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「彷徨える河」 白人進出により変わりゆくアマゾンの社会

Amazon Prime でコロンビアの映画を見つけたので、鑑賞しました。ずいぶん久しぶりです。アカデミー量ノミネートとかいろいろと話題になったらしく、予告編では闇の奥とかいうキーワードもあったので、どんな闇の奥なのかも興味ありです。2015年、コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン合作です。

あらすじ
アマゾン流域に調査に来たドイツ人のテオは病に倒れ、シャーマンのカラマカテとともに、神秘の薬草ヤクルナを求めてアマゾンの遡行を開始する。数十年後、植物学者のエヴァンはテオの本を元にやってきて、老いたカラマカテとともに、アマゾンの遡行を開始する。そして、長い時間を挟んだ二つの旅が交錯していく…。



アマゾン川流域のジャングルで暮らす先住民族の生き残りで、シャーマンのカラマカテ(ニルビオ・トーレス)のもとに、マンドウカ(ヤウエンク・ミゲ)の案内で重病のドイツ人民族誌学者テオ(ヤン・ベイヴート) がやって来ます。白人を嫌うカラマカテは一旦は治療を拒否しますが、その病気を治すためには、幻の植物ヤクルナが必要と見立てます。そして3人は、共にヤクルナを求めてアマゾンを遡行し始めました。

数十年後、記憶や感情をすでに失ってしまったカラマカテ(アントニオ・ボリバル・サルバドール)の元に、アメリカ人植物学者エヴァン(ブリオン・デイビス)が訪れます。彼は、テオのメモによって出版された本を元に訪れたとのこと。2人はやはりヤクルナを求めてアマゾンを遡行し始めました。

アマゾン流域は、ゴムのプランテーションなど、白人がもたらしたいろいろなもの影響で、旧来の生活が破壊されていきました。テオ一行は、身寄りのない原住民の子供を集めた学校に立ち寄りますが、その原住民と相いれない教義の強制に、白人司祭を倒してしまいます。その場所は、エヴァンが訪ねた時には邪教集団の巣窟となっていました。テオ一行はヤクルナを栽培し楽しんでいる先住民のいる場所に出ますが、テオの病気が進行しているにもかかわらず、ヤクルナは栽培すべきものでないとすべて焼き払ってしまいます。そして、その後でテオは亡くなります。エヴァン一行は最後に神の住む山にたどり着き、山頂に一輪の最後のヤクルナを発見しますが…。

彷徨える河

99%白黒でした。白黒にしたのは、白黒ならではの映像美を追求したということでしょうか。それは成功していると思います。ストーリーに大きな起伏がない中で、登場人物の言葉からよく出てくる、ゴム園や白人からの迫害の話。これは、川に面していない背後で起こっていることと思います。そうすると、川の部分だけが原生林で、もしかしたら川を一歩離れれば普通の農場になっているのかもしれません。白人も、探検家や学者が登場しますが、いろいろな立場の人が入り込んでいるのでしょう。

コンパスを取られて、コンパスを使用すると伝統的な方式を忘れると白人は言いますが、カラマカテは知識欲を阻害するなといいます。しかしそれは、文明的な発展を意味しますが、カラマカテは本来そう言ったことを忌み嫌っている人です。白人のこの言葉は大きなお世話なのでしょうが、先住民の立場から未来への意思が明確に聞かれません。あくまで嗜好は呪術的な世界なのでしょうか?予告編では闇の奥という言葉が使われて、作りの中でもそれなりに意識されていると思いますが、それらしいのはカルト教団のシーン。いよいよお出ましかと思ったら、ちょっと肩透かしでした。

最後だけカラーになるシーン。これは2001年宇宙の旅のイメージを感じました。そうしてみると、映画の中で多くを語らず、過去の名作の借り物で大物感を出しているようにも思えます。限られた状況の中で最大限作り上げているようにも思えますが、雰囲気を感じてくれ的に、言葉で語らない割には、散漫な印象を受けるので、もっと徹底して語ったら良かったのでは?と思いました。先住民の立場から白人の生活破壊を糾弾したものの、呪術的な伝統世界に導き、結局外から見た見世物の視点に帰着した点が残念です。だから欧米で受けるのだと思います。出演者もかなり限定的なので、映像という部分を抜けば、数人のミニマルな劇でした。カラマカテの肉体美はなかなかのものだと思いました。

2019.4.26 HCMC自宅にてAmazon Prime よりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「ケシ畑の小さな秘密」 のどかな風景と内戦の緊張と

GAYO!にあった、コロンビアの映画。コロンビアといえば、麻薬カルテルや内戦など負のイメージが強いのですが、人口4500万人と、中南米でも3位の大国でもあるようです。それだけの人々が住んでいる中で、情勢は混乱し、普通の生活の中でいろんなことが起きている(起きていた)ということは想像できるのですが、日本からは距離的に遥かに遠い国のこと、映画を通してしか中々体験する機会も無く、やはり距離を置いた中での好奇心もあって、見てしまいます。

