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「運河の底」物悲しい感じの、亡霊の住む家がテーマのホラー

AmazonにB級ホラーが出ていたので、久々にという感じで見てみました。IMDbの評価をチラ見すると、あまりひどくも無かったので、地雷ではないでしょう。2014年の映画で、アイルランドの製作。監督はイヴァン・カヴァナー。トライベッカ映画祭がワールドプレミア。2015年ファンタスポルトで、作品賞ノミネートされ、主演のルパート・エヴァンスが男優賞を受賞しました。
原題:The Canal (2014)

あらすじ
映像記録局に勤めているデイヴィッド(ルパート・エヴァンス)は、5年前に妻も気に入って買った古い家に住んでいました。購入時、人影と少し蓋の開いたマンホールが少し気になっていました。そして現在。デイヴィッドは毎日運河の横を通って息子のビリー(カラム・ヒース)を学校に送っていきます。職場で、同僚のクレア(アントニア・キャンベル=ヒューズ)に、警察から送られてきた、1902の記録フィルムを見るように頼まれますが、それは当時の殺人現場の記録で、なんと現場は自分の家でした。ある日、夫婦でパーティに出かけると、デイヴィッドは妻のアリス(ハンナ・フークストラ)が、他の男と親密に話しているのが気になります。夢で、昔の殺人現場の惨劇を見てしまったデイヴィッドは、妻に早く帰るように言います。

その夜、妻と男が運河沿いの道を歩いているのを見つけ、尾行すると、二人はとある運河沿いの家に入っていきました。息子を迎えに行った後、妻が夜になっても帰らないため、妻の入った家へ向かうと、中で男とセックス中の妻の姿を見つけました。何もできず外に出ると、運河沿いのトイレで嘔吐しますが、その時、男の亡霊に妻を渡せと言われ、遠くにデイヴィッドに命乞いする妻の声を聴きます。その後も妻は帰らず、警察に捜索願を出し、担当のマクナマラ刑事(スティーブ・オーラム)から事情聴取を受けますが、警察はデイヴィッドを疑っているようです。そして、アリスには愛人がいて、夫と別れるつもりだったことを知らされます。やがて運河の底から、妻の遺体があがり、事故死と判定されました。

ディヴィッドは葬儀の後、クレアにその日夜に見た男や、男が妻の首をしめていたち打ち明け、運河周辺の過去の事件を調べ始めました。付近では過去にデイヴィッドの家を中心に、様々な殺人事件が起きており、映写機を持ち出して、家の中の様子を撮影して見ると、不思議な人影が映り、また壁の向こうから声がしたりします。デイヴィッドは息子を守ろうと、ビリーやベビーシッターをあちこちに移したりしますが、その行動は異常性を帯びていき、ついにベビーシッターは退職。クレアに話しても信じてもらえません。そして、ビリーと運河を歩いていた時、現れた亡霊を撮影し、現像をクレアに依頼しました。

朝になると、マクナマラが現れ、妻殺しの証拠が上がったということで警察に連行されます。いったん釈放されますが、警察が監視している中で、クレアが現像したフィルムを持って現れ、二人で見ていると、亡霊が具現化し、クレアを壁の向こうに連れ去ります。悲鳴を聞いて警察隊が突入しますが、デイヴィッドはビリーとともにマンホールに逃げ込み、その中で、亡霊に追われながら、自分が妻やクレアを殺している場面の映像を見ます。自分が殺したと自覚すると、妻の亡霊に追われ、ビリーともに運河に飛び込み、ビリーはマクナマラに助けられましたが、デイヴィッドは妻に運河の底に引き込まれてしまいました。数日後、ビリーは妻の母に連れられ、家を売りに出すを交渉をしている時、壁の奥から父の呼ぶ声を聴きます。そして、走行中の帰りの車の中から飛び降りたビリーは亡霊となって父や母のいる家に戻ったのでした。



