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「別離(1939)」 バーグマンのアメリカ進出第一作は不倫物語

イングリッド・バーグマンのアメリカ進出の最初の映画となったのが、元々スウェーデン時代に本人が出演した「間奏曲」のリメイクでした。1939年の映画で、監督はグレゴリー・ラトフ。オスカーでは、撮影賞(白黒)と音楽賞にノミネートされています。
原題:Intermezzo: A Love Story (1939)

あらすじ
スウェーデンの名ヴァイオリニスト、ホルガー・ブラント(レスリー・ハワード)は、ニューヨークの演奏会で、伴奏者のトーマス(ジョン・ハリディ)の引退を発表し、妻のマーギット(エドナ・ベスト)と、娘のアン・マリー(アン・E・トッド)の待つ故郷に戻りました。トーマスは後進の指導に専念することになり、その教え子のアニタ(イングリッド・バーグマン)は、偶然にもアン・マリーにピアノを教えていました。そして、アン・マリーの誕生会で、アニタの演奏を聞いたホルガーは、彼女とデュオを組んで演奏を始めます。

二人の関係はいつしか愛情にまで発展しました。アニタは、妻子あるホルガーを愛することに苦しみ、別れを告げ、親類の元に去ろうとしますが、列車の発車間際にホルガーに引き留められます。その後、二人は演奏旅行に旅立ち、各地で絶賛を博しました。演奏旅行が終わり、南仏で二人だけの幸福な時間を過ごしている時、トーマスからアニタがパリ音楽院の奨学生として認められたとの知らせが入りました。今の幸福を失いたくないと、入学しないことに決めたアニタですが、トーマスが南仏を訪れると、アニタは心の内を打ち明け、静かにホルガーの元を去っていきます。

ホルガ―は、家族との関係は既に失われたものと考えていました。しかし、一目でもアン・マリーに合いたいと、一日だけの予定で故国を訪れ、アン・マリーの学校に向かいます。学校に着くと、父親を見つけたアン・マリーが駆け寄ってきて、車に轢かれてしまい、危篤状態になってしまいました。ホルガ―は家に連れ帰り、医師を呼んで、夜を徹しての処置が続きます。翌朝、医師は回復を保証して帰ると、ホルガ―も家を立ち去ろうとしましたが、マーギットに「おかえりなさい」と呼び止められたのでした。



別離(1939)

ストーリーは、普通に不倫ドラマですが、綺麗にまとまっていて、スムーズに展開していきます。美しい音楽と映像を楽しみながら、イングリッド・バーグマンの美しい姿を見るというのが、この映画の一番の楽しみだと思います。これも、映画を見る大いなる楽しみだなぁと感じさせてくれる映画でした。エドナ・ベストも清楚でなかなかいい感じです。最近では「未亡人と幽霊」とかで見ましたが、雰囲気のいい女優さんです。別れの手紙にある、「私はあなたにとって人生の間奏曲でしかない」というのは名セリフですね。

この映画は、イングリッド・バーグマンが3年前に出演した、スウェーデン映画「間奏曲」のリメイクで、イングリッド・バーグマンのアメリカデビューにあわせて製作されました。3年の時を経て、同じく彼女が演じているのですが、3年前の21歳の彼女も見てみたいと思いました。レスリー・ハワードにしても、ラブストーリーの相手役として、素直な雰囲気を出していると思います。監督のラトフは、俳優と監督をこなす人のようですが、監督としてはこれが最も成功した映画でしょうか?堅実さを感じました。俳優としては、「イヴの総て」など出演しています。

イングリッド・バーグマンのピアノの演技には驚きました。音自体は吹替のようですが、映像では、しっかりと弾いているような感じです。この映画で唯一やりすぎかなと思ったのは、アン・マリーが車に轢かれたところを見せているところ。あんな形で轢かれたら、もっと怪我をしているでしょうし、この流れでは見せることに違和感を感じました。あとは、別れてからイングリッド・バーグマンが登場しないのは、ちょっと残念な感じがしましたが、エドナ・ベストによるラストが決まっていて、逆に良かったかもしれません。

2020.6.14 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「パターソン」 日常生活の総てを詩にしてしまった作品

劇場で、かなり前に予告編で見たことがある映画です。良さそうな感じでしたが、日本には短期滞在であったので、見るまでに至りませんでした。今回は、Amazonでの鑑賞。アメリカ・ドイツ・フランス合作で、カンヌではノミネート作品となりました。AmazonSutudios配給作品でもあります。 2016年の映画で、監督はジム・ジャームッシュです。
原題:Paterson

あらすじ
月曜日 パターソン(アダム・ドライバー)は妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)の横で目覚めました。ローラは双子の子を産む夢を見たとのこと。パターソンはマッチ箱をいじりながらの朝食後、バスの車庫に出勤します。バスの中でマッチ箱に関する詩をノートにメモしてから出庫。乗客のボクサーに関する話題にに耳を傾け、滝の前で弁当を開けながら詩を書きあげました。仕事が終わり帰宅すると、ローラに詩の公表を勧められますが、全くその気がありません。ブルドックのマーヴィンとの夜の散歩ついでに、ドック(バリー・シャバカ・ヘンリー)の経営するバーを訪ねました。

火曜日 今日も同じように車庫に行き、バスをスタートさせます。客の女性に関する話題に耳を傾け、勤務を終え帰宅すると、ローラから、詩のノートのコピーを取るという約束と、ローラにギターを買う約束をさせられます。そして今日もマーヴィンとの散歩がてらドックのバーへ。途中でオープンカーの若者たちに冷やかされ、バーでは、隣で友人エヴェレット(ウィリアム・ジャクソン・ハーパー)がかなわぬ恋について話すのを聞いていました。

