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「ワーキング・ガールズ」 国境を超える悩める三人の娼婦たち

オンライン映画祭の「第11回マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)」からの鑑賞です。2021.1.15-2.15の期間中は、各国から無料視聴できる形です。今回は、2020年の映画で、フレデリック・フォンテーヌアンヌ・パウリスヴィックの監督の作品です。ベルギー・フランス合作です。
原題:Filles de joie (2020)

あらすじ
雨の中、死体を穴に落として埋める3人の映像からスタート。団地の忙しい朝、母と子供3人と暮らすアクセル(サラ・フォレスティエ)は、ドミニク(ノエミ・ルヴォヴスキ)の待つ車に向かい、黒人娘のコンソ(アナベル・ラングロンヌ)が合流すると、3人で国境を越え、職場であるベルギーの娼館へと通います。その日、アクセルは子供の問題で学校に呼び出されると、そこにはDVで接触禁止となっている夫(ニコラ・カザレ)がいたため口論になりました。そして、別の日アクセルを尾行した夫は娼館に現れ、アクセルはやむなく彼を客として扱う事になってしまいます。

コンソは白人男性(ジョナ・ブロケ)と恋人関係にあり、将来子供を持って結婚することまで夢見ていました。ある日コンソは、仕事を終えて待ち合わせの部屋に向かうと、そこでは彼に子供が生まれたことを祝う乱交パーティとなっており、騙されたことを悟ったコンソは、麻薬の過剰摂取で危篤となり、アクセルに助けられます。そして、アクセルとドミニクは男を嵌めて二度とコンソの前に現れない様、懲罰を与えます。ドミニクは遊びに出るたびに金の無心をする息子と、失恋以降反抗的になった娘に手を焼いていました。そして、娘が売春に手を染めたと判り、家族の前で切れてしまいます。

アクセルが家に戻ると、夫が子供たちを連れ戻しに来ていました。彼は、妻が娼婦である以上、親権を取り戻せると考えいたのです。そして、アクセルの体を求め、もみあいになると、アクセルの母(Els Deceukelier)が殴打し、夫は意識を失って倒れてしまいます。ドミニクとコンソも現れ、ドミニクは夫を窒息死させ、三人で工事現場に運んで埋めてしまいました。翌日、3人がベンチで休んでいると、工事の作業員たちが休憩にやって来ました。そしてミキサー車が現れます。ドミニクが訪ねると、これから生コンを注入するということなのでした。



ワーキング・ガールズ

国境を超えて働く三人の娼婦たちは、普通の母親であり娘でした。そして、夫や子供のこと、あるいは自分の将来に不安や問題を抱えていました。アクセルは問題を起こす子供たちと、DV夫との離婚問題。ドミニクは二人の年ごろの子供の行動。コンソは、普通に働きたいという願い。いずれも、ごく普通の平穏と幸福を求め、その為に生活資金を稼いでいます。しかし、それぞれの日常は平穏ではなく、周りの男性はどうしようもない男ばかり。そして、DV夫の殺人までに至りました。そんな3人の女性の姿を描いた映画でした。

娼婦というシチュエーションもあって、面白くテンポよく話が進んで行きます。娼館を訪ねる男たちの性癖はかなり変わっている人が多く、そのあたりもネタになっていて、コメディタッチで楽しめます。DV夫の殺害は、「OUT」みたいでしたが、そこまでの猟奇的映画ではありません。そして、今回三人に起こった騒動は一通りの解決を見て、新たな生活が始まる可能性を見せて終わりました。この映画は、テンポも良く大変面白いし、三人も特徴的に良く描かれていると思います。ただし、ここまで描いたのであれば、もっとドラマティックに展開できるのではないかという感じが残らないでもありません。題材の割にはこじんまりとまとまったかなという感じでした。

普段の姿と、娼婦の姿のギャップも面白いと思いました。これは、実際にそういう事だと思います。そして、男たちはその屋内の姿を求めて娼館に通い、一方で外では蔑むという事実が素直に描かれています。そんな男の行動も、休憩中の彼女たちの会話のネタになっているのでした。刺激的な題材を扱う半面、普通の映画以上に、あまりにも生活感のあふれる女性たちの映画でした。視点としては面白かったと思いました。今年のオスカーのベルギー代表作品に選ばれたようです。ちょっとインパクト不足かな…?

