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「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1943)」 上映禁止となったヴィスコンティ初監督作品

有名なケインの小説である、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、何度か映画化されていますが、これは最初のもの。ただし、無許可で翻案した形のようです。そして、ルキノ・ヴィスコンティの初監督作品であるこの映画。かつて読んだ小説を思い出しつつ、じっくり楽しみました。1943年のイタリア映画になります。
原題:Ossessione

あらすじ
河沿いでレストランを経営する、ブラガーナ(ジュアン・デ・ランダ)とその妻ジョヴァンナ(クララ・カラマイ)のもとに、トラックの荷台に無断で乗り込んでいたジーノ(マッシモ・ジロッティ)が転がり込んできました。ジョヴァンナは、年の違う夫との生活に希望を見いだせず、退屈な日々を送っていたため、一目でジーノに魅せられてしまいます。ブラガーナが家を空けたすきに、二人はすぐにベッドに向かい、数日後二人は駆け落ちを決意するに至りました。

主人の留守中に駆け落ちを決行してみた二人ですが、ジョヴァンナは安定した生活にも未練が湧き、途中で引き返してしまいます。一人で汽車に乗ったジーノは、汽車の中であった行商人と知り合い、2人で気ままに商売をしながら旅を続けることにしました。ある日、偶然街にやってきたブラガーナ夫妻は、ジーノと再会。再び一緒に働くことになった彼らは、三人でブラガーナのレストランに戻ることにします。その帰路、酔ったブラガーナをジーノとジョヴァンナは事故死に見せかけて殺害してしまいました。

警察の取り調べをかわした二人は、店を改装し平穏な生活に戻ろうとしますが、ジーノにとっては不安に苛まれる毎日となってしまいます。耐え切れず町に出たジーノは、一人の売春婦に魅力を感じ入りびたるようになります。一方警察は捜査を続け、二人が犯人だと断定するに至り、追跡を開始します。これを察知したジーノはジョヴァンナが売ったのだと疑いますが、ジーナの子供を授かったとジョヴァンナから告白され、ジョヴァンナのジーノを想う本心をしると、レストランを放棄し、二人で逃避行を始めました。幸せに見えた逃避行もつかの間、ジーノが運転を誤りトラックと衝突。崖下に車は落下し、ジョヴァンナは亡くなってしまったのでした。



郵便配達は二度ベルを鳴らす 1943

ルキノ・ヴィスコンティの初監督作品で、ネオレアレズモの先駆的作品と言われています。ケインの小説の「郵便配達は二度ベルを鳴らす」を原作としているようですが、無許可で製作し、題名も「強迫観念」を意味するイタリア語になっています。これは、ジーノがブラガーナを殺したことの罪悪感の表現からくるものでしょう。ともかく、こういった経緯もあって、イタリアでは数日で上映中止になったとの事です。内容と時代背景もあったのではと思います。

主要なテーマは、ジーノとジョヴァンナの心の動き。夫との生活に不満が募るジョヴァンナは、ジーノと出会い相思相愛に。駆け落ちを決行しますが、安定した生活を捨てられないジョヴァンナは一人で帰宅。しばらくして偶然出会った二人は再び愛を確認し、こんどは夫を事故に見せかけて殺害。その後、水を得た魚の様に店を盛り上げるジョヴァンナと、精神の呵責と警察の捜査を恐れて落ち込み、酒におぼれるジーノ。ジョヴァンナはジーノが売春婦と付き合い始めたことから、ジーノを警察に売ると脅迫。しかし、実際は売らずジーノに妊娠を告白。今の生活は放棄しジーノを選ぶジョヴァンナと、警察が迫り逃げ出さざるを得ない二人は…。

というような、不倫と犯罪からむ2人の物語が、状況や時間に翻弄されながら二転三転し悲劇を迎えるお話で、原作に準拠しているといえばそうなんですが、犯罪小説に寄った形から、男女の愛情の揺れを描き出していく物語に作り上げたような雰囲気です。この当時のイタリアの風景。農村風景の埃っぽい風景や、都会の喧騒までの描き方はネオレアリズモの先駆と言えるのでしょうが、時節柄、ムッソリーニ政権によりネガが廃棄されたというのも、無許可という以上に当時の情勢の中では内容自体に問題があったということでしょうか。いずれにしても、イタリア映画らしい雰囲気を持った愛憎劇で、私がイタリア映画らしいと感じる要素のルーツはこのあたりの表現にあるのかなという気がしました。

2019.12.21 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

<短編> 'Departures' (2019)

最近Amazonに出ていた短編映画です。雰囲気的には良さそうなドラマみたいで、ちょっと期待していました。これも、お年寄りをテーマにした短編と思われます。邦題の旅立ちという所からも、なんとなく想像できます。
Amazon 邦題:旅立ち

あらすじ
テーブルの前で考え込む老紳士(Giorgio Colangeli)は、意を決してグラスの水の中に薬品を入れると、水がワインの様に赤く染まります。老人は、グラスを置いた盆を運ぶときに、一輪の花を添えます。
丘の上の展望台から、先ほどの老紳士と娘(Alessandra Masi)が町を見下ろしています。年老いた父は娘に、いままで自由を束縛していたことを詫び、これからはこの街を離れ、好きなようにしてもかなわないと告げます。娘は町に残ると言いますが、父は恋人との約束でもあるのかと問いかけます。