運河の底

家に憑いた亡霊のおかげで、精神状態が不安定になって殺人に至っていく物語。最初の殺人は、亡霊の影響と不貞への怒りが混じったような感じもしますが、記憶にないということから、亡霊に操られていたというのも事実でしょう。そして、事実を調べていくごとにおかしくなり、亡霊の影響が強まり、しかも自分は殺人を自覚していないという状況になります。彼が実際に妻を殺したことは、見ている方は、その時の妻の声で示唆されていますが、それを知らない本人と、奇妙な現象の調査の進行で、何が真実だろうと疑いながら見ていくという形になりました。こういった家に霊が憑いたストーリーは数多ありますが、シャイニングにも似た感じがしました。

古い記録映像を取り混ぜながらの、映像展開はよくできていると思います。恐怖度はかなり低く、不気味な雰囲気や、むしろミステリードラマ的な展開で惹きつけている映画だと思います。恐怖感を醸し出す撮影もありますが、雰囲気を出すだけで、怖がらせることは主眼に置いていないようです。そういった意味で、ストレスなく映画を見られますし、回収できていないと言ったことも無いので、ドラマ的にもまとまっていて、見た後でも満足感がある佳作だと思いました。

ほとんどの場面に出てくる、ルパート・エヴァンスがいい演技だと思います。狂っている時の顔の差はあまり無く、あくまで自然に進んでいます。女優の中では。アントニア・キャンベル=ヒューズに興味を惹かれました。小柄でキュートな感じが良かったです。デイヴィッド本人以外は、デイヴィッドが犯人だと判っているような展開で、延々とひとり相撲を演じるルパート・エヴァンス。自首を勧めるクレア、そして、あくまでも父母についていく、ビリー。ラストまで来て、大変物悲しい感じが残るホラーでした。

2020.5.16 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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「タイガー・スクワッド」 アイルランドの現代舞台劇の翻案

題名や、ジャケットから戦場アクションを思わせる映画ですが、実はちょっと違いましたという、ちょっと評価の難しい作品です。2016年の映画で、アイルランド・イギリス合作作品。監督はサイモン・ディクソン。原作は、ミック・ドネランのRadio Luxembourgという戯曲です。

あらすじ
砂漠の中を、二人のアイルランド人兵士ジョー(ブライアン・グリーソン)とペディ(デイミアン・モロニー)の乗ったトラックが任務の為に走っていました。彼らはディヴという上司の元で働く私兵で、ミッションは地元の有力な男の娘シャダを誘拐することでした。そして目的地に向かう途中、初めて組む二人は、過去のいろいろな経歴を話します。そのうちにお互いが信頼できなくなり、ターゲットのシャダ(ソフィア・ブテラ)が、ペディの過去の最愛の女性だったという事が判明した時には、状況は複雑なものになっていきました、ペディは、任務遂行だけでなく、シャダをレイプして殺すと脅すジョーから彼女を守る行動をとっていきます。

ジョーは、パディが仕事よりシャダが重要であることを知ると、ジョーはパディを殴り倒し、シャダにパディについて尋ねました。シャダは、かつてパディを愛していたが、今は二度と会いたくないと言います。パディはシャダを自分の所有物のように見世物にし、扱い、薬漬けにしたり、首を絞めたりして虐待したからでした。

ジョーはパディを起こし、シャダがパディを憎んでいると話しますが、パディはこれまで愛した唯一の女性だと答えます。ジョーは、彼がかつて愛した唯一の人であるルビーを、ディヴへの忠誠と愛の為にやむを得ず殺したことを語り、パディもシャダを殺すことによって、ディブのために同じ犠牲を払うべきだと話します。しかし、パティがディヴからジョーの殺害も指示されていたことも判明。パディは、むしろこの場所にディヴが到着した時に、ディヴを殺すと提案しました。そんな中でジョーは、今までの過去の所業と悔恨に終止符を打ちたいと、自爆装置をセットした時、シャダが背後からペディを撃ち抜きその場を去っていきました。ルビーの幻想を見ながら最後の過去の清算を得て、自爆したジョーの起こした砂塵が、遠くで舞い上がっていました。



