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「素晴らしき哉、人生!」 絆で繋がるクリスマスの奇跡

アメリカの映画の中でも、名画と言われているこの映画を、同年に製作されたオスカー作品賞の「我等の生涯の最高の年」に続けて見てみました。アメリカの古いドラマはそれほど見ているわけではないのですが、このあたりが本丸かなぁと思っております。1946年、フランク・キャプラ監督の作品で、オスカーでは5つのノミネートでした。
原題:It's a Wonderful Life

あらすじ
1945年のクリスマスイブに、ジョージ・ベイリー(ジェームズ・ステュアート)は、自らの命を絶とうとしていました。そして、天国からその自殺を思いとどまらせるために、二級天使のクラレンス(ヘンリー・トラヴァース)が派遣されることになります。その準備ためにクラレンスは、それまでのジョージの人生を見せられるのでした。

1919年。ジョージが12歳の頃、弟のハリーが極寒の池に落ちて溺れているのを救いますが、この時片耳の聴力を失います。ジョージは薬局でバイト中に、店主が息子の死によって気が動転し、子供用の調剤を誤ったことに気づき、事故を未然に防ぎました。1928年、ジョージは幼馴染のメアリー(ドナ・リード)とパーティーで再会。二人は良い雰囲気になりますが、父の危篤の知らせが入り、急遽デートを中断して変える羽目に。そして、父の死後、町を牛耳る富豪のポッター(ライオネル・バリモア)の圧力で、父の住宅金融組合は潰されそうになり、ジョージは進学や建築家になる夢も諦め、父の仕事を継ぐことに決め、代わりにハリーを大学へ通わせます。そして、弟の卒業を待つも、ハリーは工場主の娘と結婚し、町に帰ってきませんでした。

幼馴染のメアリーが町に帰ってきたと聞いたジョージは、彼女の家に向かい、そこでジョージはメアリーの想いに気づくと二人は結婚すします。そして、ハネムーンに向かおうとした時、二人は銀行の取付け騒ぎを目撃し、これがポッターによる罠だと悟ったベイリー夫婦は、ハネムーンの費用を銀行が再開するまでの資金援助として、資金を引き出しに来た町の人々に貸し出しました。そしてジョージは、貧しい人々のために宅地開発を行い、ポッターの法外な値段の賃貸住宅から次々と住人が移ってきます。ポッターはジョージを高給で自分の助手として雇うと提案しますが、ジョージは断りました。

1945年のクリスマスイブの日、町は軍功をあげたハリーの歓迎準備をしていました。ところが、叔父のビリーはポッターの銀行に向かい、預金しに行った多額の現金を紛失し、見つけたポッターはこれを隠してしまいます。ビリーはそのことをジョージに伝えると、このままでは金融監査官に見せる帳簿に穴があき、横領で刑務所行きになってしまいます。ポッターに借金を頼みにいきますが、彼は断ったうえ、横領でジョージを告発。ジョージは家族へ八当たりをし、バーでは飲んだくれたうえで、自殺をして保険金を手にいれることを考えました。そこでクラレンスと出会います。自らを守護天使と語るクラレンスですが、ジョージは信じません。

「生まれなければよかった」というジョージに、クラレンスは、ジョージが生まれなかった場合の世の中を見せました。町はポッターズビルという名の物騒な町に変わっていて、人々心は荒んでいます。ショックを受けたジョージは、自分の人生は素晴らしいと気づき、クラレンスに、元の世界に戻してもらいました。家へ帰ると、メアリーの呼びかけで町民たちが寄付に集まり、紛失した金額は無事回収できました。ハリーも戻ってきて、家の中で町民たちは祝いの歌を歌い、そしてクラレンスの「友ある者は決して失敗しない。」というメッセージを見つけるのでした。



素晴らしき哉、人生!

アメリカでは、いつの頃からかクリスマスに上映される映画となっているとのこと。これは、クリスマスイヴの物語で、天使が男に幻想を見せ改心させるのは、クリスマス・キャロルと同じ構造でした。ジョージはスクルージではないので、改心する必要はありませんが、ここでは、自分を含め、一人一人の人生の大事さと、人とのつながりの大事さを改めて気付かされるという、ドラマとしても王道的であり、普遍的な人生物語です。「我等の生涯の最高の年」が当時の世相に大ヒットしたの対比すると、こちらは、いつの時代にも受け入れられる映画になっていました。

監督のフランク・キャプラが、戦後の世相に対して製作した渾身のクリスマス作品なのですが、興行的に失敗して大いに自信を喪失してしまいました。彼の元に天使は現れず、もし、「素晴らしき哉、人生!」が無かったら、どういう世界になっているのかを教えてくれ無かったのでしょうか。とはいっても、それは難しいので、せめて、この映画が将来にわたってアメリカでどれだけ楽しまれているかを見せてあげれば、自身を喪失しなくても良かったでしょうに…。ということですね。

フランク・キャプラ、ウィリアム・ワイラー、ジョージ・スティーブンスが協力して設立したリバティ・ピクチャーズの第1号作品ということで、ここにウィリアム・ワイラーも入っているところは、何か皮肉な感じもしますが、それぞれに戦争体験を経て、一般の映画製作に復帰したフランク・キャプラからの回答は、この映画でした。オチとしては、「情けは人の為ならず」なのですが、何と言いますか、明るいですね。人生を応援してくれる映画だと思います。ちょっと気取った感じの慣れ親しんだ邦題ですが、今となっては、「It's a Wonderful Life」が、最も映画の内容にしっくり来ている様な気がします。

2020.6.19 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞
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テーマ : 映画レビュー
ジャンル : 映画

「我等の生涯の最良の年」 復員兵を迎えるアメリカの社会

オスカーでは、特別賞や記念賞を含めた9つの賞を受賞。作品賞にも輝きました。1946年のアメリカ映画で、ウィリアム・ワイラーの作品です。当時、この映画は戦後の世相も反映し、大ヒットを記録しました。
原題:The Best Years of Our Lives