老いた妻(Valeria Cavalli)はベッドの上で起き上がってアルバムを見ています。老紳士はグラスと鼻を脇に置くと、今までのことを振り返り、変わらぬ愛を語ります。妻は、あの音楽をかけてと頼み、老人がレコードに針を載せて振り返ると、グラスが空になっていました。夫は、妻の体を横たえ、自分もその隣に横になりました。
丘の上で、父は娘に、母親と初めて会った時のことを語ります。この高台のベンチで、本を読んでいると、母親が隣に来て、多くのことを語り合ったのです。そして、妻のいう事は何でもかなえてきた、最後の願いもと…。父と娘は展望台で抱き合い、娘が振り返ると、そこに確かに、若き日の父と母の姿を見るのでした。



Departures (2019)

17分の短編映画。内容は素直なお話です。安楽死の補助を夫に頼んだ妻と、おそらくこれを期に町を出ていこうとする娘のそれぞれの旅立ちの瞬間を描きます。こういった老いのテーマをショートストーリーにすると、だいたいいいお話になり、この映画も然りです。そして、妻が薬を飲む前後の映し方は、大変良くできていると思いました。時に、レコードをかけに行って振り返ると、グラスが空になっていたという映像は、ハッとするようなシーンで心に残ります。

あとは、あまりにも素直な展開で、もうひとひねり欲しいなと思ったのが、見た時の正直な感想です。旅立ちという言葉に表される夫婦の別離と娘の旅立ちを表現していて、十分以上に成功していますが、更に突き抜けるものが欲しいなと思いました。あと、妻が物語の性格以上に、若く元気に見えるところも引っかかります。ただし、彼女の演技自体は素晴らしいと思えるものでした。もっともっと良くなる可能性があるのではないかと思いました。

この作品は様々な映画祭に出品されたようです。監督のことはわかりませんが、その中で、"Best Student Film"という賞を受賞しているので、きっと学生の作品だと思います。そうしてみると素晴らしい出来であると同時に、伸びる余地を大いに感じる映画であることも頷けます。俳優さんは、イタリアのテレビ等でも活躍するベテランの方々と思います。堅実な演技です。映像表現は素晴らしいので、さらに経験の裏打ちが積み重なれば、飛躍が期待ができるのではと思いました。

Data
監督:Nicolas Morganti Patrignani
脚本:Stefania Autuori
製作国:イタリア
公開年:2019
時間:17 minute
スペック:カラー
Imdbリンク:Departures

2020.5.10 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「Mare nero (2006)」スタイリッシュな映像と音楽と美女(ネット邦題:曲解)

Amazon Primeにちょっと面白そうな感じの映画が登場していたので、早速見てみました。邦題は「曲解」と無粋な二文字がついていますが、原題はMare nero英題はThe Dark Seaで、いずれも「暗い海」といった感じ。ビデオ英題はPerversion(倒錯)という題名がついています。2006年のイタリア・フランス合作作品で、監督はロベルタ・トーレ。ロカルノ国際映画祭でのグランプリノミネート作品となっています。

あらすじ
海の中から引き上げられる胸像の頭部の不穏な映像で、この映画は始まります。そして、ある日刑事であるルカ(ルイジ・ロ・カーショ)のもとに、ガールフレンドのヴェロニカ(アンナ・ムグラリス)が越してきました。そして、二人の新しい熱い毎日が始まりますが、ルカはベッドの中で呼び出しを受けます。駆け付けた現場では、女性が全裸で手を拘束され、頭を何かに打ちつけられた上で、絞殺されていました。ルカは担当刑事として捜査を始め、被害者の学生ヴァレンティーナ(アンドレア・オズヴァルト)が勤めていたとされるナイトクラブなど、夜の風俗の裏側をたどっていきます。夫婦などの男女がペアで車で訪れ、他の男にパートナーの女性を好きにさせるという場所に張り込むうちに、ルカは妄想に支配されるようになり、ヴェロニカとの間も不穏な関係になる一方で、激しい情事を行います。そして、自分の暴走が怖くなったルカは、上司に担当替えを申し出ますが、ちょうどその時、男が出頭してきて事件は解決しました。

しかし、その後もルカの妄想は止まりませんでした。例の同伴での売春エリアや、SMクラブなどに出没。ヴァレンティーナのビデオを手に入れると、署内で居残って見ていて上司に咎められる始末。家に帰ったら帰ったで、ヴェロニカが窓越しの男と激しくセックスしている幻想に捉われます。そして、朝を迎えた二人の日常の食卓は、何もなかったように展開し、ヴェロニカは、昨日は良かったとルカにそっとつぶやくのでした。



Mare Nero

映像は大変すばらしい映画でした。そして、音楽も素晴らしいと思います。それに加えて、セクシーなアンナ・ムグラリスの、いろいろな姿や顔が見られるので、視覚的には言う事はありません。アンナ・ムグラリスは超有名ブランドのモデルもやっているような女優さんで、まさに銀座のブランド店の店頭を飾るようなエキゾチックな美女ですから、なおさらです。しかし、物語は単純で、あまり中身がありません。従って、全体が超スタイリッシュに纏められていますので、そちらを楽しむということが、目的の映画という気がしました。ミステリーを装っていますが、犯人のオジサンが自ら出頭して捜査が解決ということですから、ミステリー的妙味は飾りつけみたいな位置づけになるでしょう。

