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「フェアウェル」 アメリカ移民から見た中国家族

ネットを見ていると、今やっている「The Farewell」が評判がすこぶるいいことに気づき、見に行きました。その評価は、IMDBが8.1、Metascoreが89、Rotten Tomatoes に至っては99%。さすがに、このスコアだと気になります!言語は70%が北京語らしいのですが、まぁ、自分は英語より中国語の方が得意と思っているので、大丈夫でしょう。最近聞いていないので黴が生えてますが…。2019年公開の、ルル・ワン監督の作品です。
原題:The Farewell

あらすじ
 ネタバレですので注意してください!
中国系アメリカ人の作家ビリ(オークワフィナ)は、長春に住む祖母(シュウジェン・ザオ)と仲良しでした。ところが、父母から祖母は末期の癌にかかっており、余命数ヶ月であることを知らされます。しかし中国の習慣から、この事実は本人に知らされておらず、ちょうど、日本に住むビリの従兄が長春で結婚式を挙げることになったので、これを機会に祖母との最後の交流の意味を込めて親族一同長春に集まることになりました。ところが、ビリだけは、取り乱すといけないからとニューヨークに残るように言われてしまいます。

ビリは、両親には告げずに別の便で長春に向かい、無理やり親族の集まりに合流し、秘密を祖母には明かさないということを皆に誓いますが、告知に関して度々両親や親族と衝突することになります。中国での価値観は、当人の精神的負担を周囲の人々が分担するという、集団尊重の価値観であり、アメリカの個人を尊重する価値観とは異なるというのが対立の根本にありました。祖母も夫の死にあたっては同様の行動をとっていたのでした。結婚式は大いに盛り上がって無事終わり、その夜祖母は、ビリに紅包を与え、自分の夢を追うために使う様にと伝えます。そして、皆はアメリカ・日本のそれぞれの家に帰っていったのでした。

後日談:6年後、祖母は健在です!



The Farewell

この映画は、評価が高いという先入観を持って力みかえって見に行くと肩透かしを食うと思います。きわめて単純なコメディだと思いました。ただ、アメリカ映画という意味も含め、いろいろな文化を持つ人の視点から見ると、それぞれ感慨深いものがあると思います。この映画は、「実際の嘘に基づく物語」というテロップで始まります。これは、監督のリリ・ワンの実体験に基づく物語で、リリ・ワン自身、6歳の時にアメリカに移民していますから、主人公のビリは彼女そのものということになります。非常にプライベートなコメディなのでした。

コメディの要素のある程度の部分は、中国とそして、日本も含めたステレオタイプの表現で笑いを取っていきます。監督自身はそのステレオタイプの実際を百も承知でしょうから、それは意図したものでしょう。ビリが長春に着くと、荷物を持とうと沢山人が集まってきますが、実際今ではそんなことは無いですね。この辺りから始まっていかにもありそうなことから無さそうなことまで、いわゆる「あるある」が詰め込まれています。そんな中国からのアメリカと日本への、移民を持つ親族と家族の物語。そして、物語の本筋は、がん告知を巡っての家族のありかたの物語でした。

日本から結婚式に向かった愛子も、いかにもステレオタイプを演じていて、是非云々よりも、日本人の雰囲気ってこんな感じかな?と、いかにも解らせられた感じがしました。私は、がん告知を巡る葛藤の物語以上に、中国・アメリカ・日本を巡る移民の実生活と逞しさを感じました。どこに行っても目立つ中国人の逞しさではあるのですが、日本人もまた違った形で逞しいと思います。その力の根源として、家族を中心とした繋がりが確かに存在するということを改めて気づかされる作品だと思いました。軽いタッチで、かつ説得力のある映画だと思いました。

ちなみに、ビリを演じたオークワフィナのコメディエンヌぶりがけっこう笑えました。そして、話していた北京語は、ネイティブでないという役柄だけに、私にとってはかなり解りやすかったです。

2019.10.24 HCMC CGV Cinemas Vincom Dong Khoi にて鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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