
「黒いドレスを着た女」 美男美女によるコテコテの昼メロ

原題:Hidden Moon (2012)
あらすじ
ロサンゼルスの教会で、富裕な家庭の父親の葬儀が行われました。参列したのは母親と息子三人、娘二人。皆、母親が違うという複雑な家庭でした。葬式が始まり、静まり返ったところで、一人の美女(アナ・セラディーリャ)が現れ、棺の上にバラの花を置いて立ち去っていったのでした。家族のだれもが、彼女に見覚えが無く、亡き父親の愛人ではないかと、家庭内に新たな騒動が持ち上がります。
その女性ミランダが、メキシコの実家に戻ると、父が息を引き取るところでした。彼女の家はロウソク工房で、父が息子のように育ててきたトビアス(Osvaldo de León)が切り盛りしていました。そして、ミランダを追ってヴィクター(ウェス・ベントレー)が訪れます。葬儀に登場した女性を見つけ出し、事情を探るために来たのでした。ミランダは女優を夢見てロスへ行くと、雇われて演じさせられたと答えます。ヴィクターは彼女の憧れという海辺の別荘に誘います。ヴィクターは、バラの件は兄が仕組んだことにして関係を終わらせようと、兄が登場する手はずでした。しかし、別荘で過ごすうちに、ミランダを深く愛してしまい、ヴィクターは予定を中止しようとします。しかし、間に合わず兄が到着し、ヴィクターと諍いになると、ミランダはいたたまれずドレスのままで町に飛び出し、売春婦と思われて警察に拘束され、トビアスが彼女を迎えに来たのでした。
トビアスは実家に連れ帰り、再度プロポーズしますが、ミランダはまだ女優の夢を捨てきれません。そこにヴィクターが謝罪に現れ、アメリカで女優になることを保証して、一緒に行こうと誘います。それを聞いていたトビアスは駆けよってくる時、ロウソクの鍋を倒してしまったため、工房は火事になってしまいます。トビアスは懸命に消化しますが、火に包まれ、ヴィクターはトビアスを助けようと、家の中に飛び込みますが、追っていったミランダ共々、爆風に飛ばされてしまいました。ミランダは倒れたままトビアスとの恋の成就の夢みていました。ヴィクターが駆け寄ってミランダを助け起こしますが、その肩越しに、ボロボロになってトビアスが現れると、ミランダは駆けよって、トビアスと抱き合うのでした。

スリラーかと思って見始めました。そして、出だしの雰囲気は、家族の対話など思わせぶりでな展開もあり、葬式に現れる不思議な女性は、大変ミステリアスでありました…。そして、メキシコ。一瞬、時間軸が混乱したように見えましたが、じつは何も混乱していませんでした。ちょっと過去の事件の謎解きみたいな雰囲気があり、そう感じてしまいました。まず、ヴィクターの、あまりにも強引で、ミランダを悪者と決めつけたような、強引な詰問が繰り広げられます。でも、この展開は愛に変わる予感。やっぱりでした…。このあたりは絡み方は、愛嬌もあって楽しいと思いました。
そして、恋におちて、静かで激しい三角関係がはじまります。トビアスも、ミランダの父の元で働いて、子供の頃からの16年越しの恋で、必死でもあり、かなり思いつめていきます。一方、そのトビアスに恋心を抱いている大人しい、イネス(Olga Segura)が不憫に思えてきます。ここまでくると、そうなんです。つまり、完全にメロドラマなのでした。まさに、典型的な昼メロ展開。連続ドラマにでもできるような、エピソードの積み上げ方は、順番通りでしっかりと進展します。テレビドラマそのもので、今風に言えば、ソープオペラでしょうか。それも、美男美女揃いです。
そして、売春婦と間違えられるところとかはご愛敬で、物語の結末へ。これはまぁ、何か、それでよかったの?と納得できるような、できないような、感じでした。ここまで揺れ動き続けていた関係でもありますが、これが正解だ!という綺麗な解決にはどうもならなさそうです。やはり、三角関係という性格上、そういったことは難しいという事でしょう。ちょっともやもやと、不完全燃焼気味ではありますが、他にすっきり解決する方法は?と言っても難しそうですね。どの年代の恋であっても、多情な恋は罪なものであるということで御座いました。
2020.3.22 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