タイガー・スクワッド

アイルランドの劇作家、ミック・ドネランのRadio Luxembourgという戯曲を、舞台を戦場にして翻案したものということで、そもそも元がどういうものなのか、探してみましたが、英語の演劇評論の記事くらいしか探し当りませんでした。ただ、舞台以外は類推するに、ほぼ内容は準拠しているようです。この映画は、ならず者のような二人の会話が大半を占め、そこに登場したシャダが触媒のような役割を果たして、一気に化学反応が起こり、結末を迎えるという物語でした。

その結末は、最後の10分くらいで、一気に語られますが、基本的には利己主義的なペディと、逃れたいシャダはそのままの役割を果たしますが、この物語展開によって大きく心の平穏を変えられてしまった、ジョーの独白が中心となるラストでした。ジョーは、自分が一人では何もできないような、たわいもない人間と自覚し、庇護してくれるディブや、愛したルビー、そして頼りになりそうなペディにまで愛していると言ってしまいます。そのような弱さゆえに生まれた混乱で、ディヴの為に愛する人を殺してしまった過去が、ペディとシャダの出会いによって、再び触発され、そしてディヴからも消されようとしている事実により、一気に自分の過去の清算に向かってしまったということでしょうか…。

ミック・ドネランは、アイルランドの田舎を舞台にしたブラックユーモアにも特徴のある、1980年生まれの劇作家とのこと。この映画の興味の主体は、久しぶりのソフィア・ブテラを見ることにもありましたが、それは果たせました。しかし、何にも増して、ブライアン・グリーソンと、デイミアン・モロニーの二人の激しい演技ぶりがなかなかの見ものでは無いでしょうか。それから、この映画は娯楽系のアクションと思ってみると失敗します。すごくつまらないと感じると思います。戦場の物語に翻案したのが、良くなかったのかも…。

2020.5.2 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ダイヤモンドの犬たち」 捻った筋立と砂漠のカーチェイス

70年代のアクション映画のポスター画像が大変懐かしく感じたので、思わず見てしまいました。街角にはタテカンがあちこちにあり、それぞれの映画の独特の世界を主張していたものです。そしてお茶の間では、ロードショー番組。B級アクション花盛りでもありました。1976年のヴァル・ゲスト監督の作品。アイルランド・スイス・アメリカ合作となっているようです。

あらすじ
南西アフリカにある、ダイヤモンド・コーポレーションの集積所は、砂漠の真ん中にあって厳重に警備されていました。ある日、集積所の警備隊に勤務するマイク・ブラッドリー(ピーター・フォンダ)は、隊長のネルソンから、ダイヤモンド強奪を狙っているプロ集団の計画を、囮になって未然に防ぐことを命令されます。それは、まずブラッドリーが会社のダイヤを盗み、それを土産にして、グループに潜入するという、2人だけしか知らない計画でした。ブラッドリーは盗み出したダイヤをネックレスにセットし、愛人のクレア(モード・アダムス)にプレゼントしますが、そこに現れた本社の警備本部長ウェッブ(テリー・サヴァラス)に、クレアのネックレスからダイヤを発見され、偽装の事実を知るネルソンも殺されてしまうと、ブラッドリーの立場は危うくなってしまいます。

ブラッドリー自身も、かねてよりダイヤモンドの強奪を狙っており、ブラッドリーは、強奪グループと合流し、参謀となって行動をすすめることにしました。彼は早速、仲間の1人を労務者として潜入させ、他のメンバーで地下金庫からの大量のダイヤモンド強奪に成功。砂漠をジープで逃走するブラッドリー一味。しかし、その後をウェッブが隊員を総動員して追いかけ、次々と仲間を射殺。途中でクレアと合流したブラッドリーは、仲間をすべて失いながら、敵のヘリコプターを奪い取って飛び去り、ウェッブはどこかで取り返すことを誓い静かに見守るのでした。



ダイヤモンドの犬たち

70年代のアクション映画と言えば、テレビのロードショー番組でよく親しんでいた訳ですが、テレビドラマが充実してきたとはいえ、映画も娯楽に大きな位置を占めていた時代に、毎週のように放映されるロードショー番組は、つまみ食いする程度でも、普段と違った体験ができるひと時でありました。特に、話題作を放映する時以外の日常的な作品は、その後レンタルビデオへ、ネット配信へとメディアがとって変わっていったということなんでしょう。という訳で、この映画もそういう作品の雰囲気を楽しめるのではと思いつつ、気軽に見てみたという訳です。