ルイジ・ロ・カーショと、アンナ・ムグラリスの組み合わせ、物語の内容からしても、「アイズ・ワイド・シャット」の、トム・クルーズとニコール・キッドマンを思わせる雰囲気があります。たぶん、それをやりたかったんじゃないかな??というのが感じるところです。この映画は、平たく言えば、まじめで美しいガールフレンドを持つウブな刑事が、捜査過程で知った裏社会の倒錯の世界に足を踏み入れ、ネトラレ的な性欲を掻き立てられて妄想が止まらなってしまい、ガールフレンドとの性行為も激しくなっていくという男の物語ということになります。そう言ってみれば、ちょっとした倒錯系のポルノ映画を思い切りスタイリッシュに飾ってみたということになります。

そういった感じですので、倒錯と言っても(ビデオ題の倒錯が一番あたっているかもしれない…)、彼女がその世界に入っていく感じがあまりなく、全体的に軽い感じで、クローネンバーグやリンチみたいな重量級には至ってない感じでした。ただし、まぁ、ここまで映像や音楽を飾ってくれればそれはそれで楽しめましたし、両主役は男は静かな熱演、女は綺麗という感じで、これも楽しめる演技をしてくれていたので、自分的にはまずまず、見てよかったという感じです。やはり映像と音楽と演技が美しければ、それはそれで大いに楽しめてしまうものなのでした。

2020.3.22 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「ミラノカリブロ9」 日本のやくざ映画と通じるカッコよさ

Amazon Primeの特典にあった、フェルナンド・ディ・レオ監督の作品、ミラノカリブロ9を見てみます。1972年のイタリア映画で、2004年のヴェネチア映画祭でもリバイバル上映されました。B級アクション映画で楽しませてくれる監督だけに楽しみです。

あらすじ
マフィアの資金の札束が、運搬途中で白紙の束にすり替えられます。運搬に携わったメンバーは疑いをかけられ、拷問の末爆殺されましたが、結局金は行方不明のままでした。3年後、服役していたウーゴ(ガストーネ・モスキン)が出所すると、待ち構えていたのは、アメリカーナ―派のロッコ(マリオ・アドルフ)と彼の子分たちでした。ウーゴが金を奪ったと疑っている彼らは、ウーゴに親分に会いに来るように言い含めました。その夜も子分たちはウーゴのホテルを訪れると部屋を破壊。賠償を求められたウーゴは、旧友のチノ(フィリップ・ルロワ)を訪れ、金の無心をしにいきますが、再びロッコたちが現れます。今回はチノの活躍でロッコ以下の撃退に成功しました。

その後、ウーゴはボスと面会し、告白を求められますがウーゴは否定。ボスはロッコの部下として活動するよう求めます。その夜、ウーゴはクラブを訪れ、かつての恋人ネリー(バーバラ・ブーシェ)と再会。また、バーテンダーとその息子のルカ(Salvatore Arico)などと再会しました。ウゴはネリーと一夜を共にし、真犯人を必ず見つけると告げます。翌日再び運搬中の札束が消えてしまいます。運搬人は赤いジャケットの男に殺されたのです。ボスはチノの仕業と確信し、ロッコのチームに排除を指示。チノは逃げ延びますが、仲間が殺されてしまいます。

チノは殺された仲間の復讐に、ボスの家を急襲。ボスやその子分たちを殺害しますが、やがて銃弾に倒れてしまいます。チノは死ぬ間際にウーゴの本当の動機を読み取ります。ウーゴはチノの死によってボスから解放され、3年前に盗んだ札束の隠し場所に行くと、それを持ち帰ります。そして、ミラノを離れることに決めたウーゴはネリーに連絡し、ベイルートへの逃避行に誘います。しかし、彼女の部屋で札束を見せたところに待ち構えていたのは、赤いジャケットのルカ。ルカはウーゴの背後から発砲し、ウーゴは死の間際に最後の力でネリーを撲殺。そこにウーゴに心酔するようになったロッコが到着し、「お前にウーゴを撃つ資格はない」と怒鳴りながら、ルカの頭を何度も打ち付けるのでした。



ミラノカリブロ9

まずは、冒頭から70年代の雰囲気が溢れていました。オザンナの音楽も痺れます。イタリアのプログレ、いかにもこの時代を感じさせます。ボーリング場とか出てくると、うわっと思いました。ストーリー展開はなかなか緊張したもので、ラストにかけては静かながらも、怒涛の展開となっていきます。ネリーについては、どこかのレストランのシーンでフラグが立ちましたね。余計なことを聞きすぎでした。

ウーゴは寡黙な男で、当時の日本のヤクザ映画のスターと同じ雰囲気を持っているようです。健さんとか…。そして、最後には、ウーゴを讃える言葉で救われます。ポイントとしては、「ここにはマフィアはいない、チンピラかギャングだけ」みたいな発言と、孤高の崇高な男として讃えられるところでしょう。しかし、現金をしっかり強奪しているところが、やはりこういう結末に繋がり、ヒーローになれなかったというところでしょう。一癖二癖ある、フェルナンド・デ・レオのB級の裏社会を扱った、B級アクション。妙な人情味もあって、楽しいです! ガストーネ・モスキンなかなかいいですね。初めて見ます。暗殺の森とかでているらしいので、見る機会があれば注目したいと思いました。

