あらすじ
ラウラ(ペネロペ・クルス)は、娘のイレーネ(カルラ・カンプラ)と、幼い息子ディエゴ(イヴァン・チャベロ)を連れて、妹アナ(インマ・クエスタ)の結婚式のため、アルゼンチンから故郷のスペインにやってきました。ラウラは、父アントニオ(ラモン・バレア)や、ホテルを営む姉のマリアナ(エルビラ・ミンゲス)とその夫フェルナンド(エドゥアルド・フェルナンデス)、その娘ロシオ(サラ・サラモ)たちと、再開を喜びます。結婚式にはラウラの幼馴染で元恋人のワイナリー経営者パコ(ハビエル・バルデム)と、その妻ベア(バルバラ・レニー)も参加し、ベアの勤める更生施設の少年たちが撮影係を務めました。しかし、結婚式の後のパーティーで、イレーネが停電の中、姿を消していまします。

翌日、ラウラのもとに誘拐犯から脅迫メールが届きました。ラウラたちは、フェルナンドの知人で元警官のホルヘ(ホセ・アンヘル・エヒド)に相談すると、ホルヘは身近な人物の仕業ではないかと推測します。やがて誘拐犯から身代金を要求するメールが届き、ラウラの夫アレハンドロ(リカルド・ダリン)も駆け付けてきました。しかし、今は到底払える金額ではありませんでした。その頃、パコは農場を売ろうと考えていました。ラウラはイレーネの実の父はパコだったと告白し、農場を売るように頼みます。パコは売る決意を固めますが、ベアはラウラに騙されていると反対。誘拐も土地目当ての狂言ではないかと疑い始めました。ベアはラウラを訪ね、金が欲しくて嘘をついているなら、アレハンドロにこのことを話すと迫りますが、ラウラは夫はこのことを知っていると答えます。

ホルヘは、なぜ幼いディエゴでなくイレーネなのかを疑問に思い、パコの存在から内部事情に詳しい者の犯行と断定します。イレーネの父の件は、実は誰もが知っていたのです。パコは、ベアの反対を押し切って農場を売ってしまいます。夜になって、ロシオは密かに、森の廃墟へと向かっていました。そこには、ドイツに仕事を探しに出たはずのロシオの夫ガブリエル(パコ・パスター・ゴメス)の姿がありました。ロシオ夫婦が、誘拐犯だったのです。ガブリエルはロシオの頼みで、イレーネを翌朝に開放することに決め、ロシオは自宅に戻ります。しかし、マリアナはロシオの靴に泥がついているのに気づいてしまいます。翌朝、イレーネから電話を受けたパコは、金を持って指定された場所に向かい、交換にイレーネを連れ戻しました。ラウラはイレーネを抱きしめ、アレハンドロはパコに必ず金は返すと約束します。しかし、パコの家にはもうベアの姿はありませんでした。ラウラ一家はアルゼンチンへと戻っていき、フェルナンドは一家を見送ります。そして、居合わせたマリアナは、フェルナンドに真相を語り始めるのでした。



誰もがそれを知っている

最初は、なかなか物語に入っていけませんでした。登場人物がいっぱい出てきて、それも親類関係が複雑で、日本人にとってみれば、誰も髭を生やし、顔が似ている気がして、なかなか関係性や性格、役割が入ってきません。正直言ってこの手の一気にたくさんの登場人物が展開していくスタートは苦手です。そして、物語が展開して、犯人が解ってと続きますが、あれ、この人誰だっけ…という風になりました。順を追ってしっかり考えてみると、ああそうか、ということなのですが、頭がフル回転してしまいました。たぶん映画館で見ていると、もっとこの世界に集中できるので、そうはならないのでしょう。映画館で見るべき映画でした。

しかし、見終わってみればなかなか面白かったことは間違いありません。イレーネが誘拐されてから話は急展開していきますが、次々と微妙に変わっていく人間関係や過去の暴露話が噴出し、ついになかなか言えない告白まで。それが、静かな展開の中で突き刺すように語られていきます。このあたりは、ファルハディ監督の得意とするところと思います。ラウラの一族のおかげで、破壊されたてしまったのはパコの家族で、家庭も生活手段も破壊されてしまいました。そもそも血縁関係が無いこの家庭は今後どうなってしまうのでしょうか?