あらすじ
第二次大戦が終わり、ブーンシティ出身の三人の復員兵、アル・スティーブンソン(フレドリック・マーチ)、フレッド・デリー(ダナ・アンドリュース)、ホーマー・パリッシュ(ハロルド・ラッセル)は、同じ軍用機に乗り合わせ、故郷に帰ってきます。水兵のホーマーは両手を失い義手を使用。家族と恋人のウィルマ(キャシー・オドネル)の歓迎を受けますが、義手に対し哀れみの目も伺えました。陸軍軍曹のアルは、妻のミリー(マーナ・ロイ)と成長した娘ペギー(テレサ・ライト)、息子ロブの歓迎を受けます。美しく成長したペギーの男性関係を案じつつ、すぐには家庭に溶け込めないアルは、気分直しにミリーとペギーを連れて夜の街に繰り出しました。空軍大尉のフレッドは、質素な実家に帰宅すると、妻のマリー(ヴァージニア・メイヨ)は、ナイトクラブで働きながら一人暮らしをしていると聞き、街に出ますが見つかりません。3人はその夜、思い思いに訪ねてきた、ホーマーの叔父ブッチ(ホーギー・カーマイケル)のバーで再会。アルとフレッドは酔い潰れ、ミリーとペギーが二人を連れ帰りました。フレッドがマリーと再会したのは翌日でした。

アルは以前勤めていた銀行に、副頭取として復職。ホーマーは義手をジョークのタネにし、陽気にふるまいますが、内心引け目を感じ、ウィルマの愛情も哀れみと受け取っていました。フレッドはドラッグストアに復職しますが、安月給で以前の部下が上司という環境、他に仕事も見つからないまま貯金を使い果たしてしまいます。ある日、ドラッグストアに買い物に来たペギーを昼食に誘い、別れ際に彼女に強引にキス。ペギーも妻帯者のフレッドを愛し始めてしまい、マリーが収入が激減したフレッドに愛想を尽かしていることに気づくと、家に帰り、両親に二人を別れさせると宣言しました。驚いたアルはフレッドを呼び出し、娘から手を引けと迫ります。フレッドは折れて、ぺギーに別れの電話を掛けることになりました。

ドラッグストアで起きた、ホーマーと客のいざこざに巻き込まれたフレッドは退職。その時ホーマーに、ウィルマに結婚を申し込むよう諭します。ウィルマは、自分がホーマーの重荷になっているので、両親が離れさせようとしていると告げ、ホーマーはいかに障碍者と生活を共にするのが大変かを示しますが、ウィルマは愛で乗り越えられると答え、二人は固く抱き合いました。ある日、フレッドが帰宅すると、マリーが見知らぬ復員兵といるのを目撃し、マリーは悪びれもせず、離婚を言い渡して出ていきます。フレッドは町を出ることにし、飛行場へ向かうと、そこには夥しい数の解体中の軍用機ががありました。機体に上っているところを呼び止められたフレッドは、解体作業員として雇ってくれと頼み込みます。ホーマーとウィルマの結婚式の日、アルの一家やフレッドもホーマーの家に集まりました。ホーマーとウィルマが誓いの言葉を述べ、皆に祝福されている中で、フレッドとペギーは離れたところから見つめ合い、やがて歩み寄ると、二人も抱き合って将来を誓うのでした。



我等の生涯の最良の年

1946年のアカデミー賞を席巻した名作です。3時間近い長さの映画ですが、まったく飽きることなく、最後まで楽しめました。それぞれの人物描写がはっきりしており、演技も撮影も素晴らしい映画だと思います。当時のアメリカの雰囲気も良くわかりました。インパクトがあったのは、たくさんの解体する飛行機が並んでいるところ。平和になればお役御免となり、維持もできないので解体して、民生用の鉄に再生されます。復員兵の立ち場を象徴しています。その機体に自分の姿を重ね合わせ、平和の世の中に貢献する決意をするフレッド。この映画の名場面だと思います。

同じ年に、「素晴らしき哉人生!」が公開されましたが、興行的には失敗し、アカデミー賞でも無冠に終わっています。今ではむしろ評価が逆転しているくらいと思いますが、この映画はやはり当時の世相に受けたのではないかと思います。あくまで、戦争で苦労をした復員兵を讃える映画で、反戦的な思想は時々表現されますが、叩きのめされています。復員兵を前に言う言葉じゃないということはわかりますが、ワイラー監督はどういう立場だったのでしょう。敢えて入れて少しでも主張したかったのか、あるいは叩きのめしたかったのか?このあと、すぐに朝鮮戦争、ベトナム戦争と続いていくベースに、この映画が受けたという世相があったのではとも思いました。

3つの家族の中でも波乱の展開だったフレッドの家族ですが、この女優たちの中では、実はヴァージニア・メイヨが気になっていて、フレッドがなかなか探し当てないので、出現が待ち遠しかったのです。「白熱」で見た彼女が結構好きだったので、再会を楽しみにしていたのでした。部屋は散らかし放題で、あっさり離婚してしまうという遊び人の人妻でしたが、まぁヴァージニア・メイヨはこういうキャラですからねぇ。しかし、私生活では離婚歴のない女優さんで、ハリウッドで珍しいタイプなのですが。という訳で、名作を堪能しつつ、当時の世相を感じた3時間でした。

2020.6/17 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「バンカー・スクワッド ベトナム地下要塞からの脱出」

Amazon Prime特典に新しく出ていたので、ベトナム戦争時代のトンネルに潜ったことがあったので、その興味もあってみてみました。2014年のアメリカ映画で、ジョー・ブラック監督による作品です。相当B級っぽいのは覚悟の上です。