この映画は、ギャング一味の抗争と並行して、警察の内部抗争?も描かれていました。世の中を根本から直したいという理想主義者と、悪い奴はいろいろな手段を使って叩けばいいという、いかにも高圧的な刑事。理想主義者は当時の社会情勢を語り、最後には内部の左遷劇となります。南部から貧民が流れ込み、北部の治安が悪くなるという構造になっているとか…。ストーリーも面白いし、緊張感もある、いい作品でした。

2019.11.20 HCMC自宅にて、Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「バニシング」 ディ・レオ脚本70年代イタリアアクション

70年代のイタリア製アクション映画。当時の雰囲気が懐かしい一本です。1976年のイタリア映画で、監督はルッジェロ・デオダート、脚本はフェルナンド・ディ・レオが担当しました。

あらすじ
凶悪犯罪が横行するローマの一角に、犯罪には手段を選ばない態度でのぞむ特捜部がありました。刑事アルフレッド(マルク・ボレル)とトニー(レイモンド・ラブロック)は二人組でバイクを駆り、日夜取締りに全力投球です。彼らはいつも手荒な追跡のあまり、犯人を殺してしまう始末。上司(アドルフォ・チェリ)はいつも生きたまま逮捕しろと怒鳴りたてています。それには、麻薬シンジケートのボス、バスキーニ(レナート・サルバトーリ)を逮捕するため、情報を手に入れたいということもありました。ある夜、バスキーニの主催の賭博パーティの情報を入手した二人は、到着早々駐車場の車を炎上させてしまいます。そしてバスキーニの妹が市内のアパートにいる事を知った二人は彼女のアパートに向かい、調査もそこそこに彼女と寝てしまうのでした。

バスキーニは、これにはさすがに黙っているわけにはいかず、殺し屋を向かわせますが、二人は無事生き残り、やがて特捜部内に裏切り者がいると知った二人は、出鼻をくじこうと、バスキーニのアジトである廃船に向かいます。しかし、船の中にはバスキーニの情婦がいるだけでした。バスキーニ達は、向かいの倉庫で待ち伏せ、船を爆破して二人を殺そうと考えていました。そして起爆装置を操作しようとした時、隠れていた上司の刑事部長の銃が発射されます。バスキーニとその手下を一気に射殺してしまったのです。銃声を聞いて船を出た二人は、倉庫にはバスキーニと手下の死体を発見。拳銃を手にした刑事部長が車に乗り、手を振りながら颯爽と去っていきました。二人は顔を見合わせながら、倉庫で起爆装置を見つけ、無人の船を爆破したのでした。



バニシング

フェルナンド・ディ・レオ脚本による、70年代イタリアアクション。Amazon Primeでは、「ダーティーデカ まかりとおる」という副題がついていましたが、これはビデオ発売時の邦題のようです。原題(英訳)は、LIVE LIKE A COP, DIE LIKE A MANというものですが、どちらにしてもなかなか内容と繋がらない感じが…。問題のダーティーデカは、イケメン俳優の2人が演じておりますので、ダーティーな感じがあまりないのですね。やることは無茶苦茶なのですが…。

麻薬シンジゲートのボスであるバスキーニを追うというのが基本骨格で、その片手間にいくつかの犯人を上げていくのですが、手荒に殺してしまったり、放火したり、尋問に行った相手と2人でセックスしたりとやることは非道。まぁ、殺したのも放火したのも相手は悪人ですし、セックスの相手はセックス依存症の女性ということで、エクスキューズはあります。そのノリでいろいろと展開するというストーリー。スリリングにうまく展開するかというと、まぁ、アクションで繋げているだけで、緊張感はありません。ラストは一応決まっていました。

フェルナンド・ディ・レオによる監督や脚本の作品を最近いくつか見ましたが、ストーリー展開はなかなか楽しいと思いました。この映画は残念ながら演出に締まりがないような感じがします。ただ、まったりと70年代のマカロニ・アクションを楽しむという意味で、今では貴重な作品群だと思いました。60年代のマカロニ・ウエスタンの脚本作品は数多く見られますが、70年代のアクションは日本では見られる作品が少ないので、また見かけたら是非チェックしたいと思います。

2019.11.28 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史」 アン・ヘイウッドと中世の芸術的な美しさを

ひさしぶりに、アン・ヘイウッドが見たくなったので、探し出してきました。この映画は、日本では劇場未公開でVHS発売のみというパターン。欧米ではDVD化されています。修道女映画のレスビアン的な印象を狙った邦題をつけられていますが、ヌードシーンは最小限で、かなり美しい美術、衣装を持つ映画でした。邦題につられると当てが外れるでしょう。ドメニコ・パオレラ監督による1973年のイタリア映画です。
原題:Le monache di Sant'Arcangelo (The Nun and the Devil)

あらすじ
1577年。イタリアのサン・アルカンジェロ修道院では、マザー・スーペリアが死に瀕しており、後継のマザー・スーペリアへのシスターの争いが発生していました。年長のラヴィニア(マリア・クマ二・カシモド)、内外にコネクションを持つジュリア(アン・ヘイウッド)、修道院のパトロンであり貴族のドン・カルロス(ピエル・パオロ・カポーニ)と関係をもつカルメラ(クラウディア・グラヴィ)の3人。ジュリアはシスター・キアラ(マーチン・ブロチャード)とレスビアンの関係にありましたが、恋人との仲を遠ざけるため、修道院に入ってきた姪のイザベラ(オルネラ・ムーティ)も可愛がりはじめ、また、貴族のドン・カルロスとの関係もあったようです。