微妙なラストが決まっています。これもやがて誰もが知っている事実となって、ある時また亡霊のように表にでてくることでしょう。そのような、一族の中でのタブーと、疑心暗鬼になる心情を細かくとらえていて、大変よくできたストーリーになっていると思いました。テーストはセールスマンと同じで、家庭や人間関係の崩壊の瞬間を切り取っていく映画です。覆水盆に返らずという諺を、非情に映像化していくようなストーリーの中で、ペネロペ・クルスハビエル・バルデムの演技は良かったと思いました。この難しい心情の吐露を、いかにも自然に演じていて素晴らしいと思います。

2019.11.25 JL759 NARITA-HCMC にて機内鑑賞

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「その愛を走れ」スペインで大ヒットしたラブストーリー続編

Amazon Primeで見かけたので見始めたら、実は続編でしたというお話。それに、登場人物の性格や背景など、前作を引き継いで作られているので、ある部分は感情移入がしづらいところもありました。スペインの2012年の映画で、監督はフェルナンド・ゴンサレス・モリナです。

あらすじ
親友ポロ(アルバーロ・セルバンテス)の死と、初恋のバビ(マリア・バルベルデ)との別れの傷心を癒すため、ロンドンで2年間を過ごしたアチェ(マリオ・カサス)は、バルセロナへと戻ってきました。アチェはかつての愛車のバイクで町に出ると、ポロの恋人だったカティーナ(マリナ・サラス)と再会、彼女はその後変わってしまったバビのことを話します。そして、彼女と別れ、一人で去っていくアチェを、ジン(クララ・ラゴ)が追い始めました。アチェがガソリンスタンドの店に入ると、ジンはバイクに車をぶつけて倒し、出てきたジンと話し始め、2人はお互いに打ち解け始めました。

数日後、アチェとカティーナが出かけたクラブで、バビの妹がドラッグを使ってセックスしていました。翌朝バビは知らせを受け、彼女を連れて帰ると、妹はバビに、アチェが戻っていて、バビに迎えに来るように知らせたのも彼だと打ち明けます。その夜、アチェはジンとのデートで高台に行き、2人は恋に落ちます。ある日、アチェは、セピエンテ(アントニオ・ヴェラスケス)がポロのバイクに乗っているのを見て理由を尋ね、取り戻したかったら勝負しろと返されました。その頃、アチェはテレビ局で職を得て、ジンはダンサーとしてスタジオに来ていました。ある日急遽穴をあけた歌手の代役に、ジンが抜擢されたとき、アチェは用があると言って出てしまいます。カティーナの仲介で、バビが彼を呼んだのです。

アチェはバビに再会すると、バビはアチェを、昔二人で夢見ていた家のある場所に連れていき、ひと時を過ごします。一方、ジンは代役を終え、アチェを探し始めると、ショーの製作者たちがジンを地下の一室に招き入れ、ジンをレイプしようとします。アチェとバビは、関係をうまく終わらせ、アチェはテレビ局に戻り、ジンを探し始めると、ついにレイプ現場を発見。ジンを解放し、男たちを倒します。そして、ジンを追いかけるアチェですが、ジンはどこにいたのか尋ねると、すべてを悟って、無言で去っていきました。アチェは、興奮したまま、カティーナの静止を振り切り、ポロのバイクを取り戻すために、勝負に向かいます。ポロのバイクを得たアチェは、ポロとの思い出を終わらせるため、バイクを海に沈めたのでした。

一週間がたち、ジンの写真展を見に行ったアチェは、すべての写真の中に、アチェへの思い出が込められているのを発見します。アチェがロンドン滞在中も、ジンはアチェを見つめていたのです。アチェはジンに会いに行き、2人は再び幸せな恋人に戻ることができたのでした。



その愛を走れ

続編だと知らずに見てしまった…。というのが残念な所です。前作は「空の上3メートル」で、どうやら、アチェがロンドンに行くまでの、ポロの死や、バビとの愛と別れが描かれていると想像しております。という訳で、見ている最中は、どうにも消化不良なエピソードが多いなぁと思っていました。いろいろな細かな部分で、前作と結びついていて、この2作目で、いろいろなことがきれいに清算された、という形になっているようです。全体的に、フワフワした雲の上で起こっているような雰囲気のラブ・ストーリーだと感じました。青春と愛にプカプカと浮かんでいるような感覚で、むしろ懐かしさがこみ上げてきます。