水曜日 バスでの勤務を終え、仕事から戻ると、ローラが壁にペンキを塗っていました。いつものようにバーに向かう途中で、コインランドリーでラッパーが作詞をしているのをしばらく聴いていました。

木曜日 勤務を終え帰宅途中に、少女が親たちを待っていたので声を掛けます。彼女も秘密のノートに詩を書く詩人なのでした。夕食はローラの新作料理。ローラに少女から聞いた詩を披露します。バーでは、相変わらずエヴェレットが愛を取り戻そうと口説いていました。

金曜日 目覚めるとローラは早起きして、明日の市場に出すカップ・ケーキを作っていました。バスが運転中に電気系統の故障で動かなくなります。帰宅すると、ローラにギターが届いていて練習に励んでいました。バーに行くと、エヴェレットは拳銃を取り出し、彼女に銃口を向けたあと、自殺しようとしますが、パターソンはとっさにエヴェレットにとびつき拳銃を奪います。しかし、それはおもちゃの銃でした。

土曜日 ローラは大量のカップケーキを自動車に詰めて市場へ出かけます。パターソンは日中にマーヴィンと散歩、ローラはカップケーキが売れて大喜びで帰宅し、お祝いに二人で映画を見に行きます。映画が終わって家に帰ると、マーヴィンがパターソンの秘密のノートをズタズタに破いていました。

日曜日 パターソンはショックから立ち直れず、一人で散歩に出かけます。エヴェレットに金曜のことを謝罪され、一人でベンチに座って滝を見ていると、日本人の男(永瀬正敏)が隣に座ります。彼は、パターソンが好きな地元の詩人の本を取り出し、自分も詩人だと言います。詩について語り合ったあと、男は空白のノートをパターソンにプレゼントして去っていきました。



パターソン

パターソンという町の路線バス運転手のパターソンの一週間。その判で押したような毎日の暮らしを、一日づつ丁寧に描いていった作品です。パターソンは、町の有名な詩人のファンであり、自身も毎日詩作に励んでいます。そして、その詩の静逸な表現が、この映画全体を、日常生活の舞台にした詩集の様に構成しているようです。一週間の平凡な日常といっても、かなりいろんなことが起こっていきます。実は静かな中で盛りだくさんなお話にも思えてきます。

生活の中のテーマはいろいろ。まずは、マッチ箱が詩の題材になり、ローラの見た双子の夢に端を発して、双子がまるでテーマのように、あちこちに現れます。一週間の中での連続した物語としては、エヴェレットの失恋騒ぎ、秘密のノートのコピー、ギターの購入などなど。小さなストーリーとして構成されていました。その様な映画の中で、いわば狂言回し役が犬のマーヴィン。コミカルな表情や、行動で楽しませてくれます。ポストを毎日傾けていくのも彼なのでした。

二人の夫婦関係がなかなか繊細で面白いです。パターソンも言いたいことがいろいろありそうですが、じっと抑えてローラに優しく接しています。なかなかできた男です。ローラは芸術家肌で奔放で、パターソンを愛しています。お互いいつもべったりという訳でもなく、相手を尊重した関係。パターソンはその中で詩作の時間という自らの聖域を保っているのでした。アメリカの田舎町での静かな物語は、最後に、「ただ一行だけの印象的な言葉が残る」という詩で締められます。インパクトのある詩で、朗読で詩を読むというのもいいなと思いました。

2020.7.30 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「三人の妻への手紙」 一通の手紙が呼び起こす奥深き夫婦関係

三人の妻への手紙は、ジョン・クレンプナー原作の「五人の妻への手紙(1945)」を元に映画化されました。1949年の映画で、監督はジョーゼフ・L・マンキーウィッツ。オスカーでは、監督賞と脚色賞を受賞。作品賞にもノミネートされました。マンキーウィッツはこの翌年に「イヴの総て」を監督し、2年間で4つのオスカーを獲得することになります。
原題:A Letter to Three Wives (1949)

あらすじ
三人の若い夫人が、ボランティアで恵まれない子供たちとのピクニックに出かける日、いざ遊覧船に乗ろうという時に、三人あてに手紙が届きました。エディという共通の友人の女性からで、「あなたたちの夫のうちの一人と駆け落ちします」と書いてあります。すでに陸を離れようとしている船からは、連絡手段もなく、三人は一日不安に包まれながら、今までの夫との関係を回想します。

デボラ・ビショップ(ジーン・クレイン)は、農家の出で、家を出るとすぐに海軍に入隊し、名家の出自の夫と出会いました。戦争が終わり普通の生活に戻ると、生活や付き合いに居心地の悪さを感じ始めます。そんなデボラを慰めるのは、リタ(アン・サザーン)というラジオドラマのライターで、学校の先生である夫のジョージ(カーク・ダグラス)よりも収入が多く、夫をラジオの仕事に誘います。しかしジョージは。給料よりも世の中にとって大事なことがあると拒否されました。リタは、家に上司のマンレイ夫人(フローレンス・ベイツ)を招いたとき、ブラームスのレコードがエディから届いたことや、ジョージとマンレイ夫人は全くそりが合わず、失望したことを思い出しました。

ローラメイ(リンダ・ダーネル)は、線路わきの列車が通るたびにガタガタ揺れる家に住んでいました。彼女の勤めるデパートのオーナーのポーター(ポール・ダグラス)は離婚しており、ローラメイと付き合っていました。ローラメイは、ポーターの家に行った時、ピアノの上にエディの写真があったことや、彼に再婚するつもりが無いと言われ、わざと疎遠にしたことを思い出します。その後、ローラメイを愛していたポーターが折れて、結婚にこぎつけたのでした。

