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「不倫する肉体」 閉塞感から、さらに別の閉塞感へ

Amazon Primeで見つけた映画。誘うような邦題に多少の下心を感じつつですが、だいたいこういった感じは、ガチのドラマが多いというのが経験則。今回はいかがでしょう。メキシコ映画と言うのも楽しみです。2014年の、アーネスト・コントレラス監督の作品です。凝った原題なので訳し方がよく解らないのですが、「あいまいな春」という所でしょうか。
原題:Las oscuras primaveras

あらすじ
薄暗いビルの地下施設。このビルで働くOLのピナ(イレーナ・アスエラ)と、地下施設の作業員イゴール(ホセ・マリア・ヤスピク)は、出会うと欲望のままに求めあいますが、ふと我に返り、互いの名を聞いてその場を別れます。イゴールは家政婦をしている妻のフローラ(セシリア・スアレス)と二人暮らし。貧しいなからも穏やかな暮らしでした。ピナは離婚して小学生のロレンソ(ヘイデン・メインバーグ)と二人暮らし。ロレンソは元夫を慕っていて、連絡を取り合っています。そして、ロレンソは学校祭の演劇「麗しき春」で、ライオン役を与えられていました。

ピナはロレンソの世話に手を焼き気味でした。ピナの家での姿は行儀のいいものではなく、ロレンソもそんな姿が好きではありません。ある日ピナは、食堂でイゴールを見かけて誘惑すると、ホテルでの密会を約束をします。フローラは堅実な妻で、友人とグループ預金する話を進めていましたが、誘いに乗り気ではないイゴールに不安を覚え始めます。ロレンソもピナの変化を感じ、何かと妨害を始めます。そのような状況で、密会の約束はタイミングが合わず流れてばかりでした。ある日、イゴールはフローラが貯金をしようと思っていた金を使って、オフィス用のコピー機を買ってしまいます。フローラは驚き、イゴールを責めますが、なしのつぶて。ますます、イゴールへの不信が募ります。一方、ピナはロレンソの演劇用の衣装の材料探しに奔走しますが、ある日、ロレンソがおもちゃを片付けないことに切れてしまい、まとめて捨ててしまいました。ロレンソは拗ねてしまい、親子の間は冷たく険悪なものになっていきます。

フローラとイゴールはお互い気を遣い、久々にデートを楽しみますが、情事にまでは進展せずフローラは不満が募っていきます。ピナは拗ねているロレンソに愛想が尽きて険悪なままですが、ロレンソの舞台衣装は手作りで完成させました。しかし、ロレンソは父と相談し、父に引き取られることになったことを告げ、ピナは別れ際にライオンのメイクを施してやります。その頃、やはり自分の貯金をコピー機に使われたことに怒りが収まらないフローラは、一人で遠くに引っ越す決意を固め、友人に手伝ってもらいながらコピー機を搬出しようとしますが、フローラは誤って転倒し、コピー機に押しつぶされてしまいます。ちょうどその頃、一人きりになったピナとの元にイゴールが現れ、二人は激しいセックスに没頭していました。季節は春を迎え、ロレンソのいなくなった小学校で、「麗しき春」の演劇が行われているのでした。



不倫する肉体

倦怠期の夫婦の男性と、離婚して母子家庭となった女性の不倫。といっても肉体関係が無いまま進行している様子で、映画のほとんどは肉体関係に至るまでのすれ違い、紆余曲折です。惹かれれば惹かれるほど家族と心が離れていきます。その過程で家族は崩壊していきます。一方、当事者にとっては不倫を妨げるのは、それぞれの家族との関係で、思い通りにならずフラストレーションがたまり、それがまた家族に影響していきます。邦題が直接的過ぎて安っぽくなっています。あまり日本語的なベタな感覚で、不倫と捉えない方がいいかもしれません。不倫は確かに中心的テーマで、トリガーでもありますが、それに関連して起こる様々なことを描いていて、一言で片づけると趣旨が狭まるような気がします。起こっている内容は不倫以前の問題もあります。

女性側は離婚後の子供の教育の悩みを持っています。この子供が母の行動に対し、嫌がらせのような報復をしているように描かれていますが、ちょっと不自然でやり過ぎ感があります。不倫以前に、離婚問題と母の接し方の問題でしょう。だんだん、子供が邪魔というのが態度に出てきます。男性側は、コピー機を買った意味が良く解りません。破壊的な嫌がらせでしょうか?妻への愛情が消えていることが、努力していい関係を作ろうとしても、全く勃起しないというところに現れています。妻の方は特に欠点が無いのに、死んでしまうのは、男女とも一人になるように釣り合いをとる為でしょうか。