主演は、ピーター・フォンダということだと思いますが、犯罪者側なので、ノワールとまではいかなくとも、「俺たちに明日はない」スタイル。対して、警備する側はテリー・サヴァラスで、実際はこちらの方が悪役のステレオタイプを演じます。という訳で、普通の作品とは主客が逆転した感じが面白いところ。そして、従来のアメリカン・ニュー・シネマの流れを汲むとすれば、ビーター・フォンダとモード・アダムスがハチの巣になって終わりというのが、容易に想像できるわけですが、そうはなりませんでした。この映画、いろいろと捻りながら、定石を覆しているのが面白いところです。もっとも、エンディングは2通りあるらしく、その差はWikipediaに掲載されています。まぁ、こういう後付けなら無い方がましかもしれませんね。

今回は、Amazonの配信で見たのですが、画質が良くて大変楽しめました。今の時代、映画は古くても画質がいいというのが一番。まずそこで印象が違ってきます。この映画の場合、砂漠の風景と、空の青が素晴らしいので、それがクリアーに出ているだけでも、素晴らしい体験だと思いました。その中で行われるカーチェースがなかなか面白い。ピーター・フォンダは髭を生やすとこうなるのですね。いつもと印象が違います。砂漠での戦いは、日焼けでみんな真っ赤な顔になっています。特にヒュー・オブライエンとの最後の殴り合い。そもそもそういう場合じゃないでしょう!という感じで、久しぶりに見た70年代アクション。楽しかったのでした。

2019/10/30 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「道化死てるぜ!」 ピエロのパフォーマンスとスプラッター

GYAO!で配信されているこの映画は、シッチェス映画祭出品作品で、日本でも公開された映画です。やはり、シッチェス映画祭といえば楽しい作品が多いので、さっそく観てみました。ホラー・コメディということです。

あらすじ
さえない道化師(ロス・ノーブル)は、トミーの10歳の誕生パーティーにアトラクションとして呼ばれるが、子供たちはパフォーマンスの邪魔をするばかり。そして、それが原因となって彼は不慮の事故で死んでしまう。6年後、再びトミー(トミー・ナイト)の誕生パーティーに集まった仲間たちに、墓場から蘇った道化師が襲いかかり、残虐かつ出し物的な手法で、少年たちに次々と復讐をしていく。果たしてトミーはこの惨劇から逃れることができるのか…。



冒頭は、ピエロと女性のセックスの場面。彼の部屋にある卵に描いたピエロの顔は、この職業に就くときに協会に書かされた物とのこと。そして、セックスの途中でアラームがなり、パーティーの時間だ!いざ出勤!ということになります。

この日のパーティは、トムの10歳のお誕生パーティーで、その余興としてピエロが登場しますが、もともと風采の上がらない感じの男な上に、どうも芸もピリッとせず、たちまち子供たちの揶揄の的になりました。10歳の子供たちのいたずらだけに、それはエスカレートし、こっそり両足の靴紐どうしを結ばれてしまい、そこにボールを投げつけられ、もんどりうって倒れたところにあったケーキナイフが目に刺さって絶命。トムは激しい血しぶきを浴びてしまいました。そして、ピエロの葬式のあと、トムは協会のピエロたちが、亡くなったピエロの卵を奉納し、ある儀式をしているのを目撃します。

時は過ぎて、トムの16歳の誕生日。事件の時の子供たちは皆同じ高校に通っていますが、それぞれあの事件が心に影響を及ぼし、差こそあれ精神的問題を抱えているようでした。トムはあの時の友人の一人である、ヴィニー(Shane Murray-Corcoran)からパーティーを開くことを持ち掛けられ、不承不承少人数で開くこととしました。それをヴィニーはネットで拡散。一気に大人数のパーティとなってしまいます。そして、その招待状の一枚が、風に飛ばされて例のピエロの墓の上に着地。墓の中から出た手が、それをつかみ取ったのでした。

さて、パーティー当日、トムはピエロのことや、その後も続く幻覚のこと、そして幼馴染のケイト(Gemma-Leah Devereux)が別の男と付き合っていることなど、いろいろなモヤモヤを抱えて浮かない様子です。パーティーは進み、大いに盛り上がってきた頃、墓からよみがえったピエロが家の中に侵入、あの日にいたずらされた子供たちの成長した姿を探し、一人また一人と殺戮を始めたのでした…。

道化死てるぜ!