ジンは、2作目だけの登場では無いかな?と推測してるわけですが、なかなか性格が面白いというか、弟と共にちょっと壊れています。でも、大変女の子っぽくて楽しい性格です。実際に付き合うと、なかなかついていけそうにないかな?とも思います。アチェだから、付き合っていけるのでしょう。長身、美男子かつ、身体能力があって、喧嘩も強く、カリスマ的という、これ以上何を求めますか?という男です。それでも思い悩み、過去を清算していきます。しかし、この存在自体が雲の上の人という感想でした。

そういう、夢物語のような愛とセックスにどっぷりつかっている時間を楽しむような映画です。残念ながら、2作目を先に見てしまったので、1作目もどこかで見ないといけないなと思っているところですが、ちょっと後日談を知っているだけに、ワクワク感が半減しますね。スペインで大ヒットしたらしく、何か、往年の懐かしい青春ドラマを感じさせる映画でした。

2020.4.17 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ジュリエッタ」 美しい映像と音楽に彩られた魅惑的な映画

スペインの名匠、ペドロ・アルモドバル監督の映画です。いままで、それほど印象が無かったのですが、この映画を見てかなり好印象に変わりました。何よりの映像が素晴らしい映画でした。2016年の映画で、ゴヤ賞でエマ・スアレスが主演女優賞を受賞のほか、英国アカデミー賞の外国語映画賞や、カンヌのパルムドールへのノミネート作品でもあります。

あらすじ
ジュリエッタ(エマ・スアレス)は、パートナーのロレンソ(ダリオ・グランディネッティ)とともに、ポルトガルへ移住を控えていた時、偶然、娘のアンティアの幼い時の親友ベア(ミチェレ・ジェネール)と遭遇します。ベアは12年前から消息が判らないアンティアと、イタリアのコモ湖で出会ったとの事。アンティアは3人の母親になっていると伝えました。また、アンティアが母の消息を気にしていたことを知り、ジュリエッタはマドリードに残ることにします。そして、かつてアンティアと暮らしたアパートに引っ越し、消息を待つことにしました。そして、ジュリエッタは、アンティアに話せなかった過去の出来事を、手紙に書き始めます。

ジュリエッタ(アドリアーナ・ウガルテ)が若い頃、列車でショアン(ダニエル・グラオ)と出会いました。その後、ショアンからの手紙で、彼の家を訪ねると、家政婦マリアン((ロッシ・デ・パルマ)が出迎え、ショアンはアバ(インマ・クエスタ)という女性と一緒にいると告げます。ジュリエッタはショアンの帰りを待ち、2人は久しぶりに夜を共にします。その後、アバとも出会い、親しくなりました。ジュリエッタは、やがて娘のアンティア(プリシージャ・デルガド)が産まれ、アンティアは9歳になると、ショアンとよく海に出るようになります。アンティアの夏休みのキャンプが始まる日、仕事を辞めるマリアンの言葉から、ジュリエッタはショアンとアバとの関係を疑い、ショアンと喧嘩。気まずくなったショアンは漁に出ていきます。そして、天候が大きく荒れ、ショアンは帰らぬ人となりました。

キャンプ中にアンティアとベア(サラ・ヒメネス)は仲良くなり、ジュリエッタとアンティアはベアの家の近くに引っ越します。しかし、ジュリエッタは鬱状態になってしまい、アンティアとベアが介護していました。病気を克服したジュリエッタは、自宅で出来る仕事を始め、残りの時間をアンティアと過ごしていましたが、アンティア(ブランカ・パレス)が大学の卒業を控えた頃、瞑想のためピレネー山脈に出かけ、3ケ月後に迎えに行ったジュリエッタは、団体の職員から、アンティアが転居したうえに、居場所を母に伝えるなと言いつけたと聞かされ、ジュリエッタは、娘のことを知らなすぎたと後悔するのでした。

ジュリエッタは孤独な日々を送り、ついに娘を思い出すものは全て処分し、転居しました。そして、入院中のアバを見舞った時、アバは、ショアンが亡くなる前に二人が口論したことを、アンティアに話したと打ち明けます。アバはふさぎ込むジュリエッタに彫刻家のロレンソを引き合わせ、人生をやり直させます。