最後の最後でやっと肉体関係にこぎつけた時は、結局二人とも独り身となっていて、すでに不倫という定義に当たらなくなる状況になってきているわけですが、それを知らずに不倫の枠の中で求めあう二人。このような結末は、二人の未来にいい影響はないという様な雰囲気で終わります。結局、元々の閉塞感が、状況が変わって別の閉塞感に変わったまま終わった感じでした。途中のエピソードも、成り行き任せで、行ったり来たり、ああでもない、こうでもないが多く、その中で、人間の利己的な性や、心の動きを描くのがこの映画の目的だったのでしょう。コピー機が商売道具になってお客さんが来始めているところが、唯一明るさを感じたところです。

2020.1.5 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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「母という名の女」 母であり女である母親と、母になった娘

ジュリエッタを見て、エマ・スアレスの出演している映画を探していると、この映画が目につきました。2017年のメキシコ映画で、ミシェル・フランコ監督の作品です。カンヌでは、ある視点部門で、審査員特別賞を獲得しています。なかなか大胆な内容の映画のようです。

あらすじ
クララ(ホアナ・ラレキ)とバレリア(アナ・バレリア・ベセリル)の姉妹は、二人で海辺のリゾート地に暮らしていました。バレリアは同年代のマテオ(エンリケ・アリソン)の子供を妊娠中のところに、長らく姿を見せていなかった母親のアブリル(エマ・スアレス)が帰ってきます。バレリアに娘のカレンが生まれると、まだ若い二人をなにかとアブリルが手助けしていましたが、ある日アブリルは二人には無断で、マテオの父親にカレンの親権放棄のサインをさせ、自分の養子にしてしまいます。そして、アブリルは旧知のハウスキーパーの家に預けてしまいました。

子供を奪われたバレリアは、部屋に閉じこもってしまい、マテオとの間もうまくいかなくなると、アブリルはマテオを誘って、カレンに会わせに行きます。その帰りに、マテオにホテルに宿泊させたアブリルは、マテオと肉体関係を持ってしまいました。そして二人は海辺の町から消え、メキシコシティーで新しい生活を始めたのでした。ある日海辺で暮らす姉妹の元に、不動産屋が室内の写真を撮りたいと訪ねてきます。アブリルが別荘を売りに出したのです。バレリアは不動産会社に母親の連絡先を尋ねますが、個人情報は教えてくれません。

バレリアは、一人でメキシコシティーに向かうと、不動産屋を訪ね、アブリルを近くのヨガ教室で見かけると情報を得ました。そして、アブリルとマテオが通り過ぎるのを発見したバレリアは、二人が家からカレンを乗せて車で出てきた時に、叫びながら駆け寄りますが、アブリルは猛スピードで振り切ります。アブリルは、居場所をマテオが喋ったと考え、無理やり車から降ろすと、カフェに立ち寄り、店内にカレンを放置して立ち去ってしまいました。保護されたカレンを、バレリアはマテオとともに引き取り、空港に向かいながら、マテオと再び一緒に暮らそうと話します。しかし、空港でカレンを連れて飲み物を買うために、マテオと離れたバレリアは、そのままタクシーで、カレンと共に空港を立ち去るのでした。



母という名の女

母親が主人公の映画を連続して見てしまいました。それぞれ、かなり強烈な母親像を見せてくれていますが、そして、この映画も予告編を見れば強烈な母親の部類です。お目当ては、もう一つ。ジュリエッタのエマ・スアレスを見てみること。彼女の映画は日本での劇場公開がほとんどなく、昔の映画は中古VHSを漁ることになるという状態のようです。若き日のバンデラスとの共演なんかもあるのですが…。それで、さすがに強烈な母親たちを連続して見てくると、この母親はその中では、やることはナカナカのものですが、最も場当たり的でした(笑)。