あらすじ
ベトナム北部の紛争地で行動していた米軍の部隊を、突如同じ米軍の集団が襲います。この部隊は消息を絶った特殊部隊でしたが、この隊を率いるタイベリウス(クリストファー・バール)は、ベトナム軍の地下トンネルを奪って潜み、軟弱な行動に対しては、裏切り者として処刑し、部隊に接近するものは、敵味方問わずすべて彼の部隊を脅かす敵として、捕まえては処刑し、指を切り取っていくという行動を行っていました。そして、この部隊を発見した米軍部隊も、本部に探索開始を連絡すると、敢えて撤退するように指示を受けます。

その頃、消えた特殊部隊を探してクリス中尉(マイク・ブラウン)以下4人の米兵のグループが、トンネルの入り口付近に接近すると、特殊部隊が襲います。結果中尉を含む2人が死亡、ハーウィック(Shane Scaccia)は捕虜になり、シェネック(ジェス・ウェーバー)がこれを単独で救出に向かいます。そして、特殊部隊が3人のベトナム女性と1名の米兵を処刑しようとしたとき、シェネックが襲い、ハーウィックと女性の一人キム・リー(サンデー・スイ)を救出しました。

3人はトンネル内に潜入し、特殊部隊の米兵との戦いを始めます。ハーウィックを失いましたが、トンネル内の戦闘で特殊部隊を倒し、外に逃れると、生き残ったタイベリウスがこれをと応え、キム・リーも射殺されました。そこに救助で駆け付けた本部が到着。タイベリウスは倒され、シェネックを本部に連れ帰ります。そして、シェネックと面談した本部は、このことは一切口外しない様に指示し、新たな戦場へと向かわせるのでした。



バンカー・スクワッド ベトナム地下要塞からの脱出

うむ。これはやられましたね。数年に一度の稀に見るグダグダな映画です。ダメ映画というものは、それなりに愛着も湧くものですが、これは全く湧きません。そもそもいきなり背景が良くわからない。この部隊の存在は秘密になっているらしいですが、救出部隊も存在するという、ややこしい関係。そのうえ、秘密を知ったものは、本部でも容赦なく処刑するという、脈絡のないストーリー。途中で発生してしまう、ラブロマンス。

とにかく、前後脈絡なくエピソードを詰め込み、地獄の黙示録のような話を、低予算とチャチなシナリオが作ろうとしたという映画なんでしょうか?とってつけたようなラストも失笑ものでした。ダメ映画でも、まぁ試しに見て見たら?と言う方ですが、これはまぁ、人に勧めると一生恨まれるような映画なので勧めません。せっかく穴を掘って頑張って撮影したのに、大変だったね、ご苦労さん、でも二度とやらないでねという感じです。

映画の話はこれで終わり。私の今住んでいるHCMCの郊外にも、ベトコンの地下基地が観光地として残されています。もともと閉所恐怖症気味かなぁと思っていた私ですが、このトンネルに入って、見事にそうであることが解りました。1度目はその狭いトンネルの中の移動にかなり圧迫感を覚えてトラウマになり、二度目は無理でした。うさぎ跳びのような姿勢で、延々と数十メートルある先の見えないトンネルの中を移動するのは、多少明かりがついているとはいえ、きついです。立って歩けるようなところであれば大丈夫なんですがね…。

2020.3.5 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「幽霊と未亡人」海辺の風景も美しい映像の幽霊ファンタジー

マンキーウィッツ監督の作品は、とりあえずイヴの総てしか見ていなかったので、イメージがわかないのですが、今回2つ目の鑑賞です。1947年の作品で、オスカーでは、撮影賞(白黒)にノミネートされました。
原題:The Ghost and Mrs. Muir

あらすじ
若く美しい未亡人のルーシー・ミューア(ジーン・ティアニー)は、亡き夫の家人の反対を押し切り、家を出て海辺のホワイトクリフに、一人娘のアンナ(ナタリー・ウッド)と家政婦のマーサ(エドナ・ベスト)とともに移り住みました。ルーシーは海辺の家を大変気に入り、いわくつきだという、不動産屋からの説得を押し切って借りると、さっそくその日に、グレッグ船長(レックス・ハリソン)の幽霊が現れます。ルーシーは、驚かせて追い出そうとする幽霊に啖呵を切ると、その姿を現し、愛するこの家を人にまかせるつもりはなく、出ていくように言いますが、ルーシーも負けずに出ていくつもりはないと主張し、しばらく同居することになりました。

船長は度々ルーシーと衝突しながらも、奇妙な同居が続いていたある日、株の暴落で彼女の財産が無くなってしまい、窮地に陥ると、船長は自分の海の生活が題材の自伝を書くように提案します。そして、本がまとまる頃には二人の間はより親密なものになっていきました。叶わぬ恋が発展するのを防ぐために、船長は、世間の人と交わることを薦め、本の出版の為、ロンドンに行ったときに出会った、童話作家のマイルス(ジョージ・サンダース)と付き合い始めます。グレッグ船長は、彼の不誠実そうな態度が気に入らず、止めようとしましたが、ルーシーがマイルスと結婚したいとまで言い出したために、船長は、彼女が眠っている間に、もう自分は現れないと宣言しました。

その後間もなく、ルーシーがマイルスのロンドンの住所を探し当てて訪ねると、そこには彼の妻がいて、こういうことは初めてではない、申し訳ないと言われます。ルーシーはグレッグ船長を思いましたが、再び現れることはなく、そのまま年月は流れました。アンナも結婚し、ルーシーとマーサも一緒に住んでほしいと頼みましたが、ルーシーはこのなつかしい家を離れることはなく、やがて老年を迎えたある日、初めてこの家に来た日と同じようにうたた寝をしていた時、静かに息を引き取ります。そして、グレッグ船長が現れ、若返った姿のルーシーと静かに部屋を出ていくのでした。



