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「オマールの壁」 紛争に翻弄されるパレスチナの若者たち

公開時から気になっていた映画でしたが、見ずじまい。そして、Amazonにあることは、見つけてはいたのですが、重そうな話なので、なかなか見るまで至りませんでした。ということですが、時間に余裕があったので、意を決して見てみます。2013年のパレスチナの作品で、オスカーでは、外国語映画賞にノミネートされました。カンヌでは、ある視点部門で審査員特別賞を受賞したほか、各地の映画祭で多数の受賞歴があります。監督は、ハニ・アブ・アサドです。

あらすじ
パレスチナ自治区に住む青年オマール(アダム・バクリ)は、巨大な壁を乗り越えて、幼馴染みのタレク(エヤド・ホーラーニ)とアムジャド(サメール・ビシャラット)と交流し、イスラエル政府軍に対抗する武器を調達し、訓練を行なっていました。そしてタレクの妹のナディア(リーム・ルバニ)との愛を深め、結婚を夢見て日々パン屋の仕事に勤しんでいました。ある日イスラエル兵に侮辱され、オマールは同志とともに先制攻撃をかけます。しかし、逮捕されたオマールは自白を拒み、無罪となるはずが、イスラエル側の捜査官ラミ(ワリード・ズエイター)の策略によりオマールは長い懲役刑を宣告されたうえ、情報を流すことを持ち掛けられます。ナディアも罪に問うことを仄めかされ、オマール取り引きを請け釈放されます。

オマールは、逆にイスラエル側に嘘の情報を流し、仲間を救いますが、ラミの暗躍もあって、仲間の間でも裏切者の情報が錯綜し、ナディアを想っていたアムジャドと、ナディアとの間で禁断の関係があったとの情報が流れるに至り、三人は集まってお互いの真実を正そうとしますが、もみ合いになり、銃の暴発でタレクが絶命しました。やむを得ず、オマールはタレクの遺志を継ぎ、すでに妊娠してしまっているというナディアを戒律から守るために、アムジャドとの結婚を承諾します。

しかし、2年後ナディアと連絡をとったオマールは、アムジャドとの子供の年を聞いて、結婚の段階では妊娠も姦通も無かったことを知ると、すべてラミの仕組んだ攪乱だったと認識。なおもオマールの行動を操ろうとするラミに、オマールはイスラエル兵を射殺した真犯人を教えるのと引き換えに銃を要求します。ラミから銃を受け取ると、オマールは仲間たちの仲を引き裂いたラミに銃口を向け、撃ち抜いたのでした。



オマールの壁

敵対する勢力が割拠するエリアでの、理不尽なまでに翻弄される若者たちの世界。そこには、普通の生活もあり、しかし普通ではない状態でした。

理不尽な取締りに耐え兼ね、検問所を狙撃した幼馴染のオマールたち3人は秘密警察に捕まり、スパイになることで釈放されますが、それを逆手にとって待ち伏せしようとするオマール。しかし、恋人を絡めた秘密警察の巧妙な罠にかかっていき、首領格の友人は死亡。オマールも恋人の愛が破壊されてしまいました。そして、全貌を知ったオマールは捨て身の復讐に出ます。 妊娠が嘘だとわかった時のオマールの虚脱感は、それまで過酷な日常を送ってきただけに、想像をはるかに超えるものでしょう。

仲間の裏切りを巧妙に組み込んだストーリー展開に、言葉が出ないという映画でした。最後にナディアが読んでいた手紙には、どこまでの真実を語っていたのでしょう。将来を考えて、全貌を語ってはいないと思います。恋人同士が引き裂かれ、テロと弾圧が日常となった世界。それでも人間としての生活を追い求め、過酷な現実と対峙せざるを得ない人々。実際に映画を製作している側も、そういった日常と隣り合わせにいることが推測できます。最終的に誰が生き延びて次の未来を築くのでしょう。

どこかで戦争が終わって平和で来ても、新たに戦争の火種が出てくるのがこの世界。そのたびに、こういった現実が起こっているのだということを再認識させられる映画でした。

2019.11.5 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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