はい。なかなか楽しかったです…。というか、相当グロい場面もあります。蘇ったピエロが内臓で遊んでしまうので。GYAO!の配信はR15とされていましたが、公開はR18だったようです。今回見た動画はグロい場面にボカシが入っていて、ちょっとすっきりしませんでしたが、あとでYouTubeの動画を探してみてみると、しっかりボカシなしで見ることができました。なるほど、かなり遊んじゃってますねという感じでした。しかし、もしGYAO!で見た場合、絶対ボカシなしで復習をしておくべきだと思います。

ストーリーは、それほど凝ったものではありませんが、最初に出た伏線も生かされ、良くまとまっています。そして、やはりこの映画の面白さは、ノリの良さと、ピエロの復讐の場面。犠牲になるのは全員ではありませんが、事故の時にそれぞれの子供たちにいたずらされて台無しになったパフォーマンスを、相手の体を使っておさらいしていくという手法を取っています。それがピエロのパフォーマンスをスプラッターで見るという形になって、面白さが上がっております。

展開もバランスが良く、ほぼ嫌な奴から殺されるという定石通りになっており、安心して?見ることができるホラー・コメディでした。若干エロらしいところも入りますが、ランジェリーまでです。登場するのは知らない俳優さんばかりでしたが、印象に残るのはやはり、ランジェリー姿を披露してくれた、ローナ・デンプシーさんかな??もちろんピエロ役のロス・ノーブルも、少々緩~い感じがなかなか良かったです。

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「オンディーヌ 海辺の恋人」 美しい風景とファンタジックなロマンス

ここしばらく、いろいろ行き当たりばったりで映画を見ていて、なんとなくストライクにはまらないなぁ…とモヤモヤしつつ、手持ちのものを探したりしていましたが、まぁこれなら大丈夫だろうと、「オンディーヌ 海辺の恋人」を見始めました。極上の一本でなくでもいいので、なんかこれ好きだなという満足感が欲しかったのです。

あらすじ
アイルランドの海辺の田舎町で暮らす漁師のシラキュース(コリン・ファレル)。ある日、引き上げた網に美しい女性がかかっているのを発見した彼は、自分の存在を誰にも知られたくないというその女性オンディーヌ(アリシア・バックレーダ)をかくまうことにする。オンディーヌを見たシラキュースの娘アニー(アリソン・バリー)は、彼女をセルキーだと信じ、シラキュースとオンディーヌは互いに惹かれ合うようになりるが…。



美しい、アイルランドの入り江の田舎町と海が舞台です。漁船に乗るシラキュースは、いつものように網を引き上げていると、意識を失った女性が引っ掛かっていました、彼女は名も言わず、病院に行くのも拒否。とにかく人に会うことを拒絶します。シラキュースは人目に付かない自分の家に連れて帰り、とりあえず面倒を見ることにしました。彼には、元妻のマウラ(デヴラ・カーワン)との間に腎臓を患うアニー(アリソン・バリー)がいました。病院に連れていくのを頼まれていて、透析の時間の間に、おとぎ話として漁師が海で女性を助ける話をします。アニーは彼女がセルキー(アザラシと人間に姿を変える民間伝承上の生き物)かも知れないと言い出しました。

翌日、シラキュースは彼女を船に乗せて漁に出ると、彼女は歌を歌いはじめ、突然滅多に獲れないロブスターが大漁に捕れはじめます。そして、彼女は自分の名前をオンディーヌ(水の精)と話します。やがてアニーもオンディーヌの存在に気付き、互いにセルキーの話をします。セルキーは、あざらしの服がないと海に帰れず、服を埋めると地上で7年間生きることができ、その時セルキーは7つの涙を流し、その後幸せがやってくるのです。オンディーヌは海でアニーに泳ぎを教えている時、あざらしの服を見つけ、二人だけの秘密の場所に隠しました。