2021.1.31 HCMC自宅にてMyFFF映画祭サイトよりパソコン鑑賞
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「午後8時の訪問者」 良心の呵責とか、罪滅ぼしとか…

題名とキャッチフレーズから、事件に巻き込まれていく医者の話かなと思って、サスペンスを期待して見始めました。2016年の映画で、ベルギー・フランス合作映画。監督は、ジャン=ピエール・ダルデンヌです。カンヌ映画祭では、パルムドールのノミネート作品となっていました。

あらすじ
小さな診療所で働くジェニー(アデル・エネル)は、研修医のジュリアン(オリヴィエ・ボノー)を咎めている時、インターホンが鳴ります。しかし、診療時間を一時間も過ぎていたため、応対しようとするジュリアンをとめ、翌朝訪ねてきた刑事に、昨夜訪ねてきた少女が身元不明の遺体として発見されたことを知らされました。ジェニーは応対しなかったことに罪悪感を感じながら、診療所へ出勤しなかったジュリアンを訪ねると、ジュリアンは医者になることを諦めると言い出します。

後悔に苛まれながら、往診先で少女の写真を見せて身元を調べるジェニーは、患者の一人ブライアン(ルカ・ミネラ)が少女の写真を見た時、心拍数が上がったことに気づきます。ジェニーはブライアン問いただすと、少女が高架橋下にあるキャンピングカーで売春していたことを見たと告白。キャンピングカーの持ち主の父からも情報を得て、彼女と関係のあると思われるネットカフェで少女の写真を見せると、店員も客も「知らない」と証言。しかし後日ジェニーはそこにいた客たちに襲われ「あまり嗅ぎ回るな」と釘を刺されました。ブライアンの両親からも、これ以上少女の事でブライアンに近づくなとクレームを受けます。

その後、ブライアンの父親(ジェレミー・レニエ)が診療所を訪ねてきて、少女が死んだ夜に彼女を買おうとし、交渉のもつれから追いかけている途中で彼女が転落したことや、その後助けずに立ち去ったこと。彼女に会っていることをブライアンに見られていたことを告白します。ジェニーは自首を薦めますが、彼はトイレで自殺を図り失敗。警察へ電話することにします。そして、診療所にネットカフェの店員が現れ、「警察へ行く前にお礼を言いに来た」と言い、少女は自分の妹で、男と三人で住んでいたが、男の気持ちが妹に移り嫉妬していたことや、男が少女に売春させていたことなどを告白。彼女が診療所を後にすると、再びジェニーはいつもの日常へ戻っていきました。



午後8時の訪問者

どきどきするサスペンスかなと思っていましたが、静かな人間ドラマでした。一時の感情もあり応対しなかったことから、良心の呵責に苛まれ、身元不明の少女の身元を割り出し、両親に報せ墓石に名前を刻もうとするジェニーは、ただ名前を知りたいと、会う人に聞き込みをしていくという展開。その中で知られたくない事実が露見していく関係者から恨まれていくジェニー。そして、実際の少女の死に関わった人物は、大きな後悔を抱えて苦しんでいました。

診療所のブザーが鳴って応対しなかったことから発展していきますが、その後に彼女の行動は見殺しにしたという良心の呵責に、係わったことに納得感を得たいという気持ちも交じっていくように思えます。だんだん関係する人の恥部を暴いていくという結果になっていき、それに対する怒りに変わっていく部分もあったのでしょう。そして、こういうことに深入りすれば危ないという事も普通に起こってきます。その結果は非情な事実を暴くことによって、解決を見たのでした。

事件の真相はスッキリするようなものではなく、残された者にとっては誰も報われないようなもの。しかし、ジェニーがブライアンの父親に言ったように、良心の呵責として少女は二人の中に生き続けている。それを何とかしないと未来はない。ということのようです。死んだ人が浮かばれないとよく言いますが、それは死んだ人に関係する人々の心の重荷が下りないという事と同義なのですね。最後に亡くなった少女の悲哀を語って物語は幕を閉じました。主演のアデル・エネルさんを見るのは初めてですが、雰囲気もいい感じで良かったです。

2020.2.2.HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「母親たち (2018)」 (Duelles) ベルギーのアカデミー賞を席捲したサイコ・スリラー

AmazonPrimeの特典動画から、比較的近作の映画を鑑賞しました。邦題は「母親たち」で、原題は「Duelles」。デュエルなので、決闘みたいな感じです。そして、英題が、「Mothers' Instinct」で、母の本能。だいたいこの三つから、内容が想像つくというものです。2018年の映画で、フランス=ベルギー合作作品。監督は、オリヴィエ・マッセ=ドゥパスで、この年のベルギーのアカデミー賞に相当するマグリット賞で作品賞を含む9部門を受賞しました。