あらすじ
内戦状態が続くコロンビアで、エミリオと9歳の息子シモンはゲリラの襲撃を逃れ山へ避難する。いとこのウィルソンを頼って行った村では仕事もなく、非合法栽培のケシ畑で働くしかない。シモンは隣家の女の子ルイーザと仲良しになる。ルイーザが、可愛がっていた迷い犬を飼い主に引き取られ悲しんでいると、飼い主が出かけている日中だけ犬を盗み出してルイーザを喜ばせる。だが、二人が遊ぶのは地雷の埋まった森の中、ケシ畑には空から散布される農薬の雪が降り注ぐ山の暮らし。ある日、父の後をつけてケシ畑に迷いこんだシモンは、一帯をしきる麻薬カルテルのボスに見つかってしまう…。



主要人物の背景は中盤までに以下のように組み立てられていきます。

シモン
母や兄弟を民兵の誤射によって殺害された彼は、父エミリオと共に、父のいとこのウィルソンを頼って村にたどり着く。燐家のルイーザと仲良くなり、ルイーザが好きな保健婦の家の犬を昼間だけ盗み出して、持ち主が帰宅する前に戻すという日々を送る。ある日、父の後をつけて、父の職場である麻薬工場に侵入し捕まってしまうが、工場主に気に入られ、以後出入りするようになる。その中で、借金の取り立てにあっているウィルソンに麻薬を盗み出すことを頼まれるが断る。しかし、仲良くしていたルイーザが、ゲリラ側の協力者の家族だったことから、民兵に家族全員虐殺され、自暴自棄になったシモンは麻薬を盗み出すことに同意するが、見つかってしまう...。

ルイーザ
燐家に越してきたシモンといつも二人で遊んでいる。森の向こうに美しい湖があることを知っているが、森の中は地雷原となっており、容易に近づけない。ルイーザは道を知っていてたどり着けるとしきりにシモンを誘っているが、実際定かではない。シモンと犬を盗み出し、その日に返す日々を送っているうちに、民兵がやってきて家族もろとも広場に連れ去られ銃殺されてしまう。

エミリオ
ほとんどの家族を失ってしまった彼は、いとこのウィルソンを頼り、村にやってくる。実直で正直物の彼は、ウィルソンに誘われたケシ畑の仕事は気が進まないが、背に腹は代えられず働き始め、まじめな性格により、幸か不幸か重要な仕事も任されるようになる。ある日、息子のシモンが後をつけて、ケシ畑までついてきてしまい、シモンが工場主に気に入られて、銃の打ち方などを教わっている様子をみて、エミリオは息子が悪い道に足を踏み入れないかと気が気ではない。危険な村で、息子の行動をいつも気にしているが、ある日息子が麻薬を盗み出そうとしているのを知り...。

ウィルソン
エミリオの一家を受け入れ、ケシ畑の仕事で一緒に働く。現実的な男だが借金を抱えているらしく、絶えず取り立てられている。エミリオに麻薬を盗み出してくれと持ち掛けるが、見つかれば銃殺であり、受け入れられない。思案した挙句シモンに頼み、やっと承諾を得るが、見つかってしまい...。

工場主
非合法ケシ畑を仕切っているが、それほど簡単なことではなく、原料不足や、盗難などいろいろと悩まされている。もちろん不正に対しては厳格に臨み、即銃殺である。ゲリラの攻撃も予測される中、生産を不眠不休で行わせている。どうも、過去に息子を殺されたという過去もあるようで、シモンをかわいがり、銃の打ち方などを教え込もうとしている。しかし、シモンたちが麻薬を盗み出そうとしているところを発見してしまい...。

ケシ畑の小さな秘密

という事情から、ストーリー的には最後の一幕となるのですが、この映画はそういったストーリーの結末よりも、シモンとルイーザの物語の衝撃の方が強い造りになっています。始終危険や小さな罪の露見と背中合わせの二人の行動が物語の中心です。戦争の中で少年や少女が犠牲になる映画と言うと、真っ先に思い出すのが、コロンビアの近くの中米の国のエルサルバドルの内戦を描いた「イノセント・ボイス」ですが、こちらは相当強烈なので、同じテーマとして引き合いに出してしまうと、こちらは霞んでしまいます。

この映画の良いところは、やはり、コロンビアの高山帯の美しい自然や、エメラルドの産出国であるコロンビアと、そのエメラルド色の湖の情景と、小さな高地の村の生活。その中での、麻薬生産や内戦との関与などを静かに描いたところではないでしょうか。廃墟になった家などのシーンで内戦の影を象徴しつつ、のどかな風景を美しく描き、かつ、常に日常生活が緊張に包まれている。でも、そこには確かに人の生活がある。そういったいろいろなことが体験できるような、よくまとまった佳作だと思いました。

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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