ジュリアは、マザー・スーペリアを手中にすべく、ラヴィニアに毒を盛って緩やかに衰弱させる一方、カルメラは色仕掛けのスキャンダルに陥れ、地位を確実なものにしていきます。そして、教会に多額の寄付を行い影響力のあるドン・カルロスからは、処女のイザベラを差し出すように言われ、渋々承諾。イザベラを一人屋敷に使いにやります。一方で、ジュリアの寵愛を失ったと思い、失意のキアラは、ジュリアの一連の策略の告発を記します。修道院の動きに不穏なものを感じた枢機卿とカラフォ牧師(リュック・メランダ)は、修道院を一斉捜査。毒薬や男関係の証拠、そしてキアラの告発書も押収。多額の寄付者であるドン・カルロスとの関係を考え、このままジュリアをマザー・スーペリアにすべきか、ドン・カルロスの影響力を排除するかで、2人は激論を交わしました。

そして、異端審問の裁判が開かれ、拷問の中で口を割る修道女たち。腐敗と不正に対する厳罰が下されたジュリアは、教会の腐敗を批判しつつ、その場で渡された毒をあおり、息絶えるのでした。



修道女ジュリアの告白/中世尼僧刑罰史

英語版を字幕なしで鑑賞。教会用語とか解らないので、理解にかなり苦労しました。アン・ヘイウッドは端正な顔立ちの美人で好きなのですが、やはりこの映画でも美しさが際立っています。加えて、修道女の服装や、修道院内部の造形なども丁寧に作られていてなかなか綺麗で、また音楽も美しくて、大変楽しめました。修道女物につきもののエロスはあまりありません。ヌードシーンは、アン・ヘイウッドはほんの一瞬だけ。その他はキアラとカルメラがラストの拷問シーンも含めて頑張っていました。

修道女物というジャンルがあって、それは、いわゆる教会や宗教を扱った物から、女性だけの閉鎖空間のエロス映画へと変化してきました。そして、日本では後者のみが一時期作られていました。この映画は、ちょっとエロスの入った前者で、修道院の中での権力と策略の世界。最後には、ジュリアが毒を飲まされることになりますが、その直前に枢機卿に向かって糾弾します。つまり、教会の表向きの活動とは裏腹に、その体制維持のため全体の仕組みとして不正や腐敗は横行しているのではないかということ。何事もそうですが、金と地位に溺れてはいけませんのですがね…。

アン・ヘイウッドを見るという目的においては、全面的に達成しました。クールな姿から、ちょっとエロティックな感じから、美しい感じそして、最後は拷問と断末魔のパフォーマンスまで。彼女の映画、今となっては積極的に見ようとしない限り、なかなか見る機会がないので、また思い出したら探して見てみようと思います。まだまだ尼僧ものとかもあったはずだからね。

2019.9.29 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

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「ザ・シシリアン 復讐の挽歌」 70年代B級ギャング映画

Amazon Prime にあった、70年代のイタリアB級ギャング映画。クエンティン・タランティーノがお手本としたという、フェルナンド・ディ・レオ監督による作品です。そういったお墨付きがついているだけに、楽しみです。1976年イタリア・西ドイツの作品です。この映画は、2004年のヴェネチア国際映画祭で特別上映されたとのことのです。

あらすじ
ある建物の一室。悪事の稼ぎを持ちこんだ2人の男の一方(ジャック・パランス)が、分け前を独占しようと相手を射殺します。その家で寝ていた殺された男の息子が銃をとり、撃った男を撃とうとしますが弾切れ。男は立ち去りました。

バギーを乗り回し、地元の上納金の取立て役を行うトニー(ハリー・ベアー)は、集金した金をルイジ(エドマンド・パードム)の事務所に持ち込む毎日。ルイジは賭場を経営していますが、ある日その賭場でリック(アル・クライヴァー) という若者が起こしたイザコザで、地元のボスのスカーフェイスと呼ばれるマンザーリ(ジャック・パランス)一家の男たちが現れ、カードゲームの後300万リラの小切手を残して立ち去りました。そして、リックは面倒をかけたということで、マンザーリたちにボコボコにされたところを、トニーに拾われ2人は共に行動するようになります。

翌日、トニーが事務所を訪れると、ルイジたちが集まって300万を、どうやってマンザーリから取立てるか悩んでいました。トニーは自分にまかせてくれと請負い、リックと組んで税務署員を騙ってマンザーリからまんまと1000万をせしめ、300万だけルイジの事務所に戻します。騙されたと知ったマンザーリ一家はルイジの事務所や賭場を破壊し、ルイジは身を隠しますが、マンザーリと手を組んだルイジ配下のぺッピ(Enzo Pulcrano)に殺されました。そして、ダシに使われ1000万をもっていかれたペッピもトニーたちを追い始めます。

ルイジ亡きあと、実権を握ったペッピは、マンザーリの庇護のもとで賭場を再開。トニーは勿論、ペッピに反発する古参のナポリ(ヴィットリオ・カプリオーリ)もグループを離れ、マンザーリは、提携の条件としてペッピにトニーの居場所をつかんで知らせることをに求めました。一方でトニーたちは、トニー、リック、ナポリと3人で組んで身を隠した後、まずリックが賭場に潜入し、ペッピを射殺。そして、マンザーリの事務所に乗り込むと、麻薬取引を持ち掛け、3人の待つ旧屠殺場のアジトへ誘います。そして、現れたマンザーリ一味を迎え撃つことになりますが…。