そして、現在。アンティアへの想いを綴り終えたジュリエッタは、街で再びベアに遭遇しました。ベアは、アンティアが失踪する直前から様子がおかしく、その後も狂ったような連絡が来たこともあったと打ち明けます。何も知らなかったジュリエッタは茫然とし、赤信号で道に出て事故あってしまい、通りかかったロレンソに助けられました。入院のためにジュリエッタの荷物を取りに行ったロレンソは、アンティアからの手紙が届いているのを見つけます。アンティアはショアンと名付けた長男を亡くし、娘を失ったジュリエッタの気持ちを初めて知ったのです。

ジュリエッタはロレンソと共に、スイスのアンティアの手紙の住所を訪ねることにしました。不安そうなジュリエッタに、ロレンソは、封筒に住所を書いてきたんだから大丈夫、と励まします。2人の眼下には、美しい湖と山脈が広がっていました。



ジュリエッタ

映像や音楽の大変美しい映画でした。丁寧に計算され尽くしたような映像美と音楽は、圧倒的な美しさで見るものを取り込みながら、ストーリー展開のキーにもなっていきます。それぞれの瞬間が雄弁に語りかけてくる、素晴らしい映像だと思いました。代表的な場面としては、鬱状態で動けない母を浴槽から出して、髪の毛をタオルで覆うと主演女優が交替する場面。夫が口論の後で漁に出かけるときに、窓の外が嵐に変わり、海が微妙に盛り上がっていく場面、そして最後の瞬間に明るい音楽が流れる場面など。言葉で表す以上に雄弁です。

エマ・スアレスが素晴らしい演技です。いろんな表情を見せてくれますが、ペドロ・アルモドバル監督の表現にこたえて、一つ一つの場面で心情が滲み出るような演技をしていると思いました。年齢は私とほぼ同世代ですが、年齢不詳の美しさです。場面によっては若くも見え、老け込んでも見え、素晴らしい表現と思います。部屋の中で日記を書いている情景が、廊下の方からシルエットのように映し出される場面が非常に印象に残りました。細くて長い四肢をシルエットで見せる映像は魅惑的でした。

いままで、アルモドバル監督の映画は数本見ただけですが、この表現は音楽と映像をフルに使って、物語をより分かりやすく印象深く語らせるとこんなことができるという、素晴らしい出来栄えになっていると思います。久しぶりに美しいものを見た感じで、この感覚は映画館の空間の中でじっくり味わってみたいと思いました。また一つ好きな映画が増えました。エマ・スアレスも多くの出演作がある中で、日本公開が数少ないという恵まれない状況ですが、これから注視していきたいと思いました。

2020.3.1 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ペット 檻の中の乙女」 男の一途な愛の行きつく先は?

題名もポスターも監禁物を指し示しています。監禁物にはいろんな結末があるので、ストーリー展開が楽しみなのですが、この映画は、特に意外な展開が特徴という風に聞いていました。確かにこのストーリー展開は面白かったです。まだの方は、下のあらすじを読まないで、まず見てみることをお勧めします。2016年のスペイン・アメリカ合作映画で、監督はカルレス・トレンスです。この映画は、2016年のシッチェスで脚本賞を受賞しました。

あらすじ
野良犬の収容施設で働くセス(ドミニク・モナハン)は、通勤バスで同じ高校に通っていたホリー(クセニア・ソロ)と出会います。ホリーが気になり始めたセスは、アプローチを始めますが、相手にされません。セスはなんとか振り向かせようと、ホリーの行く先々に訪れ、ストーカーじみた行動をとり始めます。そしてある日、ホリーの日記を手に入れたセスは、その中身を見るなり決意を固め、職場の地下室に檻を製作します。そして、ホリーの家に忍び込み、薬の注射で眠らせて檻の中に運び込んでしまいました。目を覚ましたホリーは、セスに理由を尋ねると、セスは「君を救いたい。君のためだ」と答えるのでした。

セスは日記を読み、ホリーを尾行するうちに、彼女の異常な行動を発見したのでした。ホリーはまず友人のクレア(ジェネット・マーカーディ)がホリーの元カレと浮気をしたことを知ると彼女を殺害、この事件以降、殺人の快楽を覚え、次々と殺人を繰り返していたのでした。セスはホリーに人殺しをやめさせ、正常な状態に戻そうと監禁したのです。しかし、ホリーはセスの心につけこみ、セスも惚れた弱みで彼女の術中に嵌っていきます。そして、監禁を突き止めてしまったセスの同僚を、ホリーはセスに檻の中から命じて殺させ、遺体の解体まで細かく指示してセスに実行させました。