あらすじ
学校にマキシムとテオを迎えに行ったセリーヌ(アンヌ・コエサン)は家に帰ると、盛大な誕生パーティーのサプライズに迎えられました。セリーヌは夫のダミアン(アリエ・ワルトアルテ)と息子のマキシムの3人家族。一方サプライズを主催したアリス(ベルル・バーテンス)は、夫のシモン(メーディ・ネブー)と息子のテオの3人家族。生け垣を挟んで隣同士の2つの家族は、お互いの家の鍵を持ち、親しく交流していたのでした。ある日、庭仕事をしていたアリスは、病気で学校を休んだマキシムが窓を乗り越えて猫を追おうとしているのを発見し、慌ててセリーヌを呼びに隣家に駆け込みますが、時すでに遅く、マキシムは転落死してしまいます。セリーヌは悲嘆にくれ、アリスがすぐに直接助けなかったことを責めます。

アリスは、親しかったセリーヌの行動に恐怖を感じ始めます。セリーヌはテオの大事にしているウサギの縫いぐるみをマキシムの棺に入れたり、またそれを謝って和解したりと、疑惑と和解を繰り返しながら、両家の交流は続きます。ある日テオの誕生パーティーに出席した心臓の弱かったシモンの母が、急に具合が悪くなり息を引き取りますが、セリーヌの行動に疑いをもったアリスは、夫には黙って母を解剖。これが露見すると、夫は妄想のせいだとアリスを責めます。セリーヌは表向きは平静を装いながら、隣家の子供のテオを我が子のような目で見るようになり、それがアリスの疑惑を増幅します。ざわつきながらも気遣いつつ交流を続けてきた両家ですが、シモンも限界を感じ、2週間後に引っ越すことにしました。

引っ越しの話をセリーヌに語った夜。セリーヌはダミアンから、今後はもう隣家との交流を絶つべきだとセリーヌに提案。テオとの時間が無くなるのが耐えられないセリーヌは、その夜ついに自殺に見せかけてダミアンを殺害してしまいます。独りになったセリーヌはアリスの家に身を寄せますが、引きこもってしまい、ある夜ついに、事故を装ってアリス夫婦をガス中毒死させ、テオだけを守りました。そして審判の結果、セリーヌはテオを養子として迎え入れ、浜辺で二人で実の親子のように戯れあう姿があったのでした。



母親たち

表向きの平静を装い、美しい音楽と映像で彩られるこの映画は、後味の悪い映画の典型とも言えるような結末を迎えます。それも落ち着いた静かな雰囲気で迎えます。バッドエンドとしてある程度は思いつくようなラストながら、誰も描こうとしない、あるいは見たいと思わないラストを、映像化してみせましたという感じでした。その他は、それほど特筆するところのないような平凡な作品に見せていますが、こういうラストを敢えて見せられると、印象に残らざるを得ませんという感じでした。セリーヌの常に平静を装うさりげなさと、アリスの正常と狂乱の繰り返しぶり。二人の女優の演技は見事で、マグリット賞では主演女優賞を争いました。

二人の関係を対立させていく一つのポイントが、テオの子供特有のイノセンスさです。しかし、これは少しやり過ぎというか、もう少し分別があれば、こうはならなかっただろうという点も多々あります。このあたりがこの映画が不自然に見えてしまうところかもしれません。しかし、隣家との付き合いということについてては、2017年も、「隣の影」というアイスランドの映画(これもアイスランドのアカデミー賞である、エッダ賞を席捲)がありましたが、あちらも最後は殺人事件に発展してしまっており、静かな確執が離れられないという位置関係にあるだけに蓄積して行き、最後に爆発してしまうという、世の中では普遍的な事のようで、集めてみると一つのジャンルになるのかもしれません。

さて、マグリット賞とはベルギーで2011年に創設された、ベルギーのアカデミー賞にあたる賞で、この作品は2020年2月に発表された10回目のマグリット賞を席捲しました。作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、撮影賞、作曲賞、録音賞、編集賞の9つの賞を受賞。主演女優賞はこの映画から2人ノミネートされたので、落選はその一つだけ。パーフェクトです。ベルギー製作映画と言う、それほど広くない範囲ではありますが、この作品はよほど本国ではセンセーショナルだったのでしょうね。

2020.2.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「CUB/カブ 戦慄のサマーキャンプ」 少年のトラウマと恐怖の森

シッチェス国際映画祭(2014)で監督賞を受賞したベルギー・オランダのホラー映画です。ジョナス・ゴーファート監督の初長編で、ホラーの新星ということで話題となった映画のようです。AmazonPrime特典で見つけましたが、やはりシッチェス物は外せないと思って見始めました。