ピクニックから戻ると、まずリタは家で夫を見つけて大喜び。彼女はマンレイ夫人の為に、自分を犠牲にしない事を約束します。ポーターは遅く帰ってきて、妻の疑いを聞いた時、離婚して慰謝料を得るための口実にしたいのかと反論します。そして、デボラはブラッドがその夜は帰宅できないというメモを受け取りました。二組の夫婦とデボラはパーティに向かい、いつものように同じテーブルに着きました。

ポーターはデボラに妻への不満を話すと、デボラはローラメイの大きな愛を説明します。しかし、ポーターは彼女は自分をレジスターとしか見ていないと譲りません。デボラはブラッドがエディと逃げたと表明し、立ち去ろうとしますが、ポーターは彼女を止め、一緒に逃げようとしたのは自分だと告白。ローラメイに、事実を認めるので自分と離婚し財産を手に入れることができると話します。しかし、ローラ・メイは、何もそんな話は聞かなかったと言い、彼女の愛を確信したポーターはダンスを申し込むのでした。エディのナレーション「やれやれ、おやすみなさい」で物語は終わりました。



三人の妻への手紙

小さな町で家族ぐるみの付き合いのある3人の妻。ボランティアで小学校のピクニックの手伝いに出かけた3人は、出発間際に共通の友達のエディから。今日、3人の夫の誰か一人と駆け落ちして、もう町には戻らないと書かれた手紙を受け取りました。すでに上船する間際で、もう家と連絡する手段はありません。ボランティアの間中、ずっと夫のことが気になり始め、それぞれの馴れ初めから、今までの生活を回想しつつ反省し、だんだん自分に正直になっていく三人の物語でした。

なにやら、ミステリーの導入部を感じさせるようなプロットが面白く、またこの手紙の主であるエディは、誰の言葉からも美人で欠点のない理想の女性と思われています。いわば完全無欠の女神なのでした。そうすると、これは三人の妻たちの自覚を促すために、エディが仕組んだことと気づかされます。その目的は夫婦愛を見つめ直し、取り戻すことということでしょう。三人ともそれぞれ特徴があり、素直になれないところは共通して、一筋縄ではいかない感じです。よくもまぁ、こんなにひねくれたものだという感じでした。そして、エディの目論見はだんだん実っていき…というお話です。

マンキーウィッツ監督のドラマ。人間の心理を描くうまさは、「イヴの総て」で体験済みですが、この映画でも、それぞれの女性の性格描写が、大変秀でています。そこには激しい喜怒哀楽もあり、嫉妬もあり、愛情と不安もありというところです。女性心理のデパートみたいな感じでした。男性は無邪気に自分の理想を負い、妻の心を顧みない部分はありますが、妻との会話はそれなりにそつなく対応していますので、致命的な問題まではなさそうです。そして三者三様の解決を見て、「やれやれ」というところで。奥深い夫婦関係を描く、身につまされる映画が終わったのでした。

2020.6.14 HVMC 自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ランナウェイ・ブルース」 ネバダの田舎町と明日への希望

Amazonから、予備知識なしでふらっと見始めた映画。よさそうな雰囲気でしたので…。監督はアラン・ポルスキーと、ガブリエル・ポルスキーで、2012年の映画です。
原題:The Motel Life (2012)

あらすじ
モーテル暮らしから抜け出せない二人兄弟。兄のジェリー(スティーヴン・ドーフ)は、少年時代に事故で片足をなくし、弟のフランク(エミール・ハーシュ)は二人の暮らしを支えていました。フランクは、物語を作るのが上手で、ジェリーは絵を描くのが得意です。フランクは15歳で中古車屋で働きはじめ、店主のアール(クリス・クリストファーソン)が面倒を見てくれていました。フランクにはアニー(ダコタ・ファニング)という恋人ができましたが、彼女の母は娼婦で、ある時彼女を訪ねると、アニーは母親と共に、男性と下着姿でいたことから、後で訳を話しに来た彼女も拒絶し、疎遠になってしまいます。そして、ある日ジェリーが子供をはねてしまいます。ジュリーは、病院の前に遺体を遺して逃げ帰ってきたとの事で、二人は逃亡しようと、車で町を出ましたが、途中でジェリーは一人車で去ってしまい、フランクはバスで戻ってきたのでした。

ジェリーは雪の中で車を燃やし、自殺しようと銃で足を打ちますが死にきれず、病院に運ばれます。フランクは亡くなった少年の家を見に行き、両親と子供たちの姿を垣間見ました。その時、フランクは人家の庭に凍えそうな犬を見つけ、盗んで帰ってきました。病院に証拠を握った警察が訪れますが、ひとまず帰ったところで、病院から逃亡を決意。フランクは父の遺品のライフルを売り、その金をギャンブルで増やして中古車を購入。事情を悟った販売店のアールに励まされ、残った金を少年の家のポストに入れると、病院から逃亡し、アニーが住んでいると思われるエルコへと向かいました。

エルコに到着するとモーテルに泊まり、フランクは傷の癒えないジェリーを介抱します。そして、アニーに会うとすべてを話し、ジェリーにも合わせました。アニーの家からモーテルに帰り、悩み事から泥酔してしまいまい、ジェリーはそんなフランクを励まします。フランクはまだアニーが知らない男といた日のことを思い悩んでいました。ジェリーは、アニーが不運な子だと言い、不運な俺たちと緒になるのだと諭しました。そして絵をフランクに渡し、フランクは喜びます。次第にジェリーの顔色が悪くなり、病院に連れて行くと、フランクはジェリーに創作の物語を語り、そしてジェリーは息を引き取りました。フランクは犬を連れてアニーの働くパン屋を訪ね、アニーは気付くと微笑むのでした。