ザ・シシリアン 復讐の挽歌

じっくりと見られて、イタリアらしい雰囲気のある、B級ギャング映画でした。当時ヨーロッパに転戦していたジャック・パランスが、マカロニなどへの出演を経て、ギャング映画への出演です。でも、なんとなく一人だけちょっと雰囲気の違う感じがしますが…。主人公役のトニーとリックのコンビの活躍は痛快で、加わったナポリもいい味を出していると思いました。全体に、イタリアのコメディっぽい明るさも加味されていて、中間では少しだけエロスも散りばめられ、なかなか見どころが多い映画だと思います。

冒頭に父親が殺される場面から入るので、復讐劇であることが暗示されます。邦題もそのまんま復讐劇と言っています。しかし、実際には、中身は復讐劇の味は薄く、結末を暗示するための額縁に使っただけのようです。そして、ボスが最初に殺されて、あとはアクションシーンが続き、モブキャラが最後まで頑張るという展開は、メインの骨格として使った復讐劇を、ジャック・パランスに敬意を表して描きつつ、実際はイタリアの地回りギャングのアクションをメインに据えた構成と、対するトニーとリックの活躍とアクションで華々しく飾っていこうという形なのでしょう。

ジャック・パランスがボスのギャング団は、マフィアの大物という感じでもなく、あっさりと「飛んで火に入る夏の虫」になってしまうように、脇が甘すぎです。地方都市の勢力争いみたいなイメージです。それでも、ストーリー展開はいろいろなエピソードが織り込まれて、楽しさには事欠きません。さすが、マカロニウエスタンのイタリアの映画で、殺戮場面もいろいろと手を変え品を変えで、明るいコメディタッチも織り込んだギャング映画。娯楽度が高いと思いました。最後の旧屠殺場でのアクションは、四角い建物の周囲を回る、走る人間や車を狙うシーンが、ゲームっぽくて楽しいし、あとは反射でしとめるとか…。いろんな面白い工夫があり、この監督の映画、また見てみたいと思いました。

2019.11.1 HCMC自宅にて Amazon Prime よりのパソコン鑑賞

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「ベリッシマ」 母と子の美しく輝く瞬間をとらえる作品

ベリッシマは、1951年のルキノ・ヴィスコンティによるイタリア映画。ヴィスコンティを見るというよりも、この時期のイタリア映画の雰囲気を楽しんでみようという気持ちで見始めました。舞台の一つとなっている当時のチネチッタの雰囲気も味わえます。ベリッシマとは、「もっとも美しい女性」の意味のことです。

あらすじ
ローマ郊外のチネチッタでは、映画会社が募集した子役少女のオーディションが行なわれていました。そこには、わが子をスターにと、母親たちが列をなしています。マッダレーナ(アンナ・マニャーニ)も、そんな母親のひとり。彼女は、大の映画ファンで、ハリウッド映画を見てはスターに憧れ、それは貧しい生活の中でのわずかな楽しみでした。

娘のマリア(ティーナ・アピチッラ)をスターにするため、彼女のあらゆる努力を始めます。演技指導を受けさせたり、衣裳を購入したり、撮影所に勤めるアルバート(ワルター・キアーリ)をコネにつけようとしたり…。彼に賄賂を贈ったマッダレーナですが、調子に乗ってアルバートが彼女を誘惑すると、今度はきっぱり断りました。マリアは一次選考を通過したものの、二次選考で、カメラの前で泣きだしてしまい、そのフィルムを見た監督やスタッフが笑いころげている様子を、忍び込んだ映写室から見たマッダレーナは、その時はじめて、自分のしてきたことの愚かさを悟りました。ひとしきり監督たちの前で啖呵を切ったあと、マリアを連れてチネチッタを出たマッダレーナは、人気のないベンチで、眠りこけるマリアを抱いてしみじみ泣き崩れます。その頃チネチッタでは、なんとマリアが一位に選ばれ、スタッフたちが契約書を持ってマッダレーナの家を訪ねて来ていました。そこヘ彼女が帰ってくると、彼女は契約をきっぱり断り、大事な娘を非情な大人たちの手には渡せないと宣言。そして疲れ切ってベッドに横たわるマッダレーナを、夫があたたかく抱擁した時、野外劇場から聞こえてくる映画の音から、バート・ランカスターの声を言い当てるのでした…。



ベリッシマ

とにかく、アンナ・マニャーニが凄まじいとしかいいようがありません。その発言と行動は機関銃並みの迫力です。夜に部屋で見ていましたが、思わずボリュームを下げてしまいましたよ(笑)。ものすごい自己主張で驀進し、そして、我に返った時の落差がすごい。それでも、バート・ランカスターの声に反応するところは可愛らしい。題名のベリッシマとは、最も美しい女性とのことで、そんな主人公の姿を、イタリア女性の典型的な姿として賛美する映画、そのような姿に女性讃歌の意味が込められているのでしょう。

最後は、母親として契約を断ってしまいますが、そこまでやったのなら、受ければいいのにとは思ったものの、でも本当に子どもを愛していて大切ならば、母親としてこの世界の人々と出会って体験したことを整理し、少女がこの世界に入って起こることを考えると、間違っていないと思いました。人の子なら羨ましく見ることになりますが、大切な自分の子供であれば、やはりリスクにさらしたくないのは、当然のことと思います。お金よりも名誉よりも尊いものです。ただし彼女が、もしそれでも契約してしまったら、今度はスタジオで毎日大騒ぎする母親が目に見えるようですが…。