あらすじ
少年サム(マウリス・ルイテン)は、カブスカウトのキャンプの出発に遅刻をしてしまい、いきなり隊長のクリス(ティトゥス・ヴォーフト)や副長のピーター(ステフ・アーツ)から罰を受けてしまいました。隊長は、これから行くキャンプ場では、狼人間「カイ」が出没していると説明、一行を怖がらせます。途中で料理係のヤスミン(エヴェリン・ボスマンス)も加え、キャンプ地に着くと、二人の若者がゴーカードを乗り回しており、場所を譲りません。彼らは巡査に通報したうえで、仕方なく奥へと進み広場で落ち着きますが、やってきた巡査は、この場所で過去にたくさんの失業者たちが首を吊り、今では誰も来なくなった場所だと警告して帰っていきました。

森の中でサムは、木の面をつけた全身泥だらけの少年を目撃し、キャンプ場に帰って「カイ」が出たと騒ぎますが、誰も本気にしません。更にサムはツリーハウスを見つけ、一人で登ると、そこには隊員たちの紛失してしまった私物が散乱していました。その頃、一人の大男が森の中で死体をひきずり、地下住居に運び込み処分していました。夜になって、サムはテントに現れたカイについていくと、ピーターの飼い犬のゾルダンが木に吊るされており、二人は木の棒で殴り殺します。そこに現れたピーターはショックを受け、サムに殴りかかりました。サムには虐待による心の傷があり、隊長は養母から託されたときに、目を離さないでくれと言われていた少年で、ピーターたちは問題を背負い込まされたと思い、サムを嫌っていたのでした。

サムは森の中に逃げ出し、クリスとピーターとヤスミンは捜索にでますが、大人たちは次々とトラップにかかり、命を落としていきます。一方、サムは地下に続く隠れ家に侵入。そこにはたくさんの死体があり、大男とカイが暮らしていました。サムは逃げ出すと、大男がトラックで追いかけ、テントの少年たちを轢き殺した後でサムに向かってきますが、サムはトラックを爆破し難を逃れます。地下の隠れ家に拉致されていたヤスミンを助けようとしたサムは、戻ってきた大男にヤスミンを殺せとけしかけられ、ヤスミンはサムを貯水庫へ蹴り落としてしまいます。水中にいたカイとサムは激闘し、水から這い上がってきたのはお面をかぶったカイでした。ヤスミンは隙を見て森に逃げ出しますが、男とカイに捕まり、大男はカイにヤスミンを殺すよう命じます。カイの面をとると、それはカイサムでした。ヤスミンは必死に命乞いをしますが、サムは無言でナイフを突き立て、ヤスミンが息を引き取ると、大男は木の面を再びサムにつけて、無言のまま並んで帰っていくのでした。



CUB/カブ 戦慄のサマーキャンプ

まさかというような、バッドテイストな終わり方をする映画でした。この映画は、そのテイストと、途中の仕掛けがいろいろと凝っていることから、独時の緊張感が感じられ話題になったのでは?と思いました。大人の3人の行動が、かなりおかしなところもありますが、ある意味現実にはこんなもんか…と思う所もありで、飾らない感じです。カブの隊員も大人の指揮に従うという、そこそこの行動をしています。ただ、ちょっとずれているというか、現実離れしているところがあり、そのあたり不思議なテイストになっていると思いました。その中でのサムの行動が、他のメンバーよりもまともに見えてしまうので、見ているとサムに感情移入していくことになりました。

そして、そして、サムが最後にあちら側に落ちてしまう理由は具体的に語られるものではありませんが、ストーリーの中から推測するに、虐待を受けていたことから来る人間不信に加え、ここの大人たちも、ある程度頑張ってはいましたが、ヤスミンには助けようとしていたところを、地獄に蹴り落された。という一点が転機となったのでしょうか。さて、サムはとりあえず大男の配下となってしまいましたが、たぶんそれでは終わらないのでしょうね。続編ができそうです。全体的には締まった展開+意外性ということで、楽しめました。

ということで、概ね肯定的にとらえますが、ストーリーを具体的に見ていくと、少なくともこの映画の範囲では、相当な謎を積み残したままですね。スピンアウト作品がいっぱいできそうです。例えば、この森の構造物や装置はどういう目的で作ったものなのか?大男の出自や目的は…。などなど。そもそも、そのあたりは放置なのか、それとも続編等で明らかにするつもりなのか?どうなんでしょう。この作品だけでも、一風変わった感じと仕掛けで、なかなか楽しめるのではありますが、そのあたりはちょっと気になるところです。

2020.3.29 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「Unbalance アンバランス」 内容と表現もアンバランス


しばらく見ていなかった、ヨーロッパのドラマを、GYAO!で久しぶりに見てみました。全く知らない映画なのですが、どんな感じでしょう。2010年ベルギー・ドイツ製作。日本ではDVDスルーのものです。