ミシェル・フランコの作品ですが、細かくシーンからシーンへと話が跳んでいきます。それはまぁ、話の進行が早くていいのですが、いきなり子供が生まれていたのはびっくりしました。生みの苦しみとかあれば、もっと母親像に厚みが増したかも…。逆に言えばとてもあっさりした感じを残しました。あとは、画面が全体的に暗くて、アップなんかも少なく、表情を追いづらい感じがします。それとの対比でラストが決まっているとも言えるのですが。母も娘も二人とも母親ですが、どちらも子供への執着の強さを感じます。マテオは残念ながらアブリルの相手をするには若すぎますね。アブリルの性格であれば、いずれ飽きられるのでしょう。

もう一つの目的のエマ・スアレスは、前半は太ったおばさんみたいな感じで、年相応の中年女を演じ、恋人ができてからは、いきなりセレブに豹変しました。見ている分には後半の姿がいいのですが、前半で、子供に徐々にちょっかいを出していくあたりが見もので、海辺で遊ぶ両親を叱ったりするところは、よくありがちな嫌な感じが沁みだしています。ただ、フランコ監督の短いカットや絵の雰囲気を見るに、なんかせっかちだなぁ…、という印象も受けました。カンヌに相性のいい監督さんのようです。

2020.3.2 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ノー・エスケープ 自由への国境」恐怖と衝撃の88分です

アメリカメキシコ国境の不法移民を題材としたサスペンス。「恐怖と衝撃の88分」というキャッチコピーがつけられていました。監督は、ホナス・キュアロンで、アルフォンソの息子さんにあたり、アルフォンソも製作に参加しています。2015年のメキシコ・フランス合作映画。原題は、Desiertoで、砂漠という意味です。

あらすじ
メキシコ人密入国者の一団がトラックで国境を目指していますが、トラックが故障したため、徒歩で国境を目指すことになりました。何とかアメリカ国境を越えることに成功しましたが、一行は地元のハンター(ジェフリー・ディーン・モーガン)の銃撃を受け、無防備な彼らは次々と射殺されていきます。なんとかハンターと猟犬の追跡を振り切り、夜を迎えたのはモイセス(ガエル・ガルシア・ベルナル)とアデラ(アロンドラ・イダルゴ)の二人だけでした。二人は身の上を語り夜を明かしますが、皆殺しできなかったハンターも、砂漠で夜を明かし、翌日を待って再び行動を開始します。

翌朝、二人はハンターのトラックの盗むことに成功しますが、ハンターの狙撃によりアデラが怪我をし、トラックも横転してしまいます。再び、二人は徒歩で逃げまどうことになり、モイセスは、怪我をしているアデラを連れて逃げることは不可能と考え、アデラを木陰に休ませると、トラックにあった信号銃を発射し、一人でハンターを引き付けて戦うこととしました。猟犬を上手く始末したモイセスですが、それを見たハンターはますます怒り狂います。

砂漠の岩山地帯の逃走と追跡が続く中で、岩の間に隠れたモイセスはサムを奇襲し、そのまま二人とも斜面を転落。重傷を負って動けなくなったサムを、モイセスは敢えて酷暑の砂漠に放置し、意識を失ったアデラを背負うと、砂漠の中を町を目指して歩き始めました。そして、その日も日が落ちたころ、遠くのハイウエイを走る車の明かりが見えてきたのでした。



ノー・エスケープ 自由への国境

砂漠地帯を行くメキシコからアメリカへの不法移民たち。途中トラックの故障で歩くことになり、何とか国境を越えると、地元のハンターに狙われ、丸腰で逃げまどう中、無差別に撃ち殺されていきます。そして、生き残った二人とハンターの追跡劇が始まり…。というお話でした。激突!に似たテイストで、匿名性の高い理不尽な追跡劇に、グレートハンティングみたいなモンド映画の生々しさやドキュメンタリーぽい要素が加わった作品だという印象を持ちました。

今、現実に問題となっている不法移民を題材にしているだけに、よりリアルに感じます。マカロニとかホラーとかあるいは西部劇であればよくある展開ではありますが、それは架空の物語の中でのこと。今を題材に、ドキュメンタリータッチに描けば、当然何らかの主張が入っているという事と思えます。そして、このハンターを見るに、いかにもアメリカでは起こっていそうな話に思えてきました。あのイージーライダーの農夫のように、異質なものに悪気なくライフルを向ける場面を、再び思い描きます。