決して楽ではない生活を強いられている彼女の唯一の楽しみが、ハリウッド映画というのがちょっと楽しいところでした。この家の横で野外映画をやっているので、ここに住んでいると、自然に映画が向こうから入ってくるような感じですが、それでも映画の世界に入ると彼女の表情が変わっていくところが、いくら騒々しい女性であっても、憎めなくてとてもいいと思います。上映されていた映画は、ハワード・ホークスの「赤い河」とのことです。

2019.9.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「越境者」 無駄なく美しい映像にすっかり魅了される

久しぶりのピエトロ・ジェルミ、そして、久しぶりのイタリアのクラシック映画の鑑賞になります。「越境者」は、ピエトロ・ジェルミの初期の作品。フェリーニも原案・脚色と名を連ねています。そして、ベルリンの銀熊賞受賞作品。1950年の作品。原題は直訳すると、「希望の道」といった意味になるようです。

あらすじ
シシリアの硫黄鉱山のある町では、鉱山の閉山が鉱夫たちの抵抗も空しく実行され、多くの家族が収入を失うことになってしまいました。町にやってきたブローカーがフランスでの仕事の斡旋を始め、元鉱夫たちはなけなしの家財道具を売り払ってブローカー(サーロ・ウルツィ)に渡し、一行は違法な出稼ぎの旅へと出発します。

リーダー格は、三人の幼児を連れたサロ(ラフ・ヴァローネ)。そして、ならず者に落ちぶれたヴァンニ(フランコ・ナヴァラ)の内縁の妻バルバラ(エレナ・ヴァルツィ)など一行は約20人。途中バルバラの手配でヴァンニを拾い、本土に渡ると汽車でローマへ。しかし、ブローカーがナポリで旅費を預つたまま逃げようとした所をヴァンニが発見し、脅して連れ戻しますが、ローマでブローカーは混乱を発生させ逃走してしまいました。この騒ぎで、ヴァン二も逃走、一部の村人ははぐれてしまい、皆は警察に検挙され、帰郷を命ぜられます。

帰るにも帰ない一行は、トラックを雇いエミリアに向かい、一時的に農園のアルバイトに雇われますが、これは農場のスト破りとしての雇用だったことから、地元の農民たちが騒然となり、再び出発を余儀なくされました。絶望した一部の村人はシチリアへの帰路につき、残った数名がアルプス山麓の町まで到達します。これまでの道中で、バルバラはサロと打ち解け、3人の子供を母親代わりに面倒を見てきましたが、この町で再びヴァン二が合流。サロとヴァン二は雪の中で決闘になり、サロはヴァンニを刺し殺してしまいました。

一行は、吹雪の国境の峠に挑み、ここで鉱山の会計係であった老人を失いますが、ついにフランス側に到達、フランスの国境警備兵も彼らの惨状を悟ると無言で去り、一行は希望に向けて進んで行くのでした。



越境者

素晴らしい映像を堪能しました。これは、映画を見る醍醐味の一つと思います。全く、どのカットも雄弁に物語を語り、細かく計算され、惚れ惚れするような映画でした。ストーリーは、職を失った村人たちがブローカーに騙され、不法な出稼ぎに行くその苦難の道中で起こる事件を描いたものですが、展開に無駄がなく、また当時の世相も明晰に描かれ、きっちりと仕上がってます。そして、思えば、この内容。時代を経ても、世界中のどの地域でも未だに起こっている、普遍的な問題ということを改めて感じました。この映画は、ベルリンの銀熊賞以外にも、カンヌでもノミネートされていました。ネオレアリズモの流れの中での、ピエトロ・ジェルミの初期の社会派作品ですが、彼の作品はこの後鉄道員、刑事へと続いていきます。

そして、ここでは、エレナ・ヴァルツィが素晴らしいと思いました。美しく撮られているという事もありますが、複雑な役にいろいろな表情を添えて演じています。そして、やはりこの映画、或いはこの集団に入っているのが違和感があるくらい美しいと思います。彼女は後にこの映画のサロ役でもあった、ラフ・ヴァローネと結婚。その後は、家庭に専念したために引退してしまいました。残された映画は多くないのですが、また機会があればと思います。

頻繁に見る訳ではないのですが、でもその少ない機会のたびに、イタリアの古い映画はいいなぁと思ってしまいます。特にイタリア内で撮影された映画なのですが、明るいし、美しいし、人情味あふれているということでしょうか。見た本数も決して多くは無いので、まだまだこれからではあるのですが、ここにはこれからも楽しみが沢山あるような気がしています。そして、また次の機会を楽しみにしているのです。

2019.9.14 HCMC自宅にてパソコン鑑賞

テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「おとなの事情」 イタリアの大人事情、これが本当の割切?