ホリーは初めて人を殺したセスの心に更につけこんでいき、セスは精神的に完全に追い詰められていきます。そして、ホリーに「愛しているなら、指を切り落として」と言われた時、すっかりホリーの手の中にあったセスは、ナイフで指を切り落としました。ホリーはさらに檻から出すよう迫り、檻の鍵が開けられると、ホリーはセスに近寄り、キスをしたあと、彼の喉をナイフで突き刺します。

時が経ち、すっかり元カレとの楽しい日常に戻ったホリーは、ある倉庫を訪れます。そこには檻の中でセスが、目も白濁した屍のような状態で、ホリーに飼われていました。そしてホリーは、元カレの浮気を発見して殺しそうになったけど、セスの愛を思い出して幸せを感じ、思いとどまることができたと語り掛け、屍のようなセスは、ホリーにすり寄っていくのでした。



ペット 檻の中の乙女

前半は、セスがホリーに執拗にアタックする話。いわゆるストーカー的なしつこさでした。セスの職業や雰囲気からも、いかにもストーカーらしい演技で、はまっていたと思います。そして、ホリーの日記を見て様相が変わってきます。それもあってか、ついに拉致監禁に及んでしまい、しきりにあなたを救いたいと発言するセス。頭おかしいと思いつつ、だんだん様相が変わってきて、ホリーの方がシリアルキラーだと判明。攻守が逆転していきました。なかなか見事な展開でした。後半は二人の会話と、ケージ越しの行動が中心になっていきますが、緊張感のある展開です。

セスは、愛はすべてを与えるものと言い、愛したホリーをシリアルキラーから更生させようと、いかにも無謀な試みをしているようです。ホリーにとってみれば、無理に決まってるじゃん、的な余計なお世話と感じていた訳ですが、できるだけ利用してやろうということになります。彼女の為には何でもやってしまうような、盲目な行動の中で、ホリーは再び自由を得て、最後にはセスはホリーの暴走を抑える最大の心のよりどころとなったようです。セスにとってみれば、愛する彼女の為に生きることができて、これで幸せということでいいのでしょうか。

最後は、面白く終わったのですが、あの状況からどうやって倉庫に移動できたのかがちょっと疑問。警察もウロウロしている状況のはずです。ラトビア出身らしいクセニア・ソロさんは、終始きつい感じの演技で、雰囲気が出ていたと思います。そして、ドミニク・モナハンが危ない感じが良く出ていて怪演でした。一方的に愛を語る、異常かつ冴えない男を良く演じています。全体の展開は、面白く意外性もあって楽しめた映画でした。やはり、この手の映画を観るにつけ、最終的には女性の方が数枚上手になっていることが多くて、男って損だよなと思ってしまうのですが、何があっても最後に生き残るのは女性ですね。

2020.4.2 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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ジャンル : 映画

「EVA<エヴァ>」 美少女アンドロイドを巡る美しいSF

シッチェスとポルトで特殊効果賞を受賞したこの作品は、きっとガラス細工のようなアンドロイドの機能設計の場面が印象的だったのでしょう。2011年のスペイン映画で、監督はキケ・マイロです。ゴヤ賞(スペインの映画賞)とガウディ賞(カタルーニャ語の映画賞)でいくつかの賞を受賞していますが、ガウディ賞では作品賞でした。

あらすじ
天才ロボット学者アレックス(ダニエル・ブリュール)は、故郷の大学のロボット学者フリア(アンネ・カノヴァス)に呼び戻されて10年ぶりに帰ってきました。フリアの要求は新しい子供型ロボットの開発のために、感情を生成するというものでした。故郷にはかつての恋人で、今は兄ダヴィッド(アルベルト・アンマン)の妻となったラナ(マルタ・エトゥラ)がまだ大学に勤めていましたが、二人の間にはまだ執着が残っているようでした、フリアはロボットのモデルとなる少年の候補映像を何人か見せますが、アレックスはどれも平凡すぎると気に入りません。そして帰り道、アレックスは街中で個性的な少女エヴァ(クラウディア・ヴェガ)と出会い、興味を惹かれていきます。