女性を置いて一人で逃げた時は、酷い奴だと思いましたが、信号弾で自分に惹きつけて戦うということだったのですね。最後は、意外に至近距離に迫られているので、緊張感がかなりありました。気通っても、足場が悪くて発砲できないという状況なのでしょうか。そして、怪我をして動けなくなると、すまなかったと簡単に謝ってしまう男も、いかにも軽い感じで、その程度の考えなんですね、という感じでした。この映画はメキシコ代表でアカデミー賞外国語映画部門にメキシコ代表で出品されました。そのお父さんのアルフォンソ・キュアロン監督は、この二年後に同賞を受賞しています。メキシコ映画目が離せないですね。

2020.4.4.HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ザ・チャイルド(2012)」 後味の悪いホラーのリメイク版

有名なスペインの同名のホラー映画のリメイクとの事。元の映画は見ていませんが、かなり後味の悪い映画らしく、こころして見始めました。2012年のメキシコ映画で、監督はマキノフです。

あらすじ
妻が臨月のカップルのフランシス(エボン・モス=バクラック)とベス(ヴィネッサ・ショウ)は、孤島への旅を計画していました。ボートをチャーターした2人は、島に到着。ボートが帰っていくとさっそく村の中へと入っていきます。レストランで一休みしますが、店員は誰もおらず、フランシスが人を探しに行ったときに、女の子がベスのそばに寄ってきて、ベスの臨月のお腹に語り掛けるように寄り添っていきました。二人はレストランを後にしてホテルに向かいますが、その間も子供しか見かけませんでした。そして、ホテルのレセプションで人を呼んでも誰も出てきません。不審に思って、部屋を覗いて回っているうちに突然一人の男と出会いました。

男は、昨晩急に子供たちが凶暴になり大人を次々と殺し始めたと告げます。それには誰も抵抗できないのだと。3人は島を脱出すべくホテルをでますが、そこに男の娘がやってきます。そして、娘が男に来て欲しいと告げると、その純真な顔を見据え、二人の制止を聞かずに娘についていき、間もなく叫び声が上がりました。二人は脱出しようと港に向かいますが、そこにはたくさんの子供たちが待ち構えていました。港で車を見つけ、子供たちを振り切って他の村に向かいます。そこには大人がいて、子供たちも普通でしたが、やがて凶暴な子供たちがやって来てその村の子供に静かにテレパシーで何か伝えています。二人は慌ててその村を脱出し、港に戻ると警官の死体から奪ったピストルを持って籠城しました。

子供たちに包囲され、銃を持った一人の少年がベスを撃とうとした時、フランシスは少年を射殺します。子供を撃ったことでベスはヒステリーを起こしますが、やがて収まると、今度はお腹の中の胎児が暴れだし、ベスを殺してしまいます。最初のレストランで、ベスの胎児は凶暴化のテレパシーを送られていたのです。翌朝、すべてを失ったフランシスは、襲ってくる子供を容赦なく殺しながらボートで逃げようとしますが、昨夜発したSOSによって現れた警備艇が、子供を殺戮しているフランシスを異常者と見て射殺します。しかし、上陸した警官はすぐに子供に殺され、子供たちは警備艇を奪い、本土へと意気揚々と進軍していくのでした。



ザ・チャイルド(2012)

1976年スペイン映画のリメイク版で、元の作品は未見ですが、ほぼ忠実にリメイクされているとのことです。旧版は戦争の犠牲になった子供の映像が冒頭に流れるようで、その子供たちの復讐ということが暗示されるとのこと。このリメイク版では、その映像はありません。普通にホラーとして成立する話になっていて、そこは却ってこのテーマが広がりを持つことになって良かったと思いました。

事実、その後も各地の戦乱での子供の犠牲は続いていますし、自爆テロに使われるに至って、旧版の意図を超えた様な悲惨な事態や、恐怖の対象ともなるような事態になっています。この映画の表現から、子供の前では大人がなすすべもなく殺されてしまうという現象は、大変説得力がありました。自分の子供であれば、とうてい無理でしょう。フランシスにはしがらみがない分戦えましたが、自分の愛妻が殺されて初めて戦えたということでした。

テレパシーのような形で子供の変化は胎児へさえも伝染していきます。これから船で乗り出していくが、どういう展開となるか?未知数な怖さがありました。

実際子供が悪役になるドラマやホラーやSFも数多くあり、その純真無垢さが恐怖の題材になっていきます。このチャイルドはあまりにもストレートなアプローチなので、純粋な迫力のあるストーリー展開が成立していると思いました。

2019.11.4 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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