幽霊と未亡人

マンキーウィッツといえば、まず連想するのは「イヴの総て」ということになりますが、古いアメリカ映画は、長らく、西部劇中心にしか見てこなかったという私にとっては、比較的なじみの薄い監督であるのです。とはいえ、アカデミー監督賞を2回受賞したという名匠であり、敬意を払いつつ鑑賞しました。ストーリー的にはそれほど華々しいお話ではないのですが、人物描写や映像美が素晴らしく、また最後まで目の離せない展開でした。

メインは、グレッグ船長とルーシーの掛け合いの面白さだと思います。初めてこの家に入った時から、この展開は予測できるものですが、それも逆に期待通りなのが面白いと思いました。そして、船長と対照的な男と親密になるのは、あまりにもグレッグ船長との先行きに不安を感じたからということでしょうか。そういう結果を招いたので、船長も静かに引いていったという事と思います。船長が消えた後の後日談は、蛇足のような気がしつつ、また長いなと思いつつ、でも綺麗に終わってくれるので良しとします。

幽霊とのラブストーリーとして、思い出していたのが「ジェニーの肖像」ですが、両方とも海が出てきます。幽霊は男と女の違いはありますが、運命を理解し、達観した風情です。いずれも、そういった不死のものに憧れるような、ファンタジーであったと思います。ヒロインのジーン・ティアニーは美しいですね。特に、ラストが良かったです。レックス・ハリソンの船長もいい雰囲気でしたが。そして、娘のアンナの少女時代は子役時代のナタリー・ウッドなのですね。なかなか可愛らしいのでした。

2020.5.31 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「ノックアウト」監視カメラ映像の再構成、ツッコミが楽しい

AmazonPrimeで、もうすぐ配信終了というものの中から、何やら気軽で面白そうだったので見てみました。この映画、ジャケットや邦題でちょっと損しているかもしれません。自分的にはけっこう面白かったです。2017年のアメリカ映画で、日本では、「未体験ゾーンの映画たち 2017」で上映されました。ジョン・ライド監督の作品です。
原題:626 Evolution 「No.626の進化」といった感じですか…

あらすじ
「スマホ、衛星、防犯カメラなど、あらゆる手段で監視されている。でも、簡単にハッキング出来る。この物語の映像は、すべて保存されていたものだ。」というナレーションで始まり、映画は保存映像の再生とナレーションで進行します。

武闘家と思しき女性(ダニエル・チャクラン)が、男たちを相手に奮闘中、警官の出現により逃走しますが、屋根から落下してしまいます。少女(ルビー・ジョーンズ)は里親カール(Andrew Dee Jones)にせかされて学校に行きまが、孤児をネタにいじめられ、サイコキネシスでいじめっ子たちを吹っ飛ばします。武闘家女性は収容されていた病院を抜け出しますが、またもや男たちに捕まってしまいます。しかし、彼らを倒して逃走。しかし、警察に拘束されてしまい、彼女はサラという名前で、婚約者もがいることが判明しました。そして、迎えに来た婚約者が連れ帰ります。彼女は記憶喪失になっているようです。この武闘家女性には626番、少女には449番という刺青が首の後ろにありました。

少女449はカールに殴られて、サイコキネシスでカールを殺してしまい、家にあった手紙から自分にサラという姉がいることを知ります。626は婚約者の家で、別の女性の遺体を発見すると、男が豹変。626もサイコキネシスで男の首を折ってしまいました。そこにサラを探して449が現れ、ガレージにあった女性の遺体を見ると、375の刺青がありました。彼女こそ、449の姉のサラと思われます。しかし、再び武装した戦闘員が現れ、二人は逃げ出しました。そして、高架下に隠れると449は鼻血を出し、具合が悪そうでした。さらに、626は追手の男の一人をを捕まえると、男は、626はファミリーの敵で、養女を誘拐し殺害したと言われます。

626は449とともに元里親を訪ねると、彼女は「組織から子供を預かると多額の金が貰えた」と話します。その間449は家のタンスを探り、里親に向けた手紙を発見。そこには、「イブリン病の初期症状は鼻血、症状が出たら施設に送り返して下さい」と書かれていました。再び追手に追われ、倉庫に逃げ込むと、ファミリーのボスが登場し、ボスが449を見て、失った養女とそっくりだと言います。626は、養女を誘拐したのは自分であることを思い出しました。そこにファミリーを一掃しながら武装戦闘員たちがやってきて、その中から626の双子の姉妹が現れます。彼女は626は優秀な回収係だったと言いつつ、626を始末しようとしますが、626はこれを返り討ちにします、しかし、その間に449は戦闘員たちに連れ去られました。

手術室で449は目覚めます。一方、626も施設に侵入します。626は施設の記録センターに入り、1ヶ月前375の遺体を家族に返そうとし、婚約者が追跡装置を外そうと提案している映像がありました。そして、626は手術室を襲い、処分されようとしている449を救出すると、記録センター室にへ連れて行き、2人で一連の映像を見ます。2人は宇宙人のDNAで作られ改良を重ねてきたクローンで、初期には、236番のイブリンで成果が出たが、問題も発生。さらにクローンを作り、多様な環境に配置し 里親のもとで生活させ、監視システムで観察していたのでした。そして、626は不良クローンを回収するクローンだったのです。

626と449は、自分の追跡装置を壊して施設から逃走し数ヶ月が経過。いままで監視映像を見ながらナレーションしていた449がカメラの前に現れ、これから他の姉妹を探して、凶暴な人間たちと戦う決意を話すのでした。



ノックアウト

監視社会を描いているような紹介文だったので、そのつもりで見始めましたが、そうでは無くてこの2人を監視しているだけだったんですね。ずっと中学生の女の子(449)のナレーションがはいっていますが、これがツッコミだったり自虐だったりで、なかなか面白かったです。無いなら無いで、また違った雰囲気になるかもしれませんが、この映画の魅力は落ちてしまうと思います。監視映像と監視対象者に埋め込まれたカメラによるPOVを中心に構成した映像上、このナレーションはアリと思いました、

