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「破られた約束」 スロバキアのユダヤ人の悲劇を描く

珍しいスロバキア産の映画。ホロコーストものの映画でした。スロバキアにおけるユダヤ人迫害を生き抜いた主人公の自伝小説をべースにしています。日本未公開、ネット配信のみの形式です。2009年のスロバキア・チェコ・アメリカ合作の作品になります。

あらすじ
スロバキアのユダヤ人一家に生まれたマルティンは、サッカーの腕はピカ一でしたが、ヨーロッパの戦局が第2次大戦に向けて進む中で、ユダヤ人はすべての権利を奪われていく。そして、収容所内ならサッカーができると、志願するマルティンだが…。



スロバキアは、1939年ドイツの傀儡政権である、ヨゼフ・ティソ政権に変わりました。ユダヤ人一家に生まれたマルティン(Samuel Spišák)は、サッカー少年として学校でも活躍していましたが、政権交代後、ユダヤ人のすべての権利が剥奪されていきます。危機を感じたマルティンの親類の一人が全員のパレスティナへの渡航のお膳立てをしましたが、マルティンの家族は、まだそれほど深刻な事態になる前で、事態の好転を信じ、移民になることを断念しました。しかし、親族からも徐々に収容所に送られる者が出る中で、先に収容所に入っていたサッカー友達のフレッドの手紙で、収容所でサッカーができることを知ったマルティンは、志願して収容所に入ったのでした。

志願して収容所に入ったとは言え、収容者への扱いは変わりませんでした。しかし、サッカーの腕前で所長の目に留まったマルティンは、幾度か選別されポーランドに送られるのを免れます。ポーランドへの移送はそのまま死を意味していました。収容所ではやがてフレッドもポーランドに送らる中、同室の者から赤軍のパルチザンの情報を聞きます。その後、重度の肺病を患って危篤状態となったマルティンは、収容所の初期治療を生き抜き、療養所に送られることになりました。そこでは回復後も仮病を使って居座っていましたが、やがて追い出されてしまいます。

マルティンは療養所で知り合った神父を頼って修道院に入りますが、やがて修道院がユダヤ人を匿っているという噂が流れて出ていかざるを得ず、収容所で得た情報から、赤軍のパルチザンに入りました。そこはロシア人を主体とする小隊で、ここでもユダヤ人であることが判ってしまうと、殺されるという過酷な状況は続きます。そんな中で、ドイツ軍との小競り合いを何度か潜り抜け、ついに赤軍が眼下に入って来るのを見て万歳の声を上げるのでした。そして、戦勝者として、軍人として故郷の町に帰ったマルティンは、人手に渡った生家の物置に入れてもらい、かつての家族の写真を見つけ、涙するのでした。

破られた約束

スロバキアのユダヤ人の数奇な運命を描いた、実話の歴史劇です。映画としての表現というよりは歴史の重さをストレートに描いたホロコーストものの歴史劇ですので、あくまでも実話を見ることが主体になります。マルティンや取り巻く者のいろいろな行動も、事実に基づきながら、ストレートに描かれていきます。それは、その時代を生きた人々の姿や行動ですから、人がどういう風に考え、行動するものであるかが、よく理解できる形になっています。

「破られた約束」という題名は、傀儡政権発足時、親族で集まった晩餐会で、1年後に全員の再開を果たすという約束が守られなかったという所からのものです。スロバキアのユダヤ人で生き抜くことができたのは20%くらいであることが、最後の字幕で語られます。そのような過酷な運命の中で、加害者は、ドイツ軍にのみならず、一般市民も加担していく状況が語られています。そういったことを、それほど大げさにでもなく、淡々と映し出していくところに、この映画の迫力があるのだと思います。

最後にデータだけでも、ということで、監督はJirí Chlumský チェコのプラハ出身で、映画やテレビドラマで活躍中のようです。原作は、マルティン・フリードマン=ペトラシェクの自伝によるもので、役名も同様です。主演は、Samuel Spišákで、1992年ブラチスラヴァ生まれの俳優。映画自体は、スロバキアとチェコで公開されたほか、各地の映画祭で公開されたようです。

原題:Nedodrzaný slub、英語原題:Broken Promise

2019.5.11 HCMC自宅にてAmazon Primeよりパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

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