ランナウェイ・ブルース

自分が人生の敗北者と信じる若者の再起への物語。兄弟二人で生きてきたフランクですが、兄は片足を失い、フランクが生活を支えるも、モーテル暮らしから脱出できません。そして兄がひき逃げ事故で子供を殺してしまい、二人の逃亡生活の中で、過去と向き合っていきます。逃げた先は、かつでの恋人アニーの住む町。疎遠にしてしまいましたが、今の彼にとっての拠り所は、ずっと心の中に刺さっていたアニーしかいませんでした。兄は病状が悪化し、今までの二人の習慣であった、フランク創作の物語を聞きながら息を引き取りました。そして、アニーとのわだかまりに、フランクは自ら悩みますが、兄の励ましによって思い直していきます。

物語の設定としての、ひき逃げで逃亡してしまうとか、犬を盗んだりと、引っかかるところは多々ありますが、ストーリーは、敗北者からの再生テーマの、ロードムービー的雰囲気を持っています。実際、見ながら頭に浮かんでいたのが、「パリ・テキサス」でした。アニーの売春騒ぎは、本人としても被害者なのでしょうが、許せなかったフランク。アニーはそのことが心の傷となり、フランクを思い続けながら、遠い小さな町でベーカリーの店員としてひっそりと暮らしていました。アニーを求めてこの街に来たはずのフランクですが、会ってみると心のわだかまりが消えませんでした。

賭け(このタイソン・ダグラス戦は、東京ドームでの実戦ですね)に勝つのは出来過ぎで、友達もまあ、立派とは言えませんが、中古車屋のオーナーがフランクの支えになっていました。とりとめにない感想しか出てこないのですが、家族のつながりや、周囲の人々の励ましで、過去の束縛から離れ、新しい未来への希望が芽生えてくる、いいラストだと思います。アメリカ・ネバダの田舎町の雰囲気がとてもよく、いい意味でのアメリカの雰囲気が楽しめる映画でした。小道具としてアニメタッチのフランクの創作物語がなかなか面白かったです。

2020.4.9 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「戦場よさらば」 ちょっと古い感はあるが映像は迫力あり

ヘミングウェイの「武器よさらば」の映画化作品。ゲーリー・クーパーによって演じられました。小説は比較的長いですが、この映画は短めです。1932年の映画で、監督は、フランク・ボーゼージ 。オスカーでは、撮影賞と録音賞を受賞し、作品賞他1ノミネートです。

あらすじ
第一次大戦中のイタリアに、救援の衛生部隊として、アメリカ人のフレデリック・ヘンリー中尉(ゲイリー・クーパー)が参加していました。イタリア人軍医のリナルディ少佐(アドルフ・マンジュウ)は、フレデリックの戦友であり親友。リナルディはイギリス人看護婦のキャサリン(ヘレン・ヘイズ)がお気に入りでした、ある日フレデリックは夜の町で空襲にあい、逃げ込んだ路地裏で、美しい看護婦と出会います。そして、将校の宴会でフレデリックはリナルディからキャサリンを紹介されると、まさに昨夜の女性でした。フレデリックとキャサリンはすぐに恋に落ち、リナルディはちょっと面白くない様子でした。

翌日はフレデリックは戦線へ赴き、リナルディは嫉妬から、キャサリンをミラノの病院に転勤させてしまいます。戦場でフレデリックは重傷を負い、リナルディは飛んできて手当をし、嫉妬を反省してか、フレデリックをミラノの病院へと手配しました。フレデリックはキャサリンの看護を受け、結婚を誓い合いますが、フレデリックが戦場に旅立つと、その時すでに妊娠していた彼女は、看護婦をやめ、出来るだけ戦場に近づこうと、国境のブリッサーゴに引っ越してしまいます。フレデリックは毎日手紙を書き、キャサリンも手紙を書いていますが、リナルディはフレデリックを戦争に集中させるという名目を自分に言い聞かせ、すべて検閲して届けず、お互いの事情が分からない二人は、手紙が返送されてしまい心配が募って何にも身が入らなくなります。

フレデリックはついに敵前逃亡し、ミラノへ彼女を探しに行きましたが、キャサリンはそこにはおらず、彼女が妊娠していることはわかりましたが、行先までは解りませんでした。リナルディはフレデリックを追ってきて、彼の真剣さに気づき彼女の居所を教えます。ブリッサーゴの病院では、キャサリンが出産を迎えていましたが、死産してしまい母体もすでに危ない状態になっていました。病院に駆け付けたフレデリックとキャサリンは、最後の出会いに愛の言葉を交わしながら、キャサリンは静かに息を引き取ったのでした。



戦場よさらば

「武器よさらば」は読んだ事がありません。こういうメロドラマだったんでしょうか?比較的短い時間に納まっているので、展開はちょっと目まぐるしい感じがあります。その中で、リナルディや、キャサリンの友人看護婦の、嫉妬心のようなものが見え隠れするのは解りますが、どうにもはっきりとそれとは判らない部分もあり、また思い直して手助けしたりするので、人物像がかなり揺れている感じです。とは言っても現実はそんなものかもしれませんが…。という感じで、ちょっとすっきりしない演出でした。

まず、撮影賞や録音賞をとっているだけあって、面白い映像が多々ありました。ミラノの病院に運ばれて、首を動かせない様子のフレデリックから見た視点。最後にはキャサリンのキスがあり、クローズアップされます。それから、ラストに近い戦場の場面はかなり迫力があったと思います。近頃CGで見慣れた戦場ではありますが、この戦間期に撮られたアナログの戦場も、CGに負けない迫力を持っていて、凄いなと思えるものでした。演技も含めると、なんとなく古いサイレント時代の雰囲気が残ったような感じです。監督もまだ移行期だったのかな?と思いました。