オチは丁寧に解説してくれているので、安心です。それはSF的要素を入れたもので、まとまりも良かったと思いました。この結末に対する伏線もうまく作られていて、最後に種明かしをしましたという感じです。626さんは、最初武闘家のようなアクションを見せていますが、特殊能力もだんだん研ぎ澄まされ、グレードアップしていきます。特殊能力は449さんだけかと思ったんですが、626さんは、身体能力+特殊能力なので万能ですね。

という訳で、短い映画ですが、なかなか楽しめました。このクローンプロジェクトの背景とかには、話は突っ込んで行かないので、SF的深みは多少薄いと思いますが、映画の造りとしては面白いアイデアですし、ストーリーがしっかりまとまっているので好感が持てました。

SF的にまとめてみると、ある遺伝子操作の研究所で、宇宙人の遺伝子から作ったクローンの実験体を作り出しては里親に出し、社会に中で生活させてみて、問題があれば回収し処分するという研究を行っている。その実験体のクローンが進化をとげ、自らの出自とその研究を知り、殺人や遺体損壊を繰り返す人間たちに、仲間のクローンたちを結集し立ち向かうのだ。というお話になります。クローンたちの能力は既に人間を上回り、進化してきました。残酷な人間たちと戦うという決意で終わるこの映画は、今後のクローンのさらなる進化が予測されるだけに、かなりブラックな終わり方でした。

2020.4.6 HCMC自宅にてAmazon Primeよりのパソコン鑑賞

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「家族の波紋」 絵に描いた様な風景の中での家族の葛藤

いかにも、ヨーロッパの静かなドラマの雰囲気を醸し出しているような、ジャケットであり邦題です。ということで、少し構えて鑑賞しました。2010年のイギリス映画で、監督はジョアンナ・ホッグです。
原題:Archipelago → 「群島」といった意味です。

あらすじ
エドワード(トム・ヒドルストン)は、エイズ対策のボランティアで、約1年のアフリカに滞在を前に、母のパトリシア(ケイト・フェイ)と、姉のシンシア(リディア・レオナルド)と、旅立ち前の家族旅行として、シリー諸島の別荘にやってきました。住み込みの料理人のローズ(エイミー・ロイド)が現れると、感謝するエドワードですが、姉から使用人に気遣いしすぎる必要なないと言われます。そして夕食では、普通に仕事をするべきと意見され、心穏やかではありませんでした。次の日、母と姉の絵の指導役として画家のクリストファー(クリストファー・ベイカー)が現れ、歓迎しました。次の朝、家族にクリストファーやローズも加えてピクニックを楽しみ、思い思いに会話をして過ごしました。

エドワードは時間があればローズに声をかけ、親しくなろうとします。そして、難色を示す母と姉を押し切って、ローズを食事に誘いましたが、そもそも気に入らなかったシンシアは、料理の件でシェフにクレームし、険悪な雰囲気になってしまいます。エドワードは途中で席を立ち、家に帰った母は、父に早く来るように連絡します。そして次の日も、クリストファーやローズとの会話を楽しみながら、過ごしていきました。しかし、夕食の会話になると、相変わらず気まずい雰囲気は続き、エドワードの恋人との話になって、またしてもシンシアは口論になって切れてしまい、食事中に席を立ってしまいます。母は、娘の態度をクリストファーに謝罪し、戻ってきた姉は、自分のことも気遣ってほしいと母に喚き散らしました。母は、一向に来ない父に、これ以上耐えられないと電話しました。

外で絵を描いているクリストファーに話しかけたエドワードは、強い信念を持つべきだと励まされました。別荘に戻ったエドワードは部屋に閉じこもると、落ち着いてきたので、シンシアに謝罪し食事の時間を知らせます。母は、結局来ない父に切れて、興奮しながら食卓に着いたため、シンシアとエドワードは気遣います。エドワードは旅立つ前の日にローズと親しげに会話を交わしましたが、ローズはそのままメモを残して別荘を去り、翌朝、エドワードはショックを受けました。そして、クリストファーと再び話をし、自分の道を信じて進むよう助言されました。その後、クリストファーは、家族たちと別れを惜しみ、その場を去っていきます。一行は、別荘を着た時の状態に戻し、休暇を終えて、シリー諸島をあとにしたのでした。



家族の波紋

シリー諸島で、絵のような風景の中で、画家が絵をかいています。そこから物語は始まりました。母と姉と弟の3人の家族。父親は後から合流する予定の様です。そして、滞在中に母と姉に絵を教える画家。住み込みの料理人のローズ。弟がアフリカにボランティアに1年間旅立つ前に家族旅行で2週間滞在するようです。上流階級の家庭で、あくまでもそれらしく振舞うべきと考える母。現実的な姉。自信なげで、進路に迷いがある弟。弟はローズが気に入って、しきりに一緒にいようとしますが、母も姉も明らかに身分の違う人間に対する、冷めた対応をしています。そんな中で家族の感情の微妙なずれが始まり…。

絵が美しいといいますか、絵画の中で人が動いているイメージでした。カメラは風景や背景に固定され、その中を人が動く。会話も固定したカメラの中で行なわれます。会話する人をアップにするのはラストの画家の語りの部分だけだったと思います。目新しい手法でした。家族の中のすれ違いや、居心地の悪さは、自分でも身に覚えがあるようなものです。テレビもスマホも登場しない別荘での、人との会話だけで過ごす2週間。今では体験できないようなことですが、この様な状況でこそ、人間力が鍛えられるなぁと思いました。