以前、予告編を見て面白そうだと思っていた映画ですが、改めてAmazon Primeに出ていたので、見ることにしました。2016年のイタリア映画。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、作品賞と脚本賞を受賞し、トライベッカ国際映画祭脚本賞、ノルウェー国際映画祭観客賞受賞など、数々の賞に輝いた映画でした。

あらすじ
月蝕の日に、7人の友人夫婦が集まった食事会で、お互いには何の秘密も無いという彼らは、席上でかかってきた電話やメッセージをお互いにオープンにするゲームをすることに。ところが次々と彼らの秘密が露見していき…。



幼馴染の男性4人と、そのパートナーたちが、月蝕の夜にロッコ&エヴァ夫婦の家に集まって、ホームパーティーが始まりました。そして、食事中の会話の成行から、お互いスマホをテーブルの上に置き、メッセージはその場で読み上げる、通話はスピーカーをオンにして、皆に聞こえるようにするというルールでゲームをすることになりました。映画は、そのホームパーティーの場面の会話劇として続いていますが、ここでは登場人物毎にサマリーを紹介します。

ロッコ(マルコ・ジャリーニ)&エヴァ(カシア・スムトゥアニク)夫妻
エヴァは、17歳の娘ソフィアとうまくいかず衝突を繰り返し、ロッコが娘の相談にのっている状態です。この日も、エヴァがソフィアのバッグを覗き、コンドームを見つけたことからひと騒動でした。エヴァはカウンセラーをしていましたが、この日夫が別のカウンセラーに通っていることが発覚、またエヴァも豊胸手術をしようとしていることが発覚してしまいました。そして、ソフィアから恋人に処女を捧げるべきかという相談の電話に、真摯に回答するロッコでした。

コジモ(エドアルド・レオ)&ビアンカ(アルバ・ロルヴァケル)夫妻
新婚で、これから子作りをしようと決めたばかり。ビアンカに元カレからやりたくなってきたというメールが入りますが、これは相談を受けているだけだということで解決。ところがコジモに、男性から「手配した指輪とピアスは気に入ってもらえたか?」と連絡が入り、何も受け取っていないビアンカは不審に思います。実はコジモはこれをエヴァに贈っていました。そして、職場の女性のマリカからコジモに「妊娠したみたい」と電話が入り、ビアンカはトイレで悲嘆にくれ、義母に孫ができたと連絡すると、指輪を外して出ていってしまいました。

レレ(ヴァレリオ・マスタンドレア)&カルロッタ(アンナ・フォッリエッタ)夫妻
結婚十年目。子供と母と同居しています。カルロッタは家を出る時、なぜかノーパンで出ていきます。レレは一人で来ているペッペに、同じ機種ということで携帯の交換を頼みました。ところが交換したペッペの携帯に、ルチオという男性の恋人から連絡が入ります。すっかりレレはゲイということになってしまい、皆から白眼視されます。ペッペ自身もこれまでゲイを隠していたのです。カルロッタの方は義母の老人ホームを探していたことがバレ、そして、SNSでのチャット相手から、今ノーパンか?というメッセージ。これはSNS上だけの関係で、会ったことも無いということで収まりますが、かつてカルロッタは飲酒運転の死亡事故を起こし、飲んでいないレレが代わりに罪をかぶったことを告白。それが理由で愛が無くても別れられないのだと打ち明けます。

ペッペ(ジュゼッペ・バッティストン)
新しい彼女を連れてくる予定だったペッペは、相手が熱を出したということで一人で現れました。レレと携帯を交換したペッペですが、レレがすっかりゲイと認識され、何も言い出せない状況になってしまいます。ゲイが露見した為教職を追われたペッペは、この騒動の中でゲイに対する偏見をますます感じたのでした。そして最後にカミングアウト。ロッコの、相手を紹介しろという言葉にも、相手を傷つけたくないからと断ったのでした。

さて、パーティが終わって外に出た彼らは、すっかり月食が終わり、きれいな満月を見てそれぞれ仲直り。何事も無かったように、元の関係に戻ったのでした。

おとなの事情

予告編を見た時、面白そうだと思っていたのですが、現時点でとても見たいかというとそうでも無い、という感じで見始めました。というのも、この手の会話劇ってけっこうああ言えばこう言う的な会話のオーバーアクションが見えていて、ちょっと疲れ気味なのです。おとなの事情ね、おとなのけんかと言いうのもあったな…。と思いつつ、まぁとりあえず見始めました。いくつかのカップルが登場するので、群像劇風にもなることから、それぞれの登場人物の特徴をまずつかもうと、序盤注意してみるのですが、とりあえず混とんとしてつかみきれず…。でも、これはいずれ時が解決してくれるので、さほど気にしなくても良かったようです。

やはり、思った通り、会話のオーバーアクションに入っていきます。夫婦喧嘩は犬も食わないといいますが、こういったやり取りって見ていると疲れるんだよねと思いつつ、とりあえずオーバーに語らないホスト役のロッコに親しみを覚える前半。そして、成行からその場を見守るほかなくなってきたペペに親しみを覚えるという展開でした。予想通り途中から携帯電話を仲介とした暴露合戦が始まり、ディナーは修羅場へと化していきますが…。この辺りは次から次へと新手の情報が入って、攻めも守るも攻守交替を余儀なくされる姿が、大変面白かったです。

というわけで、ひどい話だよねと思いつつ、ラストのあまりにもあっけらかんとした結末に、おとなの事情というものを納得する次第。ええ?そうなるんですか?というある意味衝撃的な結末は、派手ではありませんが、考えさせるものでした。いや、これはイタリアの国民性なのでしょうか。日本ではこうはいきませんよね絶対。よくできたおとなの事情であり、ゲームという割り切りはこういうものかと思い、ちょっと恐れ入った次第。割り切りと簡単に言いますが、こういうのを本当の割り切りというのかな…。

2019.6.15 HCMC自宅にてAmazon Primeよりパソコン鑑賞

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