ラストのキャサリンの死は、背後にトリスタンとイゾルデが流れます。定番ですね。この曲が流れると、悲劇が浄化されるような気分になっていきます。そして、ゲイリー・クーパーヘレン・ヘイズを抱き上げて、光差す方に向く。シーツがスカートの裾のような雰囲気がまとわりついていく感じとか、良くできていると思いました。大時代的ではありますが、ラストはきまっています。しかし、この二人が並ぶと、身長差が大きいのに驚きます。ヘレン・ヘイズはオスカーは1931年に主演女優賞。1970年に助演女優賞と、大変息の長い活躍をした大女優でした。

2020.6.13 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「カフェ・ソサエティ」 ウディ・アレンの描く安定の人間模様

ウディ・アレンの新しめの映画鑑賞。ウディ・アレンの映画は見ると思うとワクワクします。そういう数少ない監督の一人なのでした。これは、2016年の映画で、明るいロマコメのようですので、安心です。
原題:Café Society (2016)

あらすじ
時代は、1930年代後半。ハリウッドの大物エージェントである、フィル(スティーヴ・カレル)は、ニューヨークに住む姉のローズ(ジーニー・バーリン)から、姉の息子のボビー(ジェシー・アイゼンバーグ)の世話をお願いされます。ローズの子供は、ギャングのベン、結婚したエヴェリン、末っ子のボビーの三人でした。ハリウッドに到着したボビーは、三週間後にやっと雑用係の仕事をもらい、その週末は、秘書のヴォニー(クリステン・スチュワート)に街を案内してもらいました。堅実なヴォニーにボビーは惹かれますが、ヴォニーは叔父のフィルと付き合っていました。フィルは妻と別れて結婚したいとヴォニーに話しますが、結局フィルは、離婚できないので別れようと切り出します。その後、ヴォニーはボビーとデートを重ねるようになり、愛し合うようになっていきます。

ボビーはハリウッドに憧れてやってきましたが、逆に自分がニューヨーカーだと気づくと、ヴォニーにグリニッジ・ヴィレッジに住もうと話します。一方、フィルはやはりヴォニーが諦めきれず、ボビーに妻との離婚を相談し、ヴォニーに改めて言い寄りました。ここにきて、ボビーもヴォニーの元カレがフィルであったことに気づき、ヴォニーはフィルの方を選ぶとボビーに告げ、傷心のボビーはニューヨークに帰ります。ニューヨークに戻ったボニーは、兄のナイトクラブの支配人になり、クラブの店名や内装を変えると、店は有名人のたまり場となり、支配人のボビーも名士になりました。その店で、離婚したばかりのヴェロニカ(ブレイク・ライヴリー)と出会い、意気投合して結婚。子供が産まれたヴェロニカは家庭を守り、幸せな結婚生活が始まります。

一方、結婚したフィルとヴォニーがニューヨークにしばらく滞在することになり、ナイトクラブを訪れます。大スターとの付き合いを自慢げに話すヴォニーの変化に、ボビーはがっかりしますが、ヴォニーにニューヨークを案内すると、二人に昔の感情が蘇っていきました。やがて、兄であるギャングのベンに捜査の手が伸び、逮捕され死刑判決が出てしまいます。ベンのスキャンダルでクラブは逆に繁盛し、ボビーはハリウッドに支店を出すことを検討し始めました。ボビーはハリウッドで、ヴォニーと思い出の場所を訪れますが、二人はもう昔に戻れないことがわかっていました。そして、新しい年が始まると、ボビーとヴォニーはそれぞれ別の場所で新年パーティーに参加するのでした。



カフェ・ソサエティ

ウディ・アレンの映画鑑賞。かなり満足です。なるほど、中高年にもチャンスがあるのですね。でも、心まで完全には無理なんですね。良く解りました。そして、偉い人も、普通の人も、悪い人も、迷惑な人も、いろいろな人が入り乱れて出てきますが、人生いろいろですし、逆にいろいろ無いと楽しくないという感じが良く出ています。しかし、ウディ・アレンに騙されて、素人が同じことができると思い込むと、社会的生命を失うような失敗に至るのは、目に見えています。ウディ・アレンの魔力です。

ある意味、彼の映画はパターンに嵌っていて、変わりばえしないという所もありますが、見ていてこれほど安心感があるのも稀で、だいたいちょっとほのぼのと、皮肉っぽくまとめてくれるので、見るたびに今度はどんな夢の世界に運んでくれるかなといつも思うのです。それも、ここ最近磨きがかかってきて、レベルが高いところで安定しているという感じがします。この映画では何といってもジェシー・アイゼンバーグがいいですね。スティーヴ・カレルも良かったです。珍しく目立つバランスは、男性の方に寄っているような気がしました。

ウディ・アレンは、引き続き映画製作は続けていて、予告も出ているようですが、今は逆風で、出来ることが限られていると言われています。レイニーデイ・イン・ニューヨークは、撮影がまだ事件前だったので、いつも通りでしたが、それ以降はどんな作品になるのか、ちょっと心配です。今の環境が早く落ち着くことを願ってやみません。

2019.12.30 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「サランドラ」 岩山に住む殺人一家との対決

70年代の昭和を感じる9月その5。またまた外国映画です。この頃、ホラー映画がけっこうはやった記憶があります。エクソシスト(73)オーメン(76)など有名作以外にも、B級ホラーもいろいろ公開され、近所の二番館に見に行きました。この映画も名前は聞いたことがありますが、どうでしょうか。1977年の映画で、監督はウェス・クレイヴンです。
原題:The Hills Have Eyes (1977)