エドワードが好意を示しても、役目が終わればあっさり消えてしまうローズは、階級社会での身の振り方をわきまえています。そんな大人の行動が要求される2週間。エドワードにとっては一つの成長があったのかもしれません。裕福そうで羨ましくも見える、上流階級の日常を切り取った一コマ。堅苦しい作法を、エドワードもシンシアも身につけていくのでしょうか。最後まで、淡い絵画のような画面が見事でした。

2020.4.14 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング」

Amazonで、おすすめっぽく、露出度が高かったので、面白そうなので見てみました。2018年のアメリカのロマコメ。主演は、エイミー・シューマーです。アビー・コーンとマーク・シルヴァースタインの共同監督になります。

あらすじ
レネー(エイミー・シューマー)は少し太めの女性。高級化粧品会社で働いていますが、オフィスは薄暗い地下でした。唯一の同僚のメイソン(エイドリアン・マルティネス)はコンピューターオタク。親友のヴィヴィアン(エイディ・ブライアント)とジェーン(ビジー・フィリップス)とは、一緒にふざけた写真をインターネットに投稿するのが楽しみです。ある日レネーは、仕事で憧れの本社ビルに向かい、美しい創業者一族のエイヴリー(ミシェル・ウィリアムズ)を見て憧れ、受付を募集していることを知ります。そして、会議室では創業者のリリー(ローレン・ハットン)が大衆向け化粧品を全国のスーパーで売ることを企画していました。

レネーは、スポーツクラブで頭を強打し、鏡を見て、美しくなった!と叫び、勘違いが始まります。本社の受付業務の面接に挑戦。自信を持ったレネーは、ポジティブに押して採用され、街で出会ったイーサン(ローリー・スコーヴェル)とも仲も進み、デート中に水着コンテストに飛び入り参加。明るくアピールし、観客の喝采を浴びます。そして、エイヴリーから、スーパーで売る化粧品について、大衆の視点からアドバイスを求められ、ボストンでの製品のプロモーションに同行することになりました。ところが、大喜びのレネーは、親友のジェーンとヴィヴィアンに思い上がった態度で接して怒らせてしまい、ホテルでは部屋のシャワー室で頭を強打。自信の持てないレネーに戻ってしまい、イーサンにも別れを告げました。

奇跡の再現を狙って、スポーツクラブで頭を強打しようとしますがうまく行かず、宅配業者に扮して本社に忍び込むと、製品発表のパーティがあることを知ったレネーは、ヴィヴィアン、ジェーンに謝罪すると、パーティーの件を話して協力を頼み、パーティ当日、レネーはプレゼンのコンピュータ担当のメイソンと裏口から忍び込みました。エイヴリーのプレゼン中に、電気を落とし、当惑するエイヴリーの後ろからレネーが登場します。レネーはメイソンの映し出す写真に乗って、小さな少女の夢を持ち続け、自分に自信と誇りを持ってと呼びかけ、大衆向け化粧品のプレゼンを行い、大きな拍手で迎えられました。エイヴリーは喜んでレネーを抱きしめ、パーティ後、イーサンとも復縁し、自信に満ちた日々を取り戻すのでした。



アイ・フィール・プリティ!

冒頭から面白くて笑えます。しっかり捕まってしまいました。その笑いは、殊に前半は絶好調で、レネーが笑いの中で成功を収めていくわけですが、さすがに絶好調になると、いささか調子に乗り過ぎた感じで、少しづつ狂いはじめ、見ている方もオイオイと不安が胸をよぎります。そして、ガラスにぶつかる体当たりの演技。そして、感覚が現実に戻るわけですが、ずっとこれが現実であったということを認識すると、自分の容姿へのコンプレックスから解放され、ハッピーエンドとなりました。面白くて、まさにコメディの王道的な展開で、文句はありません。

全体としては、きわめて一般的かつ普遍的なメッセージ性を持っていますが、まぁ、それはよく言われることでもあります。全体の内容を通してみても、レネーの性格が転落前と後で変わったとはとても思えず、変わる前だって、十分ポジティヴで面白い性格だったように思います。本人的には、変わったのかもしれませんが、周りから見れば何も変わってないという状態。ただ、本人が少しポジティブに表現していくようになっただけ。あるいは、ちょっとハイになっただけみたいな感じでした。それは、ある意味より現実的なのかもしれません。

それはともかくも、下ネタあり、痛い演技ありで、笑える時間が多いので、とても面白いと思いました。どうかなぁ?と思って見始めたのですが、いきなり捉まれてしまい、久しぶりに笑いが止まらなくなる映画を見させていただきました。やはり、この手のコメディ時々見るといいものだと思います。ところで、あまりレネー、レネーと言われると、ブリジットに繋がっていくのですが…。体型も大きめですし、何か意識しているのかな???

2020.3.23 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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ジャンル : 映画

「不機嫌なママにメルシィ!」数奇な生い立ちを語る一人舞台

フランスのコメディではないだろうか、と思っての鑑賞です。実際、確かにコメディではありますが、かなりシリアスなテーマもあり、また家族のテーマでもありました。2013年のフランス・ベルギー合作で、監督は、ギョーム・ガリエンヌ。カンヌでは監督週間で上映され、SACD賞、C.I.C.A.E.賞を受賞。セザール賞では作品賞以下いくつかの部門で受賞しました。

あらすじ
舞台裏で準備をするギョーム(ギョーム・ガリエンヌ)。声がかかり、ギョームの一人舞台が開演し、その内容に応じて、過去の物語が映し出されていきます。

ギョームは、エレガントな母(ギョーム・ガリエンヌ・二役)の影響を受け、成長していきます。スペイン語を習いたいと申し出たギョームは、母の準備したホームステイ先に渡航。フランス語が全く通じず、フラメンコのパーティーに出るため、女主人に踊りを習いますが、それは女性の踊りで、当日は嘲笑の的になります。しかし、女っぽいことを逆に喜ぶギョームなのです。彼は、自分が母親に間違われるほど母親の仕草を真似して育っていました。母はギョーム対してはいつも不機嫌で、ギョームは運動はすべてダメ、女性的な習い事を希望すると、父(アンドレ・マルコン)にすべて黙殺され、ギョームは自分の部屋で、ブランケットをドレスのように巻き、空想の中で女性になって遊んでいると、父に見つかり、男子校の寄宿舎へ入れられてしまいました。