兄夫婦の家を訪ねると、そこにエヴァがいました。エヴァはダヴィッドとラナの1人娘なのでした。エヴァはアレックスに興味をもって一人で家を訪れると、アレックスは早速彼女をモデルにして、ロボットの「脳」の設計を始めます。しかし、奔放なエヴァの性格を移植していると、ロボットは反抗を始め失敗に終わります。アレックスとエヴァが親密になると同時に、アレックスはラナとも接近していきましたが、兄のダヴィッドに見とがめられ喧嘩になってしまいました。エヴァはその様子を知りつつ、ラナの秘密をちらつかせアレックスにますます接近していきますが、エヴァはラナがアレックスにエヴァの出生の秘密を話すのを見てしまい、取り乱して雪山に駆け上って行きます。

気づいたラナは追いかけますが、山上でエヴァともみあいになり、ラナは崖から転落死してしまいました。フリアはアレックスに、エヴァはもともとアレックスが10年前に途中で投げ出したロボットをアレックスが去ってからラナが完成させたもので、最終的に合格しなかったエヴァをラナが引き取って育てていたのでした。フリアはアレックスにエヴァの解体を命じ、アレックスはエヴァとともに父娘のような時間を過ごし、その夜、消えてしまいたくないという言うエヴァを抱きしめながら、ロボットを初期化するキーワードをつぶやきます。エヴァはアレックスの腕の中で機能を停止し、そして、これまでのエヴァの記憶が次々に消去されて行くのでした。



EVA<エヴァ>

アンドロイド物は好きなジャンルではあるのですが、この映画はアンドロイドテーマの王道、つまりアンドロイドが感情を持つことに関しておこる様々なことを扱いながら、かつ三角関係のドラマを絡ませるという感じでした。そして、10歳の少女という設定の美少女アンドロイドという、かなり萌え系の設定でもあります。これを書くとネタバレということになるのですが、それを言うならジャケットからネタバレしていますし、EVAの文字もいかにもという感じでした。近未来設定のSF映画ではありますが、かなりレトロな近未来という所も特徴と思います。アレックスの実験室などは、レトロ調であり、かつ装置はエレガントで、大変美しい映像でもあります。

ストーリーは、途中から三角関係の愛憎劇に移った感じがしましたが、これもむしろラストに向かう伏線ということでしょう。そして、このラストはアレックスにとっては、エヴァを失う以上に、エヴァに移植されたラナとの思い出をすべて失うことになります。エヴァはまさに、アレックスとラナの子供と同じで、ラナが引き取って一人で育てていた「娘」なのでした。久しぶりに再会した父親との短い時間。それが喪失感を増幅させ、感動的なラストに繋がっていると思います。ブレードランナーでもエクスマキナでも、アンドロイドはそのまま存在し続けるのですが、エヴァは機能をストップされてしまうという所が目新しく感じます。まだリセットされただけなので、今のところ再生可能ですが、すでにラナがこの世に存在しない限り、もう妹としても戻ってこないのです。

途中で投げ出した格好のSI9は、失敗作のエヴァに基づいていますから、凶暴性を出現させます。このあたりも、ラストのエヴァに繋がっていくので、なかなか細かな仕込みになっていると思いました。アンドロイドに感情を植え付けるという王道ストーリーに、あからさまな三角関係を取り入れ、親子関係や美少女萌え要素まで入れた、大変面白い映画だと思いました。あと、この映画、SI7のアンドロイドを演じたルイス・オマールが、助演男優賞を獲得しているようですが、これも面白い演技だったと思います。最後の未来を悟ったような哀愁漂う姿が何とも言えません。

2020.3.30 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「赤の涙」 (Migas de pan) ウルグアイ軍政の弾圧と抵抗

ウルグアイは、発表された最新の民主主義度で言えば、イギリスについて世界15位。遠い南米の国で、サッカー以外はあまりなじみがないのですが、世界有数の民主主義国家と言えそうです。そのウルグアイは20世紀末に軍政の時代がありましたが、その時代を描いた作品。2016年のスペイン・ウルグアイ合作映画で、監督はマナーネ・ロドリゲスです。
原題:Migas de pan (パン粉) パン粉は収容所の中のエピソードに登場します。

あらすじ 
2010年。息子のディエゴの結婚式に付添人として出席した写真家のリリアナ(セシリア・ロス)ですが、少し浮いて見える感じです。それを機に親類や旧友うたちと交流しますが、どこか彼女には彼らとの間には異質なものがありました。そして、友人からの連絡で、政府の平和維持軍の兵士が少年を虐待している動画がアップされていることを知らされ、その動画の当事者が逮捕されないことを憤り、必ず報いを受けさせると誓う2人でした。彼女にはそうする理由がありました。