あらすじ
警察を退職したボブ(ラス・グリーヴ)は、トレーラーに家族を乗せてカリフォルニアへ向かいながら、かつての銀鉱に立ち寄ることにします。途中のッスタンドで給油中、スタンドのフレッド爺さん(ジョン・スティードマン)は、危険を告げ、すぐに戻るよう強く勧めますが、ボブはさらに砂漠地帯に入っていき、その挙句に事故を起こして立往生してしまいました。ボブは救援を求めるため、歩いてスタンドに戻り、妻のエセル(ヴァージニア・ヴィンセント)、娘のブレンダ(スーザン・レイニア)とリン(ディー・ウォーレス)、息子のボビー(ロバート・ヒューストン)はトレーラーに残り、リンの夫ダグ(マーティン・スピアー)は更に先の様子を見に行きます。スタンドに戻ったボブは、フレッド爺さんから、息子のジュピター(ジェームズ・ウィットワース)が、幼い頃から狂暴で、斧で殺そうとしたが失敗。山に潜んで子供を何人も作って育てているという話を聞き、フレッドはそこに襲ってきたジュピターに殺されてしまいました。

ジュピターは一緒に暮らす女(コーディ・クラーク)との間に、息子のプルート(マイケル・ベリマン)、マース(ランス・ゴードン)、マーキュリー(アーサー・キング)、そして娘ルビー(ジャナス・ブリス)を設け、岩穴で暮らしていました。その夜、ダグは戻ってきましたが、ボブは途中でジュピターに火あぶりにされてしまいます。そして、トレーラーにプルートとマースが侵入し、エセルとリンを射殺し、ダグの赤ん坊のケイティを食糧にするため、さらって逃げていきました。マーキュリーが、一家の愛犬ビーストによって殺されると、怒ったジュピターはプルートを連れて夜明けとともに、復讐に向かいます。途中でプルートがビーストに殺され、ジュピターはボビーとブレンダのしかけた罠によって死亡。ダグはケイティ救出の為、岩山に向かい、一家から逃げ出そうとしていたルビーが、ケイティを抱いて出て来たところに合流。後を追うマースと格闘し、ルビーのサポートもあって、ついにダグはマースを倒したのでした。



サランドラ

公開時は残虐性で話題を呼んだという映画の様ですが、今、そういった期待で見ると、その後さら残虐性をにエスカレートしていった作品が、沢山作られているので、それほど感じません。ホラーというより、むしろヴァイオレンス・アクションといった感じでした。洞窟に住む一家は、15世紀にスコットランドにいたとされる、ソニー・ビーン一族を題材としているようです。スキンヘッドのプルートが目立っていて、ジャケットにもなっていますが、敵方の主役という訳ではありませんでした。

ストーりーは至って単純で、岩山に住み、通りかかる人間や動物を食糧として生活しているジュピター一家が、立ち往生したカーター一家に目を付け、両者の抗争となっていくというもの。銃撃は最初の方で出てきますが、弾が絶えたことから、なんでも武器にして、戦う映画になります。ビーストが頭が良くて、大活躍でした。感想としては、それほど緊張感は感じず、人物造形も感情移入できるようなものでは無くて、その単純なストーリーを1時間半かけて見ているだけという感じでした。

この時期に作られたB級ホラー映画は、似たような名前の邦題をつけられたものが多く、題名と中身が結び付かないのですが、この映画も全く関係のない、雰囲気だけの邦題になっています。そんな70年代のホラーやアクション映画。内容は置いておいても、その頃の雰囲気が楽しめるので、けっこう好きなんです。今回見たのは、デジタル・リストア版とされていますが、映像はまずまずといったところでしょうか。快適に鑑賞できる画像で良かったと思います。

2020.9.12 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ザ・コール 緊急通報指令室」 電話の向こうの緊張感

ちょっと面白そうなサスペンスかなと思ってみてみました。イメージは、「THE GUILTY ギルティ」とか、あるいは、少し前に見た短編映画の、「Une soeur (2018):(オスカー短編映画賞ノミネート)」 などの雰囲気を想像し、緊張感を期待して見始めました。2013年の映画で、監督はブラッド・アンダーソンです。
原題:The Call (2013)

あらすじ
ジョーダン(ハル・ベリー)は、緊急通報司令室のオペレーターで、以前、少女から侵入者の通報を受けた時に指示を誤り、少女が惨殺されるという経験を持っていました。そして、そのトラウマから現役を退いていました。ジョーダンは、ある日誘拐されて、車のトランクに入れられたケイシー(アビゲイル・ブレスリン)から、通報が入り、経験不足のオペレーターに変わって、自ら対応を開始します。ジョーダンは、上司に励まされながら、不安定なケイシーから状況を聞きだし、車の特徴をパトロール中の警官に流します。そんなジョーダンの声に、恋人のポール(モリス・チェストナット)は彼女の復帰を喜びました。しかし、ジョーダンはケイシーと連携し、トランクの中から細工をして外部に知らせようとしますが、なかなか発見には繋がりません。

誘拐犯は別の車から車の異変を知らされ、指摘した男を殺して、その車に乗り換えます。そして、ケイシーに大人しくしているよう脅しますが、その声が電話を通して、ジョーダンにも聞こえ、それは以前の事件の電話の向こうの声と同じでした。ポールは乗換現場に残された車の指紋から、容疑者をマイケル・フォスター(マイケル・エクランド)と特定し、自宅に踏み込みます。一方、マイケルは隠れ家に着くと、ケイシーの携帯電話が緊急通報司令室と繋がっていることに気づき、電話を切りました。ポールはマイケルの部屋の写真から、マイケルの実家が怪しいと睨み、特殊部隊を実家の方に踏み込ませますが、そこは無人でした。一方、ここで司令室としての役割を終えたとして、ジョーダンは上司から帰宅を命じられました。