寄宿舎では、ゲイだといじめられ、その事実を知った両親は、今度はイギリスの寄宿学校へ転校させます。イギリスでは、ジェレミー(チャーリー・アンソン)と親しくなりますが、彼が他の女生徒と深い仲になっているの知り、ショックを受けます。ギョームは自分をゲイだとは思っていませんが、女性の仕草に魅力を感じ、細かな仕草までまねするようになり、両親はついに、彼をカウンセリングに通わせますが、全く改善の兆しはありませんでした。そこで、荒療治として、モロッコ旅行時に、ゲイのクラブに送り込み、彼に目をつけた一人の男が、彼を連れ帰りますが、ギョームがアラブ人でないとわかり、追い出されてしまいました。

彼は、今度は逆に女の子たちのパーティーに招かれ、そこで出会ったアマンディーヌ(Clémence Thioly)の美しさに恋をしてしまいます。ある日、彼をゲイだと言い張る母に、アマンディーヌと結婚したいという事と、母がなぜ不機嫌かについても解ったと打ち明けます。母はギョームが他の女に恋をするのが嫌で、元来女の子を欲しがった母は、ギョームを女の子のように特別扱いしていたのでした。

舞台上ではギョームの一人舞台も終わりを迎え、客席には母も来ていました。楽屋に戻ると、花と一緒に母からのメッセージが届いていたのでした。



不機嫌なママにメルシィ!

とりあえず、見始めて、ひとり舞台で主人公のギョームが語る話が、映像化されていくものと理解。ギョームの母への賛辞から始まって話が進んでいきます。ギョームは母のことをエレガントといいますが、あまりそんな感じは受けず、強引でパワフルな母親の様に思えました。そして、LGBTの話かなとも思いましたが、どうも、決定的でもないし、まぁ、マザコンであることは間違いなさそうだなと思ったりしていました。ギョームは母からゲイと指摘され、ゲイということと、自分が女の子と思うことに一線を引くところなど、ちょっと複雑に感じました。

そして、結論としては普通に男性でしたが、その時、常に女の子を持ちたいと思っていた母親の、複雑な気分が表現されていきます。そんな母の影響もあって、いろいろと回り道をしつつ、複雑な性格を宿していったギョームですが、その変遷を見つついろいろと考えてしまいます。LGBTと表現されるものについて、一元的固定感でくくってしまっていたことも結構多いのですが、こうしてみると、なかなか幅広いと思いました。性嗜好が絡むところや、同一世障害までいろいろで。内容や表現など多岐にわたるようです。

とまぁ、見終わっていろいろ調べているうちに、やっと気づいたのですが、ギョームとママは二役だったのですね。全くわかりませんでした。それも、自らの経験が元になっているという事で、なかなか説得力があります。そうしてみると、ギヨーム・ガリエンヌは、監督脚本、そして主演男優、主演女優といくつもの役をこなしながらの作品なんですね。驚きました。内容としては、LGBTをテーマにしつつ、家族と成長の姿を現す、面白いドラマであったと思います。

2020.5.18 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「クロッシング・ウォー 決断の瞬間」 海外派兵の意義とは

2014年のドイツ映画で、フェオ・アラダク監督、脚本による作品です。アフガニスタン駐留のドイツ軍を舞台として、現地との文化の違いがもたらす苦悩と災厄を描く作品で、ベルリン国際映画祭ではコンペティションのノミネート作品となりました。

あらすじ
イェスパー(ロナルト・ツェアフェルト)は、アフガニスタンでの駐留を引き受け、現場の小隊の長として派遣されます。彼の兄は、アフガニスタンで作戦遂行中に殺害されていました。今回のイェスパーの部隊のミッションは、駐留する地域で影響力を増しているタリバンに対して立ち上がった、反タリバンの小さな村を守ることでした。そして、地元との交流の為、タリク(ムフスィン・アハマディ)という若いアフガニスタン人の通訳を雇い入れ、現地との折衝の窓口とします。

タリクの助けも得て、イェスパーは村のコミュニティやアフガン民兵の信頼を獲得しようと努力しますが、文化間のギャップは大きく、細かな障害が立ちはだかります。その中で、イェスパーは自分たちでできる範囲で真摯に対応していきますが、本部が関与することになると、取り巻く状況の違いから許可が得られず、結果、最終的な信頼が得られないというジレンマに陥ります。一方、町に住むタリクの妹ナラ(サイダ・バルマキ)は、タリクがドイツ人のために仕事をしている為に、タリバンから脅されていました。タリクは村のリーダーと部隊に頼み、ナラを部隊の監視下に置く許しを得ました。

しかし、タリクがナラを連れて基地に戻る途中、狙撃されてしまいます。ナラは致命傷を負ってしまい、タリクが妹を基地まで連れてくると、イェスパーは重傷のナラのドイツの野戦病院までの搬送を依頼しますが、却下されてしまいました。イェスパーは周囲の反対を押し切り、守備を部下に代行させ、自らピックアップでナラを搬送することにしました。ナラの手術は成功し、命を取り留めます。しかし、不在の間に部隊が襲撃され、代行で指揮にあたっていた部下が殺されてしまいます。その結果、イェスパーは裁判を経て除隊されてしまいました。タリクは語学教師に戻り、ナラも進学への道を歩み始めたある日、タリクはバイクで走っている時、近寄ってきた車からの凶弾に倒れたのでした。