1975年、軍事独裁政権下のウルグアイ。21歳のリリアナ(Justina Bustos)は、結婚・出産後も学生運動に参加し「独裁政治をぶっ潰せ!」と、 声高に叫び市民対してアピールします。しかし、軍事政府は彼らのアジトを見つけ出し、次々と仲間を検挙。かろうじて一度はその場から逃 げることができたリリアナも、数日後には誘拐同然に兵舎に連れ去られてしまいました。そこでは、目を疑う地獄絵図が繰り広げられていて、囚われたすべての学生たちは全裸にされ軍人たちによる拷問や性的暴行が繰り返し行われていたのでした。

拷問の日々は終わっても、長い収容所生活が待っていました。家族の面会を心待ちにしていたある日、まだ小さな息子が父と尋ねてきます。リリアナは小さな手作りの縫いぐるみを息子のディエゴに渡しました。収容所では、かつて拷問に加わった軍人に脅かされながら暮らす毎日。同室の者も自殺します。先に出所する人を見送ったりします。そして、曲がったことが嫌いなリリアナは軍人に反抗し、独房に入れられたこともありました。

1982年出所出所したリリアナは、家族に会いに行きますが、歓迎はされるものの応対は少し距離を置いたような冷たいものでした。ディエゴとは一緒に生活できず、学校で塀の外から息子を眺めるリリアナですが、先生に遠くに連れ去られてしまいます。釈放後も、かつて虐待に加わった軍人にも付きまとわれ監視されるリリアナは、意を決してブラジルに出国します。

2012年。モンテビデオに戻ったリリアナは、かつて虐待した軍人たちを、収容所の仲間たちと一緒に告訴することにします。家族や親類に類が及ぶのを恐れ、ているディエゴや妻はその行動に猛反対しまが、リリアナの意志は固く決行。リリアナたち原告団は一人一人順番に赤裸々に拷問や度重なるレイプの実態を告発。傍聴席で母の告発のを聞いていたディエゴは、その内容にいたたまれず席をはずすのでした。ある日、孫を連れて突然母を訪ねてきたディエゴ。幼い頃母に貰った小さな縫いぐるみを母に渡すと、感動したリリアナはそのぬいぐるみを孫に渡し、小さな手でしっかりと握りしめるのでした。



赤の涙

2010年。現在、彼女は軍による虐待映像がアップロードされていることを知り、過去を思い出し、悪夢の再来を予感します。そして、映画は過去の彼女に戻ります。ここで主人公が、セシリア・ロスから、Justina Bustosに交替。反政府活動家の彼女が当局に拘束されてしまい、激しく拷問されます。拷問シーンは結構ガチで、SMものと言ってもいいくらいの強烈さです。裸でつるされた多数の男女が、音楽が流される中で痛めつけられます。そして、収容所の中の情景に移行。この部分は、いろいろとエピソードは語られていますが、ちょっと冗長な感じがします。

そして、釈放、家族との再会と和解と続きます。母子の再開は大変感動的で、獄中で作った小さなぬいぐるみを息子が持っていたところがいいアクセントになっています。最後に刑務所での収監者一同が軍の関係者を提訴し、過去の清算をして一連の物語の幕を閉じます。苛烈な戦いを戦い抜いた女性たちの伝記的映画として、説得力のある映画。ウルグアイの情勢や、南米では一番の民主的な国家と言われているらしいのですが、そのウルグアイの民主主義の伝統は、彼女たちの戦いの上にあるということを事実として伝える映画。はっきり物を言う女性たちが神々しくもあります。もう少し引き締まった構成になると良かったと思いました。ちょっと中間部が惜しい気がしました。

セシリア・ロスと、Justina Bustosの2人が、若いころと現在を2人で演じ分けています。繋がりも悪くなく、それぞれに大変雰囲気のあるいい演技だと思いました。セシリア・ロスの演じるリリアナは、過去にJustina Bustosの演じた若いころのリリアナの経験をしっかりと受け継いで、その上にある孤高の崇高さを漂わせる演技でした。二人ともアルゼンチン生まれで、スペイン語圏の名優と思います。

2019.12.01 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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