シラキュースとオンディーヌはお互いに愛し合うようになり、漁も好調続きで、すっかり運が回ってきたと喜びます。一方で、オンディーヌを探す謎の男の影が見え隠れし始めます。謎の男に追われて隠れている彼女を見つけたシラキュースは、オンディーヌの幸福と、アニーの快復について、二人で願いを唱えます。そんなある日、アニーとマウラ夫妻の乗った車が謎の男の車と衝突。マウラの夫は死亡しますが、彼がドナー登録をしていたことから、アニーに腎臓の移植手術が行われ、無事成功。一方で、葬式で泥酔したシラキュースは、謎の男をセルキーのオンディーヌの夫と思い、海へ帰れと、彼女を海の孤島に放置しますが、家に帰ってテレビを見ていると、オンディーヌの歌っていた歌が、ただのヒットソングであったことを知り、彼は再びオンディーヌを追って海に出ますが…。

オンディーヌ 海辺の恋人

内容の完成度とか、いろいろあるとは思いますが、久しぶりに個人的には当たりでした。まず、のどかな背景や、花の咲く道など、舞台となった場所の風景が素晴らしい。撮影も美しく、このようなのどかな風景をみていて、幸せな気分になります。そして、ストーリーも前半は水から引き上げられた女性を中心に、ファンタジーともサスペンスとも思えるような微妙な展開。物語は急激に進行するわけではありませんが、画面に惹きつけられ時間を感じさせないのもいいと思います。そういう意味で、この手の映画は好きなんだなと、自分でも思えました。

後半は、急転直下クライムサスペンスになりますが、この物語の結末の付け方としてはこれでいいのではないかと思いました。ファンタジー的には、あの男がセルキーの元夫で、なんていう展開になると思いますが、やはり現実的に結末をつけたと言う事で、これで良かったのではないかと思います。結局はいろいろと犠牲を払ったので、手放しでは喜べない部分もありますが、願いが叶いましたと言う事になりました。アニーがなかなか可愛いというところも、ポイントアップです。

コリン・ファレルは、「フォーンブース」以来気になる俳優の一人になっています。私生活はいろいろあるらしくて、この映画で共演したアリシア・バックレーダとも、一児をもうけたらしいのですが、それはそれとして、見ていて安心感のある俳優の一人です。そして、この映画は、名画の風格と言うものはありませんが、美しい画面やサスペンスで、最近のちょっと合わないなという映画を見続けていた欲求不満をリセットしてくれたので、良かったなと思いました。

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「Love & Friendship」 オースティンのLady Susan の映画化

ハノイとホーチミンを結ぶベトナム航空では、最近最新鋭機種が投入されていて、国際線と同じプログラムでの機内エンターティンメントを見ることができます。しかし、ヘッドホンとかは配られないので、見るならご自由にという感じで、正式に提供されているサービスではないようです。今日は、イアホンを持っていたので、2つの穴の一つに程よい深さで差し込むと、音声を聞くことが出来たので、さっそく鑑賞して見ました。飛行時間は2時間に満たないので、90分物の作品を1本。見終わる頃には着陸態勢に入っていました。

あらすじ
未亡人スーザン・バーノン(ケイト・ベッキンセイル)の評判は、男を手玉にとるといった悪名高いものだった。ある日義妹であるキャサリン・ヴァーノン(エマ・グリーンウェル)家を訪問、滞在することにする。キャサリンはスーザンの滞在を快くは思っておらず、彼女の弟であるレジナルド(Xavier Samuel ) に、スーザンには気を付けろと警告するが、彼は、すぐに彼女の虜になってしまった。
一方で、レディ・スーザンは、娘であるフレデリカ(Morfydd Clark)に、金持ちではあるが愚かなジェームス(トム・ベネット)と、将来の生活のため結婚させようとしていた。フレデリカは、これを恐れて学校から逃げ出しキャサリン家にやってくると、ジェームスもこれを追ってキャサリン家に到着し、スーザン、キャサリン、レジナルド、フレデリカ、ジェームスなどが共に生活する複雑な状況が生まれる。その中で、フレデリカにはレジナルドへの愛情が芽生え、レジナルドはスーザンに惹かれていく。一方、ジェームスはそういったことにはいつも無頓着であった。
レディ・スーザンにはロンドンで落とした愛人である、マンワリンがいた。ロンドンに戻ったスーザンはマンワリンと再び会い始めるが、レジナルドもロンドンに滞在しており、微妙なすれ違いの鉢合わせで、スーザンとマンワリンの関係を知ることになる。そして最終的には、スーザンは、親友でいつも打ち明け話をしているジョンソン夫人(クロエ・セヴィニー)の勧めで自らジェームスと結婚、レジナルドとフレデリカは無事結ばれめでたしめでたしとなりました。