その頃、隠れ家でマイケルに拘束されたケイシーは、マイケルの歪んだ欲望を見てしまいます。一方、ジョーダンは通報の最後の部分を精査し、交信の途切れたマイケルの実家に単独で向かいます。そこで彼女は古いアルバムを見付け、美しい金髪のマイケルの姉が、病気で髪を失い、衰えて行く記録を見つけました。ジョーダンは録音で聞いた音が出ている柱の根元に地下室を見つけます。そこではマイケルは姉を思い浮かべる為に、金髪の娘を誘拐し、髪を剥ぎ取っていたのでした。マイケルがケイシーの髪を剥ぎ取ろうとしているところを、ジョーダンが襲い、ケイシーと連携してマイケルを拘束すると、ジョーダンは彼に、緊急通報司令室のオペレーターだと告げ、マイケルを誰も知らない地下室に拘束して放置し、扉を閉めるのでした。



ザ・コール 緊急通報指令室

今年見た同種の映画である、「THE GUILTY ギルティ」を意識しながら鑑賞しました。緊急通報に関する対応の失敗で、通報者が殺されてしまい、緊急通報対応が怖くてできなくなって、教官となったジョーダンが、教習中に同じ犯人が絡む緊急通報に遭遇。自然に体が反応し、犯人との対決に全力を挙げていくという内容です。サスペンス的な部分のギミックは、ギルティと同じですが、この映画は指令室だけでなく、リアルタイムに現場の状況が映像化されています。そういう意味では解りやすく、また違った緊張感がありました。

猟奇的な男役のマイケル・エクランドが、けっこう好演していると思います。怪しさを満面に出し、かつ良き夫であるような役作りから、いかにも憎い犯人像が浮かびだしてきます。最後の対決シーンはいろいろと疑問点があります。ジョーダン本人が現場に急行する訳ですが、その単独の勝手な行動も問題ですが、今までの捜査過程で情報共有がもっとできているのではないかとも思いました。現地の捜査員が引き上げてしまって、痕跡も無いのも少々疑問に思います。彼女にとっては前回の殺人の弔い合戦でもある対決は、最後は放置プレイ。これは面白い結末でしたが、リアリティはギルティの方ですね。

この映画は、やはり電話のやり取りで、少女がいろいろと行動していくのが、緊張感があって良かったと思います。巻き込まれた人々はかわいそうですが、いずれも犯人と対決しようとしていました。見て見ぬふりをしていないところがいいのですが、本当に皆こんな行動をするのだろうか?ということをちょっと感じました。

2019.12.7 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「群衆」 時が経っても色あせない社会派の名作ドラマ

フランク・キャプラ監督の代表作の一つで、戦前のキャリアの最後の方で製作された作品です。1941年の映画で、オスカーでは、原案賞にノミネートされました。
原題:Meet John Doe (1941)
ジョン・ドゥは、名無しの権兵衛みたいなニュアンスらしいです。

あらすじ
ある新聞者が買収され、大量解雇が行われています。対象となった婦人記者のアン(バーバラ・スタンウィック)は、最後にジョン・ドゥから来た投書という名目で、「この世界に抗議するため、クリスマス・イヴの真夜中、市庁舎の塔上から飛下り自殺する」という記事を書き、社を飛び出しました。記事は大反響を呼び、新編集長コーネル(ジェームズ・グリースン)は彼女を呼び戻し、彼女の提案で、ジョン・ドゥという人物を仕立て上げ、連日その記事を書くこととなりました。志願者の中で彼女の目にとまったのは、ジョン・ウィロビー(ゲイリー・クーパー)という元野球選手。彼は相棒の「大佐」(ウォルター・ブレナン)と放浪生活を送っていました。

ジョンは、アンの創作に基づいて行動していましたが、生活に疑問を感じ、ラジオに出演した日に彼女の前から立ち去り、再び放浪に出ようとします。しかしすでに民衆の偶像となっていたジョンは、瞬く間に発見され、彼はジョン・ドゥとして世直しに立ち上がることとし、アンと共に全国を遊説して回り始めます。全国にジョン・ドゥ支援者のクラブができ、その全国大会が開かれる直前に、ジョンは酔ったコーネルからこの運動が、社長ノートン(エドワード・アーノルド)の大統領選出馬の手段であることを聞き、純粋に運動を続けているつもりだったジョンは、ノートンに元に乗り込み、大会で真相を暴露すると糾弾し、雨の会場に向かいました。

しかし、ノートンは周到に部下を差し向け、ジョンの演説を妨害し、何十万の群衆を前にジョンがペテン師であることを公表。ジョンはなすすべなく、人前から姿を消してしまいました。そして、クリスマス・イヴ。ジョンを想って病床にあったアン、見つけて自殺を思いとどまらせようとする、コーネルと大佐、そして、穏便に片づけたいノートンらが集まり、アンは愛しているジョンを必死の思いで思いとどまらせると、そこには思い直した支援者団体のメンバーも現れ、ジョンはアンとともに立ち去るのでした。



群衆

マスコミのでっち上げ報道が、あれよあれよという間に、全米を巻き込んだ一大ムーヴメントになるというお話です。後で考えると、そこまで上手くいくものか?という気はしますが、展開はよくできていて、納得しながら見ていました。ある意味アメリカンドリーム的要素もはらみ、壮大な作品でした。この映画が、「アメリカ国民が、どのような人々か、どのような国民かをよく示す作品」という基準で選ばれる、アメリカ国立フィルム登録簿に、初年度で登録されているのを見ても、これがアメリカであり、アメリカ国民だということなのでしょう。ノートンによる講演地域拡大の場面は、まさに大統領選の陣取りゲームのようです。

そして、爆発的に拡大する群衆の心理と、一つのきっかけであっさりと反転してしまう心理は、マスコミの捏造という問題も絡めて、極めて普遍的な問題と思います。この時代はまさに、世界的にはヒトラーが台頭し、また太平洋戦争に突入する時代であり、マスコミの影響力の大きさが、クローズアップされ始めた時代と思います。現在ではネットの時代となって、逆に誰もがその力を利用できる時代になっています。この映画の意味するところが、当時よりも遥かに身近になっていると言ってもいいかもしれません。