あらすじ
20歳のマリーケ(ハンダ・コージャ)は自分の人生を求めながら、日中はチョコレート工場で働き、夜はかなり年上の男の腕の中に暖かさを求める日々を送っていた。彼女は8歳の時に父を亡くしてから、心をどこかに置き忘れた母親ジャンヌ(バーバラ・サラフィアン)との二人暮らし。ある日、かつて父の作品の編集を担当していたジャコビー(ヤン・デクレール)が、父の最後の原稿を求めて現れ、それを期に、マリーケの不安定な心のバランスが崩れていく。母は、二人の接触を禁じるが、マリーケはやがて父の死の真相を知ることとなり…。



浴槽の中の母と小さな娘。「お父さんはもう帰ってこないの?」「そうよ。でも、いつも一緒に見守ってくれているわ」というような会話で始まります。ここで父が亡くなって、母と少女が残されていることが伺えます。そして、12年後の日常の朝のあわただしい風景。迎えに来てくれた親友のアンナ(カロライン・ベルリナー)と、自転車でチョコレート工場に出勤、日ごろの愚痴をこぼしつつ勤務に就くのでした。そして、仕事を終えると、マリーケは初老ともいえるセフレたちとベッドを共にする日々を過ごし、ベッドでも常にデジカメを持ち、男性の体の一部をクローズアップした写真を撮る毎日。家ではそのプリントのコレクションを眺めています。

ある日、母の元にジャコビーがやってきますが、執拗に彼をさける母。ジャコビーは、待ち伏せをして母を捕まえ、父の著作を再編集したいので、原稿を渡して欲しいと頼みますが、母は過去のことを封印したく思いが強く、二度と現れないで欲しいと追い返します。マリーケは、初老の男たちとの日々を過ごす中で、チョコレート工場に現れたジャコビーと出会い、外で会うことを約束。マリーケは他の男たちと同じように外で会いますが、ジャコビーは元々マリーケたちの一家が住んでいた家へと誘います。それは、母からはすでに取り壊されたと聞いていたので、マリーケは驚きましたが、家に入って部屋を眺めるうちに、昔の記憶がよみがえるのでした。

以後、マリーケの心は昔の記憶に縛られ、情緒が不安定になっていき、クラブで男を捕まえてもうまくいかず、アンナの生活にも迷惑をかける始末。生家を度々訪れジャコビーに会ううちに、父が自殺だったことを知り、その時ジャコビーも母も父を助けられなかったと言われます。事実を隠していた母に激しく詰め寄りますが返事は得られず、マリーケは心の均衡が崩れ、仕事も手につかず、事故に会い病院に搬送されてしまいました。これを機に、過去を封印していた母は、再び昔の思い出を再び手に取って見つめなおし、退院したマリーケを優しく迎え、マリーケの心のリハビリを行い、再びい母と子の絆を取り戻すのでした。

Unbalance アンバランス

ストーリーは、20歳の女性の心の動きと自立を静かにつづったもの。うまくまとめられてたものなのですが、確かにそうなのですが、ある程度覚悟はしていたものの、見始めてすぐに、これは地雷を踏んだかなというイヤな予感が。静かに進められるストーリーは、いかにも難渋し、画面も何となく暗く雑然としていて、うまく中に入っていけませんでした。見始めて時間がたっても、登場人物の人格が入ってきません。極めて繊細に描かれているのでしょうが、映画が語ってくれない。そんな感じでした。

マリーケの行動や考えていること、母の対応や周囲に心を閉ざしてしまっていること。その必然性が解らず、いや解らないことは無いのですが、表現が非常に漠然として、実際の現在の行動から、心を読んでくれという感じなので、なかなか読み取れなかったと言う事だと思いました。結局最後までそんな感じで進んでいきます。ずっと見ていくうちになんとなく解ってくるのですが、なかなかハードルが高かったです。20歳の女性の心の自分探しと、この出来事によって母親も自分を取り戻し、母子の絆が戻っていく話という風に思えるのですが、こうして見ていくと、その内容を、ここまで難しく思わせぶりに表現するの?と逆に思ったりして、なんとなく納得しがたく終わってしまいました。

たぶん、人によって見方が違うと思いますが、久しぶりにちょっと合わなかったかなと言う感じで終わってしまったのが、なんとなく残念。見返してみると、ストーリーやセリフなど、そこそこ面白いところもあるので、画面の描き方や表現の仕方が合わなかったということにしておきます。これに懲りずに、ヨーロッパのドラマ、時々挑戦していきます。

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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