というようなお話でした。「高慢と偏見」など、英国の田舎を舞台とした小説で有名なジェーン・オースティンの書簡体短編小説の忠実な映画化になっています。語り口はどちらかと言えばコメディタッチです。時代設定は、バロック音楽の時代から古典派の初期にかけてということで、その時代の音楽が常に流れています。衣装やセットもなかなか美しい。

しかしですよ。この映画、とっかかりが解りづらく、冒頭それぞれの登場人物が立て続けに名前と役割を紹介されますが、本を読むならまだしも、映画で一瞬見ただけだと覚えられないので、なかなか入り込みづらい雰囲気でスタートしました。この辺りは、いずれ解っては来るのですが…。

この物語のポイントは、レディ・スーザンという人の性格描写でしょう。彼女の言を借りていえば、世間の風評は、皆嫉妬心から出ているのよ。いい迷惑だわ。と、始終表明しています。娘のフレデリカには、結婚は絶対金持ちとするべき。今までお金が無い事でどんなに苦労を強いられてきたか。と言ってジェームスを押し付けますが、フレデリカは一生の問題をそういうことで決めたくないと懇願します。スーザンはそんな些細なことで、という調子で周りの男性をいつも惹きつけています。彼女に太刀打ちできるのは、名うての商人が束になってかからないといけない、というのがもっぱらの評判なのです。すごく嫌なきつい女なのですが、それ以上に魅力的で憎めない女でもあるのでした。

スーザンと、ジョンソン夫人(クロエ・セヴィニー)は親友でいつも意気投合し、打ち明け話をしていますが、その女同士の話の内容は辛辣で結構怖いものです。ジョンソン夫人はスーザンに同調していますが、夫から悪名高いスーザンと縁を切らないとアメリカに連れて帰ると言われています。しかし、二人は会い続けています。スーザンにとってジョンソン夫人は解りあえるいい相談相手。結局、フレデリカが嫌がるなら、自分で結婚して金持ちになればいいじゃないの、というジョンソン夫人の助言を受け入れ、自らジェームスと結婚し、フレデリカは好青年のレジナルドと結婚することになりました。スーザンとジョンソン夫人の組み合わせ、ケイト・ベッキンセイルとクロエ・セヴィニーですが、二人とも魅力的な女優さんなので、ちょっときつめのOL同士が交わしている会話の様ではありますが、それ以上の圧倒的な魅力を醸し出していました。

Love & Friendship

さて、この映画は欧米ではかなりの評判だったようですが、日本では今のところ未公開。けっこう全世界で公開されていますが、日本ではどうでしょうか。コメディですが、ちょっと私には笑いのツボが捕らえづらく、ジェームスの言動とか確かに面白いし、レディ・スーザンの話している内容って、大真面目で結構ずれているところとか、笑うところかもしれませんが、笑うタイミングが解りません。聖書の内容を使ったギャグなんかも織り込まれていますし、牧師さんの引用も、えっ??というようなものがあったりとか、十戒に関することとか…。そのあたりのことは、こちらは笑っていいものかどうかも解らず…。

やはり、ベースにキリスト教の文化があって、英国の田舎や、貴族社会の事情を身近にわかっていて、ジェーン・オースティンの小説やその世界に慣れ親しんでいて、といった条件が一つでもあればいいと思いますが、どれも無い私としては、頭で解るが気持ちとしてなかなか入ってこないという映画でありました。別に日本人を代表するわけではないですが、日本でこれを自然に受け入れるということは、英文学に趣味のある人でなければ、なかなか難しいのではないか?というのが率直な感想です。

映画としては、ブリリアントな俳優と衣装、美しい音楽、節度のある演技など、なかなか見どころは多かったと思います。

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「マッド・ホステル」 これは一発芸ですか?