クロッシング・ウォー 決断の瞬間

アフガニスタンに駐留するドイツ軍のお話です。タリバンに対抗することを宣言した村の自警団を護衛するという任務につくドイツ軍の小隊。隊長は兄を同じくアフガンで失っています。平穏に日常生活が行われているように見える町の方も、タリバン派でないと判ると、標的となってしまうという世界です。その中で、ドイツの小隊と村の自警団と村人たち、ドイツ軍に雇われた通訳とその妹の行動が交錯し、任務と人道の狭間で葛藤が指揮官に生まれ、悲劇へと導かれます。

そもそも、どこにも出口の見いだせない話でした。派遣されたドイツ兵は、彼らの論理で行動しますが、全く地元の村人と考え方が相容れません。また、譲歩出来たところで、今度は本部と考え方が合わなくなります。いったい、彼らがここにいる意味は何なのでしょうか?という素朴な疑問が湧いてきます。それは、なぜ自分の国を出て、異民族の国に行くのかという基本的な疑問をも生じさせます。平時の旅行とか、物見遊山なら判りますが。地元にとっては、文明化とか、西洋風の価値観の押しつけとか、大きなお世話なんでしょう。派遣する国からみれば、世界各地に一定の影響力を持つという目的にはなります。

国家としての目的からすれば、ドイツ軍の本部の行動は理にかなっていますし、混乱を避けるという意味において、隊長の行動は許されないことなのでしょう。そもそも妹を迎えにやった時点で、リスクをたくさん抱えることになります。しかし、そういういろいろな事が起こるのが、戦場であり人間社会であり、また現場であると言わざるを得ません。それだけに、こういった支援活動を行うからには、派遣元である本国も含めた責任を持った対応が求められることと思います。現場に立ってみれば、その場その場で最大限の危機管理を行う事しかないはずです。アフガニスタンの風景の映像は初めて見るものですが、とても素晴らしい映像でした。

2020.3.7 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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「あさがくるまえに」 素晴らしい叙情表現を体験する時間

雰囲気のよさそうな、フランス映画があったので、見てみました。2016年のフランス・ベルギー合作映画で、監督はカテル・キレヴェレ。これが、長編3作目になります。ヴェネツィア国際映画祭では、オリゾンティ部門にノミネートされました。

あらすじ
夜明け前、シモン(ギャバン・ヴェルデ)は隣に眠るガールフレンドと目を交わし、窓から外に飛び出していきます。そして友人と合流し、サーフィンを楽しんだ帰途、友人の居眠り運転で脳死となってしまいました。臓器移植コーディネーターのトマ(タハール・ラヒム)は両親に、臓器提供を求めますが、父親は声を荒げて帰ってしまいます。父親が帰る途中、渡された息子の携帯に恋人からの電話が入ります。そして、家についた両親は、息子を思い出しながら決意を固め、再びトマの元を訪れて、目以外の移植に同意するのでした。

音楽家のクレール(アンヌ・ドルヴァル)は心臓が末期的症状であると自覚していました。二人の息子のうち、兄が母親を支え、弟は遠くから時々帰ってくるだけです。そして、生きるには心臓移植しかないと告げられ、人の心臓を使ってまでと悩むのでした。クレールはあるコンサートにやって来て、演奏が終わると、かつての同性の恋人である奏者と言葉を交わし、彼女は病気を知らせてくれなかったと憤りますが、クレールは「私といたら、今のあなたの成功は無かった」と答えました。夜もふけた頃、クレールの主治医のもとに、あるドナー仲介者から連絡が入りました。

トマは、降り立った医師を飛行場で迎えます。クレールにも連絡が入り、息子を待つので待ってほしいと話します。もしかして二度と会えなくなるかもしれないと、クレールは涙を浮かべます。シモンの心臓摘出手術が開始され、「血流遮断」と医師が告げた時、トマは、シモンの耳にイヤホンをはめました。恋人が選んだ波の音が流れていました。摘出された心臓は、飛行機で運ばれていきます。トマはシモンの体を丁寧に拭き、母親にメールを送ります。そして、母親は、メールを夫に見せ長い間寄り添いました。クレールの移植手術も順調に進み、心臓が動き出しました。翌朝、手術室の前では、クレールの息子たちがもたれ合って眠っていました。手術から目覚め、眩しそうに目を開けたクレールの目から、涙が今にもこぼれ落ちようとしていました。



あさがくるまえに

脳死となってしまった青年と、移植手術を受け入れる女性の物語。その一連の動きが順を追って丁寧に描かれていると思いました。前半は、恋人の部屋を抜け出した青年が、早朝のサーフィンの後交通事故で脳死状態に。そして、その両親が息子の臓器移植を受け入れる葛藤が描かれています。後半は、心臓に疾患を抱え、歩くこともままならない女性の話。重大な手術を受け入れる家庭が丁寧に描かれています。そして、それをつなぐ医師や関係者の行動があります。

表現の方法が秀逸と思いました。核心の場面を直接語ることをしません。前後の様子から、その葛藤を想像させる手法です。どう想像するかは、見るものにゆだねられています。事故の場面は実際のクラッシュは描かれず、極度に詩的な表現でその悲劇が表現され、迫力があります。両親の判断の場面もなく、前後の事実があるだけですが、その前後の俳優の言動でその葛藤を表現します。そして、手術の時に息子が現れない情景で、これでもう会えないかもしれないという大きな不安が表現されます。

こういった間接的な表現ですべてが語られていく映画。ラストの目覚めの表情も含めて、これは上手いなと思いました。すべてを見終えた後でも、映画の中で流れる情感に漂いながら、独特の世界に連れて行ってもらった感じがしました。そして、コーディネーターが波の音を聞かせる場面は大変感動的でした。クレール役のアンヌ・ドルヴァルさんは、なかなか雰囲気があって良かったと思います。カテル・キレヴェレ監督は、これが日本初公開とのこと。いろいろと見てみたいと思いました。

2020.02.12 HCMC自宅にてAmazonPrimeよりのパソコン鑑賞

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