ゲイリー・クーパーバーバラ・スタンウィックともに素晴らしい演技を見せており、ラストの塔の上のシーンは激情的でもあり、感動的でもあります。時代と共に評価も高まっている映画だと思いますが、当時のオスカーでは作品賞候補から漏れています。ゲイリー・クーパーはヨーク軍曹で主演男優賞をとっていますが、「わが谷は緑なりき」、「市民ケーン」、「マルタの鷹」と多士済々とはいえ、ノミネートの10作品に入らなかったのは不思議に感じました。そういえば、市民ケーンもマスコミ関連で、この時期、この種のテーマが増えてきたのでしょうか…。

2020.6.12 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」

昨年はジョーカーが一世風靡しましたが、ことしはハーレイクイン。ということで、キャラが両極端ですから、ジョーカーのような映画にはならないはず。絶対楽しめるだろうというノリで見に行きました。2020年の映画。監督はキャシー・ヤンということですが、まぁ、お目当ては、マーゴット・ロビーですね。
原題:Birds of Prey (and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)

あらすじ
ハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は恋人のジョーカーに捨てられ、傷心のままドク(ダナ・リー)の中華料理屋の二階に住み、「J」のネックレスを投げ捨て、自分が生まれ変わったエースケミカルズを爆破。その現場近くで、クロスボウを操る自警団事件を捜査中のモントーヤ刑事(ロージー・ペレス)はネックレスを発見し、ハーレイ・クインがジョーカーの庇護から外れたことに気づきます。ある日、ローマン・シオニス(ユアン・マクレガー)の経営するバーで、ハーレイ・クインはローマンの運転手を痛めつけ、ローマンの部下たちに誘拐されそうになりますが、バーの歌姫ダイナ(ジャーニー・スモレット=ベル)の加勢で返り討ちにしました。それを見ていたローマンはダイナを自分の運転手に取り立てます。

ローマンはあるダイヤモンドの入手を、部下のザーズ(クリス・メッシーナ)とダイナに命じますが、入手したダイヤを、ダイナの隣人でスリの名手、カサンドラ(エラ・ジェイ・バスコ)に盗まれてしまい、カサンドラは逮捕された時、パトカーの中でダイヤを飲み込んでしまいます。その頃、町中の悪党の標的になっていたハーレイは、ローマンにカサンドラとダイヤを回収することを約束。ハーレイは警察に乗り込み、収容中の凶悪犯たちも一緒に始末し、カサンドラを連れてドクの家に戻りました。その頃ドクのもとに、クロスボウの名手で、虐殺されたバーティネリファミリーの生き残りのヘレナ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が、仇討の為情報収集に現れます。そして、ハーレイは再び襲撃され、ローマンにカサンドラの居場所を教える代わりに身の安全を要求します。

ハーレイがローマンと待ち合わせたのは、廃墟の遊園地。状況を知ったダイナは、モントーヤにカサンドラの居場所をしらせ、ザーズは偶然ダイナの裏切りを確信、ローマンに知らせます。ダイナの裏切りを知ったローマンは、ブラックマスクの姿に変身。ハーレイは、遊園地のトイレでカサンドラにダイヤを排泄させようとしているところに、モントーヤが到着し、さらにザーズとダイナが登場。そこに、仇のザーズを追っていたヘレナが現れザーズを殺害します。ブラックマスクとなったローマンと大勢の犯罪者たちも登場し、ハーレイ、ダイナ、モントーヤ、ヘレナ、カサンドラの5人は団結してこれに立ち向かいました。

ハーレイのチームは敵を撃退していきますが、ブラックマスクはカサンドラを攫って桟橋へと逃走。ハーレイはブラックマスクを追い詰めますが、カサンドラを殺そうとするブラックマスクの前に絶体絶命のピンチ。その時、カサンドラはハーレイの武器コレクションから持ち出した手榴弾を、ブラックマスクのジャケットに入れ、ハーレイがブラックマスクを川に放り込み爆殺。ハーレイたちは勝利したのでした。祝勝会を行う5人でしたが、カサンドラがついにダイヤを排泄すると、ハーレイはカサンドラと裏口から二人で逃亡。ダイヤを質屋に売り二人でビジネスを始めます。ヘレナはファミリーの資金を元手に自警団を立ち上げ、ゴッサム市警を辞めたモントーヤ、ダイナも加わり3人で悪と戦うこととなったのでした。



ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

やはりこの映画、メチャ楽しかったですね。ベタなギャグも多いのですが、それも含めて盛りだくさんでした。マーゴット・ルビーのハーレイ・クインの演技はさすがです。警察を襲撃した時、いつもは、黒い系統の暗い口紅なんですが、赤い口紅でコートを着て現れて、ドキッとしました。やることは、無茶苦茶ですが爽快。最初から最後も出、それに終始しています。

ラスト近くになると、「女子ーズ」みたいなノリになっていました。もちろん桁違いに規模が大きいですが、雰囲気がです。悪役っぽいメンバーが揃っても、女の子だとそうなるのですねぇ。男は形無しで、特に急所を痛めつけられるシーンが何度も出現します。結局男と戦うには、そこなんですね。あとは、バトルの相手の説明が、いちいち漫画チックに説明されるのも楽しかったです。

という訳で、英語で見ていたので、細かいところや、ギャグのいくつかは、解っていないところや、見逃している所も多いかもしれませんが、これだけ楽しめれば文句はありません。さすが、マーゴット・ルビーといいますか、ハーレイ・クインと言いますか。時々見返して、楽しんで見たい映画でした。

そうそう、「ダイアモンドは女の親友」は最高です!

2020.2.16 HCMC CGV Cinemas Dpng Khoi にて

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Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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