ちょっと、今日は相当B級な、見て腹が立つような、すごく後悔するような映画で構わないので、サクッとみてみたいという気分だったので、あえて鑑賞。気軽に見れて、(* ̄- ̄)ふ~んという感じで終わればいいんです。
で、観てみました。結果はなんとも…。
2010年アイルランド作品です。

あらすじ
仲良し美大生四人組。好き勝手に過ごせる“空き家”を見つけようと車に乗り込んだ四人は、大きくて寂れた屋敷を見つける。そこに侵入した彼らは、やがて異変を感じ始め、翌朝気づくと、何者かによりドアにはすべて頑丈な鍵がかけられていた。必死に逃げようとする四人。しかし、彼らに魔の手が迫ってくる…。



冒頭は、途中の場面のダイジェストで、実際の話は病院の待合室からはじまります。テレビのニュースで10年前に8歳で行方不明になった少女の両親が惨殺死体で見つかったというニュース。少女の現在が気遣われています。医師の診断はただの胸焼けということで学校に戻り、仲間4人で空き家への家出??この世界では空き家を勝手に占拠するには法律で認められているということです。

見つけた大きな古びた空き家の屋敷で4人は荷物を解きますが、なんとなく異常な雰囲気を感じ取ります。3人は出ようといいますが、せっかく企画したリーダーは首を縦に振らず、朝まで過ごすことに。そして、見つけた酒を4人で飲むと、いつの間にか朝になっていました。ドアというドアは鉄の扉に変えられ頑丈な鍵がかかっている。4人は閉じ込められてしまったのです。小さな穴から見る外はいつもの街の風景。しかし、ここは外界から完全に遮断されているのでした。

マッド・ホステル

前夜から、舞台のセッティングまではこうして過ぎていきます。基本、こけおどしはありません。ただただ屋敷の中をうろうろするだけです。緊張感もそれほどなく、ダラダラと。大学生4人が後悔で泣き叫ぶのを見るぐらい。こんな感じの映画かねぇと、上から目線で見られます。そして、第一の犠牲者はリーダー各の男。縛られて片目をえぐられますが、まぁ、君は自業自得でしょ。という感じです。第2の犠牲者はその彼女。両足を切断されます。彼女は悪くないが、こういう状況で不用意にうろうろするものではない。

残った二人は、防塵服のような白衣を着た老人が犯人であることを確認し、おびき出してボコボコにしますが、瀕死の顔を見てみると、それは片目をえぐられたリーダーが身代わりにされていました。そして、彼氏の方は捕まってしまい、唯一残った女と老人の一騎打ちに。すんでのところで惨殺から逃れた彼女は、階段を踏み抜いてもがく老人を殴りつけて鍵を奪い脱出にかけます。しかし、「なぜ、もっとボコボコにしない!」「死んだ恋人を見つけてキスをするなんて、そんなことをしている場合か!」などと、余裕をかましている逃走劇を見ている方は、イライラして突っ込みたくなります。そして、老人は踏み抜いた穴から復活し、どうしようもなく彼女は追い詰められ、入れられた部屋には…。

えええええええええーっ!まじっすか??一瞬の一発芸じゃん!そういうこと?

こいつ、このラストを見せたいがために、これまで延々作りこんで来たのか!!
それも、突っ込みどころをいっぱい作って…

見ていた自分が情けなくなり、開いた口が塞がりませんでした。

おわり

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プロフィール

torrent13

Author:torrent13
映画は見たり見なかったりの時を過ごしてきましたが、現状ベトナム在住で、時間があるので、主にネットで見ています。昔はSF映画と、ミニシアターが好きでしたが、その後は西部劇、そして、最近では邦画や古いハリウッド映画などにも見る範囲を広げてきました。

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